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DJ / フォトグラフ / インテリアデザイン、 インディーズレーベル【RUDELOOPS】主宰。 音、光、形と様々な視点から アンダーグラウンド・コミュニティを演出。 どの分野でも荒削りで重厚感のあるテイストを得意とする。

ツイッタランド電子音楽垢のアレな実態

あらゆるSNSの中でも特定の趣味に特化したアカウントが多いTwitter。
自分も今はTwitterメインでワイのワイのと騒いでいます。
他SNSに比べ笑いを取る事が大事な価値観だったり、自虐ネタが大好きだったりと、
発祥のアメリカより盛り上がってしまっているのが面白い所ですが、
その中でも僕らの音楽、特にDTM関連に特化したアカウントにスポットを当てて観察してみましょう。

○Twitterアマチュア電子音楽垢に共通した生態

老若男女問わず人格障害6割発達障害7割ヤバそな奴だいたい友達、
「おすすめユーザー」は大抵メンヘラだと思いましょう。
幼少の頃から持て余す自己顕示欲を音楽で消化する癖があるので、
捌け口の無いタダのメンヘラよりは幾らかマシですが
音楽活動が上手くいってない時期はタチが悪いので触る時は要注意です。
貧富の差はかなり広く金持ちもエリートも半グレも落ちこぼれも混ぜこぜではあるけど、
9割方は浪費家なので実社会でのアドバンテージは貧弱です。

○観察厨が測るべきバロメーター

色々と残念な人達がはびこるツイッタランドは、
自分自身が音楽活動をしなくても面白いアカウントを眺めているだけで面白いものですが、
観察するコツは「どんな肩書きを自称しているか」「自己顕示欲と実績のバランスが不安定か」
の二つでしょうね。肩書きによって当該ジャンルの価値観がコロコロ変わりますし、
自己顕示欲が溢れすぎて痛いアカウントは傍から観ていて面白いものです(ゲス顔)。
しかし実際に会うのは「自己顕示欲<実績」な人に留めましょう。
名乗り方と投稿ペースによって人脈をフィルタリングするのもツイッタランドの賢い渡り方です。

○俯瞰で見える「マウンティングカーニバル」



幾ら取り繕っても人間は動物の一種ですしコミュニケーションの原理はマウンティングにあります。
Twitter趣味垢コミュニティは「かけた金額」「かけた時間」から「そもそもの成果物の質」に至るまで
ありとあらゆるマウント合戦が繰り広げられている動物園なのです。
マウント方法には品のあるもの無いもの、周囲を笑わせるものから怒りを買うものまで様々ですが、
そのジャンルの文化や価値観に沿った手法でのフェアなマウントでなら称賛を得られ、
そうでないものは品がない、卑怯だとして排除されます。
こうして繰り広げられる血みどろの争いの中で生き抜く術を皆さんに伝授しようではありませんか。

孫氏曰く「敵を知り己を知れば百戦危うからず」で御座います。

粘着してきた輩にどう対処するかは自分と相手がどういう文化で育ってきたか、
またどういう価値観で音楽と向き合っているのかを認識できれば、
相手の劣等感をエグる一撃を放つ事が出来るのです。

○スキルを獲得してクラスチェンジするんだ!


そのマウント合戦を勝ち抜く為に(あれ?)日々切磋琢磨している音楽垢(いや素直に音楽やれよ)、
アマチュアとは言え長年活動を続けていると音楽界隈でもそこ以外でも役に立つスキルを得られます。
現状のジョブを認識した上で得るべきスキルを獲得するとより強力な肩書きを得られるようになり、
ツイッタランドでは更に威張れるようになります。
あ、もちろんTwitterの外では何も変わりありませんよ?

○「DTMer」ってダサくね?w

DAWなどを使って音楽を作る趣味の人の総称、という解釈で良いと思います。
僕らのハードウェア電子楽器も一応はデスクトップですし。
「でぃーてぃーえまー」と読むんですか?
音にコダワリが強い人達を名乗る肩書がすげぇダサい音感なのがこの分野の残念なところですね!
だけどもしかするとダサいダサいと騒ぐのは僕らの世代だけで、
地下アイドル崩れの微妙な美人(32歳年下彼氏と同棲中)
「でぃーてぃーえまー(ハァト)」と名乗っていれば案外イケるのかもしれません。
出来れば胸の谷間を若干露出させながら名乗って下さい。
香ばしさが倍増します。

○トラックメイカー

このブログでは当たり前に使ってますが他分野の皆さんにはピンと来ない呼び方なようです。
ちゃんと説明すると「クラブミュージックに特化したDTMer」ってとこでしょうか。
テクノ、ハウス、ヒップホップなどなど反復するミニマルなリズムが特徴です。
DJ上がりが多くAbletonLIVEが7割以上、生楽器の経験が無い人もかなり多いです。
ポップスでよくある「AメロBメロからサビで~」といった構成を完全に無視、
コード進行のある曲はダサいという風潮が強い為に他分野の音楽垢と音楽談義をする事が苦手です。
そのコンプの反動って訳ではないけどミックスダウン~マスタリングまでこなす人が多く、
神経質なほど耳が肥えているのでクリエイター活動を卒業した後には
何故かピュアオーディオオタクになってしまうケースもあります。
クラブカルチャーを通ってきたのでDQN的な風貌を持つ輩ばかりですが、
基本メンタリティはオタクなので案外アニメ美少女も好きだったりします。
ただしヒップホップやレゲエなどのB系トラックメイカーはヤンキー気質が強く、
ツイッタランドのレスバで勝てたとしてもリアルで物理攻撃をしてくる場合があるので要注意。

・クラスチェンジ例
スキル「DJプレイ」で現場で通用する音作り
スキル「プロデュース」でレーベルオーナー

・エンカウント対策
(B系)アイテム「かみのくさ」で仲間に引き込める
(四つ打ち系)アイテム「あかいかみ」で仲間に引き込める

○ミックス師

ニコ生文化以降に増えてきた肩書ですね。
上のクラブ系トラックメイカーとはすこぶる仲が悪いようです。
ボーカロイドやアニメソング、テクノポップなどを好んで聴いている模様。
シンガー志望の「歌い手」をクライアントとして、
ミックスダウンやマスタリングを請け負うアマチュアエンジニア、という解釈をしています。
成果物はニコニコ動画の「歌ってみた」を中心とした動画配信サービスでの展開となるので、
「自宅で音楽を楽しむネットユーザー」を対象に絞り込んだ価値観を持っています。
情報収集からアウトプット、もちろん交流に至るまでネットの中で完結しているので、
ネット内での生存欲求も防御本能も他分野垢より強そうです。
だいたいその「歌い手さん」との話の行き違いで炎上慣れしている事が多い事から、
ツイッタランド内での攻撃力は非常に強くレスバとなれば百戦百勝、あんまり敵にはしたくありません。

自分の観測範囲に現れた数人の自己顕示欲の強すぎるイキり垢は
憧れの機材ブランドの魅力を延々と語っているのや(そこは買えよ)、
本職エンジニア相手にマウントを試みる奴など香ばしい一面もありました。

・クラスチェンジ例
スキル「動画編集」で歌ってみたプロデューサーに

○オンラインDJ



これもニコ生文化以前と以降で価値観の変わったケースだと見ています。
2000年前後の現場至上主義が当たり前だった時代は「お宅DJ」という蔑称で呼ばれていました。
ボクもmixiで「セカンドライフDJ」と名乗るイキったオタクと大喧嘩した思い出があります。
そういう訳で個人的恨みがあるのはご了承下さい。
イキがってなければ何とも思ってません。
その時の彼らの言い分としては、
「これからはPCDJの時代!セカンドライフこそ俺達のフィールド!」
「ガラの悪いクラブに巣食うレコードDJなんて時代遅れプギャー!」
なんて僕らのmixiコミュニティに乱入してきた記憶があります。
まぁそのセカンドライフとやらがどうなったかは語るまでもありませんよね。
たぶん「毎日チーズ牛丼をかきこみ七色に光るパソコンが大好きな人種」だと思います。
あとラブライブとか好きそう

2020年のコロナウイルスによるライブハウス・パッシングによってネット配信が注目を浴びていますが、
そんな中でネット古参兵としてミックス師と共に新規参入者を叩きまくっている投稿をチラホラ見ます。
特にクラブカルチャー出身者を蛇蝎のごとく恨んでいるようでw、こういう輩に絡まれた時は、
彼らが密かにコンプを持っている「現場の空気(キリッ)」をチラつかせて追い払って下さい。

・クラスチェンジ例
スキル「現場」でネット/リアル両刀使い
スキル「DTM」でミックス師→プロデューサーへ

・エンカウント対策
「チーズ牛丼好きそう」
「一日5回オナニーしてそう」
「デュフフって笑いそう」
などとモテないオタクのステレオタイプ像を強引に当て嵌めるジャブを連打し、
一瞬でも怯んだ隙が見えたら全力で逃げる!

○歌い手さん



ニコ生音楽の花形とも言えるアマチュアシンガー。だいたい10代〜20代半ばの女の子。
カラオケに毛が生えた程度の努力で、
数百〜数万ユーザーから称賛を得られる自己顕示欲消化エコシステム
もちろんココから将来の大物シンガーが生まれる訳だから決して馬鹿にはできない。
上記のミックス師と組んで制作に望むため如何に腕の良いミックス師を捕まえられるかがキモ。
とはいえ若いので金なんぞある訳もなく世間知らずな面から
ミックスダウンの苦労を顧みない言動で問題を起こす事もしばしば。
まぁ可愛いから許してやれよ。可愛いはジャスティス。

・クラスチェンジ例
スキル「パパからパソコン」でDTM女子に
スキル「振り付け」で地下アイドルに
イベント「自称プロデューサーに喰われる」で芸の肥やしに
ちなみにレベリングを放棄したまま歳を取ると突然DJを名乗るようにもなる。DJって。。。

○DTM女子


普通のOLから地下アイドル崩れまで出自は幅広くネットに素顔を晒せる程には容姿に自信があります。
もっともどの分野でも○○女子と自称するのは「アタシ地雷」と顔に描いてあるようなものなんですが、
圧倒的に冴えない男の多いDTM界隈においては「チンコが無い」というだけで強力なアドバンテージです。
30代でも40代でもチンコが無ければ女子と認められるので婚活市場における穴場でもあり、
実際のところ冴えない風貌でも社会的地位が高かったりする独身男も珍しくはないので、
そこを突いてくる彼女達の行動は有能なマーケティング戦略とも言えなくはないでしょう。
少なくともゴルフ女子なんぞよりは賢い戦い方だと思うのでそこは評価すべき。
音楽機材の値段よりも男の靴の値段に詳しかったりする狡猾さを持ち合わせていますが、
そもそも音楽垢は総じて浪費家な事を失念しているのでご成婚の後も苦労することでしょう。

・クラスチェンジ例
スキル「顔出しと喋り」でYouTuberへ
スキル「おっぱいUP」で別の意味でプロに
スキル「専業主婦」で楽曲大量生産

・エンカウント対策
装備しているDAWが同じものなら間合いを縮められる。
呪文攻撃は「舶来もののスピーカー」「オーディオI/F」などハード系はあまり効かず、
「ファブフィルター」「ブレインワークス」「スレートデジタル」などなど
ニッチなプラグイン系で攻めるのが費用対効果でもお勧め。

○自称プロ


ネットの普及した今でこそ垣根が曖昧になりましたが、
それ以前の時代ではプロとアマチュアの差は歴然としたもので、
80年代のバンドブームの時などはプロを目指さないミュージシャンに
人権は無いと言われるほどだったそうですよ。

それはさておき皆が皆チョイチョイと小遣い程度の額なら稼げるような今の時代でも、
プロの肩書に異常に執着する時代遅れな奴もいます。
執着した上でちゃんと努力して食えるレベルのプロになってくれれば良いんですけどね、
クラブでDJして電車代貰える程度や、
歌い手相手に一曲1000円のミックスダウンをしている程度の輩まで
プロを名乗るのが滑稽で仕方ありません。
まぁ自分はアマチュアの立場として他人事だから笑えるんだけど
ホントに食ってるプロのアカウントからしたら迷惑で仕方ないですよね。

・メンヘラ度:触るな危険
・エンカウント対策:戦っても経験値を得られないので逃げるのが得策

・クラスチェンジ例
スキル「素直さ」で穏やかな人生

○プロデューサー


トラックメイカーが成り上がってレーベル運営をしてみたり、
ミックス師が成り上がってトータルで動画制作に携わるようになると、
どちらも「プロデューサー」という肩書を持ちたがるようになります。
もちろんアマチュアの話ですよ?
プロデューサーの定義とは?なんてツッコミは御無用
アマチュアとは言えある種の権力を持ち合わせるので、
女性DJや歌い手の女の子に対しては結構「効く」肩書でして、
相応のリーダーシップもあり手っ取り早くモテるには最短の近道です。
DJ上がりのオーガナイザー、生楽器界隈のイベンター、そしてこの自称プロデューサー。
ツイッタランド音楽垢の中では【三大チンコ脳】だと認識して間違いありません。

となると、現在ジャンルにこだわらずにモテたいと思う下半身優勢型DTMerは、
ミックス師を経てプロデュースを行えるようになるのが優勝への約束された道だと思います。

・クラスチェンジ例
アマチュア音楽垢では最上位のドヤれるジョブ。
別分野に参入しても「つよくてニューゲーム」が可能。

スキル「心理学」でメンヘラとヤリ放題
※割とセックスし放題だけど気づかないうちにMPを激減させられるので、
女性不信に陥ったり一生おムコに行けなかったりするので相応の覚悟を。
誰とは言いませんがね。

○機材廃人

なんだかんだ言っても音楽制作の意志がある垢を「生者」とするなら、
ここ以降は制作に未練を残しつつも既に興味が他へ向いている「亡者」が巣食う黄泉の国の住人。
その境目を見極めるポインツは「友達の作った曲をちゃんと聴いてるか」ですね。
この一線を越えてしまいそうなアナタ、気をつけてくださいね。

機材廃人はハードウェア機材に並々ならぬ執着を持ちながら、
真っ当な音楽活動をする事を放棄してしまったゾンビです。
音楽よりもツマミを愛すると豪語してみたり、
訊かれもしないのに「ぼくの考えた最強のグルボ」論を延々と投稿したりする面倒な輩。
当人達は生者に対して「フィジカルっていいよ~」とか「ハードは飽きても売れるよ」とか
甘言を持って黄泉の国へと引き摺り込む腹づもりなのです。
ああ恐ろしい!
成り上がってクラスチェンジするとコレクター/ブローカーとなり、
広い機材部屋や買い付け用のクルマを持つなど投資額は他垢とケタ違いになるけど、
所有さえしてれば満足するので制作以前にスピーカーを持ってなかったりします。

・クラスチェンジ例
聖属性魔法「友達の曲」が50%の確率で有効。
ヒットすると機材を売り払って真っ当に曲を作るように。
スキル「舞台度胸」でマシンライブプレイヤーに
スキル「脳内波形」と魔法の呪文「これは浪費じゃなくて投資!」でコレクターへ
更に「人脈」を得た後にパラメータ異常「金欠」にかかるとブローカーへ
スキル「ブログ」であらゆるゾンビを召喚出来るゾンビマスターに。

○ビルダー

機材廃人のもう一つの成り上がり方。
楽曲制作より電子工作の方に楽しみを見出してしまった外道で、
音楽を作る→音そのものを作る→音を作る機材を作る、といったプロセスで重症化。
ツマミを回すよりネジを回す方に悦楽を見出してしまい悪魔に魂を売った者達です。
コレクタースキルを得て成り上がるとブローカーとなり「アンデッドの王」として君臨。
嫁さんに対しては副業と言い張り小遣い稼ぎに精を出すようになるけど全然儲かりません。

・クラスチェンジ例
スキル「商才」でショップやガレージメーカーへ
スキル「女たらし」でヒモへ
イベント「5ちゃんで叩かれる」があるとハクがついて顧客が増える

○MIDI文化の亡霊


ここで言うMIDI文化とは、
90年代前半インターネット黎明期に活動をしていたDAW以前のDTMユーザーが支えた文化で、
シーケンスデータとしてのMIDIファイルを制作して交流をしていたそうです。
平たく言うと僕らの大先輩な訳ですけど、
JASRACによって信託曲も非信託曲も一緒くたに摘発~法外な額の使用料を請求され、
サイトの閉鎖からDTMブームそのものを潰された経緯があるんだって。
真偽はわからないけど興味ある人は「JASRAC MIDI」てググってね。

そんなふうに自分達の楽園を焼き尽くされた恨みはまさに死んでも死にきれないようで、
現在でも呪いの文句を唱えながらSC-88Proを押入れで寝かせているようです。
まぁJASRACムカつくから敵の敵は味方理論で肩を持ちたくはなるけど、
現在でもGM音源だとかXG音源だとかで議論しているのはどうかと思います。
そのハチプロこそが呪いのアイテムだって事に気がついて下さいよセンパーイ。

・エンカウント対策
アイテム「サンレコ最新号」で40%の確率で蘇生、或いは刺激が強すぎて成仏。
魔法の呪文「ハイレゾ」でピュアオーディオオタクにジョブチェンジ。

○なんとか情報局



これも音楽に限らないけどTwitterで情報局と名乗る個人アカウントにロクなのが居ません。
ただどういう訳かDTM関連の自称情報局はタチの悪いのが多く、
頭にアルミホイルを巻いてそうなのがワラワラと湧いてくるんだそうです昔っから。

最近観測したモジュラーシンセ関連のそれは薄気味悪さトップクラス。
身内で話題になったのでフォロワーのチェックと過去の投稿を片っ端から読みました。辛かったw
情報局を名乗りながら自ら発する情報は皆無、
中身の無い投稿連発で検索のノイズになって迷惑してる人が多かったですね。

・エンカウント対策

自己顕示欲云々じゃ済まないレベルだが基本的に無害。
とはいえ何処でどうキレるか常人には予測不可能なので逃げるが勝ち。

○まとめ

通常の音楽垢、いわゆる生楽器を扱う人達は観測範囲外なので省きましたが、
それらと比べても電子音楽垢の残念具合は抜きん出ていると思います。
なんでこんなにポンコツしか居ないのか不思議に思う事が多々ありますが、
だからこそ面白いのも重々わかります。
定義はさておきマトモなメンタルの人が作る音楽なんて退屈で聴いてらんないっすよね。
みんな健全に病んで仲良く殴り合いましょう!

Roland MC-101レビュー

近頃は小型グルーブボックスに興味が出ていまして、
前回記事のmodel:cyclesに続いてRoland MC-101を購入してみました。
お弁当箱くらいのサイズにVA/PCM音源とワンショット/ループサンプルも扱える万能機。
Roland製品とはほとんど縁がなかったのでドキドキしてますが、
はてさて使いどころがツボにハマるんでしょうかねぇ。

○デザイン



AIRAシリーズに準じた黒x緑の筐体に
かなり小さな筐体に2行表示のクラシカルなドットマトリクスLED、
4本のフェーダーと16のパットといった構成で、
競合する他社製品をじっくり研究した末のチョイスといった具合です。

○製品コンセプトと操作感



DAW時代のグルーブボックスのデザインにおいて「どの機能を削るか」が
コンセプトや活用方法を決定するポイントですが、
この機種は音色のエディットをバッサリと切り捨てています。
同じ割り切り方をするnovation CIRCUITは
同時開発されたソフトウェアエディタで細かいシンセサイズが出来ますが、
このMC-101にそんな親切なソフトは無いし
基本PCMなのでシンセサイズ自体が出来ない、といっても大げさではありません。

またかなり多機能でありながら少ない操作子と文字表示のみの少ない情報量が相まって
正直なところ凄く扱いづらいです。
プロジェクト設定や音色のエディットにまつわるほとんどの操作が
右上のプッシュ式エンコーダーのみで操作をするのは控えめに言って地獄です。

しかし地獄の仕込みを乗り切ってしまえばプレイ自体は柔軟で、
フェーダーとクリップ機能を駆使すればかなり攻めたパフォーマンスが誰にでも出来ます。

○「パターン」ではなく「クリップ」

新しいMCシリーズで最も重要な特徴はこのクリップ。
一般的なグルボではシーケンスを打ち込んだ複数のトラックをまとめて「パターン」という単位で管理します。
ここでの致命的な弱点は再生中のパターンと次のパターンの曲調が違うものだと、
パターンチェンジの際に上がったテンションもリセットされてしまうんですよ。
グルボを使い慣れている人は様々な工夫を凝らしてこの問題に取り組んでいますが、
やはり基本的には全体の構成を練って順番通りにパターン登録するのが基本です。
これすっごく面倒臭い作業なんですよねぇ。

しかしMC-101では「クリップ」という概念でそのパターンをトラック別に変える事が出来ます。
DAWソフトAbeltonLIVEを使っている方なら理解し易いでしょうが、
ドラムはクリップ1のままベースをクリップ1から2へ変更、上モノを3から4へ、
なんて風に仕込む時もプレイの際も非常に柔軟な構成変更ができるようになります。
更には1クリップで最長128ステップまで伸ばせるので、8小節の長尺フレーズもイケるんですよ。

ちなみにハードウェアでクリップ方式を採用しているものは非常に少ないのです。
このMCシリーズとnovationCIRCUITと、他に何があるだろう?

○3つのトラックタイプと4つのパッドモード

MC-101のトラック数は4つ、まずは各トラックの用途に合わせたタイプを決めます。

・ドラム
他のドラムマシンなどとは概念が違っていて、
この1トラックの中に最大16までのドラムキットやワンショットサンプルを取り込めます。
4トラック全てドラムトラックにすると他のドラムマシンに例えるなら64トラックにもなる訳です。

・トーン
ベースやリードなどの音階モノを扱うトラックです。
膨大なプリセット数があるので全て把握するには根気がいりますが、
カテゴリ分けがされているので割とスンナリ欲しい音にアクセスできます。

・ルーパー
本体からの再生中の音をその場でサンプリングするのがルーパーですが、
それだけでなくタイムストレッチが可能でループサンプルを自由に操れます。
クリップ機能と同じくハードウェアでタイムストレッチ〜ループを再生中のBPMに合わせる事が出来るのは、
ELEKTRONのOCTATRACKかTORAIZ SP-16くらいではないでしょうか。

・CLIP
パッドでクリップを選択するモード。
トラックを選択した後に任意のクリップを選びます。
一般的なパターン式のシーケンサーよりも遥かにフレキシブルな展開が可能で、
打ち込み時の負担も非常に軽くなります。

・SEQ
ステップシーケンサー。
トリガーを置く場所を決める、任意のトリガーの長さ、音階などを決めたり出来ます。
ELEKTRON式のようにトリガーを置いてからツマミで音階をつける事も出来ますが、
ツマミの感度が敏感過ぎて狙った値にもっていくのが難しいです。
これこそエンコーダーで行うべきだとは思いますが。

・NOTE
音階の選択。ドラムトラックではパートの選択を行います。
MC-101の基本的な打ち込み方は、NOTEモードとSEQモードを
交互に移動しながらトリガーと音階を決めていく方法となります。
打ち込む事自体はともかく、修正や消去が面倒で混乱します。
ここはアップデートで何とかしてほしいものです。

・SCATTER
AIRAシリーズ十八番の飛び道具エフェクト群ね。

○音源/音質

VA/PCM音源とWAVEファイル(ワンショット/ループ共にOK)を扱えます。
VAと言ってもパラメーターが少ないので実質PCMだと思って下さい。
この機種でシンセサイズは実質不可能です。
それでシンセサイザーって名乗るな!とキレたくなります。

とはいえPCM音源を扱うグルーブボックス自体がほとんど無く、
他にはKORGのelectribeシリーズくらいです。
ただelectribeもVA音源重視なのでPCMはオマケ程度。
こちらMCはPCMに重点を置いているので、それだけで個性が際立ちます。

RolandのPCM音源と言えばXV5050やSonicCellを持っていた事がありますが、
MC-101も基本的な部分ではこれら過去の音源モジュールと変わりないように聴こえます。
違う点はエフェクト群とマスターコンプによる現代風な味付け、といった所でしょうか。

PCM全盛時代からDTMをやってきた諸先輩方とはおそらく違う感想になりますが、
90年代クラブミュージック黄金期で耳を育ててきた僕らの感覚からすると、
MC-101の音は「懐かしい音が簡単に再現できる」事に利点があります。
あの頃のハウスやハイエナジーなんかは得意でしょうねぇ。

サンプルの方はと言いますと可もなく不可も無く素直な音質です。
凄く使いやすい音質。
OCTATRACKのようなデジタルLo-Fi傾向もなく、
Digitaktのようなキラキラなパンチもなく、
この後のエフェクトで加工していく事を踏まえると扱いやすい素材として最適な音質ですね。

○得意な音楽ジャンル

テクノ〜アンビエントばっかりの電子楽器とは得意とするジャンルも違ってきます。
現在進行系のテクノをやりたいならMCはお勧めできないかも。
ELEKTRON買った方がラクです。

・90年代のハウス
ピアノやオルガンの音を軽く汚すだけで「あの頃の音」が簡単に再現出来ます。
ハウスDJ出身としては「ハウスの出来るグルボ」ってほとんど無いんですよ。

・ボーカロイド/ダンスポップ
PCM音源だとポップスよりの音が得意ですし、
128ステップ(8小節)の長尺サンプルを複数取り込める利点を活かすならボカロ界隈もピッタリかと。

・頑張れば歌モノも生演奏取り込む事もできるよね
ひとつのトラックに8小節のサンプルを16個仕込む事が出来るって事は、
あらかじめ録音したボーカルや生楽器もサンプル化してしまい、
ミニマルではない通常の楽曲構成だって不可能じゃないはずです。
知らんけどな。

○MC-101活用方法

非常に癖の強い機種なので、メーカー推奨よりももっと割り切った
使い方をしてしまった方が活躍できそうな気がします。

・小型PCM音源として
ライブで使うのではなく制作用途でもPCM音源モジュールとして使いやすいと思います。
オーディオI/F内蔵だからそのまんまDAWに取り込む事も可能。

・4つともドラムトラックにして64トラックのポン出し機
音楽用途ではなく演劇用途の効果音出しにSP-404が人気な事は知られていますが、
効果音を出す為だけの機材としてもMC-101はかなり優秀です。SPより小さいし。
例えばYoutuber/Vtuberのような動画配信用途にも活躍してくれそうですね。

・4つともLOOPERトラックにして「ミニ・オクタ」
ループサンプルプレイヤーと割り切ってしまっても大活躍する筈です。
OCTATRACKの4トラック版、しかもフェーダー付きだからDJライクに扱えます。
マシンライブでは希少価値のある声ネタや、ワンショットでは再現しづらいパーカッションループなど、
それだけで個性の際立つプレイが可能になります。

・音源は無視して単体シーケンサーとして使う
打ち込み方法はやや癖があるけど、このサイズでクリップ機能は強力です。
ここだけを活かしてRoland boutiqueシリーズを複数台繋いだり、
BloferdやvirusのようなマルチティンバーVAシンセを繋いだりしても良いでしょう。
これはPioneer SQUIDやSquarp Pylamidあたりと競合する使い方ですね。
トラック数は4と少ないけどMCの方が軽くて安い!

○実際のところ初心者には薦めらんないw

「普通にマシンライブを始めたい、天下のRoland様だから安心だろう」と思って
最初のメインマシンに選んでしまうと大火傷します。ダメ!ゼッタイ!www

素直にelectribe2を買いましょう。
こっちの方がずっとダンサブルな音が作りやすいです。
ちゃんとシンセサイズできます。
しかも中古市場で2万円切ってますし。
どうしても天下のRoland様を選びたいならTR-8S買いましょう。
アイツはなろう系主人公かよってくらいにはチートマシンです。

ただし「いわゆるマシンライブ的なテクノではなくて、もっとポップな音をやりたい」
といったヒネクレ者の集まるマシンライブ界隈で更に拗らせた360度ヒネクレ残念野郎は止めません。

○まとめ

端的にいうとコイツは入門機の皮を被った変態機です。
欠点と利点のバランスが悪くハッキリ言ってプロダクトとしては二流品ですが、
あまりに癖が強くて持っているだけで個性に直結する、そんな機材です。
仮にnovationCIRCUITのようなフルエディットできるソフトウェアエディターがあれば
完全無欠の変態マシンとして成り上がる事ができますがねぇ。

正直なところ「合わなかったらすぐに売っちゃおう」って腹づもりで買いましたが、
合う合わないの見極めですら難しくて答え出せませんw

でも仮にすぐ手放しちゃったとしても「買わなきゃよかった」とは思いませんね。
触る機会に恵まれたからヨシとしよう、と割り切れる変な魅力があるのは間違いないです。

ELEKTRON model:cyclesレビュー

ELEKTRONで最も若い世代の機種であるmodelシリーズ。
sampleは「なんだ廉価版じゃねぇか」という評価が多いのか
実物を目にする機会が少なかったのですが、
今回新しく発売されたFMシンセ搭載モデルcyclesを購入しました。
MD以降のELEKTRONマシンは一通り触ってきているので、
そのあたりや他社製グルーブボックスとの比較を交えてレビューしていきます。
買いたてホヤホヤなので突っ込んだ解説は出来ませんが、
(FMシンセ苦手意識あるんでねw)
購入の検討材料にしてくれれば、と思います。

○経緯なんかをツラツラと

最近の記事の流れであるモジュラーシンセとの組み合わせを実践しようと、
候補をanalogFOURに絞って試していましたが、
CV/GATEトラックを始めスペック的には申し分ないけど如何せん
操作が複雑なのがネックになるだろうな、と考えていました。

その後たまたま見つけた激安のelectribe2を衝動買い。
今回のプランではe2の方がサイズ感も良く
「分かりやすい音」「シンセサイズがシンプル」ではあったんだけど、
コッチはシーケンスが苦手w
特にステップシーケンスが面倒臭過ぎなんですよねぇ。

そんな矢先に発表されたmodel:cycles。
ELEKTRONシーケンスとe2並のシンプルなシンセサイズ、
「自分がA4とe2に求めてたものがここにある!」のと、
モジュラーでは作りづらいFMシンセという事で発売即購入しました!

○初めてグルボを選ぶ人にも

ELEKTRONのmodelシリーズは初めてのグルボにもオススメの機種です。
sampleとcyclesとどう違うの?と言いますと、
sampleはサンプルプレイヤー、cyclesはシンセサイザーとなります。
サンプルとは既に完成されている音声ファイルを、
シンセサイザーは電気信号を調節して音を作っていくタイプの電子楽器で、
sampleは世の中に流通しているどんな音でも取り込む事が出来ます。
それこそ生ドラムの音でも声ネタでも使えますが、音質の変化の幅はあまり広くありません。
cyclesはシンセサイザーなので作れる音に限りはありますが、音質の変化は非常に柔軟です。

○従来機種で挫折しちゃった人にも

ELEKTRONと言えばあまりにも多機能高スペックな故に複雑過ぎるファイル構造が定説。
マシンを使いこなす事が手段ではなく目的になってしまう事もしばしば見受けられます。
その為ちょっとでもモチベーションが下がると電源を入れる事すら億劫になってしまい、
押入れの肥やしとなってしまっている人も少なくありません。
しかしこのcyclesとsampleのmodelシリーズは只の廉価版では終わらずに、
従来機種はもちろん他メーカーのグルボよりも遥かに直感的かつスピーディなトラック制作が可能。
まぁとにかく簡単なんですよ。

○ただの廉価版じゃないのよ「ライブ特化モデル」だとも言えるよ

DAW全盛時代のグルボの設計開発において最も重要なのは機能の取捨選択。
端的に言えば「DAWから何を削るか」にかかっています。
modelシリーズと従来製品を比べると、
特にシンセサイズ関連の機能を統廃合しているように見受けられます。
そっちにこだわりたければ上位機種があるしね。
ツマミ1つに1つの機能しか振らない、シーケンサー周りは全く妥協が無い、
ディスプレイには最低限の情報しか表示させない、
そういったところから、やはりこれはスタジオの外でガンガン使い倒せライブやれ!
という開発者のメッセージを汲み取る事ができますね。

○製品コンセプト

先にリリースされているmodel:sampleが発表された時にはビックリしましたねぇ。
高級グルボ路線で貫いてきたELEKTRONがまさかの廉価版路線。
とはいえ(当初は)6万円前後という事でコスパも良くはなく、
イマイチ反応が悪かった記憶があります。
(でも今回のm:c発売に合わせて大幅に値下げされましたよ)

クルマで例えるならBMWの7や5シリーズがanalog、3シリーズがDigitakt/tone、
今回のmodelシリーズは1シリーズと同じような位置づけに思えます。
あるいは「ホットハッチ」と呼ばれる路線でしょうね。

○デザイン

第一印象は「ちっさ!かるっ!え?え?なにこれ?」
Digitakt/Digitoneに比べてフットプリントは大きいけど、
でも操作感を損なわない絶妙なコンパクトさ。そしてe2並の薄さ。
初めてMacBookAirを手にした時の驚きに近いものがありました。

それまでのELEKTRON製品とはうって変わってポップなデザイン。
model:sampleより若干灰色がかかった色の筐体は決して安っぽいものじゃないです。
点灯するボタン類も赤一色なので他メーカーの同価格帯の機種よりもずっと落ち着いてます。

デザインと言えば同梱されているステッカーをペタペタ貼って遊べるようになってます。
好む人とそうでない人とが居るんでしょうが自分は好きですよステッカーチューン。

○サイズ感

いやもうホント絶妙です。



下にA4の紙を敷いてみたので大きさが想像できると思います。あと超薄い。



100均で買えるA4のクッションバッグにもスッポリ。

○操作感



今までの樹脂製のキーではなくゴム製となり感触もかなり好みの分かれる所でしょう。
トリガーキーはゴム製ながらもクリック感がしっかりあるタイプ。
トラック選択などに使うパッドの方はちょっと硬めかなぁ。
MPCのようなパッドを期待するとガッカリしちゃいます。

ツマミはポットではなくロータリーエンコーダー。
トラックを変えた時のパラメータの変化にも対応してくれます。
ここは手抜きをせずにいてくれて助かります。



ただこのツマミ、滑りにくい素材ではあるものの、
ちょっと小さいのと硬い事もあって必要以上に力んでしまいます。
もう少し大きなツマミに変えた方が良くなりそうです。

○インスタントFMシンセ?

Digitoneと違ってFMシンセサイズの基礎知識なんぞ必要ありません。
小難しい所は全部セットアップ済み。
逆にFMのシンセサイズを学びたい人には役にたちません。
ここをメリットと取るか物足りないと受け取るかで、
Digitoneかmodel:cyclesのどちらを選ぶかの境目でしょう。

音質はもちろんバッチリ。デモ動画の音は大袈裟じゃありません。
クラブでキックを鳴らすとビビって涙出ます。スピーカー割らないように注意しましょうね。
従来のFMシンセにありがちな「ツマミをちょっと回すだけで音が破綻する」ような事故もなく、
安心してグリグリやれます。

※マシンとは?

ELEKTRONのシンセサイズでは機種によって「マシン」という概念があり、
作りたい音に合わせたシンセエンジンのような物と解釈して大丈夫です。

model:cyclesでは6種類のマシンがあり、キック向けだったりスネア向けだったりコード向けなど、
作りたい音の素となります。ホットケーキミックスみたいなもんですね。

勿論これとは別に一般的なシンセの「プリセット」も用意されているので大丈夫。
慣れるまではこのプリセットをベースに各パラメータの効き具合を覚えていくと良いでしょう。

ちなみにこのマシン、6トラックそれぞれに自由に割り当てが可能です。
全部キックでも全部コードでも大丈夫。
トラックごとにやや制限があるRYTMよりもずっと柔軟です。

○従来のELEKTRONマシンとの違い

・嬉しいファイル階層の浅さ

従来ラインと大きく違う点はほとんどのツマミの機能を1つに絞ったところ。
ページ階層もかなり浅くなっているので、
慣れてしまえばディスプレイに頼らなくても手が操作を覚えてくれる事でしょう。

・静粛性に優れたキー操作

従来のバネがしっかりしたプラ製とは違い安価なゴム製のキーではありますが、
打鍵音がしないというのは周りに人が居る静かな環境でも気兼ねなく使えるって事ですよね。
家族が寝静まった夜中でも、バッテリーを使ってカフェや電車の中でも遊んでいられます。

・ファイル操作は少々やりづらい

従来のELEKTRONマシンに必ず備わっていた矢印キーが無い。YES/NOキーもありません。
矢印の代わりに水色のエンコーダー、YESの代わりにそのエンコーダーをプッシュ、
NOの代わりはバックボタンがありますが、やっぱり複雑なファイル操作がチョット苦手です。
特に名前の入力はイラつきますw

・フィルターがない!

ELEKTRONと言えば強力なフィルターでしょ!なんで無いのぉ!?
と騒ぎたくなりますが、ここは本当に潔すぎる割り切り方ですね。
そもそもELEKTRONマシンのフィルターはEQ的な意味合いが強く、
トラック間で音が被る帯域を削ったり、強調したい帯域を持ち上げたりと大活躍なんですけどね。
慣れるしかありません。

・エンベロープはディケイのみ!

ステータスをドラム作りに振っている事もあって、EGはディケイしかありませんwまじかよw
パッドのようなフワァ〜っとした音はLFOの波形選択でENVを選んで作ります。
そうするとLFOもう一個欲しい(泣)と悶える事になりますが諦めましょう。
どうしても揺らしたい場合はモーションシーケンス機能を使って手でグリグリ揺らすしかないっすね!

・音階入力は出来るけど必要最低限

「トーン」マシンや「コード」マシンがあるので当然普通のメロディもイケますよ。
音階入力は16のトリガーキーを鍵盤に見立ててリアルに弾いていく方法か、
パラメーターロック(トリガーを押しながらツマミを回す)の2種類があります。
上位機種にあるようなスケールクオンタイズ機能などは(今のところ)ありません。
しっかりとしたフレーズ作りにこだわりたい人は鍵盤を用意しましょう。

もちろんキックやスネアなどのドラム用マシンでも音階を作る事ができます。
キックマシンで作るベースはゴリっとして格好いいですよ。
(後述する動画の一番下の奴がキックマシンで作ったベースです)

○プリセット管理はPCを使うとラク

ELEKTRONのファイル管理ソフト「Transfer」を使ってプリセットの管理が可能です。
本体では面倒臭い名前の入力もPCでなら楽なので、
ガッツリと音作りをしたい時はPCに繋ぎっぱなしにしておいて、
音が出来たら名前を入力せずに一旦登録して、ソフト上から当該ファイルを右クリック、
Renameを選んで名前入力、という方法が一番ラクですね。

ちなみに上位機種でお馴染みOverBridgeはありません。本体だけで頑張りましょう。

○電源とモバイルバッテリー



付属の純正アダプタは5Vセンタープラス、端子が特殊で現時点では規格を確認できていません。
しかし近日発売予定のバッテリーの為にもう1つのDCジャックが用意されていて、
ここは一般的な5.5mm/2.1mmセンタープラスとなっています。許容電圧は4V〜10V。

ここを利用すれば5Vのモバイルバッテリーで駆動する事も出来ます。
USB-A端子から電源を取れるケーブルは秋葉原の千石電商などで購入できます。



※ご注意
ペダルエフェクターで一般的な9Vアダプタはプラスマイナスの極性が逆なので使えませんよ!

○シーケンサー

他のメーカーのグルボに対するELEKTRONマシンのアドバンテージはやはりシーケンサー。
廉価版とはいえ最新だけあって上位機種よりも優れた機能もありますよ。

・パラメーターロック

ELEKTRONの基本機能でトリガーを押しながら各ツマミを回すと、
そのステップのパラメーターが変わる機能です。
これにより音階や音長、ベロシティといった基本パラメーターはもちろん、
ほぼ全てのシンセサイズをステップごとに変更が出来ます。

・モーションシーケンス

KORGでお馴染みの「ツマミの動きを記録するモード」も可能です。
ELECTRIBEユーザーを始めこちらの方が好みな方も多いですよね。

・トリガーコンディション

ステップごとにトリガーの確率や「○回の○回目だけ鳴らす」とか「FILLキーを押した時だけ鳴らす」とか、
色々な条件に応じてトリガーを鳴らす事が可能です。
このお陰で4小節64ステップ以上に聴かせるシーケンスが可能です。

・マイクロタイミング

スウィング機能を更に細かくしたもので、
トリガーの位置を細かく遅らせたり前のめりにさせたり出来ます。
TR-808に代表されるクラシックドラムマシンの挙動を真似させたり、
似たような音のトリガーを互いにずらして聞こえやすくする事も出来ます。

・トラックチャンス



modelシリーズに初めて実装された、
モジュラーシンセでお馴染みランダムトリガー機能です。
前述したトリガーコンディションでも確率設定ができますが、
独立したツマミの為に更に使いやすくなっています。

例えばハイハットやリムショットなどの細かいドラムを16個全てトリガーさせた上で、
このツマミの調節で様々な表情を見せる事ができます。

○こんな人におすすめ

・初めてのグルボに、セカンドマシンに
・場所を選ばずに色んな場所で遊びたい人
・FMシンセの音は欲しいけど難しい理屈が苦手だった人
・デジタル特有の変わった音のドラムを欲しい人

○ちょっと撮ってみたよ











○まとめ


個人的には久々の大ヒット機材。
毎日持ち歩いて仕事の休み時間やチョット長い通勤時間のお供に愛用しています。
パラメーターの理屈は未だにわかってませんがw
マシンに促されるままに手が勝手に動いて音を作ってくれる、なんて不思議な体験をしています。
ELEKTRONの中では最もライブに向いていて、悩まずにトラックが作れるマシンです。

ノーマークだった人も是非とも一度は触ってみて下さい。

DFAM強化計画(ユーロラック編)

Twitterのハードシンセクラスタの間では特定の機種が妙に流行って盛り上がる事が
チョクチョクありまして、そんな中で近頃DFAMにもスポットライトが当たり
タイムラインでも奇っ怪なドラムが流れてくるようになってきました。
他のグルボや一般的なシンセが注目されるよりもずっと嬉しく思うのは、
コイツが使った人の音楽性すら変えてしまう魔力を持っているからです。

アタシ個人の体験をお話しますとDFAM以前と以降では、
・ベロシティが容易に変わるシーケンサーで四つ打ち一辺倒だった趣味が変わった。
・自分の中で「ドラム」と「ベースなどの音階モノ」の区別がより曖昧になった。
・普段聴く音楽さえもハウス/テクノからロックや和太鼓など生ドラムを好むようになった。
・従来のドラムマシンでは当たり前の「パターンを仕込む」概念から解放された。
・ドローンシンセと同じく「頭を使わない演奏」の気持ち良さに気付いた。
こんな変化がありました。



現在はこのDFAMのコンセプトを拡大解釈したモジュラーシンセを組んでいる途中なんですが、
そっちのモジュールが揃う前にチョットDFAMを暫定的に入れてみようと思いついて、
コンパクトに済ませた自作の箱から取り出して少し大きな84×2段のフレームに入れてます。
それで遊んでいるうちに「スーパーDFAM」みたいな夢想が止まらなくなってきたので書き留めてみます。



 

○クロック同期

DFAMを買った人が初めにぶつかる壁が既存のMIDI機材とどう同期させるか。って所。
アナログクロックを吐く機材をお持ちでない場合、手っ取り早いのがvolcaを噛ませる方法。
下手な専用の機械よりも信頼性の高いMIDI to Clockになります。
またDAWと同期させたい方ならSQ-1。USB MIDIからクロックに変換してくれます。

しかし更に面白いマシンに変身させるにはやはりユーロラック化。
もう一歩(泥沼に)踏み込めるモジュールを幾つか改めて紹介します。

・erica synths MIDI to Clock

MIDI信号からクロックに変換するだけの単純な機能だけでなく、
簡単なクロックモジュレーションも出来ます。
またPPQ(1小節あたりの信号の数)の切り替えも出来るんで地味に有能。

・Doepfer A-190-8
ハードウェアだけでなくDAWとの同期もしたい方ならこちら。
クロックディバイダーにもなります。

・HEXINVERTER MUTANT BRAIN
今でも利用してます。
4CV/12GATEの出力が出来る偉い奴。
MIDIノートだけでなくMIDI CCも使えるのでMIDIコン繋げてもOK。
12個あるゲート出力はクロックディバイダーとしても設定できるます。


http://mutantbrainsurgery.hexinverter.net/
こちらがその設定用WEBアプリ。
ここで設定したものをSysexファイルとしてDLして、
MIDIインターフェイス経由でモジュールに流し込みます。

・Noise Engineering Univer Inter

こちらはまだ未発売もモジュールではありますが、
USB MIDIもDIN MIDIのIN/OUTも備えた最高のモジュールに思えます。
MUTANT BRAINと同じWEBアプリ経由で設定をするタイプだと思いますが、
おそらくは8つのアウトプットをCVでもGATEでも自由に設定できそうな雰囲気。

○クロックモジュレーション

・erica synths PICO Switch

これは只のスイッチングモジュールでしかありませんが、
上記のMUTANT BRAINやPamela’s WorkOutなど
複数のクロックを吐けるモジュールと組み合わせる事によって、
「スイッチ一発で分解能を変えてくれる必殺武器」に変貌します。
例えば基本のBPMを120とするとして、真ん中の穴にそのクロックを入力します。
そんで下の穴には2倍とか4倍のクロックを、上の穴には1/2や8/1のクロックを入れておいてやると、
スイッチの切り替えでDFAMのシーケンスが速くなったり遅くなったりする訳ですよ。
ドラムロールもブレイクも自在ですよ!


ちなみにこのスイッチ系モジュールって色んな用途に使えまして、
クロックの切り替えだけでなくモジュレーション信号のオン/オフや、
純粋なミュートスイッチにも使えるし凄く重宝します。

※ごめん!嘘ついてた!

追記と訂正。
Mutantbrainはクロック分割は出来ても倍増は出来ないっぽいです。
この絵が間違ってるけど直すの面倒だからこのまんまにしときます!

・4ms QCD

単一のクロックしか無い場合は、ちゃんとしたクロックモジュレーターを用意した方が良いです。
色んなメーカーから様々なモジュールがリリースされていますが、
直感で操作できる事からイチ推しはやはりこのQCDに限ります!
だってこれ、分かりやすいでしょう。ツマミを左にひねると遅くなって右だと速くなります。
4系統もあるから持て余しちゃうけど、同じコンセプトの単一モデルってありそうで無いんですよぉ。

○スケールクオンタイズ

DFAMのシーケンサー上段のツマミはピッチに準じたCVを吐いてくれますが、
残念ながらSQ-1のように音階に沿った電圧を吐いてくれるわけではありません。
「スケールに縛られないリニアな音階変化」と言ってしまえばそれで終わりですけどw、
音楽らしい(?)フレーズを出してみたい方もいると思います。

そこで登場するのがスケールクオンタイザーですが、
実はこのモジュールのほとんどが「0~10Vのプラスの電圧」にしか対応しないようなんです。
DFAMのピッチツマミは-5Vから+5V。ツマミの右半分からしかクオンタイズされないんですよ。

そこで「マイナスの電圧にも対応できるクオンタイザー」となると、
インテリジェルのコイツが代表的なようです。

・Intellijel Scales
https://www.modulargrid.net/e/intellijel-scales



 

○LFO/シンセモジュレーション

Mother32にあってDFAMに無いのがLFO。やっぱり欲しいっすよね!
ところでLFOはBPMに連動するタイプとしないタイプとがありますが、
特に明記されない場合は連動しないタイプが多いんです。

erica synthsからリリースされているpicoシリーズの中でもLFOはありますが、
それよりオススメなのがpico RND(ランダム)
ランダムって言うからにはゲートかCVを適当に吐くだけなんじゃない?
と勝手な思い込みをしていてノーマークだったんだけど、
実はコイツこそがクロック連動型LFOでもあったんですよ。



CLK INにクロックを挿すと、
ツマミ12時でクロックと同じ周期で左にひねると分割、右だと周期が倍増します。
(4msQCDと同じ要領ですね)
後は5つの信号を好きなポイントに入れてやりましょう。
サイン波をフィルターCUT OFFに入れてツマミを上手く回すと
ワブルベースみたいなあの「ワワワワァ〜ォ!」も出来ます。

○二次シーケンス

モジュラーシンセに慣れた人でないとピンとこない話ですが、
シーケンサーとは演奏の為だけの物ではないんですよ。
モジュラー/セミモジュラーはCVさえ入れば「なんでもシーケンス」できるんです。
フィルターだろうとディケイだろうと何でもアリです。

そういう用途にオススメなのが、

Malekko VARIGATE4+
https://www.modulargrid.net/e/malekko-heavy-industry-varigate-4

上位版の8+を所有してましたが、スペースと操作感で4+に買い替えます。
このモジュールの利点はスイッチの切り替えによって、
「4Gate/2CV+2Gate/4CV」とトラックを選択出来る事です。
わずか12HPのサイズで4系統の出力を持つ物は他にありません。
DFAMのシンセサイズ用途にするなら4CVにして
4トラックを好きな穴に挿すと面白くなりますよ。



もちろんVARIGATEで音を出すようにして、
本体のツマミを別のシーケンスに割り当てる事も可能です。

○エフェクト

個人的にはリバーブをかけるのが大好きですが、
アタックの強い音なのでディレイも似合いますし、
歪み系でガリっとした音にしたい方も多いでしょう。

そんで丁度よいのがpico DSP

https://www.modulargrid.net/e/erica-synths-pico-dsp
わずか3HPのマルチエフェクターです。
とりあえず1つ持っておいて損が無い人気モジュールです。

・MutableInstruments Clouds

これもエフェクトという扱いで良いんでしょうかね、大定番モジュールです。
Mutableのモジュールを仕様をオープンソースにしている為に、
安価なコピー品や小型に改良したもの、独自の機能を付け加えた物など様々なものが流通しています。

そこで自分は一部のパラメーターがツマミではなくスライダーになっている、
MICHIGAN SYNTHWORKSMONSOONにしました。
https://michigansynthworks.com/



購入予定ではあるけどどんなポテンシャルを持っているかはまだわからないんですがね。

○まとめ

こんな風にDFAMをユーロラックシステムのコアとして捉える事で、
理解もしやすくモジュラーシンセの取っ掛かりとしても最適だし、
将来的にDFAMの代わりにシンセモジュールを入れ替えても良いし、
比較的安全wなモジュラー沼ダイビングだと思いますよ〜。

モジュラーシンセ x グルーブボックス

ここ最近は導入のハードルが幾らか下がってきたユーロラック・システムのプランを提唱していますが、
今回はグルーブボックスなど既存の機材との組み合わせで活用する方法を考えていきたいと思います。

ある程度の下調べが出来てくると、どうしても「アレも欲しいコレも欲しい」と
思いつく限りの機能をモジュラーの箱ひとつに収めたくなる衝動に駆られます。
現場でのセッティングの容易さがモジュラーの大きなメリットの1つですから仕方ないんですけどね。
ただ実際に揃えようとなると金銭的時間的、何より経験値的に膨大な労力が必要です。

そこでオススメしたいのが、セッティング云々は目をつぶってですね、
「とりあえずグルボなりペダルなりの既存機材と組み合わせながら徐々にユーロラック化していく」プラン。
一気にシステムを完成させるのではなく寄り道しながらゆっくりじっくり楽しんでいこうよ、って考え方です。
モジュラーと相性が良かったり、モジュラーよりコスパに優れた物を紹介していきます。

○同期

初めに抑えておきたいのが同期関連の機材。
一般的にはMIDIクロックで同期する機材がほとんどですが、
ユーロラックではアナログのクロック信号が普通です。
原理としてはブッブッ・・といったアナログのパルス波です。
KORGのSYNC信号もTR-808などのDIN SYNC信号も同じで一拍あたりのクロック数が違うだけなので、
モジュラー側のクロックディバイダーなどで調整してやれば同期が可能です。

・MIDI⇢クロックの変換に注意

当然MIDIからクロックに変換するモジュールも沢山リリースされていますが、
信頼度は少々不安になる物も少なくありません。
実際に自分が体験した不具合を挙げますと「スタートで一拍遅れてしまう」「認識しない」
「再生中止まってしまう」といったライブ本番でなら致命的な事故があります。
機材間の相性問題なども絡んでくるので詳しい要因は分かりませんが、
安物のMIDI to Clockモジュールにこういう事例が多いです。

○おすすめMIDI to Clock

・HEX INVERTER Mutant Brain


http://www.hexinverter.net/mutant-brain

今でも所有しています。多機能MIDI to CVの中では比較的安い169ドルで販売されてます。
4つのCVと12のゲート信号を好きなように設定出来るのでゲート信号をクロックとして使う事が出来ます。

・Noise Engineering Univer Inter


https://www.modulargrid.net/e/noise-engineering-univer-inter
これはまだ未発売のモデルですが、MutantBrainよりも更に設定の幅を拡げたモデルに思えます。
こちらもWEBアプリを使って自由に信号を設定出来るようです。
MIDIジャックがTRSなのが好みの分かれる所でしょうが、
IN/OUT両方ある上にUSB MIDIまでついています。DAWとの連携もスムーズでしょうね。

・KORG volcaシリーズ

下手なモジュールよりもずっと安全で信頼できるのがvolcaシリーズをMIDI to Clockとして使う方法。
電池駆動だから余計なACアダプタも要らないし中古で安く入手出来るのもメリットです。

○クロック信号を出力できるグルーブボックス

・ELEKTRON analogシリーズ


RYTMはドラムシンセをパルスクロックとして使う事が可能で、
A4に至ってはCVトラックが二つあるので自由に設定できます。

・KORG electribe2シリーズ



先代EMXの陰に隠れて地味な存在のe2ですが、
いよいよ店頭中古相場が2万円を切った(!)ので超お買い得機材となりつつあります。
グルボの中では比較的コンパクトな上に元々SYNC OUT(クロック)が出力できます。

○DIN SYNCを出力できるグルボ



TR-808などでお馴染みのチト古い規格「DIN SYNC」はMIDIとは違いアナログ信号なんですよ。
KORGのSYNCより遥かに速い(細かい)テンポで信号を送りますが、
クロックディバイダーで分割してやれば同期が可能です。
何故わざわざこれを薦めるかと言うと、MIDIから変換するより安全だから、なんです。
理屈は分かりませんが同じアナログ信号だからなのかなぁ?



この図で言う3番がクロック信号なので、MIDIケーブルを加工して取り出してやります。
工夫次第では1と4のスタート関連の信号も利用する事が出来ますよ。
自分は作ってしまいましたが、どこかに変換ケーブルが販売されているようです。



・ELEKTRON analogシリーズ/Digiシリーズ
これらはMIDI OUTとTHRUが備わっていますが、設定でDIN SYNCに変更できます。
例えばMIDI OUTはそのまま、THRUをDIN SYNC化すると、
ELEKTRON一台からMIDI機器とモジュラーと両方同時に制御出来たりしますよ。

○MIDI OUTの出来るモジュール

今までとは逆にモジュラー側をマスターとするアイデアもあります。
これは聞いた話でしかないんだけど、
どうやらモジュラーの「マスタークロック」モジュールはスレーブになると精度が落ちる、
なんて話をチラホラ聞くのでいっその事モジュラーをマスターにしちゃった方が安全かもしれないです。

・Pamela’s NEW Workout



モジュラーのマスタークロックとして定番のパメラ。自分も利用しています。
オプションとしてMIDIアウト出来るエキスパンダーが販売されています。

・WinterModuler ELOQUENCER



http://winter-modular.com/products/
高機能シーケンサーのエロケンサーもMIDIの入出力用エキスパンダーが用意されています。

他にも多機能を謳うモジュールにはMIDI対応の物があるようです。
探してみて下さい。

○エフェクト

ユーロラックにもエフェクトモジュールは多数出ていますが、
コスパやクオリティの面でいうと既存のギターエフェクターを流用した方が良いかもしれません。
勝手な偏見だけどモジュラーの3万円クラスとペダルの1万円クラスの音質がどっこいどっこい。
特に空間系ではノイズの問題もあるのでペダルにしたほうが安全かもしれないですよ。
まぁ超定番のMutableのClouds使ってる人からノイズの話は聞いた事ないから心配し過ぎかもしんないけどね。
自分は某メーカーの4万円弱のリバーブモジュールが音が汚すぎてブン投げた事あります。
4万円ありゃスゲェいいリバーブペダル買えるじゃんよ!

ここで出てくる問題は音量のレベルが大きく違う事。
モジュラーレベル>ラインレベル>ギターレベルの順に桁違いなので、
そのまま繋ぐと歪んで使い物になりません。
そこで「モジュラーの音声信号をギターレベルまで落とし、帰ってきた信号を再度モジュラーレベルに上げる」
そんなモジュールを幾つか紹介します。

・Strymon AA-1



https://www.modulargrid.net/e/strymon-aa-1
ペダルメーカーのストライモンからリリースされている変換モジュール。
単純に変換するだけなので値段も手頃ですね。

・Malekko Heavy Industry SND/RTN



https://www.modulargrid.net/e/malekko-heavy-industry-snd-rtn
こちらはセンドとリターンの量をツマミで調整できます。

○ミキシング

最終的なアウトプットをどこに設定するかでルーティングやセッティングが変わってきます。
前述したようにモジュラーレベルとラインレベルとでは音量が大きく違うので、
ゲイン幅に余裕のあるミキサーか、モジュラー側にラインアウトモジュールを入れる必要があります。

考えられる候補は以下の3つ。

1,モジュラーからの出力を外部入力のあるグルボに入れる

メリット:ルーティングがシンプルで安く上がる。音が馴染む
デメリット:グルボの音質面でのクオリティに左右される

またグルボ側でのゲイン調整の幅に限界がある時はラインアウトモジュールが必要になります。
自分の体験でしかないけれど、A4とDigitoneは気にならないクオリティで入力が可能な上に
エフェクトもかけられるので便利です。
OCTATRACKはノイズゲートと広いゲイン幅があるので有利ですね。
RYTMのMk1とMONOMACHINEはモジュラーの音突っ込むにはオススメしない。

2,グルボ等の出力をモジュラーでまとめる

メリット:ルーティングがシンプル。外部の音をモジュラー側で加工もできる。
デメリット:別途インプット用モジュールが必要。ノイズの影響を受ける場合がある。

Intellijel Audio Interface II



https://www.modulargrid.net/e/intellijel-audio-interface-ii

これは使ったことあります。
個人的にはIntellijel製品はモジュラーメーカーの中でもクオリティが高いので、
音質に関わる地味な用途のモジュールにはココを優先して選ぶようにしています。

3,スタンドアロンのPAミキサーでまとめる

メリット:ゲイン調整幅が広いのでモジュラーレベルもそのまま入力可。音質の調整が用意。
デメリット:デカくて重い。ルーティングが煩雑。

YAMAHA MG06X



https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/192124/

コンパクトでクオリティも高く値段も手頃なMG06X愛用しています。
何かと融通の効く12Vセンタープラス電源だし、これぐらいなら持ち歩いても苦にならないしね。

Mackie 802VLZ3



センド/リターンが欲しければ一番マシwなサイズの802。
モジュラーユーザーの中では現行のVLZ4を使っている人をよく見ます。
自分は音質の好みの違いで筐体だけ4で中身は先代のVLZ3を使ってます。

余談ですが、
エフェクトセンド/リターンが備わっているミキサーモジュールはべらぼうに高いので躊躇しますね。
いきなり5万円クラスになっちゃうもん。
しかしキット販売なら比較的手頃なミキサー見つけました。

ST MODULER SUM



https://www.modulargrid.net/e/st-modular-sum

部品購入して現在到着待ちなんですけど、
だいたい1万5千円くらいで揃います。
オペアンプはイイ奴いれてみようかな。

○実際のプレイ

モジュラーとグルボの組み合わせによって、
コストの違いだけでなく実際のプレイにも個性が出てくると思います。

即興性偶発性がメリットのモジュラーシンセと、
ガッチリ仕込んだ上で多彩な音作りを練られるグルーブボックス。
ここでも「仕込みか即興か」の違いが大きく出てくるので如何様にもプランを組む事が出来ます。

例えば
「リズム隊とノート隊、どちらかをグルボに任せて一方をモジュラーで行う」
「シーケンスは使い慣れたグルボにして音源としてモジュラーを使う」
「綺麗なメロディラインをグルボで作って、ノイズやドローンをモジュラーで」
などなど、ご自身の得意分野と互いの長所をじっくり考えた上で考えましょう。



単純に考えれば「コダワリの強い所をモジュラーで、そうでない部分はグルボに任せる」でも良いと思います。

○まとめ

モジュラーと既存の機器を組み合わせる際に覚えておきたいルールを紹介しましたが、
「本当は全部モジュラーで揃えたいけど資金に余裕がない」なんて消極的な理由でなくとも、
モジュラーとグルボなどの既存機器と組み合わせるメリットは沢山あると思います。
稀にモジュラーとグルボの対立を煽るような排他的な考えを他者に押し付ける連中もいるにはいますが、
僕らはもっと自由に楽しんでいくべきです。しょせん道具でしかないんですから。

いち選択肢としてのモジュラーシンセ

ユーロラックモジュラーが発足して以来、何度目かのブームが日本でも始まっています。
日本ではやはりTwitter上で情報交換をしながら調べていくのが一番手っ取り早いようですね。
ハードシンセの中の一分野としても、電子楽器機材としてDAW、ハードシンセに続く
第3の選択肢としても勢いを増しているのがモジュラーシンセです。

とはいえまだまだネガティブなイメージがあったり逆に過剰に盲信している狂信者の声がデカかったりと
正しく評価されづらい一面もあるのが実情ですね。面倒臭ぇ奴いっぱい居るしなw

当ブログではモジュラーもグルボもDAWも出来るだけフラットに取り扱っていきたいと思い、
その特殊さを解明しつつフタ開けてみりゃ大して特別なモンではないのよ〜、と提案していきたいと思います。

○モジュラーシンセにまつわる困った誤解

・モジュラーシンセは小難しい電子音楽の為の楽器?

モジュラーは機材のジャンルであって音楽のジャンルではありません。
あくまでもシンセサイザー中心の電子楽器でしかありません。
モジュラーやアナログシンセに手を出すと誰もが一度はハマる、
アンビエント/ドローン/ノイズ系のイメージが非常に強いのもこの誤解を増長させている要因ですね。
素人には取っ付きづらいこれらの音楽のイメージと重なっているようにも思えます。

「モジュラーシンセなら辿り着きやすい手法」は沢山ありますが、
「モジュラーシンセにしか出来ない音楽」というのは無い筈です。
自分が今組んでいるシステムはドラムマシンですし、
柔軟なクロックを自由に扱えるモジュラーはグルボと違ったアプローチでミニマルなドラムを楽しめます。
もちろんアンビエント/ドローン/ノイズ系の音楽に向いているのは言うまでもありませんが、
シンセで出来る音楽なら何を目指したっていいじゃないですか。

・モジュラーシンセは電子音楽に精通したベテランのみが扱えるもの?

自分がモジュラーシンセに興味を持ち出した最初期の頃はそういう風潮がありましたが、
今では情報交換も交流も容易になっています。そして自分自身も驚いているのが
シューゲイザーなどのロック系からもいきなりモジュラーに手を出す人が全然少なくない事。
この辺りの人達はエフェクターに深い造詣と理解があるので割とスンナリ受け入れられるようです。
はたまた音楽経験が無いにも関わらず突然モジュラーから入るツワモノも居ますよ。
下手な思い込みが無い分スンナリ受け入れられるのかもしれませんね。
このブログ最初期のモジュラー記事ではけっこう叩かれましたがそんなクソ老害は蹴り飛ばして結構です。

演奏自体は非常にアナログライクなので女性にも受け入れ易いですよ。
以前「モジュラーの方が女の人にモテるかもよ?」なんて与太を飛ばしましたが、
ルールに縛られない直感操作がキモの楽器ですからあながちデタラメではない筈です。

・モジュラーシンセは金持ちの道楽?

初期の頃はエリート意識の強いクソ野郎を生み出しやすい土壌だったのかもしれませんが、
良識あるユーザーや業界の努力によって払拭されてきています。
アタシのような貧民街育ちのチンピラ半チク野郎がモジュラーシンセをやっても良いのですよ。
周りを見てるとポンポン新しいモジュールを買う人や
どうやって運ぶのか想像つかない程に大きなシステムを組んでライブに臨んでる人もいたりと、
そりゃまぁ羨ましいとは思いますが変に妬まずに自分のペースでノンビリやっていきましょう。
稀にマウンティングの道具としてしか考えていないような輩も居るにはいますが、
噛み付くだけ時間の無駄ですよ〜。嫉妬は禁物です。

またこれはモジュラーに限った話ではありませんが、
ライブや楽曲制作といった他者に向けて発信する音楽とは別に、
ただひたすら自分の為の内に内にこもる為の音楽というものもあるんですよね。
上記のアンビエントやドローンなどはその傾向が強く、
「あくまでも自分の為、他者に聴かせるのは二の次」といった、
哲学をもってシンセサイザーを楽しんでいる方も少なくありませんし、
自分自信もそういうスタンスで臨んでいる人達に共感を持てるようにもなりました。

○モジュラーシンセあるある

・自分の音楽機材全てをモジュラーに収めたい

ある程度慣れてくるとミキサーからエフェクターから片っ端からユーロラックで揃えたくなる願望が激しくなります。
僕らの身内にも病的な大艦巨砲主義者(たぶん巨乳好き)が居るんですけど、
126HPの4段といった超大型ケースを買ってモジュールで埋め尽くした挙げ句、
「重くて持てない」という情けない理由で挫折しかかっている阿呆がいますwww
気持ちはよく分かりますが財布や体力と相談しながら無理の無い計画をしていって下さい。

・迷言「ケースの隙間は心の隙間」

モジュールを詰めていって余ったスペースにブランクパネルと呼ばれる目隠し板を使う事がありますが、
何故かブランクパネルは邪道!とピッタリとモジュールが収まるように計算したくなる衝動に駆られます。
確かにキッチリ収まるプランを考えた時は独特の気持ち良さがあるんですけど、
本来の目的を放ったらかしにしてパズルベームに興じる残念な完璧主義者もいますw

・ModulerGridをしているだけで崇高な音楽活動をしている気分になる

市場で流通しているモジュールを網羅したバーチャルラック構築サイトModulerGrid。
ほぼ全てのユーザーが機材の検討の際に必ず参考にするサイトではありますが、音は出ませんw
そこで「ぼくのかんがえたさいきょうのシステム」を構築して
脳内で音を鳴らすだけで満足してしまう事が多々あります。
いやまぁ、お金かからないからある意味幸せ者なんでしょうけどね。。

・ライブ中に意味の無いツマミを回して「なにか操作してる風」を演出する

CVシーケンスを突き詰めると自分の手で音を変化させなくても勝手に展開をつけてくれます。
するとライブ中なんかでは実は案外ヒマなのか、
かと言って何かやってるフリでもしてないといけないような義務感に駆られているのか、
無駄にツマミまわしたりケーブルを抜き差ししてる人がたまにいますw
きっとイイ人なんだろうな、とは思いますけど意外とバレているので気をつけましょう。

○そもそもモジュラーシンセとは

オシレーターやフィルターなどシンセサイザーを構成する各セクションを独立した「モジュール」として扱い、
自分で組み立てるセミオーダーのシンセサイザーを中心とした電子楽器システムです。
最もシェアのある規格がDoepferの提唱した「ユーロラック」。
現在ではモジュラー=ユーロラックという認識が一般的です。
シンセサイザーを「中心とした」と言うのには訳があって、
サンプラー、エフェクターやミキサーなどの副次的な機材、
はたまた映像を作るビデオシンセなどもリリースされているからです。
シンセサイザーに限らずにエフェクトだけのラック、シーケンサーだけのラックを作るのも可能です。
個人的にはユーロラックのDJシステムなんて出てきたら嬉しいなぁと思いますがね。

各モジュールの連携はCV/GATEといった、
ひと世代前のアナログ信号でやり取りをするので作る側も使う側も理解し易いのが特徴。
MIDIと違って単純な電気信号なので個人でも応用や工夫をする余地が沢山あります。

ワシャワシャーっとしたパッチケーブルとツマミの羅列が男の子の琴線をビンビン刺激してしまうので
電子音楽やシンセに触れた事が無くても興味津々な方も沢山いらっしゃると思います。

○他の電子楽器とはどう違うか

現在こういった音楽を志す人はDAW又はグルーブボックスから始める人が多いかと思いますが、
どちらもルーツを辿ると「打ち込み」というキーワードが出てきます。
これは元々「楽器の出来ない人でも音楽を作れるように」考えられたもので、
メロディやリズムをプログラミングできるようにしたもの、と言い換えても良いでしょう。
リアルタイムでなくても良いので何度でもやり直しが出来るのも大きなアドバンテージですよね。
そして90年代〜2000年代あたりのクラブミュージック隆盛を境に、
ハードウエアシーケンサーをベースにリアルタイムで操作も可能な「グルーブボックス」が生まれました。

これらグルボのUIは如何に直感的な操作が出来るかが開発のキモで
現在に至るまで様々な手法で開発されてきましたが大元の土台はやはり打ち込み式のシーケンサーです。
「打ち込み機材」は楽器の出来ない人でも扱う事は可能ですが、
突き詰めれば突き詰めるほど非常に綿密な作業を要求される事が多く、
性格的に合わなくて挫折してしまう人も少なくありません。

DAWでは画面を見ながらマウスとキーボードを扱う作業が「音楽的ではない」と感じてしまったり、
グルボは小さなディスプレイに隠された「階層」に直感的ではない音楽とは別の能力を要求されます。
複雑なファイル構造、複数のボタンの同時押し、深い設定などなど、
グルーブボックスの扱いに長けた人はたいてい理系的思考に非常に強い人だったりしますね。

・モジュラーシンセの操作性(vsライブ用途でのグルーブボックス)

これに対して現在のユーロラックモジュラーシンセがどういう意図で求められているかと言うと、
打ち込み作業に嫌気がさしてしまった人達が、より楽器に近い電子楽器としてモジュラーを選んでいます。
自分自身もそのクチでして「ELEKTRONの階層が無くて全部の操作子が表に出ていれば楽なんじゃね?」
なんて夢想からモジュラーシンセでのシステムを考えるようになっています。

・モジュラーシンセの創造性(vs制作用途でのソフトシンセ)

シンセを使う人であれば誰でも「自分専用のスペシャルメイドシンセ」を欲しいと思う事があると思います。
DAWを扱う人なら大抵の人が聞くNativeInstrumentsのREAKTORとCycling’74のMAX。
自分は全く扱えませんでしたが、マシンスペック次第で如何様にも構築が出来る夢のバーチャルシンセサイザーです。
これをバーチャルでないリアルなハードウエアでやってしまおう!という
強引な願望の持ち主がユーロラックにドハマりしたりしてます。
そりゃまぁ物理的限界の無いREAKTORやMAXの方が広い可能性を持ってるとは思いますが、
創造力を掻き立てるのはフィジカルなハードシンセに軍配が上がるでしょうね。

○金銭的/時間的コスト

前記事「グルーブボックスvsモジュラーシンセ」でも書きましたが、
買うのは簡単、覚えるのが難しいグルボ/DAWに比べて、
モジュラーシンセは買うまでが難しく、操作を覚えるのは簡単なんですよ。
なのでどうしても初学者にはハードルが高いイメージがつきまといますが、
音楽活動を5年10年と長い目で観ると「先にコストを払うか後でコストを払うか」の違いでしかありません。
DAW?自分にとっては一番カネのかかる選択だと思いますよ。

○インスピレーションを喚起させるアイデアプロセッサ

目的意識をシッカリ持っていないと電源を入れる事すら億劫になりかねないDAW/グルボに対して、
モジュラーは「ツマミひねれば音が変わる」「パッチを挿せば音が変わる」と
直感で音遊びが可能なUIを持っています。知識は後付けでも大丈夫なのです。
あまりに自由過ぎて発想が追いつかないか軍資金が焦げ付くかってオチになりますけどねw

○モジュラーに向いてる人、向いてない人

・カネか時間かのコストを初期段階で惜しみなく払える人

金をかけなくても出来るようになるとは言いましたが、そのぶん時間と知恵は要求されます。
しかも買いさえすれば始められる他の機材と違って初期段階の情報収集はかなり重要です。
最初のシステムを組み上げるまでが精神的に負担が強いかもしれません。
もっとも、これは曲作りにも同じ事が言えそうですよね。最初の一曲目を作るのがキツいもんね。

今回で三度目の挑戦となる自分の場合ですと、
カネが無いから安く仕上げたい事もあって自作キット中心のシステムを組んでいますが、
半年かかっても完成する目処が立ちませんw気長にやりましょう!

・DIYに抵抗の無い人

電子工作をする人ならこれほど相性の良い機材ジャンルはありません。
完成品に比べてビックリするくらい低い資金で深い楽しみ方が出来ます。

まぁ自作までいかなくても電気のごく基礎的な知識(小学校の理科レベル)は必要ですし、
ツマミを回すよりネジを回す事の方が多いかもしれません。
そういう作業を苦痛に感じてしまう人は辞めといた方が無難ですわ。

・機械的トラブルを楽しめる人

流通しているモジュールは一般的な工業製品とは違って、
ほとんど全て「手作り品」だと思って下さい。日本の家電製品とは訳が違います。
初期不良の割合も高いし、壊れる事もザラです。サポート?保証?あればラッキーって位。
モジュール間の相性問題もあるかもしれませんし、意図した通りに動くとは限りません。

そういった諸々の問題を楽しんで解決に臨める人か、
「まぁいっかwww」で済ませられる神経の太い人でないと無理です。
神経質な人や日本人にありがちなお客様姿勢でしか物を買えない人はご退場下さい。

・工夫を楽しめる人

基本的にどんなモジュールでも、間違ったパッチングをしても壊れる事はありません。音が出ないだけです。
(電源ケーブルだけは絶対に間違えるなよな)
入り口と出口の区別だけ把握していれば、何処に挿しても何かしらの変化があります。
システムが完成したら知識は後回しにして至る所へズブズブと挿して音遊びを楽しんで下さい。

逆にPCMシンセのようにプリセットを選んで曲作りをするような思考は(ほぼ)出来ません。
そもそも作った音色を登録する事が出来ませんからね。写真でも撮っておくしかありません。
DTM旧来の打ち込み手法や思考が得意な方は、かなり苦労するかもしれませんね。

○モジュラーシンセのコミュニティ

ネットで仕入れられる情報だけでなく、ユーザーの活きた情報も不可欠です。
その為にはイベント等に顔を出して先生や先輩を見つけるのが手っ取り早いですよ。
まだまだシェアの小さい分野ですからショップの店員さんも商売度外視で丁寧に教えてくれます。

東京圏内でいくつか紹介しますと、

まず自分が開催しているパーティ「パッチングモヲル@高円寺マッチングモヲル」。
高円寺のギャラリーカフェで開催しているユルめのワークショップでして、
スケジュールは少々変わるけどだいたい日曜の午後に集まってダベっています。
(ブログ右上のFaceBookページを参照して下さい。だいたい第3日曜です)
僕らは素人なんで大して役には立ちませんが、
カフェオーナーがモジュラーどころかシンセサイザー黎明期から活動する音楽家でもあります。
当然キャリアの長い常連さんもいるので頼りになります。
もちろん第1日曜津田沼のマシンライブ・ワークショップでも大歓迎ですよ。

また第3土曜には三軒茶屋オービットでライブイベントを兼ねたワークショップが開催されています。
運営の方と直接の面識が無いので簡単な紹介に留めておきますが、
こちらはガチ勢だらけなのでモジュラー教わるにはもってこいのイベントです。

それから神田小川町にある宮地楽器。
自分自身たいしてカネ落とさない癖に毎週のように通い詰めています。
ほんのチョットだけ申し訳ないとは思ってるので宣伝しときます。
かなり頼りになります。

○まとめ

モジュラーシンセに興味を持つに至るまでのプロセスが決まりきったものではなくなりつつありますし、
限られた人の為の崇高な機材というイメージも崩れつつあります。
若い世代が「Abletonにしようか、ELEKTRONにしようか、モジュラーにしようか迷っちゃう」
なんて幸せな迷い方が出来るようになると嬉しいですよね。

チャンス・オペーレーション

電子楽器以前の時代から、演奏中から生まれる偶然の産物を表現手段の手法とする考え方もあります。
「なんか適当にイジってたらメッチャいいフレーズ出来ちゃったよ!」って経験は皆さんもあるでしょ。
1950年代にジョン・ケージっていう現代音楽家が考案した手法だそうです。
あれっしょ?ピアノの前で何にもしない「4分何十何秒」の人でしょ?

こちら電子楽器業界でもチャンス・オペレーションは積極的に活用されています。
むしろ生楽器よりも遥かに研究がされているんじゃないでしょうか。
TB-303に代表されるアシッドベースもチャンオペの産物と言えなくもないですよね。
ピエールさんラリって遊んでただけだって言うしね。

もちろんもこんな言葉を知らなくても既にやってるとは思いますが、
今回はこのチャンオペを意識したパフォーマンスや機材選びについて考えてみます。

○演者がトランス状態に入りやすいのが最大のメリット

DAWのピアノロールやオートメーションなどのように一音一音を丹念に練り込む面白さに対して、
何も考えずにツマミをいじって遊んでいる時が楽しい!という経験はお有りだと思います。
特に303系やアナログモノシンセで顕著ではないでしょうかね。
シンセサイズではなくフレーズ作りならSQ-1。単純明快かつ中毒性の高いフレーズが容易に出来る事から
愛用している方も沢山いるんじゃないでしょうか。
これも頭を使わずにイジっていた方が楽しかったりしますよね。
そういう変態行為を仮に録音していたとすると「こんなん音楽になってねーよ!」と思ってしまうでしょうが、
このウッカリを芸として活かすゴリ押しマインドがチャンオペのコツだと思います。

ウッカリウットリしちゃって時間の経過を忘れてしまうほど没入する事をトランス状態と言いますが、
このトランス状態に入りやすい人ほど、ライブ時では観客も共感させてしまいます。
これは別に限られた人だけの才能などではなく、誰でも出来る技術です。
この辺のお話は別の機会にするとして、
まずは自宅で一人でトランスに入るテクニックを身につける訓練をしましょう。
簡単です。部屋暗くして酒でもかっ喰らいながらシンセいじってりゃいいんですよ。
え?いつもやってるけど上手くならない?そりゃ酒が足りてねぇんだよ!

丁度良い実例がありまして、
数年前にvolcaKeysとbeatsとSQ-1で適当に遊んだ動画をアップしたんですが、



これが何故かウケにウケて今では27000もの再生数を獲得しています。
売上に貢献したと思うのでKORGさん何か下さい。

撮った当時は2,3分のカメラテスト程度のつもりだったのに、
KEYSを鳴らしているうちに気持ちよくなってしまい手を止められかった!という体験を覚えています。
ドラムの方はメーカーのプリセットそのまんまなので別に楽曲として評価されている訳ではない筈だし、
ずぅっと不思議に思ってはいたんですが、
「チャンス・オペレーションによるトランス状態が伝播した」と仮定すると色々と腑に落ちます。

○カリスマ性を感じるライブパフォーマンス

僕らの間の中で不思議と成長の早い人やキャリアの長さに関わらず人気の出る人を分析すると、
この「チャンス(偶然)⇢トランス(陶酔)⇢エンパシー(共感)」のプロセスが上手い事がわかります。
演者のルックスの美醜や音楽的技術/経験、機材の価値などは然程大きな要素ではありません。

そして僕たちのマシンライブ界隈ではユーザー層の音楽遍歴や影響を受けてきたジャンル特有の哲学などから、
こういった「フィジカルな魅力」が疎かになりがちなのが現状。
つまりココにもまだ勝負できるポイントが隠されているのです。
トランスからエンパシーに至るテクニックはミュージシャンよりもDJの方が得意だったりしますが、
まずはこのチャンスからトランスに至るプロセスを研究してみましょう。

○偶然を産み出しやすい環境作り

音楽に限らず日常生活でも突然良いアイデアが降ってくる時ってありますよね。
自己啓発系の書籍(の中でもマトモな部類の本)にはこういった思考方法のノウハウが沢山あります。

・閃きがポンポン湧いてくるように習慣を整えること
・閃いた事柄を忘れないようにする設備を整えること
・閃きを具体的に形に実現できるような瞬発力

世の中でアイデアマンと言われるような人達は以上の3点が上手く、
生活や仕事の中で閃きを活かすシステムを自身の中で構築しています。
これを楽器に当てはめて考えると、
従来の生楽器よりも電子楽器の方が遥かにアイデアを具現化しやすいのではないでしょうか。
究極と言わずとも現時点では最強のアイデアプロセッサーがユーロラックモジュラーシンセ。
とも言えますね。

○偶然と必然のバランス

打ち込みにしろ生演奏にしろ通常は音階や音色の操作は演者が一つ一つ意識しながら操作をしています。
逆に本来の意味でのチャンオペは完全に偶然に任せた演奏という事らしいのですが、
電子楽器の演奏では完全に任せちゃうとあんまり面白くないケースがほとんどです。
ある程度の主体性をキープするには半分は偶然に任せ、半分は必然的に行うくらいが丁度良いんじゃないでしょうか。
例えば音階はランダムだけどトリガーだけは手動で行うとか、
ランダマイズ機能を使いつつもスケールクオンタイズで制限を付けるとか、
ある程度は自分の意思で操作をしていないとトランス状態に持っていく事が出来ません。

○グリグリひねって楽しいのはシンセサイズだけではない

多くの人がすぐに連想するのはアシッドベースのフィルターをグリグリ回すアレでしょうが、
このグリグリ感をノートでもエフェクトでも何にでもアサイン出来たら楽しいと思いませんか?
CV/GATEを柔軟にアサイン出来るモジュラーシーケンサーはもちろん、
グルボやMIDIコントローラーでも設定をいじれば好きなように自分だけのシステムを構築できます。
「ツマミはシンセサイズに使うもの」「フェーダーは音量に使うもの」「鍵盤は音階」
といった固定観念を無くしてしまえば自分だけのオリジナリティに溢れたプレイが出来るようなるでしょう。

今は倒産してしまったDJ機器メーカーのVESTAXは凄く個性的な楽器を開発していた事でも知られています。
あまりにも独創的過ぎて売れないから潰れちゃったのかもしれませんが。。
僕らの間でも一時期話題になったのがVESTAXのFADERBORADという機材。



一見なにかのミキサーのように見えますが、実はサンプラーでして、
フェーダーを上げてドラムの音を出したり音階を調節したり、
DJもミュージシャンも困惑してしまう、それでいてハマると凄く楽しい楽器がありました。
これでドローンやったらメチャメチャ面白いんですよねぇ。

○インターフェイス

デタラメにやるのが前提ですから、
鍵盤や808系ドラムマシンのトリガーキーの操作はあまり向いていません。
これらをデタラメに操作するには逆に訓練が必要でしょう。
向いているのはツマミ、リボン、パッド、テルミンなど、
無段階のインターフェイスが適しています。

・カオスパッド



KORGの機材は昔からこのチャンス・オペレーションを尊重しているように思えます。
エフェクトのパラメーターを指でなぞって操作する歴代カオスパッド、
それを音階操作に応用したカオシレーターの2機種を始めKORG製品には多いですよね。

・リボンシーケンサー



個人的にはカオスパッドよりも更にチャンオペ向きだと思うのがmonotribeのリボンシーケンサーです。
リボン部をなぞって奏でた音階が上段の8つのボタンに記憶させてくれるのが素晴らしいんですよ。
これなら気に入らないステップだけ消したり、足したいステップを追加したりと、
適当過ぎるフレーズを後から修正出来るんですよ。
前述した偶然と必然のバランスがすこぶる良い。
ここがカオスパッドよりもリボンシーケンサーが優れているポイントです。

・ツマミ式ステップシーケンサー



最も手頃に試しやすいのがツマミシーケンサーでしょう。
過去記事で詳しく紹介していますがKORG SQ-1やDoepfer DarkTimeですね。
ツマミを左に回すと低い音、右に回すと高い音、ボタン(トグル)でノートのオン/オフ。ザ・単純明快。
特別な練習をしなくても使える上に8〜16ステップと短いサイクルの為にミニマルフレーズを作りやすく、
楽器を習った事のない子供でも楽しめるインターフェイスとしてもっと評価しても良いと思います。
そして各メーカーから新機種出して欲しいです。ちなみにビーステプロ、アイツはチャンオペ的にはダメっす。

○機能編

・モーションシーケンス/パラメーターロック



KORGやELEKTRONを始め様々なメーカーのグルボに備わっている、
ツマミの動きを記憶させたりステップごとにパラメーターを変える機能です。
これを一つ一つ綿密に設定するのではなく、
勢いに任せてガーッといじりまくってみます。
すると凝り固まった手癖から開放される事まちがいなし。

・TRC(トリガーコンディション)



「理系に非ずんば人に非ず」と豪語しかねない勢いで直感的とは程遠いイメージのELEKTRON。
実は制御不能になりそうな勢いのランダマイズ機能が充実しています。
TRCとはステップごとトリガーする確立を調節できる機能。
やっぱり理系的な発想ではありますが、
ある程度の範囲を運任せにするだけで摩訶不思議なドラムやフレーズが量産できます。

・サウンドロック

これもELEKTRONの必殺機能です。
音階や音長だけでなくあらゆるパラメーターをステップごとに変更できる
「パラメーターロック」機能の一つで、特定のステップだけ別の音に変更できる機能です。
凡庸な使い方では、
「一つのトラックにキックもハットもスネアもドラムセット入れちゃう」程度の事しか浮かびませんが、
トリガーキーを押しながらツマミをグリグリ回してメチャクチャなフレーズを生み出す奏法があります。
これ僕らの身内の一人が十八番にしている技なんですが。

○機材の用途をひねる

自由度の高いグルーブボックスの場合に限りますが、
ドラムマシンをドラムではなくベースやリード用途に使ってみたり、
逆に普通のシンセモデルをドラムにしか使わなかったり、
ひねった用途で使ってみるとチャンス・オペレーションを産み出しやすいです。

自分たちの間でやっている実例を挙げると、
・analogFourをドラムマシンとして使う
・DarkTimeでドラムを鳴らす
・Digitaktをドローンシンセとして使う
・マスターアウトの先に更にエフェクターを噛ます
・キック専用シンセをベースシンセとして使う

などなど傍から見れば奇をてらっただけの無駄な発想に思えるでしょうが、
こんな遠回りも演奏アイデアの活性化という意味合いで凄く重要なんですよ。
普通はそんな事しないだろう、といった「普通」は禁句。
機材や設備を壊しさえしなければ何をやったって良いのです。

○お手軽にチャンオペラーになれる機材

・iPadアプリ・Patterning



https://www.olympianoiseco.com/apps/patterning/
iPad用のシーケンサーアプリ。外部にMIDI信号を送る事も出来るので、
ハードウェアのドラムマシンやシンセをこれで鳴らす事も可能です。
サークル状のシーケンサーでトリガーとパラメーターが一体になったデザインが使いやすく優秀。
テロテロっとなぞるだけでベロシティの強弱やノートを変えられるのが気持ち良いんですよ。

これに限らずiOSシーケンサーアプリはアイデアを産み出しやすい独創的なシーケンサーが
数百円で手に入るので一度は試してみて下さい。

・KORG monotribe



生産中止になった今でも人気の高いKORGのアナロググルボ名機。
リボンシーケンサーだけでも復活させて欲しいものです。

・KORG SQ-1



ステップシーケンサー入門機として一人一台を勧めたいぐらい。
自分はチャンオペという言葉を知らないうちからチャンオペに目覚めたのはコレのお陰です。

・KORG KAOSSPAD/KAOSSILATOR



やーもうKORGばっかりじゃないですかー。
KORG製品は昔から「楽器の弾けない人の為の楽器」にこだわりを持って開発をしているように思えます。
音楽の裾野を拡げる活動に直結する素晴らしいコンセプトのメーカーですよね。

他にもテルミンや以前のRoland製品にあった「Dビーム」、往年のVESTAXのトンデモ楽器、
探せばいくらでも出てきます。

○モジュラーシンセ

さきほど「モジュラーは究極に近いアイデアプロセッサー」といいましたが、
その究極っぷりは何十年かけても説明しきれるものではありません。
例えば「シーケンサー」と銘打ってないものでもシーケンスが出来てしまうんですよね。
LFOでシーケンスしてもいいしクロックモジュレーターをドラムシーケンスに使うなんて荒業も、
モジュラーユーザーの間ではごく当たり前の発想です。
ランダムなCV出力も「(スケール)クオンタイザー」と呼ばれるモジュールでスケールを指定してやれば、
ちゃんと音楽的なフレーズになってくれます。

・Malekko VARIGATE4/8



ドラムシーケンサーとして気に入っているバリ8もチャンオペに向いているシーケンサーです。
スライダーの基本設定で「左いっぱいでゼロ、右いっぱいで100%、真ん中で50%」という風に
ゲートを吐く(ドラムを鳴らす)確立を決めてくれるもので、
エレクトロンのTRCとよく似ていますが直感的な操作が可能です。
他にもリピート回数やタイミング遅延などの操作をスライダーで決める事ができます。
同社のCVシーケンサーVOLTAGE BLOCKと組み合わせて使っている方が多いですね。

・Mutant Instruments Marbles



こちらはシーケンサーというよりランダムCVジェネレーター。
3系統のCVとGATEを規則に則った制限の中でランダムに出力してくれるものです。
簡単に言ってしまえば「不思議フレーズ製造機」です。
出したい音の種類が多すぎて手が回らない方におすすめ。

・centrevillage C Quencer DLX



https://centrevillage.net/

デラックスじゃない廉価版の方を所有していますがチャンオペを強く意識した設計思想が伺えます。
ちなみに開発/制作は日本人。茶箱@早稲田によく居ますよ!
四方にあるツマミを使ってゲートの数やスケール、シーケンスの向きなどを変化させていきます。
Marblesよりも演者が把握し易く自発的に操作できる部分が多いので1系統のCVで良ければこちらの方が楽しいですよ。

・4ms QCD



クロックモジュレーターをゲートシーケンサーとして利用する、
なんて荒業もモジュラーではごく当たり前のアイデア。
QCDなら各々のツマミで現状のパラメータを把握しやすい作りになっているので、
ドラムシーケンスに使う人も多いようです。

紹介するのはここで留めておきますが、
そもそも「Random」「Quantizer」というカテゴリに
数十どころか数百に及ぶ数のモジュールがあるくらいですから、
如何様にもチャンオペマシンを組む事が出来るはずです。
モジュラーシンセとチャンス・オペレーションは相性の良い思想なんですよ。

○まとめ

操作方法の習得からお手本ジャンルの模擬、そこからオリジナリティを練る、
というのが電子楽器の習得スキルの正しい順序なんでしょうが、
視点を変えて別のアプローチでのスキルアップのコツを紹介してみました。
チャンス!トランス!エンパシー!です。
自分が観てきた「上手い!」と思わせてくれる人達は意識無意識を問わず必ず実践している事です。
壁を超えられずに頭を抱えている人は是非とも実践できるようになって下さい。

モジュラーシンセvsグルーブボックス

現在電子楽器をライブ用途で使う人達の間では
グルーブボックス派とモジュラーシンセ派との二大勢力が増えています。
以前は「DAW⇢グルボ⇢モジュラー」の順番にのめり込むプロセスが一般的ではありましたが、
現在は最初からモジュラーシンセで入る人も少なくはないらしく、
電子音楽を始める上での選択肢としてフラットになりつつあると感じています。
賛否あるかと思いますがカテゴリで優劣が決まってしまう風潮こそが大きな勘違いだと思うので、
そのプロセスを壊してしまおう、というのが自分の狙いです。

○お金の問題、そんなに大差ない

何はともあれ一番大きな問題でしょうが予算の大小は置いといて費用対効果で考えると、
浅く広く何でも器用にこなすのがグルボ、深く狭く単機能を突き詰められるのがモジュラーです。

やたらと金のかかるイメージがつきまとうモジュラーですが、
ELEKTRON一台分の予算があれば60HP前後のスモールシステムは組む事が出来ます。
当ブログで推奨したセミモジュラーシステムから始めるのであれば失敗も少なく済むでしょう。
「トランクケースに詰め込んだ200~300HP以上の大型システム」みたいな
イメージが先行しているせいもあってモジュラーは金持ちの道楽という印象がありますけど、
自分のやりたい音や必要な機能を絞り込めば必ずしもそんな大型システムが必要な訳じゃありません。

そしてグルーブボックスでのライブ、これ一台で済ませるケースは稀で、
大抵の場合は2台以上、それにギターエフェクターやPAミキサーを合わせて利用します。
前世代の中古品を上手く集めて安く済ませる事も出来ますが、
経験が浅いうちは安物買いの銭失いとなるオチが多いですよ。
またUIに関しても旧機種は親切でない物が多いので習熟に苦労します。
(だからこそ安機材や古機材を使いこなしている人や少ない機材で臨む人が尊敬されるんですがね)

初期費用が明確だったり安く済ませる方法が容易なのはグルボ側ではありますが、
3年後5年後にどれぐらい費やしたか、となると大差ないんじゃないかいな?とも思います。

○買うまでが難しいモジュラー、買ってから難しいグルボ

モジュラーシンセは特有の知識やルールが必要になるんで、
音楽的知識というよりシンセサイザーに関わる電気/機械的な勉強をしなければ注文すら出来ません。
更にはYouTubeのサンプル動画を観ても単体の機能の紹介だけじゃ
自分のシステムにどういう影響を及ぼすのか想像つかないケースがほとんどではないでしょうか。
こればかりはネットで調べるだけでは絶対に無理で、
どうしても経験者に頼りながらプランを立てていく必要があります。
しかし一度システムを理解してしまえば後は余計な作業にアタマを使う必要がなくなります。
演奏そのものは身体で覚えていけるのが電子楽器のより楽器らしいポイントですね。

対してグルボ。
メーカーや販売店の売り文句にある「これ一台で音楽制作の全てが出来ます」ですが、
まず嘘っぱちだと思って下さい。信じてはいけません。
一台で制作やライブをこなせている人達は相当の熟練者なんですよ。
だからそ凡人の方々は「なんでもできるはなんにもできない」と肝に命じましょう。
散々無駄金溶かしてきたオレ様の名言です。紙に書いてトイレに貼っておきましょう。

本当なら一台の機種をマスターするのに数年間は必要なんだけど、
大抵の場合マスターする前に他の魅力的な新機種に心を奪われてしまいます。
んで新しいのに替えてしまってフリダシから仕込み作業と格闘する日々が始まるのです。

そうは言っても何とかかんとか一台or単一シリーズをマスターしてしまえば後はこっちのもの。
グルボ一つでモジュラー換算200-300HP分くらいの機能を網羅しているんですから、
この粋にこぎつければコスパはこちらの方がずっと良いですよね。

○ロジカルかフィジカルか。インプロヴァイスかコンストラクションか。

グルボとモジュラー、ワークフローやそれぞれに向いた演奏の仕方について考えてみましょう。

・グルボのメリット
楽曲としてのクオリティを高く保ちたい人はやはり仕込み作業が中心のグルボ向き。
トラックメイクとマシンライブを同時展開したい人も効率が良いです。
現在のグルボはオーディオインターフェイス機能が付いていたり、
DAWとファイルを共有できたりとPCとの連携がスムーズになっています。
自宅で作った曲をそのままライブとして流す事だって可能ですよね。
DAWほどではないにせよ納得がいくまでトコトン磨き上げる事だって出来ます。
これはグルボでのプレイが楽器の演奏というよりは
「絵描きさんが行うライブペインティングに近い行為」だからこそ。

・モジュラーのメリット
再現度よりも演奏性や偶然生まれるインスピレーションを作品やテクニックとしたい方はモジュラー。
グルボにありがちな「階層」「ページ」「シフトキーでの副次的操作」がほぼ無いのがモジュラーの利点です。
実はこの階層、純粋な生楽器に比べると脳味噌のリソースを余計な作業に使わなくてはならないのです。
ここから開放されるリソースを別の所へ費やせるようになるのも侮れないメリットです。

このように電子楽器を楽器と電子機器の中間として捉えると、
電子機器に近いのがグルボ、楽器に近いのがモジュラー、とも言えます。
DJやDTM出身者がグルボから、生楽器出身者はいきなりモジュラーから入るというのも頷けます。

もちろん例外の機種は双方にあります。
インプロ向きなmonotribeやガッチリ仕込みの出来るエロケンサーなど、
数は多くないけど弱点を補う意図でこういう例外機種を取り入れる事も視野に入れられます。

このように、
自分のスタイルがどちらに向いているか、で判断する方法もあります。
しかし境目は曖昧なもので、どちらかにステータス全振りって人は少ないでしょう。
「何も考えずに手の向くままに鳴らしたい」時もあれば、
「腰を据えてジックリと作り込みたい」時もある筈です。

○音質の追求

電子楽器において音の良し悪しを二元論で決めつけるのはナンセンスですが、
「ハイファイで分離が良く、特に低音が綺麗に出る」のが高音質の物差しだとすると、
グルボは世代と値段に比例し、モジュラーは悪いのから良いのまで両極端です。

ちなみにモジュラーシンセのノイズの影響ですが、
パッチケーブルを走っている電気は5Vとラインレベルやギターレベルより遥かに高いので、
最終段のアウトプットさえ気をつけていれば細かくきにする必要はないそうです。
ただし内部で基盤同士が干渉してノイズ発生源になる事もあるので組み立ての際は注意しましょう。

○運搬性やセッティングなど

最も優れているのは大きなケースに入れたモジュラーですよね。
電源も一つで済むしあらかじめパッチングしておけばセッティングもすぐに終わります。
前記事で紹介しているセミモジュラーの複数台運用はパッチングも電源も煩雑なので現場での準備は地獄です。
グルボに関してはご想像の通り。機材の数と苦労の度合いが比例します。

○グルボとモジュラー、どちらがモテるか

当ブログのお約束です。
ケーブルまみれで爆弾魔みたいに怪しい風貌のモジュラーシンセはさぞ嫌われるだろうと思えるででしょうが、
意外や意外、生楽器出身者が多いからなのかモジュラーシンセのイベントの方が女性の率が高いのです。
単純に鑑賞する視点で考えるとライブ感の強いモジュラーの方が有利なのかもしれません。
DJでの経験から踏まえると、みんな最初はコスパの良いCDJから入門して、
男性はPCDJに、女性はアナログレコードに移行する傾向があります。
これもロジカルvsフィジカルの違いでしょう。

ライブでは「どんな音楽が出ているか」と同じくらい重要なのが「どういう動きをしているか」。
この差を侮ってはいけません。できるだけ背筋を伸ばしてフロアにも目を向けるようにしましょう。

ちなみに一番残念なのはDAWでのライブ。
演者はディスプレイに釘付けだし、客から見るとPCDJと何が違うのか見当つきません。
音楽の完成度が高い事が逆に災いして、観ても聴いてもDJと変わりないように見えます。

○まとめ

そんなこんなでモジュラー派とグルボ派の実際の運用している姿を比較してみました。
出来ることならツマラン偏見を持たずに他者を受け入れたり、
出来ることなら両方の利点を上手く取り入れて楽しみましょう。

現在は津田沼メディテラネオで開催している「マシンライブ・ワークショップ」に加え、
高円寺マッチングモヲルにて「パッチングモヲル」といったモジュラー寄りの交流会を行ってます。
ですが津田沼はグルボ、高円寺はモジュラ、と明確に分けるつもりはなく、
双方の交流こそが一番の目的です。
興味がお有りでしたら是非とも遊びにいらして下さい。

イベント情報はブログ右上のFaceBookページに掲載しています。

ドローンシンセのススメ

ダンス系ではない電子音楽のジャンルの一つにドローンミュージックというものがありますが、
ここで活躍するのがドローンシンセサイザーです。

・・・・・雑な説明ですみません。全然知らんし。

まぁドローン(長い持続音)はシンセに限らないようですが、
音楽ジャンルとしてのドローンの定義などは他所様で調べて頂くとしてですね!
ともかくこのドローンに特化したシンセサイザーの
深い深~い沼へ皆様をいざなった上で背中から蹴り落として差し上げたいと思います。

当たり前っちゃ当たり前ですがドローン音自体は普通のシンセで鳴らせます。
とりあえずブ~~~~~っと鳴らしてですね、音を止めない状態をキープしつつ
ピッチ上げ下げしたりLFOで何かしら揺らしたりエフェクトかけたりすると、
だんだん気持ちよくなってきたりしませんか?
催眠術にかかったようなフワフワ~っとした気分になるでしょ。
ヘッドフォンで他の音をシャットアウトしたりすると効果テキメンっす。

クラブ育ちの自分は全く知らなかった分野なのですが、
こういう音に特化したライブプレイは結構盛んに行われているんですよ。
最初はナニが面白いの?と懐疑的な姿勢ではあったのですが、
機材廃人としての経験値を重ねていくうちに少しずつ分かってきました。

でもでも当ブログを読んでいて下さる皆様なら、
他人のライブを聞くよりも自分でやった方が100倍キモチいい!と思うでしょ。
そんなに高い物ではないんで一つ試してみませんか?

○ドローン音のメリットと活用例

純粋なドローンミュージックをやりたい人でなくとも、
ドローンシンセは意外と幅広く使えるものです。

・ひたすら一人で瞑想
一人でヘッドフォンをしてツマミをゆっくりいじっているだけで
瞑想に近いような凄いトリップ感を得られます。
お陰様でよく眠れるようになりましたわw

・リズムとリズムの場繋ぎに
ドローンシンセはダンス系ライブシステムの中に入れても活躍してくれます。

自分がよく目にするのはイントロとして使う方法。
ライブ冒頭の数分間をドローンやノイズで引っ張って、
徐々にリズムを入れていく手法が盛んです。
イントロだけでなくアウトロやブレイクなどにも使えます。

・ベースの代わりに
重厚感がありゆっくりと変化するドローン音を
ベースラインの代わりに使っているライブも観たことがあります。

ライブや制作などのクリエイティブな用途としても良いんですが、
ただひたすら自己満足の為にドローン沼にハマるのもオツなものかと思います。

○ドローンミュージックを聴いてみよう

音楽として売られているよりも、YouTubeで動画としてアップされているのが多いです。
「Drone Synth」「Drone Music」と検索すれば山のようにヒットします。
普通の音楽の聴き方よりももっとラクに構えてBGMとして流しておくのが丁度よい楽しみ方です。
自分の初ドローン体験だった「シカメっ面したオッサンのライブを正座して聞く」のは苦痛でしたがw
こういう気楽な楽しみ方なら誰にでも受け入れられると思いますよ。

自分が見つけたイチ推しの動画がコチラ。



モジュラーで演奏しているドローンでしょうが、
他の演奏とは何かひと味違うものを感じます。
これ電車の中で聴いてたらあまりの気持ちよさにウッカリ寝過ごして遅刻しました。

また映像とも相性が良いので、以下のようなCG動画を観ながらBGMとして流すのも良いでしょう。



なんかこういうビデオドラッグみたいな映像とドローンって凄くマッチするんですよね。
この映像の音楽はなんか微妙ですがw、代わりに上の音を流してみると
昇天したまま現世に戻ってこられなくなりそうです!

○ドローンの演奏

通常の演奏のように音階をつけるわけではなく(いやぁ付けても良いとは思うけど)、
LFOやフェイザー、ディレイの発振などの「揺れ具合」を調整して展開をつけるのが基本なようです。
まさにツマミ演奏の真骨頂!じゃないですかい。
またシーケンサーやランダムCVを使って全自動or半自動でプレイする事も多いです。
忙しくて手が足りない人にももってこいの持ちネタになりますね!

○お手軽にドローン「も」出来るシンセ

ここで言うドローンシンセの定義は曖昧ではありますが、
とにかく長い音を持続させやすくツマミひねって気持ちイイ機種を幾つか紹介します。

・KORG monotron DELAY



3000円で買えるお手軽シンセmonotronのディレイ付きVer。
何も考えずにツマミで遊んでディレイ効かせると何かそういう雰囲気出ます。

・MOOG Mother32



M32にはVCAを開きっぱなしにするスイッチがついてるんですよ。
そこをONにしたままフィルターなりノイズなりのツマミをゆっくりゆっくり、
出来ればシカメっ面で仰々しく回してみて下さい。

・waldorf streichfett



80年代風ストリングスシンセstreichfett(読めない)、
外からトリガーする必要はありますが、
普通のアナログモノシンセよりも広い可変域の為に昇天必至の音を簡単に出せます。
リバーブやフェイザーが内蔵されているのもポイント高いです。

まぁアナログシンセ全般がドローン出来るんですけど、
シーケンサーや鍵盤を使った普通の演奏とドローンの切り替えを巧くできるようになると格好いいですよね。

○ドローン特化シンセ

これらは「外部からのノート操作を受け付ける端子が無い」「エンベロープが無い」
「とにかく音を止められない」といった具合に、ホントに持続音した出せないようなシンセです。

・HIKARI INSTRUMENTS monos



インテリアショップに置かれてそうな可愛らしいデザインで大人気の日本製ドローンシンセ。
ここまでお洒落ならご家庭で「また新しい機材買ったの!?」と奥さんに突っ込まれた時も
「これは部屋の空気をきれいにしたり除霊したりするプラズマクラスター的なアレだよフフン♪」
とでも言っておけば誤魔化せる事間違いナシ!です。
ノイズ音源とローパスフィルターの組み合わせという事で???となりますが、
触ってみるとこれが楽しいんですよ。アタックの強い音が得意なんでディレイと組み合わせたいですね。

・MFOS WSG



アメリカのDIYシンセブランドMFOSからもドローン向けモデルがあります。
完成品も個人売買サイトReverbで入手できますよ。
これの特徴は6つあるオシレーター。うち二つをLFOとして使うんですが、
音の重なり方が気持ち良くってハマります。
ノイズは無いので柔らかい音に限定しますが、シマーリバーブを合わせると昇天します。

他にも「JMT SYNTH」や「ELEKCTROGROOVE」など日本のブランドが多いので贔屓したくなりますね。
YouTubeに色々と動画が上がってるので参考にして下さい。

これら専用機の弱点を「演奏中に手を離せない」こと。
単体でドローンだけの演奏をするなら良いのですが、
楽曲の1パートとして使うにはちょっと不便です。

○エレクドロン



ダンス系のみならずアンビエント系アーティストからも支持されているELEKTRONマシン。
何より強力なLFO機能が魅力の要です。大抵のモデルで重厚なドローン音を作る事が出来ます。
自分自身ELEKTRONマシンでドローンをやるのが一番コスパも良く理にかなっていると思って
ちょっと研究してみました。

・Digitakt/OCTATRACK

超短いシンセの波形サンプル(DTなら元々入ってます)をループ再生し、
AMP EGのアタックとリリースを長くとり、ノートレングスを120〜127くらいにします。
(レングスをINFにするとトリガーミュートをの際に音が消えなくなるので注意しましょう)
SAMPLE TUNEやAMP VOL、FILTER FREQなどをLFOでゆ〜っくり揺らします。
DTならサイン波のLFOがあるし、OTはLFOの波形を自由に作れる上に1トラックにつき3つLFOがあります。
エフェクトは全開でグワングワンにしてやりましょう。
1トラックだけでも良いですが、できれば2,3トラックを音程変えて重ねると凄く迫力のある音になります。

・MONOMACHINE/AnalogFOUR/Digitone

シンセ系マシンならもっと簡単です。
オシレーターを重ねていけばDT/OTのようにトラックを複数使う必要もなく、
1トラックですっごいすっごい音出せますよ!

シーケンスのコツはスケール設定を長く、パー/レングスを1/8などにして、
アタックとディケイ、ディレイを調整しながら
トリガーが置かれた鳴り始めの部分をスムーズになるようにすると良いです。
後はTRCやパラメーターロックを工夫してお好きなように応用して下さい。

○突き詰めるならモジュラーでドローン



erica synthsではドローン専用のセットが用意されているくらい、
ドローンならモジュラーだろ、とモジュラーユーザーは必ずハマるようです。
選択肢が多すぎて紹介できないのですが、モジュラーの方は是非とも挑戦してみて下さい。

○ドローンシンセと組み合わせたいエフェクター



シンセそのものよりもエフェクターに依存する度合いが大きいドローン音。
乱暴な言い方ですがシンセなんて何でもいいんです。
それよかエフェクトにこだわった方がずっと理想の音に近づいてくれます。

・リバーブ
単体では耳に痛い音が出る機種もありますがそれを柔らかく削ってくれる役目を果たします。
シマーリバーブなどオクターバーを兼ねたリバーブで幻想的な音を演出するも良いでしょう。

・ディレイ
ディレイ系ではやはりテープエコーがお勧めです。
エフェクト音がマイルドで発振音でバリエーションを持たせられます。
ディレイの延長でルーパーを使って音を重ねるのも良いと思います。
これなら音の薄いシンセでも重ねる事により多OSCシンセとはまた違った
ミルフィーユのような味わいになる事間違いなし!

・フェイザー
モジュレーション系ならトレモロからフランジャーまで面白そうなエフェクトが沢山ありますが、
そこそこエグみがあって柔らかい揺れ方をするフェイザーもアリかと。

・ファズ
逆にノイズのような攻撃的な音にしたいのであれば歪ませてしまうのが手っ取り早いでしょう。

○その他ドローン〜アンビエントに有効なアイテムやキーワード

・テープ
テープ特有のヒスノイズって気持ち良いですよねぇ。
ライブ用途というよりは作品作りとしてテープを積極的に使っている方も多いようです。



これはドローンというかアンビエントの動画なんだけど、
オープンリールのテープに一度録音したものを再生速度を下げて再度録音したもののようです。

・フィールドレコーダー
市販のフィールドレコーダーを使って街なかや山や海などの環境音を録音して、
それを演奏に取り入れる人もたくさんいますね。
ネットにも有料無料問わず沢山転がっていますけど、
たぶん自分で収集する事に意義がるんでしょうかね。

・グラニュラー

「グラニュラーシンセ」「グラニュラーサンプラー」「グラニュラーエフェクト」などなど、
この界隈を調べるうちに頻繁に出てくるキーワードが「グラニュラー」です。

[サンプルをグレインと呼ばれる細かな粒に分解して、そのグレインの再生をコントロールする事で多様なサウンドが生まれます。]

・・・との事ですが、何を言ってるのか馬鹿にはわかりません!
よく分かんないけど何かツブツブで良い感じになります!
自分はこれを聴いて何故か写真で見た「鳥肌の立ったオッパイ」を連想しました。
とりあえずツブツブって覚えておけば良いですかね(鼻ホジ)

○まとめ

ジャンルとしてのノイズ音楽は耳に痛くて未だ苦手なのですが、
近い分野であるこのドローンは「楽しい!」というか「気持ちいい!」と思える音です。
今まで縁の無かった皆さんもぜひぜひ体験してみて下さい。
新しい世界が見えますよ!

セミモジュラー天国へのいざない【4】

セミ!セミ!と言いつつズブズブとハマってしまうユーロラック・ワールド。
今回は最も多種多様で機材選びが楽しいシーケンサーの紹介です。
アナログライクなステップシーケンサーからiPad+BlueToothで制御する妙に近未来チックなものまで、
とにかく個性が強いのが大きな特徴です。

グルボにしろDAWにしろ、一つの機材に対してシーケンサーは一つなのが普通ですが、
ユーロラックは自由が効くので「一つに音源に対して二つ三つのシーケンサー」なんて事も可能。
何でもこなす万能型もあれば特定の用途に特化した個性派シーケンサーも選り取り見取りです。

とはいえ問題なのが、個性的過ぎてリファレンス動画を観ても何をやってるのか分からない、
日本語の情報や個人のレビューが極端に少ない、など購入を躊躇ってしまう方も多いと思います。

そこで今回は定番と言われるユーロラック・シーケンサー各種をセンパイがたに貸して貰い、
色々と試してきた物や穴が開くまで調べた物をレビューしますね。
但し数時間~数日程度の利用なので、あまり突っ込んだ使い方は把握しきれていません。
第一印象程度になってしまうのはご了承下さい。

○ユーロラックシーケンサーを選ぶメリット

これはシーケンサーに限った話ではないんですが、
ほとんどのモジュールが即興性を重視した作りになっているので、
インプロヴァイスプレイに適しているという事です。
近年のグルーブボックスはリアルタイムでの操作にも対応するようにはなっていますが、
元々の設計が打ち込み型をベースに考えられているのでここまで器用にはいきません。
同じ電子楽器でもより楽器としての意味合いが強いのがモジュラーシンセの特徴です。

○ユーロラックシーケンサーを選ぶ時の注意点

・シーケンスさせるのは音程とは限らない

フィルターだろうとアンプだろうと、
挿れる穴さえあれば何でもシーケンス出来るのが大きな違いです。
ユーロラック業界ではシーケンサーとモジュレーターの区別が曖昧なのも楽しいポイント。
LFOの変わりに使っても良いしランダマイザーを全自動シーケンサーとして使うのもアリなのです。

・「CVシーケンサー」と「GATEシーケンサー」は別物と考える

一般的なシーケンサーですと「トラック数」で幾つの音源を制御するかが決まりますが、
ユーロラックの場合は「CV+GATE」「CVのみ」「GATEのみ」といった機種もあります。
CVのみのモジュールは(パラメーターロックやモーションシーケンスのように)
LFO的な使い方も目的としていて、
ゲートのみの場合は主にドラム音源のトリガーやアクセントとして利用します。
マルチトラックシーケンサーの場合は1つのトラックでCVとGATEを別々のモジュールに振り分ける事も出来ます。

・パターンやプリセットといった概念が希薄

グルボのようにパターンを登録してソングを組んで、、、というシーケンサーは極端に少ないです。
後述するエロケンサーくらいかもしれません。
あくまでも楽器としての色が濃いのです。

・マスタークロックが無いと動かないのが普通

普通シーケンサーと言えばクロックのマスターになるでしょ?と思ってしまいますが、
ユーロラックの場合はそうでもない事が多々あります。
この場合はマスタークロックとなる別モジュールが必要になります。
またクロック内蔵式の物でも外部からクロックを入力してスレーブとなる事が出来ます。
これらは例えば「クロックディバイダー」などを使うとより多彩なシーケンスが可能となります。

・MIDI to CVは沢山あるけどCV to MIDIはほとんどない

これらの個性的なシーケンサーでソフトシンセやVAシンセを鳴らしたら楽しいかな?
と思いついた事がありお店で伺ったんですが、
そういう製品は無い事は無いけど精度が悪くて使い物にならない、と教わりました。
これが出来たらDAWでもMIDI音源でも本当に面白いんですけどねぇ。
素直にSQ-1で我慢しましょう。

○ユーロラックシーケンサーの機能でチェックしたい所

・仕込み型か即興型か

これは普通のシーケンサーでも同じ事ですが、
ノートとトリガーをあらかじめ打ち込んでパターン登録してからプレイさせる物と、
その場その場でパラメーターを変化させ易い物とがあります。
ユーロラックでは即興型の傾向が強い物が多いんですが、
もちろん完全にどちらかに振った物もあれば、若干他方の要素を取り入れた物も。

・シングルトラックかマルチトラックか

自分もそうですがグルボからモジュラーに興味を持つ人には
単純明快で直感的な操作感を求める人が少なくありません。
となると必ずしもシングルよりマルチの方がお勧めとは限らず
シンプルなシーケンサーを複数導入している例も多いです。

・ステップ

64ステップが一般的なグルボに比べれば8~16ステップが平均的と少々短いのが特徴。
これは多くのモジュラーユーザーが打ち込みよりも即興演奏を重視しているからでしょう。
ページの切り替えなんてやってらんないっすよね。
中には3ステップや5ステップなど変則的なシーケンス専用の小型モジュールもあります。

・ランダマイズ

少ないステップ数を補うのがランダマイズ機能。
シーケンスの走行をバラバラにしてしまう機能ですが、
ここを使う事によって多彩なフレーズが可能となります。
ランダマイズはトリガーだけでなくCVの方もランダムに出来たり、
ある程度の条件(スケールとか)に沿ったランダマイズなどもあります。

・スケールクオンタイズ

グルボで言う所のクオンタイズとは普通はトリガータイミングを指しますが、
モジュラーではスケールの方を指すのが一般的なようです。
デタラメな音程入力でもそれっぽく鳴らしてしまう楽器オンチには救世主な機能です。
シーケンサーに備わっていない物でも大丈夫。
「クオンタイザー」と言われる専用の小型モジュールが各社からリリースされています。

・リセット入力があるか

リセット信号とは(主に)小節の頭にだけ発振される信号で、
これを受けられるジャックがついたモジュールは有難いのです。
あまり精度の良くないクロック信号が大きくズレるのを防いでくれるし、
ディバイダーやマルチプライヤーなどでメチャクチャになったステップもチャラにしてくれます。

○代表的なシーケンサー各種

クロックの項でINのみの場合はマスタークロックが必要なタイプ。
OUTがあれば自走出来るタイプ、両方あるのがベストですよね。

・WinterModuler ELOQUENCER



https://www.modulargrid.net/e/winter-modular-eloquencer

CV/GATE:8
ステップ:256
クロック:IN/OUT
ランダム:あり
クオンタイズ:あり

「エロケンサー」といいます。最初「エロ検査?」というスラングかと思ったら本名らしいのです。
これは8トラックのCV/GATEをシーケンスする事が可能で、
最も大きな特徴は真ん中のディスプレイで全てのトラックのトリガーが俯瞰して観られる事。

右側の縦に並んでいるキーがトラックの選択、下の8x2列がトリガーキーで、
基本操作はトラックを選択⇢トリガーを置く⇢トリガーのパラメータをツマミで決定と、
端的に言ってしまえば「まんまELEKTRON」です。充実したランダマイズ機能や
LFOも内蔵しているので偶然性に富んだシーケンスも組み上げる事ができます。

ただ「ほぼ100%仕込み型」というべきかキッチリとしたパターンを組むのが得意な方でないと
使っていてストレスを感じてしまうかもしれません。
ELEKTRONやelectribe、はたまたDAWでの打ち込みが得意な方にお勧めです。

・Malekko VARIGATE8+



https://www.modulargrid.net/e/malekko-heavy-industry-varigate-8

CV:2
GATE:8
ステップ:16
クロック:IN/OUT
ランダム:あり
クオンタイズ:あり

一見してシーケンサーと捉えづらいルックスですが愛用している人がとても多いモジュールです。
特にドラムシーケンスに向いていて自分も試しに触ったつもりが15分で注文してました!
VARIGATEの基本的な使い方は各スライダーが左端の時がゼロ、
右端の時は100%という「ゲート信号を吐く確率」を制御します。
実際に触ってみるとこれがまた新感覚!新しい性癖を見つけてしまったようです。。
一見CVに見えますがお間違えの無いように。CVトラックは二つだけです。
他にもリピートやステップ長、スケールやゲート長など様々なパラメーターを制御出来ます。

特に気に入った点がリコールとクリアのし易さ。
リコールとはあらかじめ登録しておいたパターンにサクっと戻す機能。
クリアはトラック毎でも全トラックでも出来ます。
過密になったドラムを一瞬で「抜く」テクニックは必殺技になりまずぜ。

このVARIGETE8+にCVトラックを8つ追加出来るCVシーケンサー「VOLTAGE BLOCK」や、
コンパクトにした8ステップ4トラック(CV/GATE選択可)の「VARIGATE4+」もあります。

・MAKE NOUISE RENE mk2



https://www.modulargrid.net/e/make-noise-rene-mk2

CV/GATE:3
ステップ:16
クロック:INのみ2系統
ランダム:あり
クオンタイズ:あり

独特のデザインと直感的な操作感、複雑なシーケンスが組める事から、
初代は大HITしたようでかなり愛用者が多い人気のシーケンサーです。
クロック入力が二つありトラックごとに違うスピードで走らせる事も可能、
ステップの方向も自由に変えられたりと、かなり奥の深い機材ですね。

・WMD METRON



https://www.modulargrid.net/e/wmd-metron

CV:0
GATE:16
ステップ:16
クロック:IN/OUT
ランダム:あり
クオンタイズ:あり

ドラムシーケンスに特化した高機能シーケンサー。
大きな特徴は4トラック分のトリガー箇所をひと目で把握出来る256のボタンです。
仕込み寄りだけど即興性にも優れたバランスの良いモデルでしょうね。

・Antumbra ROT8



https://www.modulargrid.net/e/antumbra-rot8

CV:1
GATE:1
ステップ:8
クロック:INのみ
ランダム:あり
クオンタイズ:なし

SQ-1と同じ系統の8ステップシーケンサーです。
直感的な操作性に最も優れているのがこのタイプ。
これはDIY専用で基盤とパネルのみの販売ですが、
作ってくれるビルダーは国内にも居るので紹介しますよ。

・Mutable Instruments Marbles



https://www.modulargrid.net/e/mutable-instruments-marbles

CV:3
GATE:3
ステップ:8?
クロック:IN/OUT
ランダム:あり
クオンタイズ:あり

これはシーケンサーと言って良いのか、前記事の内容に近いCVジェネレーターなのか、
上手く分類できませんがとにかく大人気の不思議フレーズ製造機です。
CV/GATEランダムジェネレーターとスケールクオンタイザーが3系統あるよって説明で良いのかな?
簡単に言ってしまえば軽く設定するだけで何かイイ感じのGATEとCVを延々と吐き続けます。
「これとRingsさえあれば君もアンビエント・アーティストだ!」とモジュラー屋の店員もドヤってました。

○まとめ

何を鳴らしたいか、或いはどこを揺らしたいかによって自ずと欲しい機能が定まってくる筈です。
自分が今回購入したVARIGATE8+は非常に気に入ってますが、
CVトラックを使ったノートシーケンスをやるとなると横スライダーはどうもピンとこなかったっす。
やはり音程はDarkTimeのようにツマミ物にしたいですね。
またたくさんのパートを即興で操作するとなると
やはり機材任せで良い感じのフレーズを作ってくれるランダマイズ機能や、
Marblesのように勝手に色々やってくれるモジュールも欲しくなってくるでしょう。

何にせよ最初は写真を見ただけで各々の用途が分かりやすい物を選ぶとよいでしょう。