Torso S-4(ver.2.0)レビュー

一度Ver.1.xxの時に購入し「こんなんアンビエントしか出来ねぇじゃん!」と売っ払い、
その後に日本で代理店販売するようになり、Ver.2.0以降かなり機能強化されたのでまた買いました。

これほど短期間で買い直したのは初めてです。

改めて紹介するとTorso S-4は4トラックのサンプラー/ルーパーで、
トラックごとにグラニュラー含めて様々なエフェクターを積んでます。
グルボライクではありますがシーケンサーはありません。
大事な事なので重ねて言いますがシーケンサーついてませんよ。
シーケンサー欲しい人はDigitaktなりSP-404なりを買いましょう。

自分はこの「シーケンサーないよ」というのが気に入っていて、
その分シンプルなんですよね。ワークフローはELEKTRONによく似ていてとても整理されています。

◯デザイン



基本的なデザインは変わりないんですが、
Ver.1.の時とVer.2では表面処理に若干の変更があるようで、Ver.1では指紋が指の脂が付着して取れなかった。
埃も付きやすい。こういうミニマルなデザインでそれは致命的。
今回買ったVer,2では幾らかマシになっています。まぁ指紋付くけどVer.1時代よりはかなりマシ。
ちなみにT-1もマシな方だったんで、たぶんT-1と同じ仕様にしたのかな?

また電源ジャックも変更があったのか知らんけど、
Ver.1ではUSBトリガーケーブルを使った際に接触が悪く突然電源が落ちるってトラブルがありましたが、
Ver.2ではそんな事もなさそうです。

この辺公式が発表してる訳ではないので明確ではありません。

右上の8つのプッシュエンコーダーはチョット不安になるくらい弱そう。
各ボタンはソフトなパソコン用キーボードのような感触で心地よいです。
薄くコンパクトな割に重量はそれなりにある。

写真で見るとそれなりに高級感のある筐体ですね。
写真で見ればな。


これがS-4の現実です。汚い。
本来ボロい機材は大好きなんだけど、
このデザインでソレは萎えます。

◯ディスプレイ上のアニメーションが凄く良い

動画内のグラニュラーをはじめ、凄く凝ったアニメーション演出は
「分かりやすい」「掴みやすい」「コッチもやる気出る」と良い所づくめです。
 
ディスプレイはモノクロのように見えるけど、ちゃんとカラーです。
モジュレーションなど必要な時だけカラー表示されます。

ニクいね。ホント凝ってます。動画で見るなら。

 

◯シーケンサーはない。あくまでもルーパー。

Torsoでは別にT-1というシーケンサーを発売してるので、
「シーケンスしたかったらT-1使ってや」というスタンスです。
T-1とS-4で何が出来るかアタシにゃ想像つきませんが。
T-1も持っていた時期があるんですが、個人的にはこの組み合わせに魅力感じませんね。
T-1は画面無いのがシンドい。

シーケンサーがない代わりに力を入れているのがモジュレーション。
4トラックにしては豪華な、それでいて複雑怪奇なモジュレーション地獄を味わえます。


組み合わせた動画をよく観るけど、ナニが良いのかわかりません。

◯グローバルテンポ(マスターBPM)

プロジェクトごとにマスターBPMを設定して(或いは外部MIDI/クロックから)、
全てのサンプルがそこに準ずるようになります。
また、ファイル名に「XXXBPM または「XXXbpm」が含まれるサンプルをロードすると、
「XXX 値が TEMPOパラメータ値として自動的に割り当てられます。

◯外部入出力

本体には二つの出力と二つの入力端子がありラインからマイクまで対応します。
マイクは内蔵のものもありますし、外部USBインターフェースを接続することで入出力数を増設できます。

◯サンプルファイルの読み込み

USBマスストレージモードを使ってS-4を外付けドライブのように使えます。
ここも単純で分かりやすい。もちろんPCから作ったフォルダ反映されるので整理も楽ちんです。

configボタン→SYSTEM→USB MASSSTORAGEでパソコン上にフォルダが現れる。
その中のSAMPLEにガンガンぶっ込めばOK。

 

◯5つのデバイスページ

S-4では4つのトラックそれぞれにエフェクト群を固めた5つのグループで分けています。

・マテリアル

サンプル素材そのものに関するページですね。
サンプルのロードもここで行います。
サンプラーとしてのスタートポイント、オフセット、元サンプルのBPMなど設定します。
BPMはファイル名から判別させるか、手動で設定します。

・グラニュラー


みんな大好きグラニュラーエフェクト。
ほんとグラニュラーのアニメーションが見ていて楽しい。

・フィルター

はじめはLPFだけかと思ってたら高度な形を作れるフィルターです。

・カラー


オーバードライブ、コンプレッサー、ノイズなどなど。
Lo-Fiな音にするのもココで行います。

・スペース

ディレイとリバーブです。

 

◯モジュレーション


モジュレーションは4トラックとは別に独立しています。
各トラックと後述するシーン、パフォーマンス、ミックスビューに4つずつ設定できます。
それ聞いただけで頭がパンクしそうですが。

種類はWAVE(波形)、ランダム、エンベロープフォロワー、ADSRとあります。

◯シーン


シーンとは他の機材で言う「ソング」のようなもので、
時間軸に応じて各パラメーター設定からサンプルの種類まで変える事ができます。
「シーン1にはこのサンプル、シーン2ではサンプル変えたい」なんて要望にも応えてくれます。

◯パフォーマンス(マクロ

各パラメータ設定をまとめて変えたい時に使います。
8+4で12通りのマクロを組めます。

◯ミックス


各トラックの音量操作と、マスター出力&マスターコンプがあります。

◯tempボタン

本体右下のtempボタンが良い!
これは押したままパラメーターを変えていくと、
ボタンを離した瞬間に元通りになる機能です。
ライブでは大活躍しそうですね。

◯アンビエント特化なのか?

ver.1.xxの時に思ったのが「これアンビエントしか出来ねぇじゃん!」なんですが、
モジュレーション機能を駆使すればリズム物も面白く加工出来ます。
そもそもファクトリーサンプル内にもリズムたくさんありますしね。
ここは自分のTwitter投稿を見た人に平謝りです。

◯でも低域は痩せます

キックのループを入れたところ、音がショボくなる。
エフェクトを色々使っても解決しませんでした。
高域は申し分ないんだけど、低域がイマイチ。


◯Ver.2.0.1時点での致命的なバグ

前記事でも話したように、MIDIコンを繋げると挙動が不安定になり操作を受け付けません。
(もしかするとintech studioのPBF4がマズいだけなのかも)
個人的にはMIDIコン(フェーダー)ありきで購入しているので早く対策をして欲しいところ。
本体だけの操作であれば目立ったバグは見つかっておらず、
また外付けのオーディオインターフェイスも試してはいません。

◯引っかかるところ

・最初期版よりマシになったとは言え、やっぱり汚れやすい。
・8つのエンコーダーが弱そう壊れそう。
・まだまだバグが多くてMIDIコンとか使えない。
・エンコーダーでバイポーラーの数値をゼロにしたい時、細かすぎてイライラする。
(全部ゼロにしたい時はClearボタンで出来るけど)
・ドラムマシンの代わりにしたいところだけど、キックのような低温モリモリな音は出ない。
(パラメーター詰めていけば何とかなるかも)


やっぱり指紋つく。でもマシになった方。これでも。


MIDIコンが使えない。アプデ待ち。

◯1010 bentoと比べて


同じサンプラーとは言えだいぶ性格の違う機材なので両立は出来ます。
Bentoはピアノロールを備えた万能型サンプラー。S-4はあくまでも高機能ルーパーです。
また楽曲制作寄り(如何にDAWに近づけるか)のUIデザインをしてるbentoに対して
S-4はtempボタンやマクロ機能、tempボタンなどライブ寄りの考え方を持っています。

余談ですが、
観測範囲だと「生楽器経験のあるモジュラーシンセユーザー」にS-4が受け入れられています。
シーケンサーが無い〜シンプルそうって事だからでしょうかね?
確かにスタンドアロンのサンプラーって只でさえ覚える事多いしルーパーには馴染みがあるから、
って事なのかな?

S-4はグルボ派DAW派ではない電子楽器ユーザーに受け入れられてる気がします。

 

◯参考動画

他の方の動画なんですが、あまりにも秀逸だったのでリンク貼る事にします。

これはNTS-2から出るサイン波を元に「どこまで音楽らしく出来るか」というチャレンジ」
S-4の機能や魅力を存分に詰め込んだ動画だと思います。

こちらは「ぼんちゃん」という大阪在住の音楽家の方らしく、
かなり早くからS-4のレビューを書いています。

https://note.com/sasayakanarumono/n/n2d03eecc5a49

◯おすすめ出来る人

・ハイテクなルーパーが欲しい人
・サンプラー欲しいけどELEKTRONユーザーなどシーケンスは他所でやる人
(特にELEKTRONユーザーにはワークフローが似ているので取っ付き易いです)
・外付け機材に抵抗のないモジュラーシンセユーザー

 

◯まとめ

Ver.2.0になってから別物と言っても良いくらい進化したS-4。

個人的にはドラムマングラーとして理想に一番近く気に入ってます。
買うなら日本の代理店経由(いま国内なら普通に買える)が良いです。
中古は「国内代理店で買いました」と謳っているものがベスト。
Ver.1から2までのアプデは出来るけど、
エンコーダーがヤワだったり公開してない細かい修正が数多くあります。

今後のバグ修正やアプデを楽しみに待ってます。

 

 

 

 

 

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