小規模パーティの接客術

今でこそその役割をSNSに奪われてしまいましたが、
クラブ文化はアート、クリエイティブ、パフォーマンスの実験場であり、
職場や学校、社会や家庭からもあぶれてしまった人達の避難所であり、
金持ちも貧乏人も不良もオタクもゲイもノンケもクズもキチガイもブサイクも、
人は皆ミラーボールの下に平等かつ自由であるという理念を持っています。

現在のクラブシーンでは僕達の扱うハウスやテクノ、ヒップホップなどに加えて、
EDMやアニソン、ポップスが新しい世代のメインストリームとなっています。
好む好まないに関わらず現在のシーンを経済的に支えてくれているんですから無碍には扱えませんが、
僕らが培ってきた言語化しづらい技術がスッポリと抜けてしまっているケースがほとんどのようです。

その最たるポイントがクラブシーン最下層のパーティの空気。
90年代から浸透してきた個人主義が行き過ぎてしまったようで、
クラブ文化のユートピアであるお客と演者、お店との一体感すら失われてしまったように思えるんですよ。

○DJがこだわった「一体感」の正体

特にハウスDJは音楽を繋げる、DJとお客を繋げる、
お客同士、お客とお店を音楽的精神的、時には性的に繋げる事にこだわってきました。
その場にいる全ての人に「みんな繋がっている」という錯覚を作り出すのが理想でした。
なのでDJのパフォーマンスとは本人の技量だけによるものではなく、
それを支える土台からの影響が大きいのです。

パフォーマンスを形成する様々な要素と、パフォーマンスが与える影響の範囲を図にしてみました。



パフォーマンスを軸として演者も観客もその背後にある要素を深く見据える事によって、
クラブシーンが大切にしてきた「一体感」が生まれるんです。

DJは生楽器のミュージシャンに比べれば演奏技術の習得も比較的浅い努力で済むので、
単純な音楽性で言えば軽く見られがちではありますが、それは氷山の一角に過ぎません。
図のように音楽だけでは見えない部分の研究と開発を重ねてきました。
言うなればこの上下の三角形全てが「作品」なのです。

○SNS隆盛と共に忘れられてしまったクラブ文化の心意気

前述した「僕らの世代にはあって今の世代には無くなってしまったもの」とは、
端的に言ってしまえば「雰囲気」でしかありません。
しかし僕達はその「雰囲気」を創り上げる為に無い知恵を絞って切磋琢磨をしてきました。
これは時代の流れと共に変わっていくものですからある程度は仕方のない事でしょうが、
現在自分たちのパーティやイベントを盛り上げようとする皆さんにヒントの一つとなれば幸いです。

それが表題の「接客術」。
ノルマの有無に関わらず集客や宣伝はDJやパフォーマーの義務ではありますが、
集めるだけ集めて「釣った魚に餌はやらねぇ」じゃマズいですよね。
自分の為に来てくれた友達をお客として扱ってやり、
気持ちよく帰らせてあげるのがパーティスタッフの使命です。

ディスコ世代や生楽器のライブイベントに挟まれながら見出した僕達の秘訣もそこでした。
ナンパと下ネタに明け暮れた仲間同士で心理学やら女性の口説き方などの書籍を読み漁り、
自分たちのラッキーな体験をテクニックにまで昇華させていったのです。
これ僕の通ってきたハウスミュージックでは文化的にも音楽的にも密接な繋がりがあります。
「エモーショナル」「グルーヴ」なんて言葉にこだわるのは恐らくハウスDJだけでしょう。

そんなテクニックを自分自身が思い出す事を兼ねて皆さんに紹介していきます。

○演者は主役ではなく舞台装置の一つでしかない

ライブイベントや芝居などは演者と観客の立場がハッキリと別れていますが、
クラブはその境目が曖昧なのが大きな違いです。
演者は芸術家ではなく演出家として振る舞わなければいけません。
ライブパフォーマンスやDJプレイは花形ではあるけど主役ではない、というのが自分の認識です。
主役はお客さんでしょうか?それともお店でしょうか?それらも微妙に違います。
ここで言う所のパーティとは、これといった主役の居ない群像劇のようなものです。
主役、というか作品は雰囲気、場の空気といった曖昧なものなんですよ。

DJに限らずパフォーマーを志望する輩というのはいつの時代も我が強く自惚れも強いものですが、
一度は己を殺して黒子に徹する経験が必要になります。
若いうちは気づけない事なんですが、個性の強さと我の強さは似ているようで非なるものです。
若者どころか40になっても50になっても気づかないまま大人になってしまっている人達も沢山います。

なので自分が個性だと思っているものをとりあえず否定しましょう。
真の個性とは自分を殺せるところまで殺しきって絶望しないと見えないものです。
パフォーマンスの質もコミュニケーションのコツも、
自己否定から始まるってのがアタクシの持論です。

○コミュニケーション能力のキモは観察力

「コミュ力」「コミュ障」なんて言葉が流行りだして久しいのですが、
そういう言葉を使いたがる人に限ってコミュニケーションを正しく理解していないように思えます。
「正しい文法に沿った会話術」なんてのは二の次三の次。
コミュニケーションの基礎は言葉ではない「非言語コミュニケーション」です。
身振り手振りから姿勢、振る舞い、所作、視線、身体の緊張や弛緩などなど
人間は言葉を発する以前に沢山の情報を無意識に発信しています。
これをできるだけ多く感じ取るのが非言語コミュ上達の一歩目です。

一般的に男性より女性の方がコミュ力に長けているのもこの感じ取る能力が発達しているからで、
よく言われる「女の勘」で「男の嘘はすぐバレる」のもこの為です。

○言語化できない情報を汲み取る

これら非言語コミュは心理学でなら専門的に研究されていますが、
DJに限らずあらゆるパフォーマーにとって強力な武器になります。

これって別に学習しなくったって感覚的に捉える事はできるんですよ。
例えば音質の悪いクラブと良いクラブ、踊るお客が多いのは断然後者でしょ。
みんな知らなくても感じ取っているんです。
はたまた微妙なルックスなのに妙に色気のある男女っていますよね?
そういう人は大抵は所作や振る舞い方がスマートでエモーショナルな筈ですよ。

パフォーマーとしてそこを鍛えつつも、それを接客術に応用するには
まずプロファイリングの訓練をしましょう。
初対面の人を観察して年齢や職業を予測してみたり行動から性格を読み取ります。
ファッションから視線、人と話をするときの態度、一人でいる時の態度、
本人は気が付かないうちに沢山の情報を発信しています。
外れても構わないからとにかく観察を続ける事が大事です。

ただし注意して下さい、これは目的は違えどストーカー行為と同じ事です。
観察している事を相手に悟られてはいけないし、ネットでもリアルでも口にしてもいけません。
観察も予測も答え合わせも全て自分の中で完結させましょう。

○観察した成果の利用法

ある程度人を見る目を肥やす事が出来たら、
神様にでもなったつもりで自分の中で勝手にジャンル分けしてしまいます。
この人は○○系、あの人は△△系、○とXは相性が悪く、
△の魅力を活かすには□系の人が必要、、、とかね。

DJが曲を選ぶ時は時間軸に縛られますが、
人と人を繋げる場合はニーズとタイミングを読み取ればOK。
ちょっと練習すれば案外簡単なものですよ。

――
余談ではありますが、
「恋人が欲しいのに出会いが無い」と嘆く人はいつの時代も沢山いますよね。
こんな悩みごとも前述の理屈を応用すれば活路を拓けるかもしれません。
出会いが無い、と思い込んでいる人は自分自身のニーズが分かっていない場合がほとんど。
ニーズが分からなければ自分と釣り合う相手がどんな人なのかも分からないものです。
そこで異性の友達を多く作って、自分の同性の友達を紹介して引き合わせるんですよ。
最初は多人数同士の合コンでも良いですが、慣れてきたら1vs1に絞りましょう。
「コイツとあのコなら相性いいんじゃない?」というシュミレーションを重ねるんです。
それを繰り返すうちに自分自身の真のニーズがハッキリしてきます。
真のニーズを満たす為に要らない要素をどんどん切り捨てていくと、
自分と釣り合いの取れる相手が見えてくる筈です。
がんばってね~(他人事)
――

○オファーの絶えないプレイヤーはプレイ時以外の振る舞い方で決まる

パーティオーガナイザーは常に新しい人材を探してチャンスがあれば自分の元に引き抜こうとしますが、
狭いジャンルでもない限りはプレイのクオリティや音楽性など二の次です。
舞台から降りている時にオーディエンスに対してどういう振る舞いが出来るかをよく見ています。

話の面白い奴、ルックスのいい奴が重宝されるのは当然ですが、
そうでなくても当人の醸し出す雰囲気が周りに影響を与えられるレベルであるかどうか。
自分のキャラと役割を分かっているかどうか、そういう所に注意して観察します。

僕らの時代ですと、
自分の仲間として特に迎え入れたい人材は「飲食店アルバイトの経験者」でした。
若い頃に少しでも経験をしていれば、客あしらいから店内の移動に至るまで
スマートな振る舞いが身体に染み付いているからです。
こういう人が一人二人いるだけでスタッフ全体の雰囲気が締まります。

またそれとは対照的だけど酒場には付き物の、
「どうしようもない呑んだ暮れ」「やさぐれた奴」「自分の世界に浸り切って踊り狂う奴」
「天然ボケ」「色キチガイ」などなど空気の読めない人種も舞台装置としては有能なんすよね。

○店内におけるオペレーション

パーティスタッフはお店のスタッフとお客、お客同士の間に入って、
円滑なコミュニケーションが出来るように促してあげる必要があります。
己を殺して黒子に徹するのがベターなので無理して会話を繋げたり盛り上げたりはしなくても大丈夫。

基本的にスタッフは定位置を決めずに店内をウロウロするようにします。
座るな、とまでは言いませんがずっと同じ場所に居続けるのは辞めましょう。
酒場の空気が淀まないようにスタッフが意識して「流れ」「うねり」を作るんです。

そして要所要所でフロア全体を俯瞰で眺めて観察する事が大事です。
どのグループが盛り上がっているか、一人で暇そうにしている客はいないか、
お店のスタッフがテンパってないか、観察する事はたくさんあります。

○接客と意識させない接客

パーティやイベントにくるお客さんは友達が欲しいから来るんです。
別に恋人でもいいですしその晩だけのセックスの相手が欲しい、でも構いませんけど。
そのニーズを満たす為にはお客には「客とスタッフ」の境界線を意識させてはいけません。
敬語を使ったり丁寧なもてなしをする必要があるタイミングは、
そのお客が店に入ってきた瞬間と、店から出る瞬間だけです。
それ以外は基本フランクに、相手よりリラックスし相手より場の空気を楽しみましょう。

しかし客は客。自分たちの為にお金と時間を払ってくれて来ているので
敬語ではなく敬意をもって接しなければいけません。
じゃその敬意ってのをどうやって表現するのかと言うと、
先程の非言語コミュニケーションなんすよ。

沢山のテクニックがあるんですが1vs1のコミュニケーションで代表的なのを挙げていきます。

・上座と下座
食事の席などでよくいわれるマナーですが、
相手が上座にくるように誘導してやるのが大事です。

・左に立つか右に立つか
二人が横に並んだポジションの場合、
人間は心臓の側に立たれると緊張し、逆の場合は弛緩します。
原則的には相手をリラックスさせてあげる必要があるので、相手の右側に立つようにしましょう。

・人見知りしそうなタイプは正面に向かい合わない
初対面の相手に正面から対峙されると嫌が応にも緊張します。
こういう場合は少し角度をつけてL字の陣形になるように立ちましょう。

○お客のジャンル分け

新しいお客がお店に入ってきた瞬間に、その人がどんなタイプか見極める必要があります。
それによって自分が下手に謙ったり上手としてリードしたり使い分けていきましょう。
初対面かつ相手がどんな立場として来ているのか分からないので、第一声でそれを確認するんです。
「こんちはー!どなたかのお友達ですかー?」ってな具合にね。

・パーティ客
「告知を見てきました」「○○のプレイを見にきました」など、
パーティそのものを目当てに来てくれるホントの意味でのお客さん。
この場合はスタッフが軽くリードしてあげれば、後は勝手に楽しんでくれます。

・店客
パーティ内容は関係無しにお店にきた人。DJや他パーティのスタッフだったり、
コチラを視察する意味合いで来ているのかもしれません。
自分自身より店との付き合いが長いか短いかによって対応を変えていきます。
見分けるコツは相手がどれだけ店に慣れているかの緊張度。
自分より慣れている雰囲気なら下手に出ましょう。

・同業者
たまに他パーティのスタッフやオーガナイザーが視察目的で店に来ます。
自分もよくリサーチがてらに観察しにいきますし。
これも店客と同じで、相手が自分より上か下か瞬時に見極めましょう。

・スタッフの身内
スタッフの恋人だったり夫婦だったりと、友達以上の身内が来る事もありますよね。
一番扱いが難しく、味方につければ百人力、敵に回すと厄介な存在です。
ゲイやレズビアンの場合はネコとタチに置き換えて考えて下さい。
ノンケより遥かに嫉妬深い事が多いので要注意ですが。

・クラブ慣れしている男性スタッフの彼女
マウンティングではこちらが下手に出て、
パーティの「おかみさん」的ポジションに収まって貰うように仕向けちゃいましょう。
こういう女性を味方につけるだけでオペレーションが円滑になります。

・クラブ慣れしていない男性スタッフの彼女
彼氏以外のスタッフが積極的にケアをして場の空気に慣れてもらう事が最優先課題です。
本人的には自分の彼氏のそばにいないと落ち着かないんでしょうが、
あんまりベッタリされるとその彼氏の接客スキルがダダ下がりします。
戦争なんかで地雷踏んで死なない程度に負傷する兵士がいると、
それを助ける為に更に一人の兵士が戦えなくなるパターンと同じです。

・クラブ慣れしている女性スタッフの彼氏
彼氏彼女の空気を持ち込ませない為に出来るだけ離しましょう。
その彼氏を含めて男同士で盛り上がってしまえばOK。
女の子が入ってこれない話題(下ネタとか下ネタとか下ネタ)でバカ騒ぎするのが有効な対策です。

・クラブ慣れしていない女性スタッフの彼氏
こういう男は粘着質かつ束縛志向なので、別れさせてやるのが友達としての努めです(嘘)。
女性スタッフの精神的な成熟度にもよりますがこういう場合は大抵オンナの方がオトナなので、
その野郎は無視して構いません。その女性の面子の為に一応挨拶だけして、あとは放置。
ちょっと空気が悪くなるけど、次から来なくなるように仕向けましょう。

・パーティから排除すべき客

・鬱志向のメンヘラ
こんな音楽やっている輩は多かれ少なかれ精神的にチョットおかしい傾向があります。
ただコミュニケーションこそがパーティの醍醐味なのに、それを拒絶してしまう奴がいますよね。たまに。
目を見ればすぐに判別できます。あんまり目を見てると鬱が伝染るので気をつけてね。
こういう奴は座っている椅子のスペースすらもったいないので排除して下さい。

ただし、鬱志向ではなく躁志向のメンヘラは上手く手綱を引いてやれば
パーティの華として輝いてくれます。丁重にあつかってやりましょう。

・マウントおじさん
ここ数年で悪影響が発生した新種の困ったチャン。意識高い系も含めた広義でのDQN。
確かにコミュニケーションの要はマウンティングではありますが、
露骨に上か下かでしか対人関係を測れないオッサンはSNSだけでなくリアルでも居ます。
しかもクラブ黄金期の世代は既にオッサン化しているので、
僕もあなたも気が付かないうちにマウントおじさんになっている恐れがあるから怖いものです。

さてこのマウントおじさんの退治法ですが、
リアルでマウントをしたがるくらいだからSNSでは暴れまくっている事は簡単に想像できますよね。
場違いなほどマウンティング欲求が強い人は必ず若い頃からの劣等感を持ち続けている傾向があります。
なのでその劣等感を探し出して突いてやれば一撃で殺せます。
若い男性が劣等感を持つ点と言えばいつの時代も知力か暴力、あとはセックスですよね。
こちらの安全を確認した上で遠慮なく心の傷をエグってやりましょうフヒヒ。

また自分自身がマウントおじさんにならないように注意するコツは、
周りから(出来れば目下の相手からも)イジられる事に慣れておく事です。
言葉の節々にツッコミどころを配置しておいたり、
身内でDisり合うのも立派なトレーニングです。

※フィルタリング
いくら「誰でもWelcome!」と言ってもオーガナイザーの人としての器には限度があります。
これら「歓迎できない客」はSNSなどでパーティ本番以前にフィルタリングする事も可能です。
TwitterやFacebookなどでそういう連中が凹むような暴言を普段から吐いていれば、
おのずと向こうからブロックしてくれます。
貧乏人に来てほしくないのなら価格設定を高くしたり、
根の暗い奴が嫌ならチャラい演出を強調したり、
キモオタに来てほしくないのならスタッフのファッションをアップデートさせるのも手です。

・一般社会では煙たがられるけどパーティでは手厚く対応すべき客

・アッパーなメンヘラ
ロックシーンで言う所の「イカれた奴」です。パーティを盛り上げる華になってくれます。
躁が鬱にコロっと変わってしまう事も多々あるので、
長期的には精神衛生的に改善できるように促してあげましょうね。

・ヤリマン
ヤリマンは女神です。異論は認めません。
ハウスミュージックはみんなが繋がる(繋がる)のが理想郷です。
パーティ中で乳繰り合う輩が発生したら、それはオーガナイザーとしての演出の勝利です。
下品だぁ?馬鹿野郎それがハウスだ。カマトトぶってんじゃねぇよこのクソ童貞が。

でもコンドームは付けようね。
女の子も持ち歩くようにしたらいいよ。

・ファッショニスタ
常人の理解を超えるセンスですれ違う人が思わずギョッと振り返るような洋服廃人。
浮世離れした非日常の演出には強力な助っ人です。

○まとめ

音楽を媒介とする社交場がどんどん減っている現状で、
自分の居場所をどうやって守るのか皆さんにも考えて頂きたいと思います。
居場所を守り、場の空気を創造し、オーディエンスを馴染ませる、
それが土台になって初めて各々の音楽性や演奏技術が活きるものです。

【復活】マシンライブ・ワークショップ

西麻布bullet’sのクローズに伴い休止していた「マシンライブ・ワークショップ」ですが、
このたび「津田沼メディテラネオ」にて再開する事になりました!
正直な所こんなんヤラしてくれるハコはbullet’s以外に無いと思っていたんですけどね。
今回受け入れてもらえるメディテラには感謝の限りで御座いますよー。
津田沼って言うと都心からはチト離れているんで地理的には大丈夫かな?とは思いましたが、
それを補って余りあるバイタリティの強さをこのお店に感じています。

○パーティ概要



改めまして説明しますとですね、
電子楽器を主体としたライブプレイ、DAWによるトラックメイクに関わる
交流会、練習会、意見交換会などなど用途は多岐にわたります。
東京圏でも電子楽器コミュニティは色々ありますが、
当パーティの大きな特徴としては、

・音楽的にリーダーシップをとる人間がいないのでジャンルはバラバラ

ボク自身はDJで楽器経験は全くありませんし、
レギュラー陣にはキーボーディストやベーシストのバンドマン上がりから、
ビンテージシンセコレクター、音ゲー出身者などなど
育ってきた環境も目指す目標もバラバラなのが面白いところ。

全部ひっくるめて広義でのテクノ、と謳ってはいますが
シンセorサンプラー主体の音楽ならノイズから指ドラムまでなんでもOK。
むしろ僕らの知らない技術や文化を教えて欲しいくらいです。

・扱う機材はソフト/ハード問わず

iPhone/iPadやゲームボーイ、KORGもELEKTRONも、Reaktorからモジュラーシンセに至るまで
電子楽器の括りならなんでも受け入れます。
「ライブをしたい」「トラックを作りたい」などなど
明確な目標をお持ちの方であれば手ぶらだって構いません。
気になる機材をレギュラー陣が持っていれば存分に試奏して下さい。

※レギュラー陣の得意分野
モノシンセ/モジュラー&セミモジュラー/エレクトロン全般/歪み系ペダル
鍵盤付きVAシンセ/アシッドベース/ドラムマシン全般
電気工事/板金工作/電子工作/個人輸入

DAWはやっぱりAbletonが多数派、LOGIC神もいるよ。

・司会進行も先生もいないよ

ここはクラブ文化に則って基本的に放任主義、我の強い奴ほど得をする環境です。
自発的に楽しもう&学ぼうという意思が無ければ退屈だし苦痛です。

・特別企画

名物「ドラムマシン聴き比べ大会」を始めエフェクターやモノシンセなど
たまにテーマを決めて機材比較をしてみたり不要機材の売買/交換会などをする予定です。

○機材持ち込みの注意点

・持ち込み機材の管理は各自でお願いします。
・ヘッドフォンと電源タップ、機材に応じたケーブルを持参して下さい。
・複数の機材をお持ちの方は、ミキサーなどでステレオ1系統・フォンプラグにまとめて下さい。
・他人に機材を触られるのが嫌な方はNG。家でおとなしくしてて下さい。
・参加者が多数の場合はテーブルに並べ切れない場合があります。みんな仲良くしましょう。
・タバコ苦手な方はNG。メディテラは喫煙OKの飲食店です。気にされる方はご遠慮下さい。

○開催日時/参加費など

7/8(日)16時〜22時
8/12(日)16時〜22時

9月以降は第一日曜を予定しています。

エントランスフィーは2000円/3ドリンク

Facebookページも新設したのでチェックしておいて下さいね。
https://www.facebook.com/machineliveworkshop/

○津田沼メディテラネオについて

http://mediterra-casa.com/



「バーベキュー・レイブ・キッチン」の名の通り、串物料理がベラボーに美味い店です。
クラブやカフェで出てくるフードとは次元の違うクオリティ。
いやコレ普通に食事目的で来ても十分に満足出来ますよ!
腹は減らしといてなー。

そして個人的にツボにハマったのがDJやライブアクトの常連さん達のキャラの濃さ。
そりゃま都内にだってイカれたパフォーマーなんて沢山いるんだけれど、
ココの人達には音楽で人生こじらせちゃった人に有りがちな暗さが感じられないんですよ。
バイタリティに溢れポジティブかつ能天気。そして狂ってますw

ちなみに津田沼って千葉のどの辺よ!?とお嘆きの方、
案外アクセスは楽です。

秋葉原から35分、品川駅から40分、共に乗り換え無しで行けますよ。

○パーティの理想

電子楽器、という括りだけであらゆるベクトルのパフォーマーが相互に刺激し合える場を作るのが目標。
その為ネットでよく見かける「機材マウンティング」と「原理主義」を禁止し、
音楽志向的にはカオスなコミュニティにする為に特定のジャンルに偏らないよう注意します。

もしかすると苦手なジャンルのプレイヤーとカチ合ったりする事もあるでしょうが、
ここではまず相手の文化と経験を尊重して、出来れば吸収して頂きたいと思います。
嫌いな物を好きになれとは言いません。まずは尊重と敬意を払って、その上で存分に喧嘩して下さい。

何から手をつければ良いか分からない初心者も、
癖がついて手法がマンネリ化しているベテランも、
一緒に新天地を盛り上げていきましょう。

アートワークの作り方

最近は個人レーベルとして一人で自作曲をリリースできる環境が整ってきて、
わざわざ音楽性の合うレーベルを探さなくてもBANDCAMPや
国内ディストリビューターからリリースする人が増えてますね。

しかし個人でリリースするにあたって地味な悩みどころなのがアートワーク。
デザインの教育を受けた人や本職の人なら造作もない作業ですが、
未経験だとちょっと高いハードルに感じてしまいますよね。

かくいう自分のレーベルRUDELOOPSもほとんどのアートワークを自分で作っていますが、
グラフィックデザインの経験は無いですしイラレも我流なので初歩的な機能しか使えません。
強いて言うならトラックメイクをやる前に一時期写真に凝っていた時期がありまして、
その経験が活きているところはあります。
そこでデザイン経験の無い人のためのワートワークの作り方を紹介します。

○下準備1:コンセプトを出来るだけクッキリさせる

レーベル名、アーティスト名、曲名など作品にちなんだネーミングをしていると思いますが、
そのネーミングから連想できるイメージを出来るだけ具現化(言語化)できるようにしましょう。
自分で作る時もプロに頼む時もこのイメージ(大げさに言えば世界観)を、
音楽に興味のない人にも伝えられるくらいにする必要があります。

例:RUDELOOPS

「RUDE」はレゲエ用語で言う所のチンピラ/不良。
リリースする曲はテクノ/ハウスがほとんどだけど、
ヒネリを加える為にレゲエ用語から拝借しました。
「ルー」ド「ルー」プスと発音で韻を踏んでいるのはラッパーの価値観ですよね。

これは発足当時の拠点が東京神田のDJバーであり、
クラブ文化のメインストリームである渋谷以西に対する軽いアンチテーゼもあり、
集まるメンツもDTMどころかパソコンと縁の無さそうなガラの悪い連中だった事もあります。

ロゴデザインは本職のデザイナーに制作を頼み、
許可を取って更に別のデザイナーに「リミックス」を頼みました。
まがりなりにも世界の市場を相手にするんですから、
和風なイメージを取り入れたく、かつ下町特有のRUDE感を演出するのに
花札の「鶴と松」をモチーフにしています。
(ちなみに所属アーティストは全員花札なんてやった事ないですw)

※デザイナーへの頼み方

アートワーク一枚ならともかく、長く使うであろうロゴマークはプロに頼んだ方がずっといいです。
出来れば同じような音楽を嗜んでいる人がベター。DTMもDTPも両方できる人は沢山いますよ。
直接の知り合いに居なければTwitterなどSNSで探すといいでしょう。
大事なのはプロでもアマでもちゃんとお金を払う事と契約内容を口約束ではなくメールで確認する事。
慣れている人ならロゴ一つあたりの金額とリテイクの上限や納期など提示してくれます。

金額はどうでしょう?交渉次第なんですが、
RUDELOOPSの場合は最初のデザイナーに3万円、リミックスを依頼したデザイナーに1万円払っています。
自分の出せる金額に見合った技量の持ち主を探すのが大事ですね。
作例を沢山残したい学生さんを探すのも良いと思いますよ。

○下準備2:センスを磨こう



DJやDTMと全く同じで、良いデザインをしたいなら沢山のデザインを目に焼き付けておく必要があります。
ここで言うセンスとは才能ではなく感性という意味ですよ。センスのある無しではなく良いか悪いか、です。
センスの良し悪しはインプットした量に比例しますし、
技量や歴史に関する知識を得る事によって体系的に磨かれていきます。

iTunesやbeatportで人のアートワークを沢山観るのも良いですが、
オススメはTumblrやPinterestといった画像系SNSを眺める事を日課にする事です。
自分の場合はTumbleで「お洒落インテリア写真の垢」「タイポグラフィの垢」
「格好いいフォントを集めた垢」「イカすバイクや車の写真垢」
「古い建築やデザインの垢」などをフォローし、
とどめにグラビアアイドルやエロ写真のアカウントをフォローしています。

するとTLを流し見するだけで「アールデコ建築の写真」とオッパイ、
「モダンな文字組のお手本」と女子高生のスカート、
「SF映画のロボット」とガーターベルト、「芸術的アニメ作品の一コマ」と昭和のエロ広告、
そういったものを右脳に焼き付ける事が出来ますよ!

男なら合間合間にエロを挟むのが長続きさせるコツです!え?女?ごめん分かんないわー。
おれインテリアデザインの学校に行ってた頃からやってるから12,3年はほぼ毎日観てるなおっぱい。
自分の脳味噌を騙してしまうのがこの方法の狙いで、
ある程度の期間続けるとデザイン性の高い物を観るだけで興奮してきます。

○下準備3:写真を楽しもう

上記のような方法で沢山の良いデザイン作品を吸収した上で、自分でもアウトプットしてみましょう。
これはやっぱりインスタグラムがいいのかな?オレやってないけど。
別にちゃんとしたカメラを買う必要はありません。
シンセ沼より恐ろしいレンズ沼にハマるリスクが高いので気をつけましょう。

スペック的には今のスマホで本当に十分。
インスタグラムのように画角が正方形のモードで撮る事をオススメします。
ごく基本的な写真の撮り方をレクチャーしてくれる本を一冊くらい読んでみましょう。
自分で写真を撮る事で鍛えられるのが「構図」の感覚
構図を自由に操れるようになると、理屈じゃ伝えられない印象を伝える事ができるんですよ。

○実作業1:ソフトと素材を入手しよう

理想はAdobeのイラストレーター。
フォトショップでも出来ますがすでに慣れている人でなければイラレの方がいいです。
たまにセールやってるので15000円くらい/1年で買えます。
そんなカネかけらんないって人はイラレ系のフリーソフトを使って下さい。

それとは別に写真にエフェクトをかけるアプリがあるといいでしょう。
スマホアプリに多いんでこの作業までスマホでやってもいいんですが、
パソコン用のエフェクトアプリだと、
http://www.infinisys.co.jp/product/fxphotostudiopro/index.shtml(Macのみ)
https://snapseed.softonic.jp/(Mac/Win)
などがあります。
本格的なレタッチならフォトショップが必要ですが、
これらのエフェクトアプリの方が楽しく作業できます。

集める素材は写真やイラスト、フォントなど多岐にわたりますが、
必ず「著作権フリー」の物にしましょう。
音楽よりもウルサイ業界ですから気をつけて下さい。
アタシらカネにならなくても商用利用になりますよ。

例えばこんな所で色々と素材集めが出来ます。

http://photoshopvip.net/
https://www.dafont.com/
https://pixabay.com/
https://ja.pngtree.com/

○実作業2:ワークフローをテンプレ化しよう



心底デザインが好きな人でもない限り、地味な作業が辛く感じるものですよね。
なので一連の作業をマニュアル化してしまいます。

自分の場合だと

・素材集や自分で撮った写真を日頃からストックしておく
・エフェクトアプリで原型を留めないくらいにイジり倒す
・レーベルロゴや曲名を入れる枠をイラレのテンプレとして用意しておく
・フォントを選んで出来上がり

と、作業自体は10数分で終わってしまうようにしています。

ちなみにウチが契約しているディストリビューターの場合は
アートワークは「1500px四方」と決められています。
たぶん他所でも同じだと思うんで1500pxを基準に素材集めをしましょう。

それより小さい画像を引き伸ばすと粗くなってしまいますが、
エフェクトアプリで汚してしまったりします。
ちょうどディストーションで歪ませる要領ですね。

あと自分の場合は文字や枠の透明度を調節して
若干透かすようにしてます。
こうすると後ろの画像に馴染ませる事ができるんですよ。
はい。リバーブと同じですよね。

○実作業3:フォントで表情をつける



写真やイラストより重要なのがフォントです。
イラレにも大量のフォントがインストールされてますし、
フリーフォントも沢山転がってますから出来るだけストックしときましょう。

曲のイメージと画像のイメージとでバランスをとりつつ、
似合いそうなフォントを色々と試します。
テクノっぽいフォント、ハウスっぽいフォントなどなど
音楽のイメージに合った物を探すのは難しくないと思います。

○実作業4:レイアウトしよう


本職でDTPをやっている人は、
文字の間隔を手動で調整する「カーニング」という作業を必ずやっています。
また文字の大きさや配置などもデザイナーごとに経験と勘に基づいたルールがあります。
これは職人技なので理屈で説明できるものではないんですが、
触りくらいならググって勉強する事もできますし、
少しずつ意識すればそれなりに映えるレイアウトが出来るようになりますよ。

○まとめ

お気づきの方も多いとは思いますが、DTMとDTPって凄く似てるんですよ。
どちらも芸術家の領域に見えるけど実際は職人仕事でしょう。
こんなご時世ですから素人がタダで環境整えただけでもそれなりの物は作れちゃいます。
是非とも挑戦してみてください。

レーベル業務再開しました

機材廃人ブログとして名を馳せている当ブログですが、
もともとはレーベル活動の広報を担うべく立ち上げたものなんですよー。

ええ。

完全に忘れてましたがね。

そんなダメ運営で定評のある我がレーベルRUDELOOPSですが、
この度2年ぶりに新しいアーティストによるリリースが出来ました。

Techno Protocol EP / The Plese69



https://www.beatport.com/release/techno-protocol-ep/2288835

Tick Tock / Sachi K



https://www.beatport.com/release/tick-tock/2287413

2タイトル6曲どれもDJユースで使い勝手の良いテックハウスです!
ぜひ聴いてみてくださいな。

せっかく再始動したレーベル活動なので、
改めてトラックメイカーの皆さんの作品を募集します。

○RUDELOOPS募集要項

当レーベルのコンセプトとして出来るだけ敷居を低く、
気が向いた時にサクっとリリース出来るような体制をキープしています。

配信ストア:
beatport、TraxSource、JUNO、iTunes、Amazonなどなど。

https://www.beatport.com/label/rudeloops/41271
https://www.traxsource.com/label/18925/rudeloops

ジャンル:
テクノ/ハウスを中心としたアンダーグラウンド・ダンスミュージック。
DJユースであれば四つ打ちでなくとも構いませんよ。
ただしアンビエントやノイズ等、リズムの無いトラックはNGです。

配当:
レーベル売上の50%。
ただし発足から5年間のレーベル「総」売上が5000円にも満たない状況で、
beatportのストリーミングが始まると更に鈍化する見込み。
よって現実的には「全くお金にならない」と思っていて下さい。

手数料:
1タイトル1000円+1曲につき1000円
1曲だけ出したい時は2000円、10曲のアルバムなら11000円って計算です。
原則的に一度リリースしたものは半永久的にストアに残ります。

納品形式:
WAVファイル16bit/44.1kHzステレオ形式。
アートワークはこちらで制作しますが、
ご自身で作ったアートワークを使いたい場合はRUDELOOPSのロゴを隅に入れてもらいます。

専属契約ではありません:
アーティスト単位での契約ではなく楽曲単位での契約です。
他のレーベルに移行するのも戻るのも自由です。
但し同名同バージョンの曲の販売は控えて下さい。

プロモーションは自分でやってね:
運営も省力化がモットーなので、アタクシ何もしませんw
ご自身で売り込んで下さい。

以上を踏まえると、

・トラックメイク初心者や配信デビューしたい人
・たまにしか作らない気まぐれな人
・BANDCAMPとか面倒くさい人
・普段はちゃんとした所から出してるけど別名義でもやりたい人

そんな人がばっちりマッチすると思います。
Twitterアカウント/Facebookアカウントにて常時受付中です。
お気軽に連絡下さい。

Music Production CenterとしてのMPC LIVE(3)

MPCの連載を初めてからPVが1.5倍に膨れ上がり有り難い限りです。
だけどいわゆるMPCらしい使い方にはあんまり触れないと思います。
指ドラムやんないしヒップホップもやんないです。少しやってみたいけど。

改めて申し上げますとですね、
当連載では「PCレスで持ち歩けるスタンドアロンDAW」としてのMPCを紹介していこうと思ってます。
基本的に覚書なので間違った解釈をしている事もあるでしょう。
ジブンそもそもヒップホップでなければテクノでもないし、
やりたいのはハウスとダブなので輪をかけて参考にしづらいと思います。
どうぞご了承くださいましー。

前回はファイル構造とドラムプログラムの組み方を紹介しましたが、
今回は他のプログラムとトラックの関係について掘り下げてみようと思います。

◯MPCで言う「プログラム」とは


一般的な解釈のプログラムという単語とはニュアンスが微妙に違うようで、
MPCで言う「プログラム」とは各トラックに割り当てる機能の種類、という意味になります。
ちょうどELEKTRONで言う所の「マシン」と同じものでしょう。

・ドラムプログラム

最もシンプルで取っ掛かり易いプログラムですね。
主にドラムのようなワンショットサンプルを扱います。

・クリッププログラム

ドラムプログラムがワンショットなのに対し、
こちらはループサンプルを扱うプログラム。

・キーグループプログラム

こちらはベースやリードなど音階演奏が前提のサンプルを扱います。
MPCがPCMシンセになるって事です。
プリセットだけでなくAKAIや他ベンダーからも楽器のセットが販売されてますよ。

・MIDIプログラム

ここは外部音源を操る為のMIDIノートですね。
例えば仕込みの際はキーグループの仮音でフレーズを作り、
本番ではMIDIプログラムに変更して外部音源を鳴らす、という事は可能です。

※MPC-X専用のCVプログラムとソフトウェア専用のプラグインプログラムは割愛します。
あと「AUDIOトラック」に関してはまた今度。

カタい頭なもんで把握するのに時間がかかってしまったんですが、
前回の記事でのワンショットサンプルの割り当て作業は、
「数あるプログラムの中のドラムプログラムを利用した」だけに過ぎず、
トラックは更に上の概念だって事です。

◯パッドミュートとトラックミュート

ヒップホップではわかりませんが、四つ打ちのプレイだとミュートプレイは即興の要。
ミニマルだと1小節のパターンを抜き挿しによって5分でも10分でも引っ張るのはザラです。
始めは何故ミュート方法が2種類あるのか不思議に思ってましたが、
「各ドラムのミュートはパッドミュートで、ドラム以外のパートはトラックミュートで」
という解釈をすると掴みやすいです。もちろん幾らでも応用できます。
ちなみにトリガーミュートではなくオーディオミュートなので長い音を消す時は注意しなくちゃいけませんが、
ミュートのタイミングを音符や小節単位で設定する事ができます。

◯トラック構成の例

その辺を踏まえて仮にトラック用途のテンプレートを考えてみました。
下から1列目はドラム、2列目にベース、3列目に上モノ、4列目にその他、として、
ベースと上モノは短い音が左に、長い音を右に配置、右の三つは外部音源用のMIDIプログラムとしています。
本番中に出来るだけ画面を見なくても済むように、
また直感で配置を覚えやすいようにテンプレ化してしまうのがお勧めです。

◯アウトプットルーティング

MPCを単体で運用する時は意識しなくても良いんですが、
外部ミキサーと組み合わせて使う場合はルーティングを設定します。



たとえばこんな風に繋ぐと、特定のパートだけにエフェクトをリアルタイムでかける事が可能です。
こういうエフェクトとミキシング主体のプレイがレゲエから派生した「ダブ」。
MPCを使えばPCレスのダブ的なライブプレイが出来るんですよ。

これ、当然MPCの内部ミキサーと内部エフェクトでも十分できます。
だけどフェーダーとエフェクトをフィジカルに操るのがダブの醍醐味です。
また綺麗過ぎる音質を適度に荒らす目的もあります。

MPC LIVEは最大6系統のパラアウトが可能で、
最大128(ここでは16までとしてます)のトラックを6つのグループに分ける事が出来ます。
ルーティングの設定はMENUから[PAD MIXER]と[CHANNEL MIXER]で行いますが、
チャンネルミキサーはトラックだけでなくプログラム単位など複雑なルーティングが組めます。



ルーティングの設定は混乱しがちなんで、紙に書いて頭の中を整頓させた方がいいです。

◯まとめ

MPCをロジカルに扱いたい場合はこんな風に自分ルールを設定してテンプレ化してしまうのが近道です。
チュートリアルでは「デモを使ってみよう!」から「自分のサウンドセットを仕込んでみよう!」となる訳ですが、
このプロセスにクドい程の時間をかける事で応用の効くスキルが得られると思っています。

しかしここまでくると「もう素直にAbletonとかBITWIGでいいじゃんよ。。」と思われるでしょうね。
あるいは「指ドラムで叩きたいんだからそんな理屈はイラネーよ」と言う人もいるでしょう。
素直な人なら是非そうして下さい。ただこのギョーカイ素直じゃない事が最大の個性であり武器です。
自分も「OCTATRACKでやりたかったけどやり切れなかった事」に再挑戦している訳で、
これでダメなら諦めてパソコン使いますw

Music Production CenterとしてのMPC LIVE(2)

サンプラーの使い方をOCTATRACKで覚えてきた身にとってはナカナカ辛いMPCのインストラクション。
どうやらロジカルなELEKTRON(KORGもかな?)に対してフィジカルなMPCといった印象を受けますが、
MPCにだって当然あるロジカルな部分からELEKTRON流に紹介していきたいと思います。

MPCのチュートリアルは「とりあえずプリセットをロードして叩けや。」となりますが、
アタマの固い僕らにしてみれば「とりあえずナニからアサインしよっかな〜」
なんて迷っているうちに1日2日は軽くかかってしまいます。
ちょうどドラクエみたいなRPGで主人公の名前を決められず何日も過ごしてしまうタイプ。ですよね!
しかもMPCコイツはファイルの扱いがかなり不便なので「名前の入力」にあたる部分で相当手こずります。
「デモ音源からキック一つ割り合てて、それを削除して別のキックに差し替える」なんて作業が
初めて触る時には凄まじく面倒臭いんですよ。

セッカチな御仁ならこの段階でヤフオクの落札相場を調べてしまいますよね!

◯MPCのファイル構造

なのでとりあえずELEKTRON流にファイル構造から紹介していきたいと思います。
下の図はどっかのサイトにあったMPC TOUCHでのファイル構造の図ですが、
そのまま転載するのはサンプリング文化への冒涜な気がしたので(?)ちゃんと自分で描きました。



・いちばん大きな単位はOCTAと同じで「PROJECT」
・いちばん小さな単位はサンプル一つ一つを格納する各PAD。
・16×8パッド=128サンプルの集合が「PROGRAM」
・そのPROGRAMを格納する「TRACK」が1-128まであります。
・時間軸の単位が「SEQUENCE」。これも1-128まで。

ここで引っ掛かるのは「PROGRAM」「TRACK」の関係。
なぜ別の扱いかと言うとTRACKの用途によってドラムサンプルだったりインストゥルメントだったり、
はたまたMIDIだったりクリップ(ループサンプル)だったりするから、です。
更にはここで説明している「MIDIトラック」の他に「AUDIOトラック」なんてのもありますが、

なんか小難しいからこの辺は後で考えましょう!

ELEKTRON語に訳すと「PROGRAM=マシン」だと思えば良いんじゃないでしょか。
ワンショット主体になりそうだからFLEXマシンに近いと思います。
で、クリッププログラムはSTATICマシン、MIDIプログラムはMIDIマシンetc,
TRACKによって数種類からの機能を割り当てる事が出来て、その機能ごとに◯◯PROGRAMと呼んでいるって事です。
ほんとクソ面倒だよ。。。

SEQUENCEは他機種で言う所のパターンだと思ってOKかと。
1SEQの長さは何百小節でもイケそな雰囲気です。
この独特の言い回しがまた覚えづらい!
なんでもかんでもアルファベット3文字に略す北川景子の旦那みたいなELEKTRON語も厄介ですが、
素直にパターンって言えよ!とか思いません?

まぁこんな膨大なトラックとサンプルを一つのプロジェクトで使い切る事は無いと思いますが、
構造を把握しておく必要はあると思います。

◯ファイルブラウザの使い方

ここでELEKTRON流と言うかオレ様流のチュートリアルを自分で実践してみます。
ELEKTRONの場合は「プリセットは甘え」という事で
サンプルやシーケンスパターンも全部消しちゃってから望みますが、
MPC LIVEは質の良いプリセットが沢山あるので勿体無いです。
ただ数が膨大過ぎて好みの音を探すだけで萎えるので、今回は全く使わない事にします。

そこで、内蔵メモリ以外のストレージを用意してその中にサンプルファイルを格納しておきます。
今回は既に内蔵したSSDから手持ちのサンプル「TR-707セット」を仕込んでみます。

1,まずMPCのファイルブラウザを開き、左カラムで「Place」から、
その中の自前ストレージを選びます(ここでは「MPC_SSD」)。



左上にはフォルダ階層が表示され、上の階層に戻りたい時はフォルダマークをタップします。
右上に並んでるのはフォルダのショートカット。ショートカットを設定したい場合は、
該当するフォルダが開かれている時にSHIFTを押しながら1-5いずれかのフォルダマークをタップします。

2,「707セット」フォルダを開き、黄色で囲ったタブから「全サンプル」又は「全ファイル」を選ぶと、
各ドラムのワンショットサンプルが出てきます。
それを選択して右下の「LOAD」をタップすると「SAMPLE POOL」にロードできます。
サンプルプールとはストレージから各パッドに割り当てる際の一時的な置き場です。



※フォルダ内の全サンプルをロードしたい場合はこの画面から一つ上の階層に戻り、
フォルダを選択しつつSHIFTを押しながら「LOAD ALL」をタップします。

3.サンプルプールへのロードが済んだら左下の「SAMPLE ASSIGN」タブをタップし、
各パッドにサンプルを割り当てていきます。



このページでPAD BANKボタンからBANK AからHまで128個までのサンプルを割り当てる事ができます。

4,少し戸惑うのがアサインし終わった後のプログラムのセーブや名前の変更。



これはブラウザではなくメインページから行います。

◯注意点

・ストレージ内のファイル管理

ストレージの中で不要なサンプルを削除したい時は多々あると思いますが、
現時点では「複数のファイルを選択」する事ができないんです。
ファイルでもフォルダでも選択できるのは一つだけなので非常に不便。

・サンプルプールにロードする時

一度サンプルプールにロードしたサンプルは削除する事が出来ないようです。
コントローラーモード(PC画面)では右クリックから削除できるんですが、
スタンドアロンモードの時はどうも見つかりません。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
※追記と訂正
サンプルプールからサンプルの削除は本体で出来ました。
メニューからSAMPLE EDITページに言って、上段真ん中へんのゴミ箱をタップすると削除できます。



Twitterで「出来ねー!」って騒いでいたら教えて貰ってたの忘れてましたよ。
しっかし面倒臭ぇ。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

サンプルプールに何百もサンプルを入れてしまうと目当ての音を探すのが大変!
これがあるからデモ音源でのチュートリアルはお勧めできないんですよ。

この2点の対策としては今のところ、
MPC本体に移す前の段階できっちりフォルダ分けや不要ファイルの整理をしておくしかないようです。

ちなみにPC/Macでのサンプルファイルの管理はSONICWIREのMUTANTがお勧め。
http://sonicwire.com/news/special/howtouse_sp4
ぶっちゃけMPCソフトウェアのブラウザより使い易いです。

◯まとめ

今回はパッドへの割り当てまで。で勘弁して下さいw
恐らくはココさえ頑張れば後はめっちゃ楽しいMPCワールドを堪能できる筈です。筈です。はずです、よね?
MPC LIVEにしろXにしろ、このあたりのファイル管理が物凄くやりづらいのが大きな弱点です。
NI MASCHINEや他のDAWのファイルブラウザに慣れているとストレスが溜まりますねー。
OCTATRACKなど他のハードウェアサンプラーは構造が単純なんでまだマシなんですが、
ここはファームウェアのアプデで改善して欲しい所です。

Music Production CenterとしてのMPC LIVE(1)

ヒップホップ系トラックメイカーのド定番機材として名高いMPCシリーズ。
レコードから1小節をサンプリングしたり、
ドラムのワンショットを仕込んで指で叩くイメージが最も強いんですが、
本来MPCとは「Music Production Center(初期はMIDI Production Center)」の略で、
要は80年代末に開発された当時から現代のDAWに通じるコンセプトの製品だった事が伺えます。

最新機種のMPCLIVE/Xでは、
現代主流の革命的制作ツールであるAbeltonLiveを強く意識しているようで、
スタンドアローンでありながら膨大なトラックとシーケンスを仕込む事が出来る
ハードウェア派にとっては夢のようなデバイスであります。
つーかハードとソフトのいいトコどりって言うか、むしろ音楽専用タブレットPCって言うか、
電子楽器全般を見渡してもこれほどズルい機材はありません。

現在の日本のクラブ/トラックメイク界隈では
テクノ系の人とヒップホップ系の人とで畑が違いすぎて
当ブログを読んでくれてる皆さんもMPCを色眼鏡で観ているところがあるかもしれません。
なんでココでは「持ち歩けるスタンドアロンDAW」としてのMPCに
着目して紹介していきたいと思います。

◯コントロールハブとしての理想を満たせるか

OCTATRACKの連載でも同じ事を考えて取り組んでいましたが、
USB-A端子、二つのMIDI端子、膨大なトラック/パターン数からして
MPCでは他機材との連携をより深くする事が可能だと踏んでいます。



自宅ではPCや鍵盤と繋いでソフトウェアとして仕込み作業を行い、
ライブで各音源を鳴らしたり、もちろんMPC単体でもOK。
シンセサイザーで足りない音はサンプルとして録っておけばよいし、
オーディオトラックには長尺のアカペラを用意する事もできます。
正に21世紀のMusic Production Center!!!
ソフトとハードの垣根を超えたMPCだから可能になるワークフローになる筈です。

・・・筈なんです!w

できるかなぁ?

◯MPCでダブミキシング

とりあえずは以下のようなセットで望んでみようと思ってます。



MPCからパラアウトをしてミキサーのSEND/RETURNでディレイとリバーブを繋げるセット。
MPCには内部トラックのミキサー機能もエフェクターも充実してはいますが、
(Lo−Fi系のエフェクトもあるけどイマイチ効果がわからない)
やはり音質的に現代的過ぎるというかハードウェアの荒さはありません。
そこでアナログミキサーを通してミキシングとエフェクトに重点を置いたダブ的なプレイをしてみます。

OCTA時代に(別に手放す気は無いけどw)同じ事を試した事はあるけど、
どうしてもシーケンスが固すぎてダブではなくダブテクノになってしまうのが悩みでした。
レゲエ特有のだらしない感じが出来なかったんですよねー。
アタクシDJ遍歴としてはハウス以前にダンスホール・レゲエをやっていた事もあり、
煙たいドラムと大雑把なシーケンスが大好きだったりします。

レゲエ→ハウスDJからDTMを始めてテクノ寄りになり、
ここで一旦レゲエ/ダブを覚えようって肚です。
MPCなら可能だと踏んでますがどうなることやら。。

◯四つ打ち層から観たMPC LIVE

デモ動画やプリセット音源を観るとEDMやダブステ、テクノ/ハウスの音が多い事もあり、
どうもAKAIさんヒップホップ層よりもコッチ方面に勢力を伸ばしたい下心がミエミエですね。
お察しの通り自分もそこに引っ掛かって釣られた訳ですが、
今までの機材とはファイル構造やらの根本的な違いに愕然として心が折れそうですw

・トリガーキーが無いのは不安だったけど

四つ打ち層からしてみれば16個のトリガーキーが無いってのが物凄く不安になります。
またイメージからグリッドレコーディングが出来そうにないと勘違いしてましたしw
だけど16PADの打ち込み、いざやってみるとこれが凄く楽しいんですよ。
もちろんクオンタイズも出来るしステップシーケンスも出来ますよ。
だけどやっぱりMPCの醍醐味は指ドラム!食わず嫌いだったけれど、
今までシャッフルとかシーケンスの訛りにこだわっていたのが馬鹿馬鹿しくなるくらい。

・ファイル構造を理解するのに苦労する

OCTAの場合マニュアルの最初っからファイル構造についてのレクチャーがあり、
これが初見殺しと言われる所以でもあったけど、一旦OCTAの使い方が身に付いてしまうと
MPCの「とりあえず叩けや!四の五の言ってねぇで叩け!」というインストラクションにビビります。
そんで肝心のファイル構造についてはマニュアルに詳しく載ってません。。
幸い「MPC 使い方」とググれば丁寧に教えてくれるサイトが沢山あるんで助かりますが、
(MPC1000でもMPC TOUCHでも基本的な概念は同じ)
そこはAKAIさん本人にご説明して頂きたいところですよね。

・サンプルのアサインが面倒臭ぇマジ面倒臭ぇ

MPCでは各ストレージ→サンプルプール→各パッドとサンプルを割り当てていき、
組み合わせたものを「プログラム」という単位で保存する事が出来ます。
フォルダとファイルの扱い方がパソコンなどより不親切で、
「一つ上の階層に戻る」とか「要らないファイルを削除する」といった作業がわかりづらい。
「複数のファイルをまとめて選択する」事はできない。
更に「ファイル削除の度に確認ダイアログが出る」もんだから、
必要のないプリセットサンプルを消すのが本当に苦労します。
たぶん一度フォーマットして新しく入れ直した方が早いかも。

◯まとめ

昔2ちゃんのELEKTRON板に「MPCからOCTAに移行したけど難し過ぎてダメー」
なんて声がよくありましたが、
OCTAからMPCに移行する自分としては、コッチはコッチでハードル高すぎで困りますw

もうアレだ、文化の違いだよ。
ドラムマシンが基本になるハウス/テクノと違って、
ヒップホップはサンプルと生叩きの文化。
808/909/303でしか出せないグルーブがあれば、
MPCでしか出来ないグルーブもあります。
理屈では分かっているけどここから体得していくのも面白いかもしれません。

MPC LIVE vs OCTATRACK

今までOCTATRACKを中心にドラムマシンとシンセサイザーという構成でやってきましたが、
DAWのようなモダンなワークフローには程遠く(まぁそこがイイんだけどさ)、
ミニマルベースだけではなくもっと幅広いジャンルをやってみたくなりました。

で魔が差してmngしちゃったMPC LIVE。
もちろん自分はヒップホップ出身ではありませんが(まぁテクノでもないけど)、
OCTATRACK、KORG gadget、AnalogRYTMの用途を一つにまとめられるんじゃないかな?
と思って購入に至りました。

◯コンセプトの違い

どちらもMIDIシーケンサーやエフェクトを備えたサンプラーという点では同じで、
マシンライブ用途だと各音源を司るコア機材として有効に使えます。

この2台支持されるジャンルによって考え方が大きく違います。
一般的なイメージ通りMPCはヒップホップを中心にしたジャンルに、
OCTAはテクノ中心の曲作りが得意ではあります。
「じゃハウスは?」というとTR909や707あたりが多いけど、
初期のハウスはMPC60を好んで使うプロデューサーも多かったようです。

・基本的な打ち込み方法

OCTAは16個のトリガーキーを使ってのステップシーケンスが基本となり、
トリガーを置いた後に音程や他パラメーターを設定していきます。
シャッフル機能もあるしマイクロタイミングといって任意のトリガーを前後にずらす事も可能ですが、
正直メンドいんであまり使わないですね。

対してMPCは16個のパッドをリアルタイムで叩くのが基本。
いわゆる指ドラム動画を観ちゃうとリズム感に自信のない人は躊躇してしまいますが、
もちろん補助的な機能が備わっているしLIVEやXではピアノロールも使えます。

自分もリズム感には自信がないんで指ドラムでの打ち込みなんぞやるつもりは無かったんですが、
実際にやってみるとこれが楽しい!キックだけグリッド通りに置いといて、
ハットやタムは指で適当に叩いた方が味のあるリズムが簡単に組めるんですよ。

・ドラムのヒューマナイズ

ステップシーケンスと指ドラムと選ぶポイントとしては、
人が叩く生ドラムにどれだけ近づけたいか、によります。
テクノではグリッド通りのキッチリしたシーケンスが好まれますが、
ヒップホップやハウスでは多少なりとも生ドラムっぽさを求められます。

って事は当然トリガーキーより指でパッド叩く方が人間らしいドラミングになりますよね。
更に現行のMPCではシャッフルの他に「ヒューマナイズ」機能があって、
ピアノロールで打ち込んだドラムやフレーズでも好きなだけヘベレケにする事が可能です。

◯スペックの違い

画面の大きさ、トラック数、パターン長、ストレージ容量などなどなど
基本的なスペックからして格段にMPCの方が格段に上ではあります。

が、ここで敢えてMPCに対するOCTAのアドバンテージを挙げると、

・ルーティング自在の4chデジタルミキサーとして使える
MPCにもステレオ1系統の外部入力はありますが、
あくまでもサンプリングソースの入力が前提なんであんまり使い勝手はよくありません。
その辺OCTAはモノx4でもステレオx2でもイケるしゲイン幅も広くかなり有能です。

(過去記事)OCTATRACK Tips14「OCTATRACKでのミキシング」

・パラメータロックで緻密な音創りが可能
ここはELEKTRONのお家芸、
各トラックのステップごとに全てのパラメータを自由に変化させる事ができます。
要は音階だけでなくエフェクトやLFOもシーケンスできるんです。
1パターン最大64ステップ(通常なら4小節)までとMPCにくらべて短すぎる程ですが、
その分ホントに細かく作り込む事が可能です。

・OCTAはパフォーマンス向き、MPCはプロデューサー向き
生で叩く指ドラムを別にして考えると、OCTAの方が遥かにパフォーマンス性が高いです。
クロスフェーダーにはトラックごとのボリュームだけでなくエフェクトや
全てのパラメータを割り当てる事が可能だし、設定次第でメチャクチャなパフォーマンスができます。

MPCの方はいわゆる指ドラムのイメージが独り歩きしていますが、
そもそものネーミングが「MIDI(又はMUSIC)PRODUCTION CENTER」って事もあり、
80年代に登場した時から既に現代のDAWのような考え方を持った機材です。

・MPCのアドバンテージ
まだ買いたてホヤホヤでマニュアルと格闘している段階ではありますが、
基本スペック以外にもあるMPCの美味しいポイントを紹介します。

MIDI端子がIN/OUT二つずつついてる。
USB-A端子がついてるのでUSBメモリ、PC用のMIDIコンや鍵盤が利用可能。
サンプリングはホント楽。PHONO端子あるからタンテから直に録れる。
(当たり前だけど)パッドの叩き心地は最高。
AnalogRYTMなんて酷いもんです。使う必要ないけどさ。

逆にMPCのダメな所は、
ワークフローが一方通行で本物のDAWに比べるとUIや操作性の自由度が低すぎる。
ファイルの扱いが超メンドい。
4,5日いじってるけど未だプログラム(ELEKTRONで言う所のキット)を組めません。
タッチパネルはiPhone/iPadに比べると微妙。
MPCソフトウェアは単に画面がデカいだけで後は全く同じ操作性なんで、
期待する程のモンじゃなかった。

これはファームウェアの改善を期待するしかないですねー。

◯目的別でどっちか選ぶなら

・1台で完結したい、安上がりに済ませたい→MPC
・他音源をまとめたい→OCTA
・他音源をコントロールしたい→MPC
・シンセサイザー的な操作感→OCTA
・簡単にサンプリングしたい→MPC
・ミニマルやりたい→OCTA
・アカペラのせたい→MPC

音質ですか?
OCTAには独特のクセがあります。
MPCはクセが無くて寂しいw
クセが無いって意味では高音質なんですがね。

◯まとめ

MPC、「お前には似合わない」「どうせすぐ売るだろw」とからかわれてますが、
今までの機材では決して出来なかった事が一つだけあるんですよ。
それは「テクノ感の無いハウス」ができる事。
当ブログを読んでくれている方もリアルで遊んだりしている人達も
9割5分はテクノ出身の人でしょうが、
ジブン実はリスナーとしてはテクノを聴いた事がありません。
(DJとしてテクノを使う事は多々ありますが)
そして大変失礼ながら、
マシンライブを行うセンパイ方の演奏するハウスには、
自分の求めるハウスを感じる事ができないんですよ。
なんでシンセやドラムマシンを使いながら「ハウス感ってなんだろう?」と
悩みながらも教わる事が出来なかったんですよね。

テクノじゃないハウス→黒人ノリ?→ヒプホプ的な?
って事でMPCを選びましたが、さてさてどうなる事やら。
いずれちゃんとした「ヒプホプの人以外のMPC LIVEの使い方」でも書きますかね。

キレて手放すことがなければ、ね。

OCTATRACK Tips14「OCTATRACKでのミキシング」

一度手放したOCTAを1年ぶりに買い直した一番の理由がここで紹介するミキサー用途です。
OCTAには4つの入力端子と8つのトラックがありますが、
これを駆使すると超絶有能モバイルミキサーになります。
5段6段のゲイン/レベル調整、ノイズゲート、設定次第でバスとマスターにEQやコンプも入れられるから、
考えようによってはDAWでのミックスダウンに近い事が出来ます。
マシンライブ用途のミキサーとしては至れり尽くせりの機能満載マシンだったりするんです。

◯インプット

・ステレオx2でもモノラルx4でもイケるよ


THRUマシンのPLAYBACKページでAB/CDそれぞれのルーティングを設定できます。
トラックを4つ使ってABCD全部バラバラでも良いし、
ステレオとモノx2でもOK。

・エフェクトかけなくていいならトラック消費しなくていいよ



MIXERページに[DIR]と書かれている所がありますが、
ここでダイレクトにマスターに出力する音量を設定できます。
THRUマシンを使わなくても良いので、
外部音源で音量や音質を調整する必要がなければここから出してしまうのもアリ。

・ノイズゲートもあるよ



PROJECT→INPUTと選ぶとAB/CDそれぞれのノイズゲートを設定できます。
安いアナログシンセや古いマシンを使う時には助かりますよね。
あんまり強くかけると音に訛りがでちゃうので、
DAWに繋いだスペアナと自分の耳で適切な数値を決めましょう。

◯ゲイン/レベル調整ポイント

OCTAのゲイン/レベル調整ポイントは最大で7箇所まで設定できます。

・MIXERページのインプットゲイン



普段あまり意識しない所だけどここからゲイン調整してやります。

・トラックレベル



一番分かり易いポイントだけど、
ここはプレイ中でも微調整し易いようにデフォルトを100くらいに留めておいた方がよいです。

・THRUマシンのボリューム

MIXERページのゲインで稼げない場合に使っています。

・AMPページのボリューム



外部/内部音源に関わらず使える上に間違って触る事も少ないのでここも結構使えます。

・コンプレッサーのゲイン



それでも音量が足りない場合が稀にあるんですが、
その時はFX1かFX2にコンプを割り当ててゲインで稼ぎます。

・マスターレベル/マスターコンプ



OCTAをミキサーで使う場合はトラック8のマスター化をすると良いでしょう。
その場合はここで最終段の調整ができます。

◯ミキサー用途に有効なエフェクト

・イコライザー



イコライザーは通常の物とDJイコライザーとがありますが、
DJEQは主にブーストよりもカットを目的としたEQです。
こっちは性質的にシーンに割り当ててクロスフェーダーで操作する目的でしょう。
音質の調整という意味では普通のEQを使った方が良いですね。

・コンプレッサー



DAWのグラフィカルなコンプと違って耳で判断しなくちゃいけないので厄介ですが、
ほぼ全てのトラックに挿しています。
キックを前にだしてハットを後ろに引っ込める、なんてテクニックも可能。
自分も正直なところ苦手なエフェクトですが頑張ってマスターしましょう。

・スパチュライザー



DAWで言うところのステレオイメージャーやエンハンサーの効果があります。
モノラルをステレオっぽく拡げる事が出来るので金物ドラムや声ネタの調整で威力を発揮します。

◯出音を測定してみよう

よほど耳の肥えた人でない限りOCTA本体だけで音質の微調整をするのは難しいと思います。
自宅のスピーカーではアテにならない場合も多いですしね。
そこでOCTAのアウトプットからインターフェイスを介してDAWに入力し、
それを測定系プラグインで測ってみましょう。

・DAW


プラグインの使えるDAWなら何でも良いんですが、
StudioOneやCUBASEだと測定系プラグインが標準で豊富なようです。

・スペクトラムアナライザ



これもDAW標準のEQなどについているケースが多いですが、
単体のアナライザーなどもリリースされています。

・VUメーター


 

ハードウェア(?)として売っているのが一般的ですが、
ガチのミキシングではないのでプラグインで十分かと。
ちなみにこのメーターはフリーでWin/Mac対応。
凄く見やすいからお勧めです!
http://www.tb-software.com/TBProAudio/mvmeter2.html

・ラウドネスメーター



こちらは音量というか音圧ですね。
お手本にしたい既存曲の音圧をあらかじめ覚えておき、それを基準に調整します。

・フェイズメーター



ステレオ音源の音の拡がり具合を測定するものです。
スパチュライザーの効果を確認するのに必要。
もちろんパンで左右どちらかに振ったトラックの確認もコレで出来ます。

◯実例1:各機材のノイズチェック

先日のライブでは前のDJがかけている既存曲に対してロングミックスをしたんですが、
その時こちらのセットの音の悪さが露呈してテンション下がっちゃいました。
それで帰宅後にライブセットと全く同じ繋ぎ方でオーディオI/Fに接続し、
DAWのスペアナを立ち上げて測ってみる事にしました。

・マスターフィルター

最終段にVERMONAのDJ用フィルターをつないでいましたが、
薄々気付いていたけどコイツがかなりのノイズ源である事が発覚。
全体の音に悪影響を及ぼしてしまうので辞める事にしました。

・x0xb0x

自作のアナログ機材だからある程度は仕方ないとして、
時間が経つと共にノイズが大きくなる謎の現象がありました。
色々といじってみたところ内蔵のディレイが悪さをしてる事がわかり、
OFFにしてみたら問題ない

・analogRTYM

メインアウトは大した事ないんですが、パラアウトからのノイズが大きい。
しかしキックの分離が悪くなるのでパラ出しは譲れない。
って事でここはOCTA側のノイズゲートで対応する事にしました。

こんな風にOCTAの接続やミュートを利用すれば、どの機材がノイズ源になっているか簡単にわかります。

◯実例2:analogRYTMでのセッティング

RYTMからOCTAへの入力は二つとして
「BD/BTアウト」と「Main Left」からOCTAのINPUT A/Bに入れています。

・RYTMのセッティング

BTトラックにはベースタムの代わりにスネアがでるようにしてます。
RYTMのメインアウトは音の分離があんまり良くない(Mark1)ので、
単純にL/Rで出すのではなく「キックとスネア」と「その他」に分けるようにしてます。

自分の場合「その他」にあたる楽器はハットやクラップなど低域の要らない物がほとんどなんで、
RYTM側のハイパスフィルターでバッサリカットしちゃってます。

・OCTAのセッティング

キックとスネアをトラック1に、その他ドラムをトラック2にアサインします。
どちらもFX1にはコンプレッサーを割り当てて音量/音質の微調整をし、
トラック1にはリバーブ、トラック2にはスパチュライザーを入れています。

こうする事でキックとスネアが中心から前に出るようになり他のドラムは左右に広がるようになります。
DAWでのミックスダウンに比べれば出来る事は限られますが、
何もしないよりは遥かに良い音質になる筈です。
両方お持ちの方は是非試して下さい。

◯音圧上げはサンプル段階から

RYTMやOCTAでサンプルを使う場合はインストール前に音圧を確認しましょう。
というのも、流通しているサンプル音源はDAWでのミキシングを前提としているので
あらかじめ音圧を低く抑えているものも珍しくありません。
自分のケースでは「素のサンプルの音圧」より「RYTM/OCTAを通してPCに取り込んだ音圧」が
だいぶ下がっている事が確認出来ました。

なのでRYTMに取り込む前にリミッターやらマキシマイザーで音圧をガン上げしちゃいます。
このRMS値はご自身の耳で丁度いい所になるようにトライ&エラーを繰り返す必要があります。

◯まとめ

DAWでのミックスダウンを経験している人なら、こんな機能を備えているOCTAの凄さが実感できる筈です。
現場でもこのお陰でかなーり荷物を減らすことができますよ。

OCTATRACK Tips13「OCTA x BEATSTEP」

OCTATRACKを使っていると
「ミュートはFunction押しながらトラックキーおして、、」とか、
「キューはCue押しながらトラックキー押して、、」とか、
「キーボード出すにはクロマチックモードにして、、」とか、
まぁ色々と面倒くさいですよね!

そこで便利なのがMIDIコントローラーを使って専用スイッチを設定する訳ですが、
最近のMIDIコンはUSB端子しかついていないモノが多くOCTAには対応しません。
過去記事ではMIDIインターフェイスを用いてUSBのMIDIコンをつけたり、
OCTA専用に開発されたフェーダー型MIDIコンを買ってみたりしましたが、

もっと身近にデキる奴が居たんです。

それがARTURIA BEATSTEP。今の今まで忘れてました!


大きいPROバージョンの方はシーケンサーとしてモジュラーシンセユーザーを中心に売れていますが、
この無印Verもシーケンサー兼MIDIコンとして開発されています。
OUTだけだけどMIDI-DIN端子がついているってのがミソなんですよ!

コイツをステップシーケンサーとして考えた場合、
DIN端子がOUTしか無い為にMIDIスレーブになれず、BPM表示も無いから使い物にならねぇわな!
なーんて思って記憶から消えていたんですが、MIDIコン用途だったらオッケーじゃん!

更にはUSB-MIDIとDIN-MIDIを変換するコンバータで格安の物を購入していまして、
ソレを使えばシーケンサーとしても十分使えるのを確認しました。
もちろん他のELEKTRON製品にも応用できますよ。

◯MIDIコントローラーとしての利用

現行製品でCCの設定が出来て尚且つDIN端子がついているのは
(普通に楽器屋で売ってるのは)BEATSTEPシリーズのみだと思います。

・OCTAの設定


MIDI CHANNELセットアップページを開き「AUTO Ch」を設定します。
シンセに送るチャンネルとは別の番号が良いので、ここでは11番に。

パソコンとBEATSTEPを繋いだ状態で編集ソフト「MIDI Control Center」を立ち上げ、
左上のSYNCボタンを押して現在の設定を読み込みます。



[Project]タブ
・GlobalChannelとSequencerChannelをOCTAのAUTO chと同じ番号にします。

[ControllerMap]タブ

OCTAのマニュアル付録にあるMIDI CC割当表を見ながらマッピングします。
機能によってMIDIチャンネルを指定する必要がある物と無い物とがあります。
表の左側の「DEC」の値がCCナンバーです。

例1:MIDIトラック1のミュートON/OFFをパッド1に割り当てる

パッド1を選んで、

Mode:[Switched Control]
Option:[Toggle]
Channel:[Global]
CC Number:[112]

MIDIトラック2〜8に関してはCCナンバーを113〜119に設定します。

例2:トラックボリュームをノブ1-8に割り当てる

トラック1の場合ノブ1を選んで、

Mode:[Control]
Option:[Absolute]
Channel:[1]
CC Number:[7]

トラック2-8はChannnelを2-8に設定します。
LFOやFXのツマミも同じ要領で割り当てる事が出来ます。

◯シーケンサーとしての利用



ここではMIDIキーボードの代わりにシーケンサーを繋ぎ、
フレーズをOCTAに流し込む方法を紹介します。

必要なもの

・USB-DIN MIDIコンバータ

 

日本で普通に入手できるのはKENTONの「USB MIDI HOST」
ちょっとお高いけど持ってると重宝します。




今回自分が購入したのはイギリスの電子工作系ショップで売られていたコンバータ。
船賃込みで5000円くらいで入手できました。1週間で届いたよ。



http://www.hobbytronics.co.uk/usb-midi-converter

・MIDIスプリッタ

OCTAのMIIDIアウトをBEATSTEPとシンセサイザー両方に送る必要があるので、
スプリッタを介して繋ぎます。MIDI THRU端子でどうにかならんかと試したけどダメでした。

OneControlのMIDI JB/SPLITTERがお気に入り。電源要らず。
https://www.onecontrol.co.jp/products/minimal-series-pedal-board-midi-jb-splitter/

繋いだらOCTAのMIDI CHANNELメニューを呼び出し、
AUTO Chの番号とBEATSTEPのSEQ Chの番号を合わせます。
こうする事で選択したトラックをBEATSTEPで鳴らす事が出来ます。

後はBEATSTEPの「EXP SYNC」ボタンをONにした状態で
OCTAのライブレコーディングを始めれば、シーケンスフレーズをそのままレコーディング出来ます。
もちろんレコーディングせずともライブ中に選んだ音色だけをリアルタイムでシーケンス演奏、なんて事も可能です。

◯応用編・MIDIファイルをOCTAに読ませる方法



DAWで作ったフレーズや市販のMIDIファイルをOCTAにレコーディングしたい時ってありますよね。
この場合はDAWとOCTAをインターフェイスで繋いで直にレコーディングするしか手がありません。

ここで条件がありまして「MIDIスレーブになれるDAWでないとダメ」って事です。
Ableton Live、BITWIGならOK。他はMASCHINEもイケると思います。あと知らん。

これは何故かと言うと、
ELEKTRON製品のリアルタイムレコーディングの方法が
「REC押しながらPLAY」という同時押しだからなんですよ。
他社製品、例えばエレクトライブなんかは
「RECを押して録音待機状態にし、PLAYで録音スタート」という形の物が多いので、
普通にDAWをマスターにしてMIDIファイルを流せば良いんですが、
ELEKTRONだと「録音待機」という概念が無いからそうはいきません。

なので、
OCTAをマスターにしてトランスポーズ信号とクロック信号を送りつつ、
DAWからノートを受け取る、という方法をとる必要があります。

◯まとめ



もちろんPROでも同じ事が可能ですが、あれデカ過ぎだからね〜。
BEATSTEPは1万円チョイとお値段お手頃で買いやすいから一つ持ってると良いですよ。
あとOCTAに限らず他のELEKTRON製品にも使えますし、
MIDI CCを受けられる機材なら大抵の物にも流用できます。