リバーブ・ペダルの選び方

ドラムマシンやシンセに適したエフェクトペダルを選ぶのって難儀しますよね。
Youtubeに挙がっている動画はほとんどがギターのデモなんで(そりゃそうだけど)、
果たしてそのペダルがシンセに向いているのか判断しづらい所があります。
なおかつ入力インピーダンスの関係でギターには使えるけどライン入力に対応していなかったり、
はたまた建前上ダメだよと言ってるけど使えちゃう物も結構あります。

そこで当ブログではエフェクトペダルのレビューを積極的にしていきたいと思いますが、
何よりも先に買うべきなのはリバーブだと思っています!

○マシンライブにおけるリバーブの効能

元来リバーブとは制御された残響音で様々な空間を演出する、という目的があります。
DTMでは各々の音を馴染ませるのに活躍していますよね。
しかし積極的に活用する事で原音自体を変えてしまったり、
現実には有り得ない空間の演出が出来るリバーブもあります。

・原音の悪い癖を隠す事で高級感が増す

これが一番のお薦めな理由です。
安いシンセだと耳障りな倍音やノイズが混ざっていたりするものですが、
上手く誤魔化してくれるのがリバーブの効能です。
ある程度の高級リバーブになると、例えば5万円のシンセが15万円の音になりますw
逆に言えばイイ音がするなと思ったシンセにリバーブが繋がってたら、
騙されている事になります。ご注意を。

・世界観の演出が出来る

シマー系リバーブで神々しい演出をしてみたり、
ダーク系でホラー映画の効果音みたいな響きを再現してみたり、
聞き手の想像力を喚起させるリバーブも色々とあります。

○代表的なリバーブの種類

・ホールリバーブ/ルームリバーブ

最も基本的でトラックメイクでは一番多用するリバーブと言って差し支えないです。
部屋の残響をシュミレートしたもので、大抵のペダルに備わっている機能です。

・スプリングリバーブ

プレートリバーブの次に歴史が古いバネを使ったリバーブ。
60年台ロックの「テケテケテケテケ」やダブの「ピチャン!」はこのスプリングによるものです。
本物のバネを内蔵した物も、電子回路でバネ感を再現した物も入手可能。
ちなみにビンテージ物として有名なRoland RE-201はあんまりピチャピチャ言いませんので、
そこを期待するなら別のバネリバーブの方が良いです。

・シマーリバーブ

この中では新しい種類で2010年に発売されたStrymon BlueSkyが元相。
パイプオルガンのように原音よりオクターブの高い残響音を出す事で神々しい演出が可能。
ストリングスやパッドにかけると全員即昇天します。

・その他

ウォーミーなノイズとモジュレーションを加えたLoFiリバーブ、
シマー系の応用で重厚な残響音を出せるダークリバーブなど、
メーカーごとに多彩な機種が販売されています。

○リバーブペダルの繋ぎ方と使い方

通常のギター用途であればセッティングを出したら本番中に触る事はほとんど無い筈ですが、
マシンライブで使う際は卓上に置いて手で積極的にツマミをグリグリ回します。
なのでツマミの回し易さとパラメーターの分かりやすさが重要になってきます。

繋ぎ方あれこれ

・ドラム単体
パラアウトの出来るドラムマシンであれば気に入ったパートだけにリバーブをかける事が出来ます。
ダブでよくやるのがスネアにスプリングリバーブ。

・ドラム全体
パラアウトの出来ない機種でならドラム全体にかけてしまうのは如何でしょう?
プリディレイの短いリバーブを使ってドラムのアタック部分を溶かしてブレイクを作ったりします。

・ベースや上モノ単体
これが一番一般的な使い方でしょうが、
ディケイの短い残響を薄く乗せるだけで音の値段が跳ね上がります。

・マスターエフェクト
フィルターの付いた多機能ステレオリバーブなら最終段にかけてしまうのも大アリ。
ツマミ一つで曲の雰囲気をガラっと変えてしまう事も出来ます。

○チェックしたいスペック

・ライン対応かどうか

ギターと電子楽器の音量は桁違いなので、
本来ギター用に作られたペダルエフェクターは電子楽器を繋ぐ事自体が想定外です。
しかしミキサーのSEND/RETURNはラインレベルの信号なので、
ここに対応していればシンセでもOK、という判断が出来ます。
また「ライン無理だよ!」と謳っていても案外使えちゃう物も多いので、
やはり楽器屋さんで試させて貰うのが確実です。

ちなみに公式で全製品ライン対応しているメーカーは、
BOSS、TC electronic、Strymonなどがあります。

・ステレオかモノラルか

電子楽器はモノラル出力の方が少ないので、
出来ればステレオ入出力のあるペダルの方が良いですよね。
ちなみにStrymonのBlueSky(と、あのサイズのペダル全部)は、
ステレオ対応ではあるけど入力だけTRS端子になっているのでケーブルを用意する必要があります。

・MIXかSENDか

残響音の音量をコントロールするツマミは必ずありますが、
MIXかSENDかで性格が変わってきます。

MIX:原音と残響音の割合を決めるツマミ。原音をゼロにする事が出来る。
SEND:残響音をどれぐらい足すか決めるツマミ。原音は消せない。

・トーン

残響音の明るい/暗いをコントロールします。
高音には明るく、低音なら暗くしてやるのが通常ですが、
工夫次第で如何様にでもなります。

・ディケイ

残響の長さ。
シンセのディケイと同じで音の隙間を調整するのに役立ちます。
速いテンポなら短め、遅いテンポなら長めを基本にすると良いでしょう。

・プリディレイ

原音と残響音の間隔。比較的高級な機種でないと調整不可なようです。
短い(速い)と原音と混ざった音になり、
長い(遅い)とディレイのような効果が得られます。
アタックの強い音やドラムには短め、
ベースやパッドには長めが良いかと。

○予算別ペダルレビュー

ここでは自分が所有したもの、楽器屋さんで試奏したもの、借りて使ってみたものを
中心にレビューしていきます。
価格帯は主観的な実勢価格なので多少のズレはご了承下さい。

・1万5千円以下

TC electronic SkySurfer

¥6000で買えるTCの安ペダルシリーズにはリバーブが3種類ラインナップされていますが、
これはスタンダードなもの。プリディレイが短いのでドラム用途によく使ってます。



TC electronic Drip

同じくTC安ペダルのスプリングリバーブ。
肝心のピチャピチャ音はスイートスポットがやや狭いので要注意。
それでも扱い易いツマミのお陰で活躍します。


BOSS RV-6

ギタリストにはド定番のスタンダード・リバーブ。
ですがマシンライブ用途となるとツマミが回しづらいのがネック。
スプリング(ちょっと弱い)やシマー(アクが強くてわざとらしい)など一通りの機能が揃っているので、
あまりツマミを回さない人にはコスパ良好なペダルです。


DanElectro SpringKing

1万チョイで買える本物のバネを使ったスプリングリバーブ。
ピチャピチャ音は最強ですし、ブッ叩くとガッシャーン!って「あの音」がします。本物ですから。
若干音が痩せてしまうのでオーバードライブと組み合わせると良いです。
YouTube Preview Image

・1万5千円〜3万円

TC electronic Hole of Fame

TC版のスタンダードリバーブ。ツマミも大きくステレオ入出力で多機能なので、
迷ったらコレにすると良いです。


TC electronic T2

こちらは飛び道具的なリバーブがテンコ盛りの変態リバーブ。
このお値段でお手軽に亜空間を作れます。
ただ癖が強いのでリバーブ初心者には向かないかも。


ELECTRO-HARMONIX Cathedral

比較的古い機種ですが抜群の音質を誇る高級機。
大抵の人はこれで十分に満足できる筈です。


Walrus Audio FATHOM

恐らくこの中で最も新しい製品で、最新鋭のアルゴリズムが備わっています。
特にシマー系がRV-6より自然で、かつStrymonより深くかかってくれました。
コンパクトサイズでシマーが欲しいのなら是非試奏を。


Caroline Guitar Company meteore

買いました。今一番気に入ってるペダルです。
普通リバーブの残響音って冷たい印象を与えるんですが、
このLoFiリバーブはウォーミーな残響音を出してくれます。
例えるならテープエコーならぬテープリバーブ(?)
プリディレイが長めなのでディレイ的にも使える一方、ドラムには向いていません。
ベースに最高っすね。あとリバーブの癖に発振します。



death by audio REVERBERATION MACHINE

メテオラと迷ったのがコレ。
リバーブ+ファズの極悪ペダルです。パネルデザインが好み。
アシッドベースにならコレ最適なんじゃないかな?

・3万円〜5万円

strymon bluesky

史上初のシマーリバーブとして、シンセと相性の良い高級リバーブとして大人気の機種。
大人気だったので中古市場にもチラホラと出てきます。
派手な演出は出来ないものの音質の良さは抜群。
「原音の値段を吊り上げる」という意味では最もリーズナブルな機種でもあります。


BENIDUB Spring Amp

これも本物のバネを使うスプリングリバーブですが、
バネは外付けで別売りです。
外付けって事は色んなバネを試して遊べるので楽しいですよ。
ガチでダブやりたいならBENIDUBはマストブランド。


・5万円以上
(アタクシ耳が貧乏なので多くは語れません。どれ買ってもスゲぇっす語呂力なくてスンマセン)

Eventide Space

自分が触ってきた中で最強のリバーブ。
有名な「BLACK HOLE」プリセットを始め、多彩というか多彩過ぎて大変な機種です。
そもそもプリセットの名前が有名になってしまう時点で諸々お察し下さい。
演出出来る空間が現実離れして亜空間とか異次元とか地獄とかもイケます。


strymon BigSky

高品質のbluskyに多機能を加えた上位機種。
プリセットが自由に設定できるのが良いですね。
EVENTIDEが悪魔ならコチラは天使のリバーブ。


Empress effect Reverb


Strymonより幅広く、Spaceほど難しくないという印象です。
性質的にも両者の中間をいってる雰囲気があります。
うーん、なんかスゲーって感じ(鼻ホジ)


○まとめ

安物は安物で使いどころを押さえれば絶妙な効果を得られますし、
投資に見合った音質を得られる高級機もお薦めです。
他のエフェクトはともかく、リバーブだけは5万出しても後悔しません。
新しいシンセを増やすよりも効果的かもしれませんよ。

インプロヴァイス・プレイのすすめ

楽器の演奏においてアドリブや即興演奏の事を「インプロヴァイス」と言いますが、
近年の電子楽器ライブにおける大きなキーワードになっているのは皆さんもご存知の通り。

電子楽器におけるインプロヴァイスなプレイとは、
音色のプリセット登録やパターン登録をせずにブッツケ本番でライブプレイをする手法です。
モジュラーシンセなどは必然的にインプロになる事がほとんどだろうし、
本来ならキッチリ仕込めるグルーブボックスでも敢えてまっさらな状態から始める人も珍しくないです。

パフォーマンス性の高いプレイが出来る事が大きなメリットで、
DJのように本番中でもオーディエンスの雰囲気を読みながら構成を変えていく事だって可能です。

それに対して旧来の打ち込みと同じように音色を作ってパターンを仕込みソングを組んだ物を
シーケンサーに演奏させる方法も根強い支持があります。
こちらを当ブログでは「コンストラクション(建築的・構造的)スタイル」と呼んでいます。
一般的に周知されている言葉ではないけれど、
丁度良いインプロの対義語が見つからないので勝手に定義します。

こちらのメリットは納得がいくまでクオリティの高い作り込みが出来る、
オリジナリティの高い楽曲制作に直結させ易い事が挙げられます。

○コンスト=マゾ、インプロ=サド

完全に振り切れている人は少ないものの、人は誰でも性癖がS寄りかM寄りかに分かれます。
しかもある程度オトナにならないと自分の本当の志向なんて分からないものでして、
Sだと思いこんでいたけど実はMだった、何だかんだ言ってSMどちらも楽しめる、
己の性癖の探求は加齢で精力が枯渇しても終わらないものです。

マシンライブのスキルはM的な論理思考、S的なパフォーマンス力と両方求められますが、
自分がどちら寄りの性質か見極め、壁にぶつかったら反対の志向を試してみる必要があります。
DTM出身ならコンストラクション、生楽器出身ならインプロヴァイスが向いているように思えます。
DJ出身の自分は正直よくわかりませんw

○仕込み作業が苦手な人におすすめ

通常、一般的なグルーブボックスを導入してマニュアル通りに演奏をすると
必然的にコンストラクション・スタイルになりますが、
それでライブをやろうとしても挫折してしまう大きな要因に、
「仕込みが面倒臭ぇチョー面倒臭ぇ」というのがあります。
正確には、
「どこまで仕込めば良いのかわからないので延々と試行錯誤にハマってしまう」
って事じゃないでしょうかね。
完璧主義傾向の強い人や責任感の強い人が陥りやすい罠です。

これね、DAW出身で尚かつ仕込みが苦にならない人には全然共感してもらえないんですが、
生楽器出身だったり根がモノグサな凡人にはけっこう苦痛なんですよw
この苦行をスルー出来るのがインプロヴァイス志向の隠れた利点じゃないでしょうか。

○インプロヴァイス・プレイの具体例

・シンセサイズ



音階ではなく音色に変化をつけて展開を作っていく電子楽器特有の演奏方法。
TB-303に端を発するアシッドベースが一番馴染みのあるインプロ・シンセサイズですよね。
フィルターとレゾナンスの開閉をリアルタイムで行うアシッド的シンセサイズ、
VCAのディケイを一瞬伸ばしてフックを作る、
フィルターにかかったLFOスピードを変えて作るワブルベース、
これらのツマミ芸は全てインプロ・シンセサイズと言えます。

・ミュート




これはいわゆる「抜き差し」ですね。
ジャンルや本人の音楽志向によって「足し算の音楽」と「引き算の音楽」とがありますが、
ミュートプレイを多用するのは後者にあたります。分かりやすいところでは「キック抜き」。
ゴツい低音がヒュッと消える瞬間の浮遊感はフロアで体験すると病みつきです。
他には展開に応じてハイハットを挿入すると同じBPMなのに疾走感が増したりします。

・シーケンス



他のポイントよりも大きく差が開くのがシーケンスの即興。
SQ-1のようなツマミ型ステップ・シーケンサーはインプロ専用ですし、
そうでなくともパターンレコーディングをONにした状態で
空パターンからトリガーを重ねていくのもインプロ・シーケンスの範疇に入ります。
(monotribeのリボンシーケンサーでコレやんのが気持ちイイのよね)

この際「キーの設定が出来る」「パターンリコールが出来る」機種だと
ライブプレイにおいて非常に有利です。
SQ-1もC固定ではあるけど(メジャー/マイナー選択可)乱暴にツマミをいじっても
破綻したフレーズにはならないので便利ですよ。

パターンリコールとはあらかじめセーブしてあるパターンに一瞬で戻す機能で、
トリガーをガチャガチャ増やして音数を密にしていき、
ここぞ!のポイントでチャラ(元パターン)にする手法が出来ます。
元になるパターンは最低限のシンプルな打ち込みでも、完全な空でも良いと思います。
ドラムマシンでコレやると凄く楽しいっすよ。

・マスターエフェクト



マスターエフェクトとは出音の最終段、
ミキサーの先にエフェクターを通して全体の音色をそのエフェクトに支配させる手法です。
最近みんながこぞって使うのがパイオニアのDJ用マルチエフェクター。
KORGのカオスパッドも根強い人気があります。
これらのエフェクトをマスターに挿すとパフォーマンス性がグッと上がりますが、
安物では音質自体が下がるし高級品でも平坦な音になってしまう事に留意しておいて下さい。

出音の相性が悪い機材を馴染ませるという意味でも有効な手段ですが、
逆に言えば個々の味を殺してしまう事にも。
例えばアナログのドラムとモノシンセなんかは、
その美味しい粗の部分が削れて平坦な音になるケースが多々あります。
楽曲制作ならいいんですけどね、ライブではその音が揃わない違和感も良いスパイスです。

別にマルチでなくってもペダルでも良いんです。
ただ相応の高級品を使わないと音が悪くて聴けたもんじゃないですけど。
単体エフェクトでマスターに挿して使いやすいのはリバーブとフィルター。
フィルターもしくはアイソレーターはハウス勢が好んで使います。

○インプロヴァイス・プレイのデメリット

・個性を出しづらい

テクノでもノイズでもモノシンセに頼る事が多くなってくるので、
他プレイヤーとの差別化が難しいという現実的な難点があります。

要は傍から観りゃみんな同じに思えちゃうんですよ。

オーディエンスから観れば出てる音がvolcaだろうとDaveSmithだろうとどうでもいい事だし、
パッチケーブルだらけのモジュラーシンセの人達もこのジレンマにハマり易いようで、
そんなのが何人も連なるライブイベントなんて、お客にとっちゃ苦行でしかないですw
まぁそれはプレイヤーではなくオーガナイザーの責任ですけどね。
ただイベント全体を通してお客を飽きさせないようにする工夫は、
プレイヤー個人にも出来る事が少なくありません。

こんなジレンマから脱却するには、
より個性の強い音を出す機材を探すか、
より難易度の高い機能をプレイに取り入れるしかないようです。

・熟練度が増す程に機材の味が顕著に出る

これはもうグルボの宿命かもしれませんが、
手に馴染む事を優先して機材選びをすると同じメーカーで揃えたくなり、
使い込めば使い込むほどにそのメーカーのカラーに染まっていきます。
KORGならKORG、ELEKTRONならELEKTRONの販促員のようなプレイになります。
ここを避けるには飛び道具を使ったり安機材でハズしたりして違和感を演出するのが良いでしょう。

○インプロプレイに適した機材

シンプルな機能で全ての操作子がパネルに出ている物が適しています。
ページ切り替えがあったり階層の深いファームウェアの物は難易度が格段に上がります。
シンセやシーケンサーならモノフォニックだったり、
シフトキーを使った副次的操作に頼らずに済む物とか、
エフェクターならツマミの大きなものがお薦め。

シンセサイザー

・アナログモノシンセ全般
全ての操作子が表面に出ていて、階層が無いものが最も適しています。

シーケンサー

・KORG SQ-1

手頃な値段で買えるステップシーケンサーとして人気のあるSQ-1。
アナログモノシンセとの相性は抜群ですが、
生楽器系のPCMやソフト音源を鳴らすと凄く新鮮です。
ピアノ音源でスティーブ・ライヒごっこも出来ます。

・KORG monotribe

(過去記事:monotribeレビュー)

シンセx1ドラムx3のアナログシンセ+ドラム+シーケンサー名機。
独自のリボンシーケンサーが非常に面白く、試奏するだけで病みつきになります。
次に紹介するDFAMもそうですが、ルーパーと組み合わせると面白そう。
中古市場にたまーに出てくるくらいになってしまいましたが、
欲しい人は即食いつきましょう。

・MOOG DFAM

(過去記事:DFAMレビュー)


前回の記事でレビューしたDFAMもインプロ専用機として主役を張れます。
8ステップのピッチとベロシティをツマミで操作するフレーズは唯一無二のグルーヴを生み出します。
用途としてはmonotribeに似ていますが、
こちらの方が音の可変域が広く同じ音色を二度と再現出来ないんじゃないかって位。
それでいて名門MOOGの大らかさがあり極端な出音にならず絶妙なシンセサイズが可能です。

・Artruia BEATSTEP PRO

MIDI、CV/GATE、TRIGGERまで対応した万能シーケンサー。
ノート2トラック、ドラム16トラックのシーケンスが出来ます。

ドラムマシン

・Roland TR-8/8S

インプロプレイを世に知らしめた名機と言っても過言ではないでしょう。
可搬性より操作性を優先した大柄な筐体は即興演奏でも安心感がありますし、
何より各パートに設けられた縦フェーダーでフレキシブルな抜き挿しが必殺技。

・Arturia DRUMBLUTE/IMPACT

(過去記事:DRUMBLUTE IMPACTレビュー)

こちらもTR-8に匹敵する使いやすさ、分かりやすさで人気があります。
下段に並んだパッドで指ドラムも出来るし(BEATSTEPも)、
パターンシーケンサーもライブプレイを考え尽くした構成と機能が備わっています。

エフェクター

・Pioneer RMX-500

「ザ・チートエフェクター」として
マシンライブ界隈でもエラい勢いで普及しています。
触った事ないからよくわからんけど。

・KORG KAOSSPAD

KORGのお家芸カオスパッドも根強い人気がありますよね。

ミキサー

・DJミキサー全般

サンプラー

・OCTATRACK

操作は難解ですが覚えてしまえば最強のマルチエフェクト付きのサンプラー兼デジタルミキサー。
8トラック全てをルーパーにしてしまうとか、
そのルーパーで録音したループをリアルタイムで刻んだりして大変な事になります。

○まとめ

今までは機材の機能をキッチリ使いこなさないとインプロなんて無理!と勝手に思っていましたが、
実はコッチの方が楽に習得出来るような気がしてタマりません。
前記事で紹介したDRUMBLUTEとDFAMとの出会いが非常に大きく、
「もうこの2台だけでいいんじゃない?」くらいに思ってきてます。
(もちろん思ってるだけなんですがね)
従来のコンストラクション系スキルで壁にぶつかっている方なら、
一度アタマをまっさらにしてインプロに臨んでみるのも悪くないですよ。

MOOG DFAMレビュー

どんなジャンルでもスペックからは読み取れない魅力を放つプロダクトってありまして、
例えばクルマや腕時計などの舶来物でそういうモノ作りが得意な名門ブランドがありますよね。
シンセサイザーでの名門と言えばMOOGとDaveSmithあたりが二大巨頭でしょうか。
DaveSmithはポルシェのような気難しさとセクシーさを、
MOOGにはシボレーあたりのアメリカン・マッスルカーのような大らかさを感じています。
モノシンセも色々と渡り歩いてきましたが、
DRIFTBOXはもちろんMINIBRUTEでさえピーキーに感じてしまう自分には
誰がどういじってもそれなりの音が出てくれるMOOGの方が性に合っているようで、
半年ほど前にMother32を、先日DFAMを導入しました。

○Motherシリーズの特徴



MOOGの廉価版ラインナップとして発売されているセミモジュラーシンセ。
ユーロラック/スタンドアロンどちらでも使える設計が最大の特徴で、
絶妙なトルク感で回し心地の良いツマミなど所有欲を存分に満たしてくれる質感があります。
現在はMother32とDFAMの2種類ですが「Subharmonicon」という第3弾も控えているようです。



Motherの方は半年ほど使っていますが音色から何から全てが絶妙。
ほんと絶妙以外の言葉が出なくてレビューになりませんわw
よく比較対象に挙げられるベース専用機MINITAURほどの個性はないものの、
(MOOGの中では)オーソドックスにまとめられた優等生ですね。
音作りもし易くて初めてのモノシンセに最適。
ベースなんかに使うと他の機材と鳴らしてもDAWに落とし込んでも
浮かないし埋もれない使いやすい音になってくれます。

○ドラムマシンの始祖?

優等生のMotherに対して変わり種の変態モノシンセが欲しくなり、
かといってピーキーなのは苦手なので同シリーズのDFAMに目をつけました。
ドラムマシンというよりは「シーケンサー付きのパーカッションシンセ」。
パーカッション的な短い音に特化したアナログモノシンセです。

同時発音数は当然ひとつだけ、普通のドラムマシンほど音色のパリエーションはありません。
だけどツマミだけでキックからハットまでシームレスに変化させられる柔軟さは、
8ステップと少なめなシーケンサーと相まって万華鏡のような趣きがあります。

○音源部



Motherを基準に考えるとVCOが一つ増え、LFOが無くなっているのが大きな特徴。
ほかにもEGのアタックが無い分VCO/VCF/VCAそれぞれにディケイがあったりします。
またMotherもそうなんですけどホワイトノイズが綺麗!
普通は耳障りなんで控えめにするもんですが、このノイズはずっと聴いていたくなるほど。

面白い所と言えばシーケンサーの上段、ピッチ部の変化をオン/オフ出来るトグルスイッチ。
VCO1と2/VCO2だけ/両方オフと切り替えられます。
オンなら音程をツマミで変える事ができ、オフにする事により一瞬で均一なピッチになります。

○シーケンサー部



8×2段のツマミの下段がVEROCITYとなっているんですよ。これがかなり面白い。
左いっぱいになっている時はオフ(休符)、右に回すにつれベロシティが上がっていきます。
通常のドラムシーケンサーだとベロシティって副次的な要素として扱われる為、
強弱の変化をつけるのが疎かになりがちなんですが、
このシーケンサーでなら直感的に強弱をつけやすい。
このお陰でフェイク感の強いシンセドラムがとても有機的に鳴ってくれるんですよ。

○パッチ部



ジャックはMotherより1列少ない24個ですが、それでも十分過ぎる内容です。
少し惜しいのはMIDIに対応していないため、他機材との同期にクロック信号が必須になってしまう事。
MIDI to Clockコンバーターは単体のDoepferMSV2などでも良いですが、
Mother32を使うか、手っ取り早くvolcaシリーズを使ってみるのが良いですね。

とりあえずは最下段のPITCHやVELOCITYから何かしらのジャックに挿すと、
それぞれシーケンスつまみで変化を施す事が出来るので分かりやすいと思います。

○DFAMを触っていて思い出したあの機材

シーケンサー付きの音源ですからある意味グルーブボックスとも言えなくは無いんだけど、
ドラムとしてもシンセとしても割り切った作りなので限界は低く、
当たり前だけどプリセットも無いしパターンも無いです。
16~64が当たり前の時代に今どき8ステップでどうしろと?と言いたくなりますよね。

それなのに本当に楽しいんですよ。
あらゆる電子楽器の中でも純粋な楽器にかなり近い。
こんな機材って他には中々ないと思いきや、一つありました。

KORGのmonotribe。


もちろん構成は色々と違うんだけど、使いみちはそっくりなんですよ。
アレはアクが強すぎて使いあぐねる事が多かったなぁ。。
その点DFAMは器用に他機材とも馴染む。馴染みながらも自己主張出来る。
「DFAM=monotribeスペシャル版」と言っても過言ではありません。
monotribeの演奏性が好きな方は是非一度試してみてください。

○実際どう使う?

youtubeに挙がってる動画を見てると、
やはり相性の良いMotherと組み合わせてテクノに限らない自由な演奏をする人が多いですね。
エフェクトのノリが良いアナログシンセなので、
とりあえず何かしらのペダルを噛ますと面白さ倍増。
プリディレイ短めのリバーブでアタック部を溶かしてやると気持ちいいですよ。



これ、一緒に購入したCAROLINE GUITAR COMPANYの[METEORE]というリバーブ。
http://umbrella-company.jp/caroline-guitar-company-meteore.html
最新のリバーブにありがちなシマー系ではなくLo-Fi系で残響が程よくノイジーで温かい。
しかも面白い事に右側のフットスイッチを押すと残響音が発振するんすよ。
リバーブなんだけどテープエコー的な効果が得られる美味しいペダルです。
DFAMはもちろんアナログモノシンセと相性バッチリです。是非試してみて下さい。



自分なら普通のドラムマシンは別に用意して、
アシッドベースのように主役を張らせたいところです。
ドラムからベースへ、ベースからリードへと変幻自在。
8ステップのミニマルなフレーズは中毒性が非常に高いのも魅力的。

ただしちゃんと使いこなすのは結構ムズいかも。
何にも考えずにツマミぐりぐり回して遊ぶのは面白いけど、
狙いを定めて音を作ろうと思うとなかなか意図通りにならんのです。

○おまけ


シーケンスつまみとオシレーターのVolつまみが小さくて回しづらいですよね。
とりあえず手持ちのツマミをつけてますがチトしっくりこない。
ネットで探してみたら専用のつまみセットが売ってました。
12ユーロと送料10ユーロでした。
https://www.thonk.co.uk/shop/moog-dfam-knob-upgrade/

○まとめ

ドラムなのにモノフォニック、シーケンスも8ステップと、
時代錯誤かと思えてしまうスペックではありますが、
制約があるからこそクリエイティビティを刺激されるのもあります。
ちょっとでも興味が湧いたら展示しているお店で触ってみて下さい。


モジュラーシンセ・シーンの闇

ユーロラック規格のモジュールも最近では種類や機能が膨大になって選り取りみどりになっていますね。
特にミキサーやエフェクターなどシンセサイズ以外のモジュールが豊富になった事で
色んなニーズに対応出来るようになったと思います。

自分もまたユーロラックでやりたい事が出来たので再度挑戦すべく、
半年くらい前から情報と人脈を辿っていたんですが、
日本の、特に関東圏のモジュラーシンセシーンの不健全かつ不寛容な一面に閉口しています。
当然面識のある先輩方にはそんな嫌な空気は感じていませんが、
恐らくは面倒くさい輩の声が大きすぎるのではないかと思っています。

声が大きいという事はイメージが一人歩きをしているって事で、
実際周りにいる非モジュラーユーザーはそこに嫌悪感を抱いているのです。
もしモジュラーをシーンとして広めようとしている人達がいるのなら、
初期段階で失敗してしまっている事を自覚して下さい。
でないと挽回のしようが無いじゃないですか。

なぜ自分がこんな事に首を突っ込んで騒ぎ出すかと言うと、
運営するコミュニティにモジュラーユーザーが増えてきた事、
機材のジャンルでしかない筈なのに「モジュラーvs非モジュラー」の不毛な対立が生まれてきた事、
何よりこれだけ面白いシーンなのに先行した悪印象が足枷になっている事、
などなど、これからモジュラーに興味を持つ人の為の露払いをしたいと思いました。

○モジュラーシーンが担う音楽

当ブログの主軸であるドラムマシンやサンプラーはテクノやハウス、ヒップホップなどの
アンダーグラウンドなクラブ・ミュージックがほとんどですが、
これがモジュラーになると電子音楽全般に拡がっています。

反骨精神に溢れたレベル・ミュージックのみならず、
そんなチンピラに嫌悪感を示すインテリも、
高度な教育を受けなければならない現代音楽家も
モジュラー、というかシンセサイズという括りで同じ土俵に上がっている現状があるようです。

「音楽のジャンルじゃなくて機材のジャンルなんだから喧嘩する事ねぇじゃん!」
と言いたい時もありますが、こんなん皆仲良くわかり合おう!って事自体ムリな話ですよね。
でもやっぱり音楽で喧嘩した方が幾らかは健全だと思うよ。。

○ユーロラックモジュラーの理念を想像してみる

自分自身ハウスDJから楽器演奏をせずにDAW、ハードシンセ(グルーブボックス)と渡っている程度ですから、
電子音楽や電子楽器の歴史については深い見解を持っていません。
ユーロラックがこれだけ世界で盛り上がっている理由は軽い想像でしかないけれど、
やはり「無限のシンセサイズ」に惹かれる人がほとんどじゃないでしょうか。
次いで「必要な機能だけを取捨選択して一つの筐体に収める事が出来る」のも大きな魅力でしょう。
ちなみに自分は後者に重点を置いたシステムを製作中です。

しかし現在のユーロラックは本当に膨大で自由度が高過ぎるが為に、
自分自身で制限を課さないと前に進めない(=音楽にならない)のです。
その制限(限界)が高ければ偉い、と勘違いする輩が多いのも事実でしょうね。
「クルマは速い方が偉いので速いクルマに乗ってる俺偉い」
みたいな事言って許されるのはモーティマー・オムラだけです。

ボク若い頃、クラブ遊びをする前はバイクの改造に明け暮れていた頃がありまして、
そのカスタムバイクのジャンルに「チョッパー」ってのがあったんですよ。
70年代のアメリカが発祥で映画「イージー・ライダー」なんか有名ですよね。
スポーツ性を無視して痩せ我慢を強いるようなトンデモカスタムなんですが、
そこにヒッピー文化と融合した独自の美学があった筈なんですよ。
ただやっぱり自由過ぎる上っ面のせいで美学とかけ離れた制約だらけになり、
日本では一時の流行で廃れてしまった残念なシーンです。

ユーロラックも無限の可能性を秘めつつも、
このチョッパーのように美学に至らない不毛な制約のせいで
廃れる恐れがあると危惧しています。

○モジュラーシンセコミュニティの嫌なところ

・選民思想の強い奴がエバっていてカルト宗教じみたコミュニティになる

沼を抜けると宇宙になるとは誰かが言ってましたが、
人によっては幾らでも突き詰められるシンセサイズの宇宙ってのは確かに魅力的です。
修行を積んだ求道者が覚醒するような感覚でしょうかね。

それはそれで素晴らしい事だとは思うけど、
残念な事に取り巻きの連中はそんな崇高な精神を持ち合わせてません。
だいたい変にエリート信仰があって布教に勤しむのはこの取り巻き連中の方なんですよね。
教祖様や仙人様は達観してらっしゃるのでいい人過ぎるくらいいい人ばかりです。

・自由過ぎるが故に少ないロールモデルのフォロワーしかいない

システムを作るまでに一苦労するんですから、
それを使って演奏したりパフォーマンスをしたり出来る先輩方は嫌でもカリスマ扱いされちゃいます。
本人達は単に一人前になれたと思っている程度だろうけど。
その中でエバりたい願望の強い奴が「俺様が面倒見てやる。このモジュール買えよ」と
アドバイスだか命令だか微妙な事を言い出して、シーンじゃなくてサル山を築いていくんですよ。
サル山のボスが権力を維持するには色んな制約を強要するのが手っ取り早いですよね。
それが音楽的に有益かどうかは二の次で、権力の維持が大事なんだから。
そしてトンデモなマナーをポンポン生み出して音楽がつまらなくなっていくんです。

※モジュラーシンセのトンデモマナーの一例

・MIDIは甘え。アナログ電圧こそが漢の道。
・サンプルに頼るな。全てシンセサイズしろ。
・演奏時にツマミを触るのは邪道。真のモジュリストは全てCVシーケンス。

こんな悪い冗談みたいなお作法がまかり通ってるのが外野から観たモジュリスト()の現状です。
自分に制約を課すのは大事だけど、他人にまで強要するから始末が悪い。
受け取る側が過敏になっている節もあるにはあるんだけど、
自分の予測ではこれサル山のボスが支配力を強める為だけに流している風説に思えるんですよ。

・音楽的、機械的見解が浅い為に依存心の強い素人が意外と多い

こんなマニアックな世界なんだからそれなりに心の準備をして臨む人がほとんどかと思いきや、
ヤバいレベルのアホも少なくないようです。
「やりたい音楽がわからない」「ネジの回し方を知らない」「電気のプラスマイナスがわからない」
そんな状態でモジュラーシンセに数十万円をつぎ込んじゃうのが居るって話を聞いて背筋が凍りましたよ。

そういうアホが運良くシステムを作れたとしても、
「はて、どんな音楽が出来るのコレ?」と先人を頼って聞いて回る訳ですけど、
アホなので自分の頭で考える事が出来ないんですよ。というより、頭を使うって発想がない。
聞かれる方も最初は丁寧に教えたりはするんだけど、
ハナから知恵使う事を放棄してるような奴だからだんだん話をするのも辛くなってくるんでしょうね。
ほんと馬鹿にカネ持たせるとロクな事ないから握手券でも買ってろって言ってやって下さい。

○モジュラーシンセに手を出したい人が本当に必要なもの

お金と時間はそれなりに必要ですし、組み立てるだけでも強烈に面倒くさいものです。
ツマミを回すよりネジを回す方が好きなくらいじゃないとやってられません。
それより何よりクリエイターとしてのメンタルを強く持つ事。
そこのメンタルが弱いとコストに見合った成果を得られず闇落ちします。

クリエイターなりパフォーマーなりにとって、
最初の段階で超えるべき課題は「自分のカラーを見い出す」事です。
それがアイデンティティの形成に繋がり、その人の心を豊かにするものなんですよ。
そこを疎かにして自分が無いままカネや労力をつぎ込み続けると、
いずれは疲弊して挫折するか闇落ちします。

そりゃDTMでもDJでも上手く出来ずに挫折する奴は沢山います。
だけどモジュラーはシステムが完成するまで結構な忍耐が必要だったり、
あるいは永遠に完成しないシステムだったりするので、
建前では活動しつつ内面だけで挫折する事が可能なのですよ。
一人で勝手に折れてりゃいいんだけど、
闇落ちする奴は上手くやってる奴や素直に楽しんでる奴を妬んで攻撃するのが問題なんですよね。
こういう輩を根絶やしにしないことにはせっかくのシーンが自滅しますよ。

自分のカラーが分かってきたら、制約をつけて方向性を絞り込む事です。
その制約は他人を支配する為のものではなく、あくまでも方向性を浮き彫りにする為だけのもの。
それが有益な制約であれば、他者からの共感を得て美学にまで昇華させる事が出来るんです。

○シーンを担う自覚はあるか?

文化や流行になる以前のムーブメントをシーンと定義するとして、
(別にモジュラーだけシーンで切り取る必要はモジュラー屋さん以外考えなくていいとは思うけど)
このユーロラックモジュラーのシーンには急速な拡がりと勢いを感じています。

それならそれでメーカー、ショップ、オーガナイザー、コミュニティ単位で
危機感を抱きつつもっと自由で建設的な啓蒙をして頂きたいと思うのですよ。
でないと本当に流行以前の段階で自滅しますよ。
音楽以外でもそういう徒花になっちゃったシーン沢山あるでしょう。

○とりあえず避けるべきは「モジュラーvs非モジュラー」の対立

これホント馬鹿馬鹿しいと思いません?
まだ「ソフトvsハード」の方が有意義な議論が交わされてますよね。
けど実際にこういう対立構造が生まれつつあるんですよ。

これはモジュラーユーザーの執拗な勧誘にウンザリした層が、
防衛本能から反発してしまっているケースが多いようです。
日本じゃこういう趣味はカルト中のカルトなので仕方ないです。
ここは業界単位でカルトなイメージを払拭して貰わないとダメかもしれないですね。

○それでもモジュラーをやりたい人へ

ここまで言ってもモジュラーやりたいって人はどんどん増えると思います。
他でもない自分自身もそのクチだし。
ただ自分の運営する「マシンライブ・ワークショップ」では
モジュラーシンセを教えるって事は出来ません。
モジュラーに限らず自主性の無い奴は来てほしくないので勝手に覚えてきて下さい。

とはいえやっぱり独学は厳しいので先生を見つけて習うのが一番です。
信頼出来る人紹介しますよ。
ここで名前出すと面倒事に巻き込んじゃうと思うからTwitterアカウントでDMでもください。

○それでもモジュラーをやりたくない人へ

人間は得体の知れないものには恐怖を感じるように出来てますが、
たぶんモジュラーシンセユーザーに対する嫌悪感のほとんどは
「よくわからないからムカつく」だと思います。単なる恐怖心です。
分からない事もわかるようになれば恐れるに足りないものって事で、
モジュラーシンセユーザーの嫌な所を洗い出してみました。

それでも嫌ならもう宗教上の理由って事で割り切って下さい。
気になるんだけどイメージだけが嫌って人は、
Mother32買いましょう。MIniBrute2でもいいですよ。
ハードにこだわらないならReaktorでもいいじゃん。

○諸々踏まえた上でのユーロラック・モジュラーシンセの魅力

———
美味しい料理を作るなら食材にこだわりたい。
それなら水も畑も田んぼにもこだわって最高の食材から作る。
食器も調理器具も自分の手で作る。
———

食文化に恵まれた日本人なら、
馬鹿馬鹿しいと呆れつつも微笑ましく感じる狂気じゃないでしょうかね。
そんな料理マンガみたいな病的なこだわりを音楽でなら実現可能なのがモジュラーシンセです。
当人の人生の至福の為ならたかが数十万〜百万程度の出費は安いものでしょう。
お寺に入って座禅組むよりは簡単に涅槃が見えそうだしね!
想像するに、究極のシンセサイズとは浮世離れしたものなのかもしれません。

それともう一つ、これは今回自分が製作中のシステムなんですが、
自分にとって必要な機能だけを持ち歩けるようにしたい、という願望でユーロラックを始めるのもアリです。

———
シンセサイズはMother32で十分、色んなメーカーのドラム音源モジュールを選んで、
センド/リターン付きのミキサーにまとめる。マルチエフェクターを2台。
パッチケーブルはツマミを触る時に邪魔になるので極力縛ってまとめ、
シーケンスは外部のELEKTRONから鳴らそう。
ついでにELEKTRON自体の音も一度モジュラーに取り込んで、
全部まとめてステレオフィルターを通してアウトプット。
———



はい。ただのドラムマシンです。シーケンサーは無いからドラムシンセですかね。
音を出せるようになるまで半年かかってしまったけど、
やっと出た音にも満足がいかないのでこれを基準に少しずつモジュールを差し替えて行こうと思っています。
「スネアが気に入らないからスネアモジュールだけ替えたい」なんてユーロラック以外じゃ不可能でしょ。
ちなみに現段階じゃ4万円のDRUMBRUTEにすら劣る音質なんだけど、
そこはロマンで押し通す所存です。

○まとめ

個人的にはモジュラー音楽だけを切り取って独立したシーンとして捉える気は無いんだけど、
電子楽器界ではiPhone並に革命的な出来事なんじゃないでしょうかね。
そこまでいかなくても「ぼくのかんがえたさいきょうの○○」を作るのに
一番理想的なのがユーロラック規格だと思います。
別に○○はシンセじゃなくったっていいんです。
オレ作ってるのドラム音源システムなので「シンセ入れないなんて勿体無い」
なんて上から目線でのたまう奴が出たら張り倒します。

こんなに面白いシーン(規格)なのに、
初期の段階で妙な輩に目をつけられてしまったのがユーロラックの不幸な所かもしんないです。
その妙な輩の妙な部分とは端的に言って他者に対する支配欲権勢欲が強い事。
他の音楽は知りませんが、レベル・ミュージックにとってのそれは倒すべき敵の筈。

半分だけ足を突っ込んている外野としては、
シーンの活性化でも市場の活性化でも何でも構わないから、
どうかもう少しの間は健全化に努めて頂きたいと思います。

Arturia DrumBrute Impact レビュー

ドラムマシンを選ぶ際に着目したいポイントに音質や機能とは別に「操作感の良し悪し」があります。
多機能である事&コンパクトである事と操作性が良い事は(だいたい)反比例し、
用途が合わなければ数十万円する高級機を持ってても宝の持ち腐れになる事もしばしば。
ライブ用途と制作用途のどっちに重きを置くかによって大きく変わってくるので注意したいところです。

今回紹介するDrumBluteIMPACTはその操作感にこだわった機種。
シンプルなUIと従来機よりもずっとコンパクトで、
税込み4万円と値段も安くライブ用途にもってこいの機種です。

https://arturia.jp/products/item/drumbrute-impact/

○個人的な購入動機

現在ユーロラックでドラム音源を組んでいる最中で、それに使えるドラムシーケンサーを探していました。
尚かつ「分かりやすいドラムマシンが欲しい」とは前々から考えていて、
好印象だった従来機よりずっとコンパクトになったIMPACTを発表から即予約しました。

比較対象は同価格帯のTR-8とTR-08。
8の方がパフォーマンス性が高そうだけどあのチンドン屋みたいな電飾が許せないw
08はコンパクト過ぎて操作性が良くなさそうって事で見送りました。

○デザイン



横幅は旧ELEKTRONシリーズとほぼ同じ、奥行きは30cm程度とドラムマシンの中ではコンパクトな方です。
それでいてツマミやボタンの配列に余裕があり非常に操作しやすいシンプルなデザインになっています。
シフトキーによる二次操作も少なく(基本的にプレイ中は使わなくて済む)、
オーソドックスなドラムマシンを使える人ならマニュアルを読まなくてもある程度まで操作できるくらい簡単。

○拡張性


・同期方法
MIDI IN/OUTに加えClock IN/OUTやUSB MIDIもあるので様々な外部機器との同期が可能です。
MIDI OUTからはノートを出力する事が出来るので、ドラム音源のシーケンサーとしても利用できます。
またUSBケーブルでDAWとつなげる事でMIDIコントローラーとしても利用可能。

・パラアウト
全てではないけどキック、スネア、ハット、FMドラムの4種類はパラ出し可能です。

・PCとの連携
Arturiaのハード機器共通のコントロールソフト「MIDI CONTROLL CENTER」で、
PCでのパターン編集や各種MIDI設定が出来ます。

○シーケンサー

・ステップレコーディング
一般的な16のトリガーキーを備えています。
通常のトリガーは青く、アクセント付きの箇所は赤く光るので視認性がいいですね。

・リアルタイムレコーディング
最下段のパッドを使ってリアルタイムレコーディングも可能です。
クオンタイズのオン/オフも自在。

・スウィング/ランダム
どちらも全体にかけるかパートごとの個別にかけるか選択可能。
ランダム機能はツマミを右にひねる程にトリガーされる確率が上がる方式で、
自分の手癖に飽きた時やパフォーマンスのアクセントに使えます。

・ポリリズム
トラックごとのステップ数を自在に変える事ができます。

・ミュート/ソロ
ミュートモードとソロモードも独立したボタンがあるので1アクションでアクセス出来ます。
ミュートはトリガーミュート方式なのでディケイを伸ばした音でも自然な抜き差しが出来ます。

○音質


第一印象としてはクラシックなアナログ回路にありがちなフェイク感の強い音質です。
それをチープととるか味ととるかで好き嫌いが分かれそうですね。
volca beats、MFB TANZBARやTR-606に近いかなぁ。
各ドラムの音源はアクセントのオン/オフ、カラーモードのオン/オフとで4種類の基本サウンドがあり、
そこに対して各ツマミでパラメータを調整します。

・キック
凄くいい。太いし荒いし他の音に負けない。
パラメータの可変域も絶妙で808ライクなロングディケイキックも得意だし、
「カラーモード」でオーバードライブをかけると909的なキックの再現も可能。
ドゥオオオオ〜ンからゴンッ!ゴンッ!まで器用にこなせるんですよ。

・スネア
スネア1/スネア2と二つのチャンネルを使っています。
カラーモードを使うと1の方は胴鳴りが強くなり、2の方はクラップとしても使えます。

・ハット/シンバル
金物系はTR-606に近いノイズ感の強い音です。
音量が足りないせいか他の音より弱く感じるので、
古いシカゴハウスでよく聴くような「ザクザク刺さるハット」を再現するには工夫が必要ですね。

・タム
タムはハイとローの切り替え式。ツマミではピッチのみですがカラーモードでディケイを伸ばす事が出来ます。
このディケイを伸ばした状態でハイとローを組み合わせてベースの代わりにするのが良いかも。
タムのチャンネルだけスウィングを強めにするとファンキーなベースラインを作れます。

・カウベル
ここはパラメーター調整が出来ないんですが定番の808カウベルによく似た音です。
若干ピッチが高い気もしますが。

・FMドラム
個人的には使い所に悩んでますが、ハマれば美味しい音が出ます。
モーションシーケンス(ツマミの動きをレコーディングする機能)があれば良かったのにw

自宅モニターとヘッドフォンでの試聴とDJバーに持ち込んでの試聴をしましたが、
環境によってだいぶ印象が変わりますね。

・マスターディストーション
特筆すべきはマスターにかかる内蔵ディストーション。
ギター用ディストーションペダルにありがちな音痩せも無く、
ツマミを軽くひねるだけでかなりワルな音になります。

○他機材との相性

MIDIノートを吐けるのでVERMONA DRM-1や1JOMOXのラック音源、
ユーロラックのドラム音源などのシーケンサー用途として最適です。

またClockOUTのお陰でvolcaシリーズやSQ-1、セミモジュラーシンセとも組み合わせて使えます。
自分の場合はMother32のLFO RATEにクロック信号を送り、
LFOをBPM連動できるようにしています。

○こんな人におすすめ

・Lo-Fiな音が欲しい人に
・TR808系のオーソドックスな音に飽きた人のサブマシンに
・モジュラードラムやドラム音源のシーケンサーに

○まとめ

ザックリ他機種に例えると「スーパーvolca」あるいは「超使いやすいTANZBAR」ってとこ。
音のキャラクターを踏まえると決して万人向けではありませんが、
定番のTR系とは違う魅力のあるマシンですよ。
操作感の良さや分かり易さ、習得の容易さはTR-8に匹敵するくらい。
操作性拡張性は十分ですし、絶妙なサイズと価格設定でコスパ良好な機種です。

小規模パーティの接客術

今でこそその役割をSNSに奪われてしまいましたが、
クラブ文化はアート、クリエイティブ、パフォーマンスの実験場であり、
職場や学校、社会や家庭からもあぶれてしまった人達の避難所であり、
金持ちも貧乏人も不良もオタクもゲイもノンケもクズもキチガイもブサイクも、
人は皆ミラーボールの下に平等かつ自由であるという理念を持っています。

現在のクラブシーンでは僕達の扱うハウスやテクノ、ヒップホップなどに加えて、
EDMやアニソン、ポップスが新しい世代のメインストリームとなっています。
好む好まないに関わらず現在のシーンを経済的に支えてくれているんですから無碍には扱えませんが、
僕らが培ってきた言語化しづらい技術がスッポリと抜けてしまっているケースがほとんどのようです。

その最たるポイントがクラブシーン最下層のパーティの空気。
90年代から浸透してきた個人主義が行き過ぎてしまったようで、
クラブ文化のユートピアであるお客と演者、お店との一体感すら失われてしまったように思えるんですよ。

○DJがこだわった「一体感」の正体

特にハウスDJは音楽を繋げる、DJとお客を繋げる、
お客同士、お客とお店を音楽的精神的、時には性的に繋げる事にこだわってきました。
その場にいる全ての人に「みんな繋がっている」という錯覚を作り出すのが理想でした。
なのでDJのパフォーマンスとは本人の技量だけによるものではなく、
それを支える土台からの影響が大きいのです。

パフォーマンスを形成する様々な要素と、パフォーマンスが与える影響の範囲を図にしてみました。



パフォーマンスを軸として演者も観客もその背後にある要素を深く見据える事によって、
クラブシーンが大切にしてきた「一体感」が生まれるんです。

DJは生楽器のミュージシャンに比べれば演奏技術の習得も比較的浅い努力で済むので、
単純な音楽性で言えば軽く見られがちではありますが、それは氷山の一角に過ぎません。
図のように音楽だけでは見えない部分の研究と開発を重ねてきました。
言うなればこの上下の三角形全てが「作品」なのです。

○SNS隆盛と共に忘れられてしまったクラブ文化の心意気

前述した「僕らの世代にはあって今の世代には無くなってしまったもの」とは、
端的に言ってしまえば「雰囲気」でしかありません。
しかし僕達はその「雰囲気」を創り上げる為に無い知恵を絞って切磋琢磨をしてきました。
これは時代の流れと共に変わっていくものですからある程度は仕方のない事でしょうが、
現在自分たちのパーティやイベントを盛り上げようとする皆さんにヒントの一つとなれば幸いです。

それが表題の「接客術」。
ノルマの有無に関わらず集客や宣伝はDJやパフォーマーの義務ではありますが、
集めるだけ集めて「釣った魚に餌はやらねぇ」じゃマズいですよね。
自分の為に来てくれた友達をお客として扱ってやり、
気持ちよく帰らせてあげるのがパーティスタッフの使命です。

ディスコ世代や生楽器のライブイベントに挟まれながら見出した僕達の秘訣もそこでした。
ナンパと下ネタに明け暮れた仲間同士で心理学やら女性の口説き方などの書籍を読み漁り、
自分たちのラッキーな体験をテクニックにまで昇華させていったのです。
これ僕の通ってきたハウスミュージックでは文化的にも音楽的にも密接な繋がりがあります。
「エモーショナル」「グルーヴ」なんて言葉にこだわるのは恐らくハウスDJだけでしょう。

そんなテクニックを自分自身が思い出す事を兼ねて皆さんに紹介していきます。

○演者は主役ではなく舞台装置の一つでしかない

ライブイベントや芝居などは演者と観客の立場がハッキリと別れていますが、
クラブはその境目が曖昧なのが大きな違いです。
演者は芸術家ではなく演出家として振る舞わなければいけません。
ライブパフォーマンスやDJプレイは花形ではあるけど主役ではない、というのが自分の認識です。
主役はお客さんでしょうか?それともお店でしょうか?それらも微妙に違います。
ここで言う所のパーティとは、これといった主役の居ない群像劇のようなものです。
主役、というか作品は雰囲気、場の空気といった曖昧なものなんですよ。

DJに限らずパフォーマーを志望する輩というのはいつの時代も我が強く自惚れも強いものですが、
一度は己を殺して黒子に徹する経験が必要になります。
若いうちは気づけない事なんですが、個性の強さと我の強さは似ているようで非なるものです。
若者どころか40になっても50になっても気づかないまま大人になってしまっている人達も沢山います。

なので自分が個性だと思っているものをとりあえず否定しましょう。
真の個性とは自分を殺せるところまで殺しきって絶望しないと見えないものです。
パフォーマンスの質もコミュニケーションのコツも、
自己否定から始まるってのがアタクシの持論です。

○コミュニケーション能力のキモは観察力

「コミュ力」「コミュ障」なんて言葉が流行りだして久しいのですが、
そういう言葉を使いたがる人に限ってコミュニケーションを正しく理解していないように思えます。
「正しい文法に沿った会話術」なんてのは二の次三の次。
コミュニケーションの基礎は言葉ではない「非言語コミュニケーション」です。
身振り手振りから姿勢、振る舞い、所作、視線、身体の緊張や弛緩などなど
人間は言葉を発する以前に沢山の情報を無意識に発信しています。
これをできるだけ多く感じ取るのが非言語コミュ上達の一歩目です。

一般的に男性より女性の方がコミュ力に長けているのもこの感じ取る能力が発達しているからで、
よく言われる「女の勘」で「男の嘘はすぐバレる」のもこの為です。

○言語化できない情報を汲み取る

これら非言語コミュは心理学でなら専門的に研究されていますが、
DJに限らずあらゆるパフォーマーにとって強力な武器になります。

これって別に学習しなくったって感覚的に捉える事はできるんですよ。
例えば音質の悪いクラブと良いクラブ、踊るお客が多いのは断然後者でしょ。
みんな知らなくても感じ取っているんです。
はたまた微妙なルックスなのに妙に色気のある男女っていますよね?
そういう人は大抵は所作や振る舞い方がスマートでエモーショナルな筈ですよ。

パフォーマーとしてそこを鍛えつつも、それを接客術に応用するには
まずプロファイリングの訓練をしましょう。
初対面の人を観察して年齢や職業を予測してみたり行動から性格を読み取ります。
ファッションから視線、人と話をするときの態度、一人でいる時の態度、
本人は気が付かないうちに沢山の情報を発信しています。
外れても構わないからとにかく観察を続ける事が大事です。

ただし注意して下さい、これは目的は違えどストーカー行為と同じ事です。
観察している事を相手に悟られてはいけないし、ネットでもリアルでも口にしてもいけません。
観察も予測も答え合わせも全て自分の中で完結させましょう。

○観察した成果の利用法

ある程度人を見る目を肥やす事が出来たら、
神様にでもなったつもりで自分の中で勝手にジャンル分けしてしまいます。
この人は○○系、あの人は△△系、○とXは相性が悪く、
△の魅力を活かすには□系の人が必要、、、とかね。

DJが曲を選ぶ時は時間軸に縛られますが、
人と人を繋げる場合はニーズとタイミングを読み取ればOK。
ちょっと練習すれば案外簡単なものですよ。

――
余談ではありますが、
「恋人が欲しいのに出会いが無い」と嘆く人はいつの時代も沢山いますよね。
こんな悩みごとも前述の理屈を応用すれば活路を拓けるかもしれません。
出会いが無い、と思い込んでいる人は自分自身のニーズが分かっていない場合がほとんど。
ニーズが分からなければ自分と釣り合う相手がどんな人なのかも分からないものです。
そこで異性の友達を多く作って、自分の同性の友達を紹介して引き合わせるんですよ。
最初は多人数同士の合コンでも良いですが、慣れてきたら1vs1に絞りましょう。
「コイツとあのコなら相性いいんじゃない?」というシュミレーションを重ねるんです。
それを繰り返すうちに自分自身の真のニーズがハッキリしてきます。
真のニーズを満たす為に要らない要素をどんどん切り捨てていくと、
自分と釣り合いの取れる相手が見えてくる筈です。
がんばってね~(他人事)
――

○オファーの絶えないプレイヤーはプレイ時以外の振る舞い方で決まる

パーティオーガナイザーは常に新しい人材を探してチャンスがあれば自分の元に引き抜こうとしますが、
狭いジャンルでもない限りはプレイのクオリティや音楽性など二の次です。
舞台から降りている時にオーディエンスに対してどういう振る舞いが出来るかをよく見ています。

話の面白い奴、ルックスのいい奴が重宝されるのは当然ですが、
そうでなくても当人の醸し出す雰囲気が周りに影響を与えられるレベルであるかどうか。
自分のキャラと役割を分かっているかどうか、そういう所に注意して観察します。

僕らの時代ですと、
自分の仲間として特に迎え入れたい人材は「飲食店アルバイトの経験者」でした。
若い頃に少しでも経験をしていれば、客あしらいから店内の移動に至るまで
スマートな振る舞いが身体に染み付いているからです。
こういう人が一人二人いるだけでスタッフ全体の雰囲気が締まります。

またそれとは対照的だけど酒場には付き物の、
「どうしようもない呑んだ暮れ」「やさぐれた奴」「自分の世界に浸り切って踊り狂う奴」
「天然ボケ」「色キチガイ」などなど空気の読めない人種も舞台装置としては有能なんすよね。

○店内におけるオペレーション

パーティスタッフはお店のスタッフとお客、お客同士の間に入って、
円滑なコミュニケーションが出来るように促してあげる必要があります。
己を殺して黒子に徹するのがベターなので無理して会話を繋げたり盛り上げたりはしなくても大丈夫。

基本的にスタッフは定位置を決めずに店内をウロウロするようにします。
座るな、とまでは言いませんがずっと同じ場所に居続けるのは辞めましょう。
酒場の空気が淀まないようにスタッフが意識して「流れ」「うねり」を作るんです。

そして要所要所でフロア全体を俯瞰で眺めて観察する事が大事です。
どのグループが盛り上がっているか、一人で暇そうにしている客はいないか、
お店のスタッフがテンパってないか、観察する事はたくさんあります。

○接客と意識させない接客

パーティやイベントにくるお客さんは友達が欲しいから来るんです。
別に恋人でもいいですしその晩だけのセックスの相手が欲しい、でも構いませんけど。
そのニーズを満たす為にはお客には「客とスタッフ」の境界線を意識させてはいけません。
敬語を使ったり丁寧なもてなしをする必要があるタイミングは、
そのお客が店に入ってきた瞬間と、店から出る瞬間だけです。
それ以外は基本フランクに、相手よりリラックスし相手より場の空気を楽しみましょう。

しかし客は客。自分たちの為にお金と時間を払ってくれて来ているので
敬語ではなく敬意をもって接しなければいけません。
じゃその敬意ってのをどうやって表現するのかと言うと、
先程の非言語コミュニケーションなんすよ。

沢山のテクニックがあるんですが1vs1のコミュニケーションで代表的なのを挙げていきます。

・上座と下座
食事の席などでよくいわれるマナーですが、
相手が上座にくるように誘導してやるのが大事です。

・左に立つか右に立つか
二人が横に並んだポジションの場合、
人間は心臓の側に立たれると緊張し、逆の場合は弛緩します。
原則的には相手をリラックスさせてあげる必要があるので、相手の右側に立つようにしましょう。

・人見知りしそうなタイプは正面に向かい合わない
初対面の相手に正面から対峙されると嫌が応にも緊張します。
こういう場合は少し角度をつけてL字の陣形になるように立ちましょう。

○お客のジャンル分け

新しいお客がお店に入ってきた瞬間に、その人がどんなタイプか見極める必要があります。
それによって自分が下手に謙ったり上手としてリードしたり使い分けていきましょう。
初対面かつ相手がどんな立場として来ているのか分からないので、第一声でそれを確認するんです。
「こんちはー!どなたかのお友達ですかー?」ってな具合にね。

・パーティ客
「告知を見てきました」「○○のプレイを見にきました」など、
パーティそのものを目当てに来てくれるホントの意味でのお客さん。
この場合はスタッフが軽くリードしてあげれば、後は勝手に楽しんでくれます。

・店客
パーティ内容は関係無しにお店にきた人。DJや他パーティのスタッフだったり、
コチラを視察する意味合いで来ているのかもしれません。
自分自身より店との付き合いが長いか短いかによって対応を変えていきます。
見分けるコツは相手がどれだけ店に慣れているかの緊張度。
自分より慣れている雰囲気なら下手に出ましょう。

・同業者
たまに他パーティのスタッフやオーガナイザーが視察目的で店に来ます。
自分もよくリサーチがてらに観察しにいきますし。
これも店客と同じで、相手が自分より上か下か瞬時に見極めましょう。

・スタッフの身内
スタッフの恋人だったり夫婦だったりと、友達以上の身内が来る事もありますよね。
一番扱いが難しく、味方につければ百人力、敵に回すと厄介な存在です。
ゲイやレズビアンの場合はネコとタチに置き換えて考えて下さい。
ノンケより遥かに嫉妬深い事が多いので要注意ですが。

・クラブ慣れしている男性スタッフの彼女
マウンティングではこちらが下手に出て、
パーティの「おかみさん」的ポジションに収まって貰うように仕向けちゃいましょう。
こういう女性を味方につけるだけでオペレーションが円滑になります。

・クラブ慣れしていない男性スタッフの彼女
彼氏以外のスタッフが積極的にケアをして場の空気に慣れてもらう事が最優先課題です。
本人的には自分の彼氏のそばにいないと落ち着かないんでしょうが、
あんまりベッタリされるとその彼氏の接客スキルがダダ下がりします。
戦争なんかで地雷踏んで死なない程度に負傷する兵士がいると、
それを助ける為に更に一人の兵士が戦えなくなるパターンと同じです。

・クラブ慣れしている女性スタッフの彼氏
彼氏彼女の空気を持ち込ませない為に出来るだけ離しましょう。
その彼氏を含めて男同士で盛り上がってしまえばOK。
女の子が入ってこれない話題(下ネタとか下ネタとか下ネタ)でバカ騒ぎするのが有効な対策です。

・クラブ慣れしていない女性スタッフの彼氏
こういう男は粘着質かつ束縛志向なので、別れさせてやるのが友達としての努めです(嘘)。
女性スタッフの精神的な成熟度にもよりますがこういう場合は大抵オンナの方がオトナなので、
その野郎は無視して構いません。その女性の面子の為に一応挨拶だけして、あとは放置。
ちょっと空気が悪くなるけど、次から来なくなるように仕向けましょう。

・パーティから排除すべき客

・鬱志向のメンヘラ
こんな音楽やっている輩は多かれ少なかれ精神的にチョットおかしい傾向があります。
ただコミュニケーションこそがパーティの醍醐味なのに、それを拒絶してしまう奴がいますよね。たまに。
目を見ればすぐに判別できます。あんまり目を見てると鬱が伝染るので気をつけてね。
こういう奴は座っている椅子のスペースすらもったいないので排除して下さい。

ただし、鬱志向ではなく躁志向のメンヘラは上手く手綱を引いてやれば
パーティの華として輝いてくれます。丁重にあつかってやりましょう。

・マウントおじさん
ここ数年で悪影響が発生した新種の困ったチャン。意識高い系も含めた広義でのDQN。
確かにコミュニケーションの要はマウンティングではありますが、
露骨に上か下かでしか対人関係を測れないオッサンはSNSだけでなくリアルでも居ます。
しかもクラブ黄金期の世代は既にオッサン化しているので、
僕もあなたも気が付かないうちにマウントおじさんになっている恐れがあるから怖いものです。

さてこのマウントおじさんの退治法ですが、
リアルでマウントをしたがるくらいだからSNSでは暴れまくっている事は簡単に想像できますよね。
場違いなほどマウンティング欲求が強い人は必ず若い頃からの劣等感を持ち続けている傾向があります。
なのでその劣等感を探し出して突いてやれば一撃で殺せます。
若い男性が劣等感を持つ点と言えばいつの時代も知力か暴力、あとはセックスですよね。
こちらの安全を確認した上で遠慮なく心の傷をエグってやりましょうフヒヒ。

また自分自身がマウントおじさんにならないように注意するコツは、
周りから(出来れば目下の相手からも)イジられる事に慣れておく事です。
言葉の節々にツッコミどころを配置しておいたり、
身内でDisり合うのも立派なトレーニングです。

※フィルタリング
いくら「誰でもWelcome!」と言ってもオーガナイザーの人としての器には限度があります。
これら「歓迎できない客」はSNSなどでパーティ本番以前にフィルタリングする事も可能です。
TwitterやFacebookなどでそういう連中が凹むような暴言を普段から吐いていれば、
おのずと向こうからブロックしてくれます。
貧乏人に来てほしくないのなら価格設定を高くしたり、
根の暗い奴が嫌ならチャラい演出を強調したり、
キモオタに来てほしくないのならスタッフのファッションをアップデートさせるのも手です。

・一般社会では煙たがられるけどパーティでは手厚く対応すべき客

・アッパーなメンヘラ
ロックシーンで言う所の「イカれた奴」です。パーティを盛り上げる華になってくれます。
躁が鬱にコロっと変わってしまう事も多々あるので、
長期的には精神衛生的に改善できるように促してあげましょうね。

・ヤリマン
ヤリマンは女神です。異論は認めません。
ハウスミュージックはみんなが繋がる(繋がる)のが理想郷です。
パーティ中で乳繰り合う輩が発生したら、それはオーガナイザーとしての演出の勝利です。
下品だぁ?馬鹿野郎それがハウスだ。カマトトぶってんじゃねぇよこのクソ童貞が。

でもコンドームは付けようね。
女の子も持ち歩くようにしたらいいよ。

・ファッショニスタ
常人の理解を超えるセンスですれ違う人が思わずギョッと振り返るような洋服廃人。
浮世離れした非日常の演出には強力な助っ人です。

○まとめ

音楽を媒介とする社交場がどんどん減っている現状で、
自分の居場所をどうやって守るのか皆さんにも考えて頂きたいと思います。
居場所を守り、場の空気を創造し、オーディエンスを馴染ませる、
それが土台になって初めて各々の音楽性や演奏技術が活きるものです。

【復活】マシンライブ・ワークショップ

西麻布bullet’sのクローズに伴い休止していた「マシンライブ・ワークショップ」ですが、
このたび「津田沼メディテラネオ」にて再開する事になりました!
正直な所こんなんヤラしてくれるハコはbullet’s以外に無いと思っていたんですけどね。
今回受け入れてもらえるメディテラには感謝の限りで御座いますよー。
津田沼って言うと都心からはチト離れているんで地理的には大丈夫かな?とは思いましたが、
それを補って余りあるバイタリティの強さをこのお店に感じています。

○パーティ概要



改めまして説明しますとですね、
電子楽器を主体としたライブプレイ、DAWによるトラックメイクに関わる
交流会、練習会、意見交換会などなど用途は多岐にわたります。
東京圏でも電子楽器コミュニティは色々ありますが、
当パーティの大きな特徴としては、

・音楽的にリーダーシップをとる人間がいないのでジャンルはバラバラ

ボク自身はDJで楽器経験は全くありませんし、
レギュラー陣にはキーボーディストやベーシストのバンドマン上がりから、
ビンテージシンセコレクター、音ゲー出身者などなど
育ってきた環境も目指す目標もバラバラなのが面白いところ。

全部ひっくるめて広義でのテクノ、と謳ってはいますが
シンセorサンプラー主体の音楽ならノイズから指ドラムまでなんでもOK。
むしろ僕らの知らない技術や文化を教えて欲しいくらいです。

・扱う機材はソフト/ハード問わず

iPhone/iPadやゲームボーイ、KORGもELEKTRONも、Reaktorからモジュラーシンセに至るまで
電子楽器の括りならなんでも受け入れます。
「ライブをしたい」「トラックを作りたい」などなど
明確な目標をお持ちの方であれば手ぶらだって構いません。
気になる機材をレギュラー陣が持っていれば存分に試奏して下さい。

※レギュラー陣の得意分野
モノシンセ/モジュラー&セミモジュラー/エレクトロン全般/歪み系ペダル
鍵盤付きVAシンセ/アシッドベース/ドラムマシン全般
電気工事/板金工作/電子工作/個人輸入

DAWはやっぱりAbletonが多数派、LOGIC神もいるよ。

・司会進行も先生もいないよ

ここはクラブ文化に則って基本的に放任主義、我の強い奴ほど得をする環境です。
自発的に楽しもう&学ぼうという意思が無ければ退屈だし苦痛です。

・特別企画

名物「ドラムマシン聴き比べ大会」を始めエフェクターやモノシンセなど
たまにテーマを決めて機材比較をしてみたり不要機材の売買/交換会などをする予定です。

○機材持ち込みの注意点

・持ち込み機材の管理は各自でお願いします。
・ヘッドフォンと電源タップ、機材に応じたケーブルを持参して下さい。
・複数の機材をお持ちの方は、ミキサーなどでステレオ1系統・フォンプラグにまとめて下さい。
・他人に機材を触られるのが嫌な方はNG。家でおとなしくしてて下さい。
・参加者が多数の場合はテーブルに並べ切れない場合があります。みんな仲良くしましょう。
・タバコ苦手な方はNG。メディテラは喫煙OKの飲食店です。気にされる方はご遠慮下さい。

○開催日時/参加費など

7/8(日)16時〜22時
8/12(日)16時〜22時

9月以降は第一日曜を予定しています。

エントランスフィーは2000円/3ドリンク

Facebookページも新設したのでチェックしておいて下さいね。
https://www.facebook.com/machineliveworkshop/

○津田沼メディテラネオについて

http://mediterra-casa.com/



「バーベキュー・レイブ・キッチン」の名の通り、串物料理がベラボーに美味い店です。
クラブやカフェで出てくるフードとは次元の違うクオリティ。
いやコレ普通に食事目的で来ても十分に満足出来ますよ!
腹は減らしといてなー。

そして個人的にツボにハマったのがDJやライブアクトの常連さん達のキャラの濃さ。
そりゃま都内にだってイカれたパフォーマーなんて沢山いるんだけれど、
ココの人達には音楽で人生こじらせちゃった人に有りがちな暗さが感じられないんですよ。
バイタリティに溢れポジティブかつ能天気。そして狂ってますw

ちなみに津田沼って千葉のどの辺よ!?とお嘆きの方、
案外アクセスは楽です。

秋葉原から35分、品川駅から40分、共に乗り換え無しで行けますよ。

○パーティの理想

電子楽器、という括りだけであらゆるベクトルのパフォーマーが相互に刺激し合える場を作るのが目標。
その為ネットでよく見かける「機材マウンティング」と「原理主義」を禁止し、
音楽志向的にはカオスなコミュニティにする為に特定のジャンルに偏らないよう注意します。

もしかすると苦手なジャンルのプレイヤーとカチ合ったりする事もあるでしょうが、
ここではまず相手の文化と経験を尊重して、出来れば吸収して頂きたいと思います。
嫌いな物を好きになれとは言いません。まずは尊重と敬意を払って、その上で存分に喧嘩して下さい。

何から手をつければ良いか分からない初心者も、
癖がついて手法がマンネリ化しているベテランも、
一緒に新天地を盛り上げていきましょう。

アートワークの作り方

最近は個人レーベルとして一人で自作曲をリリースできる環境が整ってきて、
わざわざ音楽性の合うレーベルを探さなくてもBANDCAMPや
国内ディストリビューターからリリースする人が増えてますね。

しかし個人でリリースするにあたって地味な悩みどころなのがアートワーク。
デザインの教育を受けた人や本職の人なら造作もない作業ですが、
未経験だとちょっと高いハードルに感じてしまいますよね。

かくいう自分のレーベルRUDELOOPSもほとんどのアートワークを自分で作っていますが、
グラフィックデザインの経験は無いですしイラレも我流なので初歩的な機能しか使えません。
強いて言うならトラックメイクをやる前に一時期写真に凝っていた時期がありまして、
その経験が活きているところはあります。
そこでデザイン経験の無い人のためのワートワークの作り方を紹介します。

○下準備1:コンセプトを出来るだけクッキリさせる

レーベル名、アーティスト名、曲名など作品にちなんだネーミングをしていると思いますが、
そのネーミングから連想できるイメージを出来るだけ具現化(言語化)できるようにしましょう。
自分で作る時もプロに頼む時もこのイメージ(大げさに言えば世界観)を、
音楽に興味のない人にも伝えられるくらいにする必要があります。

例:RUDELOOPS

「RUDE」はレゲエ用語で言う所のチンピラ/不良。
リリースする曲はテクノ/ハウスがほとんどだけど、
ヒネリを加える為にレゲエ用語から拝借しました。
「ルー」ド「ルー」プスと発音で韻を踏んでいるのはラッパーの価値観ですよね。

これは発足当時の拠点が東京神田のDJバーであり、
クラブ文化のメインストリームである渋谷以西に対する軽いアンチテーゼもあり、
集まるメンツもDTMどころかパソコンと縁の無さそうなガラの悪い連中だった事もあります。

ロゴデザインは本職のデザイナーに制作を頼み、
許可を取って更に別のデザイナーに「リミックス」を頼みました。
まがりなりにも世界の市場を相手にするんですから、
和風なイメージを取り入れたく、かつ下町特有のRUDE感を演出するのに
花札の「鶴と松」をモチーフにしています。
(ちなみに所属アーティストは全員花札なんてやった事ないですw)

※デザイナーへの頼み方

アートワーク一枚ならともかく、長く使うであろうロゴマークはプロに頼んだ方がずっといいです。
出来れば同じような音楽を嗜んでいる人がベター。DTMもDTPも両方できる人は沢山いますよ。
直接の知り合いに居なければTwitterなどSNSで探すといいでしょう。
大事なのはプロでもアマでもちゃんとお金を払う事と契約内容を口約束ではなくメールで確認する事。
慣れている人ならロゴ一つあたりの金額とリテイクの上限や納期など提示してくれます。

金額はどうでしょう?交渉次第なんですが、
RUDELOOPSの場合は最初のデザイナーに3万円、リミックスを依頼したデザイナーに1万円払っています。
自分の出せる金額に見合った技量の持ち主を探すのが大事ですね。
作例を沢山残したい学生さんを探すのも良いと思いますよ。

○下準備2:センスを磨こう



DJやDTMと全く同じで、良いデザインをしたいなら沢山のデザインを目に焼き付けておく必要があります。
ここで言うセンスとは才能ではなく感性という意味ですよ。センスのある無しではなく良いか悪いか、です。
センスの良し悪しはインプットした量に比例しますし、
技量や歴史に関する知識を得る事によって体系的に磨かれていきます。

iTunesやbeatportで人のアートワークを沢山観るのも良いですが、
オススメはTumblrやPinterestといった画像系SNSを眺める事を日課にする事です。
自分の場合はTumbleで「お洒落インテリア写真の垢」「タイポグラフィの垢」
「格好いいフォントを集めた垢」「イカすバイクや車の写真垢」
「古い建築やデザインの垢」などをフォローし、
とどめにグラビアアイドルやエロ写真のアカウントをフォローしています。

するとTLを流し見するだけで「アールデコ建築の写真」とオッパイ、
「モダンな文字組のお手本」と女子高生のスカート、
「SF映画のロボット」とガーターベルト、「芸術的アニメ作品の一コマ」と昭和のエロ広告、
そういったものを右脳に焼き付ける事が出来ますよ!

男なら合間合間にエロを挟むのが長続きさせるコツです!え?女?ごめん分かんないわー。
おれインテリアデザインの学校に行ってた頃からやってるから12,3年はほぼ毎日観てるなおっぱい。
自分の脳味噌を騙してしまうのがこの方法の狙いで、
ある程度の期間続けるとデザイン性の高い物を観るだけで興奮してきます。

○下準備3:写真を楽しもう

上記のような方法で沢山の良いデザイン作品を吸収した上で、自分でもアウトプットしてみましょう。
これはやっぱりインスタグラムがいいのかな?オレやってないけど。
別にちゃんとしたカメラを買う必要はありません。
シンセ沼より恐ろしいレンズ沼にハマるリスクが高いので気をつけましょう。

スペック的には今のスマホで本当に十分。
インスタグラムのように画角が正方形のモードで撮る事をオススメします。
ごく基本的な写真の撮り方をレクチャーしてくれる本を一冊くらい読んでみましょう。
自分で写真を撮る事で鍛えられるのが「構図」の感覚
構図を自由に操れるようになると、理屈じゃ伝えられない印象を伝える事ができるんですよ。

○実作業1:ソフトと素材を入手しよう

理想はAdobeのイラストレーター。
フォトショップでも出来ますがすでに慣れている人でなければイラレの方がいいです。
たまにセールやってるので15000円くらい/1年で買えます。
そんなカネかけらんないって人はイラレ系のフリーソフトを使って下さい。

それとは別に写真にエフェクトをかけるアプリがあるといいでしょう。
スマホアプリに多いんでこの作業までスマホでやってもいいんですが、
パソコン用のエフェクトアプリだと、
http://www.infinisys.co.jp/product/fxphotostudiopro/index.shtml(Macのみ)
https://snapseed.softonic.jp/(Mac/Win)
などがあります。
本格的なレタッチならフォトショップが必要ですが、
これらのエフェクトアプリの方が楽しく作業できます。

集める素材は写真やイラスト、フォントなど多岐にわたりますが、
必ず「著作権フリー」の物にしましょう。
音楽よりもウルサイ業界ですから気をつけて下さい。
アタシらカネにならなくても商用利用になりますよ。

例えばこんな所で色々と素材集めが出来ます。

http://photoshopvip.net/
https://www.dafont.com/
https://pixabay.com/
https://ja.pngtree.com/

○実作業2:ワークフローをテンプレ化しよう



心底デザインが好きな人でもない限り、地味な作業が辛く感じるものですよね。
なので一連の作業をマニュアル化してしまいます。

自分の場合だと

・素材集や自分で撮った写真を日頃からストックしておく
・エフェクトアプリで原型を留めないくらいにイジり倒す
・レーベルロゴや曲名を入れる枠をイラレのテンプレとして用意しておく
・フォントを選んで出来上がり

と、作業自体は10数分で終わってしまうようにしています。

ちなみにウチが契約しているディストリビューターの場合は
アートワークは「1500px四方」と決められています。
たぶん他所でも同じだと思うんで1500pxを基準に素材集めをしましょう。

それより小さい画像を引き伸ばすと粗くなってしまいますが、
エフェクトアプリで汚してしまったりします。
ちょうどディストーションで歪ませる要領ですね。

あと自分の場合は文字や枠の透明度を調節して
若干透かすようにしてます。
こうすると後ろの画像に馴染ませる事ができるんですよ。
はい。リバーブと同じですよね。

○実作業3:フォントで表情をつける



写真やイラストより重要なのがフォントです。
イラレにも大量のフォントがインストールされてますし、
フリーフォントも沢山転がってますから出来るだけストックしときましょう。

曲のイメージと画像のイメージとでバランスをとりつつ、
似合いそうなフォントを色々と試します。
テクノっぽいフォント、ハウスっぽいフォントなどなど
音楽のイメージに合った物を探すのは難しくないと思います。

○実作業4:レイアウトしよう


本職でDTPをやっている人は、
文字の間隔を手動で調整する「カーニング」という作業を必ずやっています。
また文字の大きさや配置などもデザイナーごとに経験と勘に基づいたルールがあります。
これは職人技なので理屈で説明できるものではないんですが、
触りくらいならググって勉強する事もできますし、
少しずつ意識すればそれなりに映えるレイアウトが出来るようになりますよ。

○まとめ

お気づきの方も多いとは思いますが、DTMとDTPって凄く似てるんですよ。
どちらも芸術家の領域に見えるけど実際は職人仕事でしょう。
こんなご時世ですから素人がタダで環境整えただけでもそれなりの物は作れちゃいます。
是非とも挑戦してみてください。

レーベル業務再開しました

機材廃人ブログとして名を馳せている当ブログですが、
もともとはレーベル活動の広報を担うべく立ち上げたものなんですよー。

ええ。

完全に忘れてましたがね。

そんなダメ運営で定評のある我がレーベルRUDELOOPSですが、
この度2年ぶりに新しいアーティストによるリリースが出来ました。

Techno Protocol EP / The Plese69



https://www.beatport.com/release/techno-protocol-ep/2288835

Tick Tock / Sachi K



https://www.beatport.com/release/tick-tock/2287413

2タイトル6曲どれもDJユースで使い勝手の良いテックハウスです!
ぜひ聴いてみてくださいな。

せっかく再始動したレーベル活動なので、
改めてトラックメイカーの皆さんの作品を募集します。

○RUDELOOPS募集要項

当レーベルのコンセプトとして出来るだけ敷居を低く、
気が向いた時にサクっとリリース出来るような体制をキープしています。

配信ストア:
beatport、TraxSource、JUNO、iTunes、Amazonなどなど。

https://www.beatport.com/label/rudeloops/41271
https://www.traxsource.com/label/18925/rudeloops

ジャンル:
テクノ/ハウスを中心としたアンダーグラウンド・ダンスミュージック。
DJユースであれば四つ打ちでなくとも構いませんよ。
ただしアンビエントやノイズ等、リズムの無いトラックはNGです。

配当:
レーベル売上の50%。
ただし発足から5年間のレーベル「総」売上が5000円にも満たない状況で、
beatportのストリーミングが始まると更に鈍化する見込み。
よって現実的には「全くお金にならない」と思っていて下さい。

手数料:
1タイトル1000円+1曲につき1000円
1曲だけ出したい時は2000円、10曲のアルバムなら11000円って計算です。
原則的に一度リリースしたものは半永久的にストアに残ります。

納品形式:
WAVファイル16bit/44.1kHzステレオ形式。
アートワークはこちらで制作しますが、
ご自身で作ったアートワークを使いたい場合はRUDELOOPSのロゴを隅に入れてもらいます。

専属契約ではありません:
アーティスト単位での契約ではなく楽曲単位での契約です。
他のレーベルに移行するのも戻るのも自由です。
但し同名同バージョンの曲の販売は控えて下さい。

プロモーションは自分でやってね:
運営も省力化がモットーなので、アタクシ何もしませんw
ご自身で売り込んで下さい。

以上を踏まえると、

・トラックメイク初心者や配信デビューしたい人
・たまにしか作らない気まぐれな人
・BANDCAMPとか面倒くさい人
・普段はちゃんとした所から出してるけど別名義でもやりたい人

そんな人がばっちりマッチすると思います。
Twitterアカウント/Facebookアカウントにて常時受付中です。
お気軽に連絡下さい。

Music Production CenterとしてのMPC LIVE(3)

MPCの連載を初めてからPVが1.5倍に膨れ上がり有り難い限りです。
だけどいわゆるMPCらしい使い方にはあんまり触れないと思います。
指ドラムやんないしヒップホップもやんないです。少しやってみたいけど。

改めて申し上げますとですね、
当連載では「PCレスで持ち歩けるスタンドアロンDAW」としてのMPCを紹介していこうと思ってます。
基本的に覚書なので間違った解釈をしている事もあるでしょう。
ジブンそもそもヒップホップでなければテクノでもないし、
やりたいのはハウスとダブなので輪をかけて参考にしづらいと思います。
どうぞご了承くださいましー。

前回はファイル構造とドラムプログラムの組み方を紹介しましたが、
今回は他のプログラムとトラックの関係について掘り下げてみようと思います。

◯MPCで言う「プログラム」とは


一般的な解釈のプログラムという単語とはニュアンスが微妙に違うようで、
MPCで言う「プログラム」とは各トラックに割り当てる機能の種類、という意味になります。
ちょうどELEKTRONで言う所の「マシン」と同じものでしょう。

・ドラムプログラム

最もシンプルで取っ掛かり易いプログラムですね。
主にドラムのようなワンショットサンプルを扱います。

・クリッププログラム

ドラムプログラムがワンショットなのに対し、
こちらはループサンプルを扱うプログラム。

・キーグループプログラム

こちらはベースやリードなど音階演奏が前提のサンプルを扱います。
MPCがPCMシンセになるって事です。
プリセットだけでなくAKAIや他ベンダーからも楽器のセットが販売されてますよ。

・MIDIプログラム

ここは外部音源を操る為のMIDIノートですね。
例えば仕込みの際はキーグループの仮音でフレーズを作り、
本番ではMIDIプログラムに変更して外部音源を鳴らす、という事は可能です。

※MPC-X専用のCVプログラムとソフトウェア専用のプラグインプログラムは割愛します。
あと「AUDIOトラック」に関してはまた今度。

カタい頭なもんで把握するのに時間がかかってしまったんですが、
前回の記事でのワンショットサンプルの割り当て作業は、
「数あるプログラムの中のドラムプログラムを利用した」だけに過ぎず、
トラックは更に上の概念だって事です。

◯パッドミュートとトラックミュート

ヒップホップではわかりませんが、四つ打ちのプレイだとミュートプレイは即興の要。
ミニマルだと1小節のパターンを抜き挿しによって5分でも10分でも引っ張るのはザラです。
始めは何故ミュート方法が2種類あるのか不思議に思ってましたが、
「各ドラムのミュートはパッドミュートで、ドラム以外のパートはトラックミュートで」
という解釈をすると掴みやすいです。もちろん幾らでも応用できます。
ちなみにトリガーミュートではなくオーディオミュートなので長い音を消す時は注意しなくちゃいけませんが、
ミュートのタイミングを音符や小節単位で設定する事ができます。

◯トラック構成の例

その辺を踏まえて仮にトラック用途のテンプレートを考えてみました。
下から1列目はドラム、2列目にベース、3列目に上モノ、4列目にその他、として、
ベースと上モノは短い音が左に、長い音を右に配置、右の三つは外部音源用のMIDIプログラムとしています。
本番中に出来るだけ画面を見なくても済むように、
また直感で配置を覚えやすいようにテンプレ化してしまうのがお勧めです。

◯アウトプットルーティング

MPCを単体で運用する時は意識しなくても良いんですが、
外部ミキサーと組み合わせて使う場合はルーティングを設定します。



たとえばこんな風に繋ぐと、特定のパートだけにエフェクトをリアルタイムでかける事が可能です。
こういうエフェクトとミキシング主体のプレイがレゲエから派生した「ダブ」。
MPCを使えばPCレスのダブ的なライブプレイが出来るんですよ。

これ、当然MPCの内部ミキサーと内部エフェクトでも十分できます。
だけどフェーダーとエフェクトをフィジカルに操るのがダブの醍醐味です。
また綺麗過ぎる音質を適度に荒らす目的もあります。

MPC LIVEは最大6系統のパラアウトが可能で、
最大128(ここでは16までとしてます)のトラックを6つのグループに分ける事が出来ます。
ルーティングの設定はMENUから[PAD MIXER]と[CHANNEL MIXER]で行いますが、
チャンネルミキサーはトラックだけでなくプログラム単位など複雑なルーティングが組めます。



ルーティングの設定は混乱しがちなんで、紙に書いて頭の中を整頓させた方がいいです。

◯まとめ

MPCをロジカルに扱いたい場合はこんな風に自分ルールを設定してテンプレ化してしまうのが近道です。
チュートリアルでは「デモを使ってみよう!」から「自分のサウンドセットを仕込んでみよう!」となる訳ですが、
このプロセスにクドい程の時間をかける事で応用の効くスキルが得られると思っています。

しかしここまでくると「もう素直にAbletonとかBITWIGでいいじゃんよ。。」と思われるでしょうね。
あるいは「指ドラムで叩きたいんだからそんな理屈はイラネーよ」と言う人もいるでしょう。
素直な人なら是非そうして下さい。ただこのギョーカイ素直じゃない事が最大の個性であり武器です。
自分も「OCTATRACKでやりたかったけどやり切れなかった事」に再挑戦している訳で、
これでダメなら諦めてパソコン使いますw