Sonicware LIVEN evokeレビュー

タイムラインに出てきた投稿を観てウッカリ(本当にウッカリ)買ってしまった
sonicware LIVEN evoke。
「ライブン・イヴォーク」と読むらしいです。

このLIVENシリーズは同一の筐体でキャラクタの違う色々なモデルを発売してまして、
そういう所スゲー賢いなと思っていました。

それにアンビエント系の機材って何故か高いんですよね。円安抜きにしても高い。
筐体の質感とかデザインとか凝ってるから仕方ないんだけど、
シンセにしろエフェクターにしろ、
「所有するだけでステイタス」な目ん玉飛び出る値段の物が数多くあります。
機材廃人としてはそれを「ロマン」で片付けてしまうものですが、
安価な機材ラインナップも欲しいところ。
そんな中で日本メーカーながらもロマン全振りなジャンルを
比較的安価にリリースしているsonicwareは遣り口が巧妙!

 

今回のevokeはアンビエント系上モノマシンというべきか、
ピアノやらバイオリンやらチェロやらのアコースティックな音に
グラニュラーエフェクトとリバーブを仕込んだ機材であります。
このアコースティック楽器って、マシンライブなりモジュラーライブなりで
ほとんど聴かない音でしょ!
そういう目の付けどころも非常に気に入っています。

またLIVENシリーズは一つ操作を覚えれば
他のモデルもだいたい一緒、という安心感から初心者にもお勧め出来ますよね。
(まぁアタシは今回初めてなんですが)

 

◯電池駆動/スピーカー付き

LIVENシリーズみんなそうらしいのですが、乾電池で動きます(ACアダプタは別売り)。
ACアダプタはKORGのvolcaシリーズと共通、EIAJ3の9Vです。ニクい。
公式でKORG KA350を推奨してる始末。
正しくvolcaユーザーの次のステップとして見据えている感がありますね。
MIDI端子はDIN-MIDI端子をIN/OUT、クロック入出力もあります。


個人的にはTRS-MIDIに移行しちゃってるし電源もEIAJ作らなきゃならんのですが、
初心者に優しい良心的な設計ですね。

64ステップ/4トラックらしいです。
ランダムシーケンスも出来ます。

◯基本的なシーケンス

鍵盤キーとステップキーがそれぞれ独立してます。
廉価版モデルではこんな所は真っ先に統合して部品代の縮小を考えるものですが、
元々sonicwareは鍵盤弾きの方が開発に携わっているのか、熱いこだわりを感じます。
確かに別々のほうが打ち込みしやすいよね。

で、ステップキーで位置を決めて鍵盤キーで音の高さを決める。
以上のようなステップレコーディングも鍵盤を弾きながら録音するリアルタイムレコーディングも、
はたまた再生中にノートを加えるダイレクトレコーディングもできます。
ELEKTRONで言うパラメーターロックもステップごとの発音確率の設定も出来ますし、
後発モデルだからこその至れり尽くせり。

そしてココめちゃイイ!と思ったのが、

発音確率を制御するツマミが独立してること。
これだけでELEKTRON越えました。

◯アンビエント機に留まらない音色レパートリー

アルトサックス!
ウッドベース!
他の音色もジャズギターやトランペットなど、
おおよそアンビエントには似つかわしくないような音色が用意されています。
これらの使い途を考えるだけで想像力が膨らみますよね。

だけどサックスなどのラッパ物はあまりリアルに聞こえない。
ここんとこは作り込み(ボカロで言う調声みたいな?)が必要かもしれません。

 

◯Acoustronic Flux Oscillator

上記のアコースティック楽器の音色(Instruments)に
普通のシンセのような波形(WAVE)を自由にブレンドする事が出来ます。
Waveを最大に上げれば普通のシンセらしい波形で鳴らす事も。
使い込んでいくうちに、この機能がキモな気がします。

◯エフェクト

エフェクトはグラニュラーエフェクトとリバーブを備えています。
トラックごとにセンド量を決めていくタイプ。

◯ダメなところ

操作する上で引っかかったポイントを挙げるなら、
ShiftやFuncの同時押し/二次操作が多く、操作が煩雑。
たぶん暗いライブ現場では文字が読めない。

LIVENシリーズ全てに共通する事だと思いますが、ここはもう少し洗練させて欲しい。

あとね、ロゴがダサい。
SONICWAREロゴも80年代SFアニメ的なフォントが合ってないし、
(元々このロゴのセンスが嫌で今までそ製品スルーしていた)
Evokeロゴに至ってはわざとらしさ満開。
「イトーヨーカドー2F紳士服売り場にしか置いてないTシャツ」みたいでダサい。
ユニクロとまで言わないからGUくらいのセンスは欲しい。
オレもくたびれたオッサンではあるけどヨーカドーとかファッションセンターしまむらには行かないぞ。

ほんと、製品価格が高くなっても構わないからデザイナー雇ってくれ。

 

◯触ってみた所見

写真では黒く見えるけど実際はダークグレー。
意外とデカいな、でも軽いから良いか。
ボタンやキーの押し心地はそれなりだけど、ツマミの回し心地は悪くない。
全ての機能名が表示されているが却って煩雑。

マニュアルを見ずに適当にいじってみた結果、ムズかしい!
操作が難しいとゆうよりは「この音をどうパフォーマンスに活かすんだ???」的な難しさ。
そりゃ聴き慣れない音ばかりですから、今まで構築してきた方法論が通用しません。

「誰でも簡単アンビエント・マシン」だと思っていたイメージが崩れていきました。
こりゃ厄介だぞ。腰据えて付き合っていかなきゃならんわ。

◯まとめ

価格の安さに騙されるな

ネットの情報だとインスタント・アンビエントマシンだと思ってしまうけど、
予想以上に(悪い意味で)多機能なので困ってしまいます。
日本人的な真面目さが出てしまっているんでしょう。

Youtube動画のようなパフォーマンスをするには相応の訓練が必要に思えます。
しかししかし、この値段で高級機しか存在しないアンビエント機をリリースする事じたい快挙。
Sonicwareにはこういうニッチな所をザクザク刺していって欲しいですね。

 

 

 

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