マングリング・マングラー

事の始まりは去年の秋「モジュラーシンセ x PCDJ」で新しい試みを行ってから。
ライブイベントでミニマルのDJプレイの上でモジュラーシンセを鳴らしてみて
「お!なんか手応えああるぞ?DJ崩れの自分には最適かもしれない」

→「でもなんかズルしてるみたいに見られてヤだな」
→「じゃあそのDJにあたる部分をサンプラーとかで代用出来ないの?」
→「巷に溢れてるループサンプルで何とかならん?」

そうしてbeetlecrab TEMPERAを購入してからが沼の始まりでした。
TEMPERAは取り込んだループサンプルのBPMを覚えさせた上で、
幾つかにスライス→ランダムに鳴らす事が出来ます。
(本来の、主流の使い方ではないです。正しい使い方は知らん)

これが自分にとって革命的でした。

この「ビートのスライス→ランダム」は音楽用語では「マングル」「マングラー」と呼ばれています。
一般的に直訳すると「めちゃくちゃにする」「物理的な破壊をする」と捉えられてます。
主にドラムンベースで多用される手法でソフトウェアでは沢山あるものの、
(KORG gadgetにもあるもんね)ハードウェアでは一般的ではないものでした。
はじめのうちは「グラニュラーサンプラー」は全てコレが出来ると勘違いしており、
その為に遠回りをしていた事もあります。
グラニュラーはあくまでもツブツブ化が目的であってBPMは関係ないのです。

TEMPERAの音質の良さも相まって
→「これドラムマシンの代わりになるんじゃね?」
→「2トラックでコレやればDJ的に交互に鳴らせるよね?」
→「だったらサンプルの入れ替えも容易な方がいいじゃん?」

この発想からマングラー探しが始まりました。

◯俺的マングラー要件

・手動or自動でBPM検出が出来る
・ループサンプルのスライス→ランダムがが出来る
・元サンプルのBPM管理が容易
・サンプルの入れ替えや検索が楽
・2トラック以上でフェーダーを使ってロングミックスができる
・必要に応じてランダム具合を制御(スライスした上で元の順番通りに再生)

BPM90か140でプレイする事が多いしドラムンベース的な派手なエフェクトは要らないし、
自分にとって必要な機能とそうでない機能を選り分けた最適なマングラー探しが始まりました。

 

◯beetlecrab TEMPERA

本来は「グラニュラー・サンプラー」であるけど、
「Hzモード」と「BPMモード」と二通りの使い方が可能で、
そのBPMモードがマングラーにあたります。
8つのトラック/4つのトラック設定で4通りのマングル具合で鳴らせます。

難点も色々あって、
・順番通りには再生できない(もしかしてあるのかもしれんけどわかんね)
・画面が小さくサンプル入れ替えがダルい
などあります。DJ的に使うのは無理だね。

◯Torso S-4(ver.1.xx)

まだグラニュラー=マングラーと勘違いしてた頃に一度購入。
どうにもこうにもマングれなくて
「アンビエントしかできねぇじゃん!」とアッサリ売却。
ホントはできるみたいだったけどね。いまいち理解してなかった。
しかし表面処理が杜撰で指紋や脂が付いて落ちないって難点もあった。
中古買う時は要注意。できるだけ正規代理店から新品で買うのが良い。

◯1010music bento


「スライサー」モードがある。マングれる。これはマングり返しヤリ放題だぜ!
と思ったけどスライサーモードはともかく、サンプルの入れ替えがダルい。
そこ以外は良い機材ではあると思うし多機能サンプラーとして有用なので売らずにとっとく。
ただしマニュアルが公開されてないからMIDIコンの設定できない。早くしろ!

ちなみにDigitakt mk1と迷っていたけど、デジタクト今のverならマングル可能らしい。
触ってないけど。

◯ectocore


こちらはユーロラック。
サンプルの設定はWEBアプリ上で、入れ替えはmicroSDカード経由。
WEBアプリ使い易いし本体の操作感も上々。
しかし「正しい順番通りには再生してくれない」「エフェクトすらランダム」
「つまり言う事聞かない暴れん坊」です。7万円くらいしたのに。
けどまぁ面白いからキープ。

◯picocore(P4L)


これもユーロラック。
元々picocoreというオープンソースのハードウェア(https://infinitedigits.co/wares/pikocore/)
を国産モジュラーメーカーP4Lがユーロラック化したもの(値段はだいぶ安い)。
どうもectocoreと開発者同じらしい。
エフェクトがド派手なのは開発者の性癖だろうな。

※ユーロラックのマングラーは当然シングルトラックなんですが、
軽い気持ちで遊べる玩具として重宝してます。

◯Torso S-4(ver.2.0)


Ver.2から大幅に進化したということで「今度は割とラクにマングれる」ので再度購入。
お金足りなかったから(マングルには)使いづらいTEMPERA売っちゃった。

マングル超かんたん。いろいろパラメータいじれるし、
何と言ってもマングル具合をAmountで調整出来るから正しい順番で鳴らしながら徐々にランダム化、
って事も可能。他のは出来ない。

◯結論1:ドラムマシンの代わりと成り得るか

もともとモジュラーシンセでランダムにハマって以来
ランダムゲートジェネレーターなどから模索してましたが、
従来の「シーケンサーで打ち込み派」な人は嫌がるでしょうね。

他のランダム系モジュールと同じく「どこから機械任せで、どこまでコントロールできるか」
がキモなので好みのマングラーを見つけるのは結構な模索が必要であります。

音質的にはこれら3つは十分。

◯結論2:DJライクにサンプルの切り替え〜ロングミックスが出来るか

まずMIDIコンはintech StudioのPBF4を使ってます。
これはMIDIコン側でも柔軟に設定できるフェーダー型MIDIコンなんですが、

・トラックボリュームを変えるCC番号が公開されているか否か

・TEMPERA:できる
・bento:マニュアルがない(未公開)。早くしろ!
・S-4:できる筈だけどバグなのかワケわかんない挙動をしやがる。アプデ待ち。

・コンピュータからのサンプル流し込み

・TEMPERA:USBストレージモードで繋がるが画面が小さいので厄介ではある。
・bento:microSDカード経由。各モードごとにフォルダ分けされており、用途が決まってしまう。
・S-4:USBストレージモードで繋がり、これが一番単純。フォルダ分けも自由。

 

・またサンプルの入れ替えが楽かどうか

・TEMPERA:ダルい。画面が小さいのとボタン少ないのがネックで探すの大変。
・bento:面倒臭い。改装深い。現場じゃ厳しい。
・S-4:この中では一番ラク。

 

◯まとめ

まぁ多分S-4でこの沼からも抜け出せる事でしょう。
MIDIコンさえちゃんと動けば。
S-4のちゃんとしたレビューは後で書きます。

今後はサンプル選定やS-4の細かいパラメータを理解することに務めます。
S-4のレビューは後で書くよ。

 

 

おすすめ