MOOG LABYRINTHレビュー

モジュラーシンセを始めて何年経ったか覚えてないけど、結局セミモジュラーに行き着く事が何度もあります。
構成の自由度がモジュラーシンセの醍醐味でもありますが、あまり自由過ぎても迷いが出てやりたい事がアヤフヤになるんすよ。
そこで自分に見合った制約を付けていく事になるんですがラック構成を考える上でセミは自由と制約のバランスが丁度よい。
セミを一台中心に置いて、それを発展させる形で単体モジュールを加えていくのが自分にはピッタシなんです。
今回はその「自由と制約」がバッチリとハマったLabyrinthを紹介します。
◯ランダム(自動生成)シーケンサー
Labyrinthの大きな特徴である自動生成。
ランダム回路によってシーケンスを自動生成してくれる物はモジュラーシンセの世界では珍しくありません。
MutableのMarbles系を始め、turing machine系Benjolin系などなど派生モデルを含めると本当にたくさんあります。
VERMONA meloDICERもそうでした。
DAWやグルボユーザーからすれば「自分で打ち込まずに何が面白いんだ?」と疑われてしまいがちなんですが、
そのぶん他の作業に専念できる事から非常に重宝しています。
上で挙げたモジュールも一通り試してきたんですけど、
キモは「どこまで機械任せに出来るか、どこから自分で制御出来るか」って所だと思います。
BPM(clock)、発音のタイミング(gate)、音の高さ(CV/クオンタイズ)
これらの要素を機械任せか自分で制御するかを選べたり選べなかったりするんですよ。
Benjolin v1やHYPJOLINなんかはクロックすら受けられませんからねw
発音タイミングも重要で、自分個人的には「休符が出来るかどうか」が大問題でした。
大抵は休符できませんからボボボボボボボボと鳴ってしまいがち。
この音を後から別に用意したVCAとゲートシーケンサーを使えば解決しますがね。
ここを制御できるのはmeloDICERくらいだったと思います今までは。
音の高さについてはCVの範囲制限とスケールクオンタイズが出来るか否か。
ハードコアモジュラー界では「スケールクオンタイズなんて屁タレのやる事!」という風潮もありますが、
出来た方がイイじゃんよ。音楽っぽいもん。
このように「音楽的であるか機械的であるか」の匙加減もこれらのモジュールの個性となっております。
もちろんBenjolinのような機械的な音もある意味モジュラーシンセらしくて嫌いではないのですが、
別にオレ、モジュラーシンセらしさを突き詰めたいというハードコアモジュラーマンでもなくなったので
やはりもうちょっと音楽らしさに振りたいと思ってます。
◯で、Labyrinthのシーケンサーはと言うと
Labyrinthは今まで使ってきたランダムシーケンサーの中では最も音楽的であると同時に、
自分で制御できるポイントも多く非常に気に入ってます。
まず真ん中のLED部分、この2列をシーケンスに見立てて、それぞれ鳴らす事も出来るし、
二つ重ねて16ステップにする事もできます。
基本的には同じ速さで動きますがSEQ1とSEQ2はそれぞれ別のクロックを入れられますので
クロックディバイダー等で違うクロックを入れると面白い動きをしてくれます。
ちょうどMakeNoiseのRENE2と同じですね。
SEQ1とSEQ2、基本的には同じ音が出ます。
右側の[EG TRIG MIX]でSEQ1だけの音、或いはSEQ2だけの音を出す事も可能。
CVの範囲は[SEQ 1/2 CV RANGE]で調整。一番左に回すと音程の変わらない単一のピッチで鳴ります。
リズムを作りたい時に便利っすね。
そしてミソなのがSEQ1/2にある[CORRUPT]ツマミ。読み方わかりません。
これはゲートのON/OFFやCVを時間ごとにイイ感じに変えてくれるツマミで、
左いっぱいだと0%、12時の方向で25%の確率で変えてくれます。
右いっぱいだと8ステップ目で変わっていくのかな?
このため鳴らしっぱで放置していてもフレーズが変わっていき延々と聴いてられるのですよ。
自分でフレーズを制御したい場合はCVはCV RANGEのみですが、
ゲートに関しては[BIT FLIP]ボタンで手動でも変えられます。
Labyrinth一台でリズムと上モノとか、ベースと上モノとか鳴らし分けも出来ますが、
自分自身は同じ音にしてSEQ1とSEQ2のクロックだけ違うものにしてベースとして鳴らしています。
程良く音楽的。
◯Labyrinthのシンセサイズ
あんまりMOOGらしくないと評されるLabyrinthのシンセですが、
ぼくMOOGらしさって何か分かってないのでどうでも良いです。
特徴的なのはウェーブホルダーがあること。それとVCFとの混ぜ方を色々と変えられること。
ちなみにウェーブホルダーとは西海岸シンセ流の波形折り畳み機構で、
平たく言えば歪みです。歪みとは言ってもファズなどと違って音が痩せない使い勝手の良い歪みです。
個人的に気に入ってるのが上段右から二番目の[BLEND]で、
スイッチはパラレル、ここにCVソースを割り当ててVCFからVCWに変える事ですね。
アシッドなんかよりエグい音質変化が得られます。
他にもリングモジュレーターやノイズソースもあるので結構色んな音作れます。
◯Labyurinthのパッチング
正直あんまわかってないのでザックリと解説しますが、MIDI入力付いてます。DFAMと違って。
あと前述したようにCLOCK1と2と別れているので違うクロック入れると面白い音になります。
他のシリーズより出力が多い気もするなぁ。セルフパッチングでも結構やり甲斐ありそう。
◯まとめ
万人にオススメ出来る機材ではありませんんが、Marblesみたいなランダムフレーズを楽しめる人には良い選択です。
これらのランダム系モジュールよりも遥かに音楽的なフレーズを奏でてくれます。
エンベローブはディケイのみなので、シーケンサーと相まってパーカッシブな音が得意です。
DFAMと似ていますが遥かに広い音作りが可能。
むしろ(所有してる)DFAMの立場が危ういので棲み分けが難しいです。
アタックがないのでフワッフワのアンビエンティな音は苦手です。
そういう人はサブハモ買いましょう。