Folktek Resonant Gardenとアンビエントボックス

アメリカのカルトな電子楽器メーカーFolktek。
https://folktek.com/
幻想的なデザインのモジュラーシンセ、スタンドアロンデバイス、ペダルエフェクターを制作している所で、
日本のお店(FiveGやbeatville)でもたまに輸入していたりするので知らない人は少ないかと思います。

美術品ではないけど工芸品のようなコンセプトとポジションで、
ハンドメイドかつ少量生産なので過去の「作品」がベラボーな値段で売られていたりもします。

そのFolktecの現在のフラッグシップモデルとも言えるResonant Gardenを
(けっこう格安で)入手したのでレビューします。

ちなみにFolktek公式サイトの定価は158000円。まだ注文受け付けてるようです。
Reverbでは20万とか30万とか値段付いちゃってます。

3つのエフェクターと4つのアホ毛(アホ毛じゃない)+マイクを合わせた製品で、
このアホ毛を叩いたり擦ったりした音をマイクで増幅〜エフェクターから出力というものです。
アホ毛と言いつつも実際にはギターかベースの弦。太さや長さが疎らなものが付いています。
一応ユーロラック基準ではあるもののエフェクター以外は取り外しが効かないようで、
基本的にはスタンドアロンのなようです。

使い方は簡単で、基本的には各エフェクターをパッチケーブルで繋いで一番右が最終アウトになります。
もちろん3つのエフェクターそれぞれにステレオIN/OUTがあるので自由にパッチングしても大丈夫。
あとは4箇所から生えてるアホ毛を指で弾いたりアホ毛同士を擦ってみたりするだけです。
3種類あるエフェクターはディレイやリバーブを中心に7種類ずつ入っているのでお好きな物を選びましょう。

最初に触った印象では、エフェクトのWET/DRYを決めるMIXノブ、
これを100%近くにしちゃった方が楽しい音が出ます。
普通の楽器と同じように50%くらいに留めておくとツマランのです。
叩いた時に音が遅れてしまうので80-90%くらいにしておいた方が良いんでしょうか。

気になった点を二つ。
スタンドアロンデバイスとは言え、出てくる音はモジュラーレベルで
ヘッドフォンジャックなんて無いですから、別途ミキサーが必要です。
もう一つはこのアホ毛、取り外しが効かないので持ち運びが超不便。
購入を検討される方は覚悟しておきましょう。

しかし何と言ってもこの製品の最大の魅力はビジュアル。
Folktekならではの美しく禍々しいデザインは他を圧倒するものがあります。

あまりにもデザインに癖が強いので他の製品が浮いてしまいます。
Resonant Gardenが浮くのではなく他が浮いちゃう。
ZOOMのL6をミキサーにRolandのS-1を合わせてもプラ筐体の安っぽさが顕著に感じちゃう。

音の相性は良いけどね。

 

◯「アンビエント・ボックス」って機材ジャンルなの?

アンビエント系の電子楽器の中に
木箱に付けたバネや針金、金属板やカリンバなどを弾いたり叩いたりして、
その音をピエゾマイクで拾ってディレイやリバーブをかけるものがあります。
基本的にはDIYで作る物らしいんですが、Resonant Gardenのように販売している物もあります。
これらの総称を「アンビエントボックス」または「ノイズボックス」と呼ぶらしく、
Youtube動画やReverbやEtsy、PerfectCircuitでちょくちょく見かけます。

むしろ工作に自信のある方なら自作出来そうな感じ。

Etsyでは自作したと思われる物が結構売っていてホッコリします。


◯LeafAudio

今回購入はしていませんが、このアンビエントボックス(?)を得意とするメーカーを一つ紹介します。
それがLeafAudio。こちらのMicrophonic SoundboxはPerfectCircuitでも扱っている立派な製品です。
https://www.leaf-audio.com/

ここで扱っているMicrophonic Soundboxという物がこの世界への入り口にピッタリじゃないでしょうか。

 

◯Etsy

世界中のハンドメイド作品が集まるEtsyでもアンビエントボックスは購入出来ます。
こちらでは「noise box」で検索したほうがヒットし易いです。

写真のような高級品から「こりゃオレにも作れるんじゃねぇの?」と言いたくなりそうな代物まで
多種多彩(玉石混交か?)な品揃えですね。

◯UNDER TECHNO SYTSTEM

さて最後となりますが、このアンビエントボックスを駆使してライブ活動をされている方を紹介します。

髙橋 芳一
https://x.com/UTS_takahashi_y

元々モジュラーシンセをやっていてフォローしていた訳ですがまだ面識はありません。
都内近郊で活動しているので近々伺ってみたいと思います。
こちらすべてホームセンターなどで購入出来る材料で自作していてライブ当日は大荷物になるそうです。

圧巻のライブ映像。
なんとこのサイケデリックな映像もAIを使って自作されているようで、自分の声を使ったボイス・パフォーマンスやダンスも。
とても1961年生まれ(!)とは思えない真のトータルパフォーマンス・アーティストです。
東京近郊の方でしたら生のライブを観る事をお勧めします。おれもまだだけど。

◯まとめ

Folktekのような工芸品でもホムセンでこしらえた自作楽器でも、
電子の音の次は「物理と音響」の面白さに触れてみるのも良いと思います。
モジュラーシンセやマシンライブの賑やかし要員にこういう物を一つそなえるだけでオリジナリティがグンと上がりますよ。

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