ライフワークとしてのDJ
DJと名乗るようになってから16,7年は経ったと思います。
プロとしてギャラを貰うような活動した事はほとんどありませんし、
華やかな経歴を持っているわけでもありません。
アマチュアのDJ活動でも緩やかな師弟制度がありまして、
今ではスクールやネットで教えて貰う事もできますが、
なんだかんだ言っても師弟制度が一番効率のいい習得だと思います。
自分にも師匠がいましたし、影響を与えてきた&与えている弟子も何人かいます。
そんなに厳しいもんじゃありません。
大学のサークルにおける先輩後輩の関係が一対一になったような程度です。
・選曲やテクニック、デバイスについての知識
・自分に合ったフィールドの選定と開拓方法
・音楽史から紐解く各ジャンルの文化と価値観
・歳をとっても感受性を磨いたり維持をする方法
・DJ活動から得たスキルを仕事や勉強に応用する方法
こんな事を本人のペースに合わせて長い期間をかけて伝えていきます。
とてもじゃないけど公的な文章にできるようなものではありません。
最終的には面子だとか心意気とか、そういう次元の話になってきます。
つまり生き方や価値観の物差しに成り得るほどの深い文化であるって事。
そこまで教えられるのは自分自身がDJ活動を通して生き様の規範を決めてきたから、です。
始めっから意識していた訳じゃありません。
10年以上経って周りから指摘されて気が付いた事です。
ここで少々の自分語り失礼しますが、
ボクは経済的&精神的に貧しい家庭で育ったようで(自覚は無い)、
勉強もスポーツも出来ず、その癖プライドだけが肥大化した困ったガキでした。
働くようになっても目上の人間と折が合わず職場を転々とするようなダメ人間。
全ての人に与えられる人生の課題「どう生きるか」という問題も、
普通なら親や学校が教えてくれるんでしょうが自分にはどうしても馴染めませんでした。
お察しの通り自己嫌悪と劣等感だらけのハミダシ人生でしたが、
20代半ばにして生まれて始めて「努力して技術を学ぶ」事を覚えたのがDJのスキルでした。
居場所が無ければ自分で創ってしまえ。と、
コミュニティの作り方はパーティオーガナイズで学びました。
劣等感を無理に矯正せずに個性として昇華させる方法は選曲術から学びました。
お陰様でボクの周りに集まってくる連中は一癖も二癖もある面倒臭い奴等ばかり。
家族や上司には恵まれなかったけど、友達だけは事欠かない人生を送れています。
そうして30歳で未経験の業界に飛び込み32で学校に通い34で独立開業。
七転八倒ながら7年フリーランスとして食っていける力は身につきました。
社会的に世間様から褒められるような実績はありませんが、
戦う術を身につけられたのもDJという肩書に依存をしていたからです。
ライフワークって、人に言われてやっと気が付いたんですがね。
足で探せ、手を汚せ、身体で覚えろ。
情報化社会だからこそ情報で割り切れない部分が重宝され、
アナログライクな枯れた技術が価値として光るはずです。
このブログを読んでてくれるDJやトラックメイカーの方ならすぐにわかりますよね。
今更アナログレコードのDJが持て囃されているのは何故か。
何故TR-8やTB-3よりTR-808/TB-303なのか、
テープエコーやスプリングリバーブの市場価格が下がらないのは何故か。
コレクションアイテムとして価値が上がってるだけじゃなく、
今でも現役ですよねこういうの。
モノだけじゃなく人に関しても同じ事を当てはまります。
IT業界で活躍した人が農家に転職する、なんて話も分かりますよね。
それは既に枯れた技術なのでメインストリームに返り咲く事は無いにしても、
小さなコミュニティが輝くには十分なエネルギーになりえます。
自分がこんなんだからか、生き方に悩んだり諦めている若い人達をよく見かけます。
IT革命によって価値観が多様化し過ぎて、
逆に保守的な価値観しか見えなくなってしまってるんでしょうか?
自分の居場所ってのは仕事か家庭(恋愛含む)だけじゃありませんよ。
第3第4の選択肢を見出して価値観と可能性を絞り込んでいけば、
生きる辛さがだいぶ軽くなりますよ。
自分がたまたまDJ文化に出会えて救われたってだけで、
人によってはスポーツとか芸術とか、
或いは美少女アニメの収集がライフワークに成り得るかもしれません。
そこまで昇華している人は馬鹿に出来ません。笑えるけど。
ボクの周りに集まってくる連中は、
心の貧しいコミュニティでユルく迫害された体験を持つ人が多いようです。
分かりやすい貧乏とか、分かりやすいイジメなどではないので、
他人の共感を得る事も難しいし、癒やす方法が体系化されてもいません。
そもそも共感なんぞ得られたところで、それは風邪薬程度の効能しかありません。
なので自分探しなんてのにハマるくらいなら、
激レアレコードやビンテージ機材でも探した方が100倍癒されます。
ビンテージ機材でも癒やされないなんて奇特な人は、
更に深くビンテージICチップでも探して下さい。
負け犬として生まれ、勝つために生きる
どっかの映画のキャッチコピーだったと思うんだけど、
非常に強いシンパシーを感じています。
そこで問題になる「何をもって勝ちとするか」はライフワークが教えてくれますよ。