x0xb0x制作記【4】筺体編

前回の記事からだいぶ経ってしまいましたが、
どうにかこうにか音が出るようになったx0xb0x。

TB303含め他のアシッド系ベースシンセに対するx0xb0xのアドバンテージは、
筐体設計に余裕があるのでカスタムが容易な事。
自分で組んでしまえばある程度の構造は把握出来ますしね。
中身を組んで音が出たらgizm0xマニュアルに沿って電圧や音程の調整をしていきます。
ここで得た結果をデフォルトとして覚えておくとドツボにハマった時でも元に戻せます。

◯x0xb0xで出来る改造

ダブルVCOやx0x-Heart内蔵(x0xの中にもう1個x0xを入れてしまう的な)を始め、
「DevilFish?なにそれ美味しいの?」とドヤれる魔改造が出来てしまいます。
抵抗やスイッチの追加だけで行なえる低予算モデファイも色々とあり、
http://www.subatomicglue.com/x0xl0g/mod%20guide/mod%20guide.html
このサイトで紹介されている方法も試してみます。

そもそも公式サイトやフォーラムでも改造方法が各種紹介されてますしね。
http://ladyada.net/make/x0xb0x/mods.html

◯改造にあたっての方針

アシッドベースは元祖であるTB303の音に如何に近づけるか、
という価値観が最も多いのですが、
アタクシは正直なところそんなに気にしてません。

色々と部品を替えて試したところ、
「荒い」か「マイルド」かの物差しで測れるように思えてきました。
あんまり荒いと他の楽器を殺しちゃうし、マイルドに振ると埋もれちゃう。
コッチで荒くしてソッチはマイルドに、ってな具合でバランスを取りながら調整していきます。

そして忘れちゃいけないのがドラムマシンとの相性です。
1号機の頃はvolca beatsやTanzbarといったクラシカルな音のマシンと組み合わせていましたが、
現在のメインマシンはAnalogRYTM。音圧も高く音創りの幅がメチャクチャ広いんですよ。
なのでこのx0x2号機も出来るだけ色んな音色のドラムに対応できるように、
音作りの幅を拡げていければいいなと思ってます。

◯電源のDC化

これは組立時点に済ませていましたが、ノーマルのAC/ACではなく
gizm0xShop謹製DC化基板を使ってAC/DCアダプタを使えるようにしています。
カスタムとしては地味に思えるだろうけど、この効果はデカいっすよ。
エフェクター用電源として一般的な9Vセンターマイナスのアダプタが使えるようになります。
この規格だとコンパクトな物や高音質設計の物など電源に選択の余地が生まれるのが一番のメリット。

◯VCAチップ交換

TB303純正のVCAチップBA662Aは既に廃盤となっていて、
代替品のBA6110がx0xb0xの標準です。
BA662Aはプレミアがついてしまってebayの中古品でも一つ1万円します。
実は1号機にはこのBA662Aが付いているので、せっかくだから聴き比べをしてみました。

前半がBA662A、後半がBA6110です。
単純な音量差や音圧差もあり6110の方が大きい音がします。

BA662Aはマイルドで上品。スライド時の音程の変化が滑らか。
しかし現代のアシッドトラックに聞き慣れた耳には物足りなさを感じます。

BA6110は荒っぽく力強い。
アクセントの音が「ビン!」と響いてカッコいい。
単なる音割れなだけなんだけど、その音割れすら格好いいと思えてしまう。
スライド時の音程変化は段階的というか、カクカクといびつでしたね。

音の印象は甲乙付け難いところがあります。
レアチップだからと言って盲目的に有難がるのはナンセンスだと感じました。
スライドの音程変化ではBA662Aの方が滑らかで特徴的だけど、
現代のドラムマシンの音圧と釣り合いが取れるのは6110の方かなぁ?
って事で今回は6110を採用します。

◯TM4電圧調整

メインボードに半固定抵抗TM4がありまして、それをイジると
5.33Vの基準電圧が5.35Vあるいは5.31Vになるだけで激変する事に気が付きました。
って事で、J4コネクタにテスタを挿してTM4を回しながら美味しい音を探してみます。
もちろんココいじるとピッチなど色々と破綻するのでキチンとした楽器を作りたい人にはお勧め出来ませんよ!

◯エンベロープ・モジュレーション3倍

ノーマルのEnvModツマミは回していてもイマイチ効果が掴みづらいので、
この効果を3倍にまでブーストする改造を施します。

と言っても簡単なもので、R63に100kΩの抵抗を【並列で】するだけ。
交換ではなく追加なので要注意。

これだけで効果テキメン!

◯ディレイ

x0xb0x専用として売っているディレイユニット(黄色いの)。

専用品なら安心だしこれが無いと配線経路がわからないですしね。
これも例によってコンデンサと抵抗をオーディオグレードの物に換装します。

付属の英語マニュアルに沿ってI/Oボードの加工や電源の取り出しを行なうんですが、
ここで困ったポイントが一つ。
電源をDC化した為にマニュアル通りに12Vを取り出せる場所が無い。
I/Oボード中心部のJ4コネクタは12Vですが、
ここから電気を取ると何故か音質全体に影響が出ちゃうんですよ。
出来るだけDCジャックに近い場所の方が安全そうです。

そこでgizm0x氏に相談した所、DC化基板の15Vから取るようにと教わりました。
ディレイユニットに付いている3端子レギュレーター(電圧調整の為の部品)の
許容範囲内なので問題無いとのこと。

エフェクタとしての性能は可もなく不可もなく。
定番チップPT2399を利用した扱い易いディレイです。
Delay最小/FeedBack最大で程良い発振をしてくれます。

◯その他ボツにした改造

・リバーブ内蔵

BOSS RE-5を中古で購入、これを分解して内蔵しようとしました。
筐体に収める前は上手くうごいてくれたんですが、
x0xのI/Oボードから電源を取ると何故か稼働しない。
色々と原因を探ったんですが分からないから辞めちゃいました。


(見切り発車で筺体に穴を開けちゃったの図)

もちろんこのエフェクターは元に戻す事が出来ずにおシャカです!

・ベースブースト

C20とC21に付いているコンデンサを0.01uFから0.1uFに交換すると低音マシマシ。
x0x単体では豊潤な低音になって気持ちいいんですが、
ドラムマシンと組み合わせるとキックやロータムの美味しい音域と被ってしまいお互いを殺してしまいます。
結局は元の0.01uFに戻しちゃいました。

・レゾナンスブースト

好きな人にはタマんない音だろうけどオレ無理これ。

◯筐体におさめてみよう

x0xb0xは既成品と違って筐体内部のスペースに余裕があります。
このアルミ筐体でなら、
エフェクターくらいの基板なら2~3枚メインボードの裏に収まりますし、
フロントパネル上部にツマミやスイッチを取り付けるスペースもあります。
プラ筐体の方はツマミ/スイッチ類はサイドに付けるのが一般的ですね。
実はココでもかなり苦労したんですが、
筐体を収めるのにケーブルとコネクタを断線させたり寸足らずだったりして
結局イチから作りなおしました。更には基板が干渉してICを壊したり、
組んだと思ったらエフェクトのツマミが逆に作用しちゃう!とか、
もうテンヤワンヤでした。。

もちろん改造をしなければさほど苦労しなくて済みますし、
一度つくってしまえばコツを覚えられますけどね。
初めての方は要注意です。
最後の最後だからついつい焦っちゃうんですよこの工程。

◯まとめ

とまぁ、予想外の苦労やアクシデントに見舞われつつも何とか組めました。

組立当初は「ぼくのかんがえたさいきょうのアシッドベース」と思ってましたが、
思ったほどの効果が得られなかったり改造に失敗したりと、
結局は実用性重視で無難なところに落ち着きました。

実際の音はと言うと1号機よりも荒っぽい音が出せるようになりソコソコ満足してます。
高音質ながらアナログらしいガサツさとチープさが上手く出せていると思います。

制作期間は一日1~2時間未満で2~3週間ほどだったような。
かなりノンビリやってたんで器用な人ならもっと短時間で組める筈です。

挑戦してみたい方は是非gizm0x shopまで問い合わせてみて下さい。
抵抗やコンデンサ類がオーディオグレードの物になってますし、
なんと日本語組立てマニュアルついてるようですよ!
あとキチンとしたピッチ調整の仕方も教えてもらえます。

◯おまけ

ここではあまり自分の本業について触れていませんが、
今までの「フリーランスで店舗デザイン/内装工事業」から転身、
春から精密板金業を営む町工場で修行を始めてます。
平たく言えば金属製のハコを設計したり制作したりする仕事。

はい。

お察しの通り近い将来シンセやDJ機器の筺体デザインをおっ始めます。
うだつの上がらないDJ活動やグダグダなレーベル稼業、
若ぇ頃にガッツリやったカスタムバイクのノウハウ、
前職の大工/家具工/インテリアデザインなどなど、
丸ごとブチ込んでイカす機材作りますよ!

このx0xb0xもオリジナル筺体の設計製作を予定しています。
ブログ読んでくれている皆さんから小遣い巻き上げる腹づもりですので、
何卒宜しくお願いします。

(いいかげん曲もつくらなきゃな。)

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