リバーブ・ペダルの選び方
ドラムマシンやシンセに適したエフェクトペダルを選ぶのって難儀しますよね。
Youtubeに挙がっている動画はほとんどがギターのデモなんで(そりゃそうだけど)、
果たしてそのペダルがシンセに向いているのか判断しづらい所があります。
なおかつ入力インピーダンスの関係でギターには使えるけどライン入力に対応していなかったり、
はたまた建前上ダメだよと言ってるけど使えちゃう物も結構あります。
そこで当ブログではエフェクトペダルのレビューを積極的にしていきたいと思いますが、
何よりも先に買うべきなのはリバーブだと思っています!
○マシンライブにおけるリバーブの効能
元来リバーブとは制御された残響音で様々な空間を演出する、という目的があります。
DTMでは各々の音を馴染ませるのに活躍していますよね。
しかし積極的に活用する事で原音自体を変えてしまったり、
現実には有り得ない空間の演出が出来るリバーブもあります。
・原音の悪い癖を隠す事で高級感が増す
これが一番のお薦めな理由です。
安いシンセだと耳障りな倍音やノイズが混ざっていたりするものですが、
上手く誤魔化してくれるのがリバーブの効能です。
ある程度の高級リバーブになると、例えば5万円のシンセが15万円の音になりますw
逆に言えばイイ音がするなと思ったシンセにリバーブが繋がってたら、
騙されている事になります。ご注意を。
・世界観の演出が出来る
シマー系リバーブで神々しい演出をしてみたり、
ダーク系でホラー映画の効果音みたいな響きを再現してみたり、
聞き手の想像力を喚起させるリバーブも色々とあります。
○代表的なリバーブの種類
・ホールリバーブ/ルームリバーブ
最も基本的でトラックメイクでは一番多用するリバーブと言って差し支えないです。
部屋の残響をシュミレートしたもので、大抵のペダルに備わっている機能です。
・スプリングリバーブ
プレートリバーブの次に歴史が古いバネを使ったリバーブ。
60年台ロックの「テケテケテケテケ」やダブの「ピチャン!」はこのスプリングによるものです。
本物のバネを内蔵した物も、電子回路でバネ感を再現した物も入手可能。
ちなみにビンテージ物として有名なRoland RE-201はあんまりピチャピチャ言いませんので、
そこを期待するなら別のバネリバーブの方が良いです。
・シマーリバーブ
この中では新しい種類で2010年に発売されたStrymon BlueSkyが元相。
パイプオルガンのように原音よりオクターブの高い残響音を出す事で神々しい演出が可能。
ストリングスやパッドにかけると全員即昇天します。
・その他
ウォーミーなノイズとモジュレーションを加えたLoFiリバーブ、
シマー系の応用で重厚な残響音を出せるダークリバーブなど、
メーカーごとに多彩な機種が販売されています。
○リバーブペダルの繋ぎ方と使い方
通常のギター用途であればセッティングを出したら本番中に触る事はほとんど無い筈ですが、
マシンライブで使う際は卓上に置いて手で積極的にツマミをグリグリ回します。
なのでツマミの回し易さとパラメーターの分かりやすさが重要になってきます。
繋ぎ方あれこれ
・ドラム単体
パラアウトの出来るドラムマシンであれば気に入ったパートだけにリバーブをかける事が出来ます。
ダブでよくやるのがスネアにスプリングリバーブ。
・ドラム全体
パラアウトの出来ない機種でならドラム全体にかけてしまうのは如何でしょう?
プリディレイの短いリバーブを使ってドラムのアタック部分を溶かしてブレイクを作ったりします。
・ベースや上モノ単体
これが一番一般的な使い方でしょうが、
ディケイの短い残響を薄く乗せるだけで音の値段が跳ね上がります。
・マスターエフェクト
フィルターの付いた多機能ステレオリバーブなら最終段にかけてしまうのも大アリ。
ツマミ一つで曲の雰囲気をガラっと変えてしまう事も出来ます。
○チェックしたいスペック
・ライン対応かどうか
ギターと電子楽器の音量は桁違いなので、
本来ギター用に作られたペダルエフェクターは電子楽器を繋ぐ事自体が想定外です。
しかしミキサーのSEND/RETURNはラインレベルの信号なので、
ここに対応していればシンセでもOK、という判断が出来ます。
また「ライン無理だよ!」と謳っていても案外使えちゃう物も多いので、
やはり楽器屋さんで試させて貰うのが確実です。
ちなみに公式で全製品ライン対応しているメーカーは、
BOSS、TC electronic、Strymonなどがあります。
・ステレオかモノラルか
電子楽器はモノラル出力の方が少ないので、
出来ればステレオ入出力のあるペダルの方が良いですよね。
ちなみにStrymonのBlueSky(と、あのサイズのペダル全部)は、
ステレオ対応ではあるけど入力だけTRS端子になっているのでケーブルを用意する必要があります。
・MIXかSENDか
残響音の音量をコントロールするツマミは必ずありますが、
MIXかSENDかで性格が変わってきます。
MIX:原音と残響音の割合を決めるツマミ。原音をゼロにする事が出来る。
SEND:残響音をどれぐらい足すか決めるツマミ。原音は消せない。
・トーン
残響音の明るい/暗いをコントロールします。
高音には明るく、低音なら暗くしてやるのが通常ですが、
工夫次第で如何様にでもなります。
・ディケイ
残響の長さ。
シンセのディケイと同じで音の隙間を調整するのに役立ちます。
速いテンポなら短め、遅いテンポなら長めを基本にすると良いでしょう。
・プリディレイ
原音と残響音の間隔。比較的高級な機種でないと調整不可なようです。
短い(速い)と原音と混ざった音になり、
長い(遅い)とディレイのような効果が得られます。
アタックの強い音やドラムには短め、
ベースやパッドには長めが良いかと。
○予算別ペダルレビュー
ここでは自分が所有したもの、楽器屋さんで試奏したもの、借りて使ってみたものを
中心にレビューしていきます。
価格帯は主観的な実勢価格なので多少のズレはご了承下さい。
・1万5千円以下
TC electronic SkySurfer
¥6000で買えるTCの安ペダルシリーズにはリバーブが3種類ラインナップされていますが、
これはスタンダードなもの。プリディレイが短いのでドラム用途によく使ってます。
TC electronic Drip
同じくTC安ペダルのスプリングリバーブ。
肝心のピチャピチャ音はスイートスポットがやや狭いので要注意。
それでも扱い易いツマミのお陰で活躍します。
BOSS RV-6
ギタリストにはド定番のスタンダード・リバーブ。
ですがマシンライブ用途となるとツマミが回しづらいのがネック。
スプリング(ちょっと弱い)やシマー(アクが強くてわざとらしい)など一通りの機能が揃っているので、
あまりツマミを回さない人にはコスパ良好なペダルです。
DanElectro SpringKing
1万チョイで買える本物のバネを使ったスプリングリバーブ。
ピチャピチャ音は最強ですし、ブッ叩くとガッシャーン!って「あの音」がします。本物ですから。
若干音が痩せてしまうのでオーバードライブと組み合わせると良いです。
・1万5千円〜3万円
TC electronic Hole of Fame
TC版のスタンダードリバーブ。ツマミも大きくステレオ入出力で多機能なので、
迷ったらコレにすると良いです。
TC electronic T2
こちらは飛び道具的なリバーブがテンコ盛りの変態リバーブ。
このお値段でお手軽に亜空間を作れます。
ただ癖が強いのでリバーブ初心者には向かないかも。
ELECTRO-HARMONIX Cathedral
比較的古い機種ですが抜群の音質を誇る高級機。
大抵の人はこれで十分に満足できる筈です。
Walrus Audio FATHOM
恐らくこの中で最も新しい製品で、最新鋭のアルゴリズムが備わっています。
特にシマー系がRV-6より自然で、かつStrymonより深くかかってくれました。
コンパクトサイズでシマーが欲しいのなら是非試奏を。
Caroline Guitar Company meteore
買いました。今一番気に入ってるペダルです。
普通リバーブの残響音って冷たい印象を与えるんですが、
このLoFiリバーブはウォーミーな残響音を出してくれます。
例えるならテープエコーならぬテープリバーブ(?)
プリディレイが長めなのでディレイ的にも使える一方、ドラムには向いていません。
ベースに最高っすね。あとリバーブの癖に発振します。
death by audio REVERBERATION MACHINE
メテオラと迷ったのがコレ。
リバーブ+ファズの極悪ペダルです。パネルデザインが好み。
アシッドベースにならコレ最適なんじゃないかな?
・3万円〜5万円
strymon bluesky
史上初のシマーリバーブとして、シンセと相性の良い高級リバーブとして大人気の機種。
大人気だったので中古市場にもチラホラと出てきます。
派手な演出は出来ないものの音質の良さは抜群。
「原音の値段を吊り上げる」という意味では最もリーズナブルな機種でもあります。
BENIDUB Spring Amp
これも本物のバネを使うスプリングリバーブですが、
バネは外付けで別売りです。
外付けって事は色んなバネを試して遊べるので楽しいですよ。
ガチでダブやりたいならBENIDUBはマストブランド。
・5万円以上
(アタクシ耳が貧乏なので多くは語れません。どれ買ってもスゲぇっす語呂力なくてスンマセン)
Eventide Space
自分が触ってきた中で最強のリバーブ。
有名な「BLACK HOLE」プリセットを始め、多彩というか多彩過ぎて大変な機種です。
そもそもプリセットの名前が有名になってしまう時点で諸々お察し下さい。
演出出来る空間が現実離れして亜空間とか異次元とか地獄とかもイケます。
strymon BigSky
高品質のbluskyに多機能を加えた上位機種。
プリセットが自由に設定できるのが良いですね。
EVENTIDEが悪魔ならコチラは天使のリバーブ。
Strymonより幅広く、Spaceほど難しくないという印象です。
性質的にも両者の中間をいってる雰囲気があります。
うーん、なんかスゲーって感じ(鼻ホジ)
○まとめ
安物は安物で使いどころを押さえれば絶妙な効果を得られますし、
投資に見合った音質を得られる高級機もお薦めです。
他のエフェクトはともかく、リバーブだけは5万出しても後悔しません。
新しいシンセを増やすよりも効果的かもしれませんよ。