ユーロラックシーケンサー殿堂
Twitterでフォローして頂いてる方はよぉくご存知でしょうが、
古今東西あらゆる機材を千切っては投げ千切っては投げした挙げ句、
個人売買交流会をイベント化して大成功させてしまったのがアタクシです。
買った機材を一晩で売る、
2台買いして2台とも売る、
同じ機材の買い直しを3回繰り返すなんてのはザラです。
そんな超絶飽きっぽい性分に関わらずも実は結構長持ちしてる機材もあるんですよ!
「リョータが手放さない機材が本当に良い機材」なんて噂も回っているくらいですから、
だったらそんなんを紹介する記事を書いてやろうって魂胆です。
記念すべき第一回目はユーロラック・シーケンサー編。
(最近周りでユーロ以外のモジュラーが増えてきたのでこういう表現にしていきます)
気が向いたらエフェクター編、ミキサー編と続けていきます。
楽器が全く出来ないという致命的弱点を持つアタシにとってシーケンサーは正に夢の具現化。
ユーロラックでは本当に個性的なシーケンサーが多く、
ここも周りがブックラサージだと騒ぐなかユーロラックを辞めない理由のひとつです。
30HPから40HPある大型シーケンサー、
しかも単一トラックなんてスペパ(スペースperパフォ)が悪すぎて敬遠されがちですが、
その操作感の良さを覚えてしまうと辞められません。
大きいモジュールは嫌!などと言わずに箱を大きくすれば良いのです!
そうして104×4段まで箱が育ったのです!
◯erica synhts BLACK SEQ
42HP、4トラック、64ステップ、クオンタイザーあり
まずは購入したなかで最も新しいBLACK SEQ。
スペック至上主義の人は最初からコレ買うのが一番の近道。
このシーケンサー、ひと事で言うと「まんまELEKTRONのユーロ版」です。
主にグルボと同じようにパターン管理したい人向けで、
即興要素もあるにはあるしグルボより強いけど他機種よりは弱いかな。
ここに挙げる他機種より、気が利くけど個性はない真面目な優等生の印象ですね。
BLACK SEQの必殺技
・何と言っても16のプッシュエンコーダー。こういうグルボが出ると嬉しいな、って思えるくらい便利。
・MAGICボタン。このボタンと各種パラメータメニューのボタンを押すと、その箇所だけランダム生成してくれます。
BLACK SEQの弱点、難点
・クロックルーティングが制約あり
クロックソースを選ぶ画面にて「インターナル」「エクスターナル」「MIDI」一つしか選べません。
つまりMIDIスレーブにしてクロックを吐く、とかその逆が出来ないんです。
グルボだと柔軟なんですけどね。KORGとか。
まだまだ掘り下げきれないので他にも難点は出てくるかもしれない。
それでもスペックなら最強です。
まぁモジュラーシンセってスペックよりロマンなんだけどね。
◯MakeNoise RENE2
【過去記事:MakeNoise RENE2レビュー】
http://rudeloops.jp/wp/archives/2932
34HP、2+1トラック、16ステップ、クオンタイザーあり、要クロック
BLACK SEQを入手したらもう要らねぇや!と思いきや、
コレとソレ、似ているようで全然違う事に気付いて手元に置いとこ!って思いました。
色々な意味でこちらの方がモジュラーシンセらしい。
少し厄介なのが、コイツだけは外部クロックが必要で単体では動きません。
昔のモジュラーシーケンサーは全部そうだった。自走する方が珍しかったな。
お勧めクロックは4msのQCD。PamelaやTEMPIよりコッチの方が良いと思いますよ。
またゲートが長くて休符にした所も音が鳴っちゃうので、
GATE to TRIGGERモジュールも欲しいですね。
一応3トラックありますが、3つ目のCトラックは自分で操作できず、
XとYの挙動によって動きます。まぁ使えません。実質2トラックだと思って下さい。
初代RENEやその頃のタッチパネルモデルは、加齢で指が乾いていると反応しない難点がありました。
RENE2になってかなりマシにはなったけど若干その傾向があります。
おじさんおばさん達は指先にニベア塗りましょう。
RENE2の必殺技
・スネークモード
シーケンスの進行方向を16通りで変えられる、ある意味ランダム的だけど音程は変わらないので、
設定したスケールに沿ってシーケンスを変化させられます。これで延々と時間が溶けていくのです。
・XとYトラックで違う速さ
違うクロックを入れると当然そのように走りますし、Cトラックの挙動も面白くなります。
(BLACK SEQでも出来るけど、内部設定でアレコレいじるので面倒。QCDならツマミ一発)
こちらは「ロマン/スペック比」ではBLACK SEQよりバランスの良いモデルです。
他にモジュール諸々必要ってのに目をつぶっても、一番お勧めできる機種じゃないでしょうかね。
◯VERMONA meloDICER
34HP、1トラック、16ステップ、むしろクオンタイザーが主役
シーケンサーに分類すべきか迷いました。
厳密には限りなくシーケンサーに近い多機能ランダマイザー。
チューリングマシンやミュータブル・マーブルスのゴージャス版です。
デカデカと鎮座する12のフェーダーはCからBまでの音階。
フェーダーを上げていくと発音の確率が上がるんです。
その右に2本あるのが音域のレンジ。ここで音の高さの範囲を決められます。
上の4つのツマミは分解能だったり休符の確率だったりします。
デカいだけあって操作性は抜群、誰でも頭を使わずに音楽的なメロディを作れます。
これで1トラックと、大きさで躊躇する人が多いんですが、それを補って余りある使いやすさ。
弱点はステップ数の変化。
最大16で幾つでも変えられるんですが、
その操作は他より面倒。結局16のまま使ってます。ここもフェーダーだったら良かったのに。
メロダイサーまとめると、音楽ができます。なんか音楽っぽいのね。
ドレミわかんなくてもスケールに沿ってフェーダー上げれば勝手に音楽やってくれます。
◯Intellijel Metropolis
34HP、1トラック、8〜64ステップ、クオンタイザーあり
【ご注意】
始めにお断りしておきますが、
Intellijel製品で「売れたからX付けてモデルチェンジしよう」って製品は全部クソです。
機能を増やして複雑にし、せっかくの操作性を殺してしまっています。
Metropolix、Quadrax、Atlantixなど全て下痢便です。奴等本当にアホです。
誰が何と言おうとも異論は認めません。ダメなものはダメです。
さて初代のMetropolisですが、
RolandのM185シーケンサーと言われる過去の名機をブラッシュアップしたもので、
他にもRYK Modularからもチト違う物が新品で発売されています。
これらは縦の列をステップではなく「ステージ」と見立てていて、最大8回同じ事を繰り返せます。
Metropolisの必殺技
ステージごとにステップ数を変えられるので摩訶不思議なフレーズを簡単に作れます。
昔から言ってるんですが、これアシッドベースのシーケンスに最適なんですよ。
当たり前ですがオリジナルTB-303よりも。即興アシッドに最高です。
もちろんアタシはX0x-heartと組み合わせてます。
Metropolisの弱点
そもそも作ってない。中古で探すしかない。
代わりにポリックス買っては絶対絶対絶〜対っにいけません。RYKにしましょう。
スイッチが硬くでチト操作しずらい。黒いから暗いと見えない。
とにかくアシッダーの皆様に体験して貰いたいシーケンサー。
これ触ればオリジナル303なんてバカバカしくて触る気起きずにプレミアついてる価格も下がります。
以下はオマケの小型シーケンサー。
◯ST Modular SHIKENSA
12HP、1トラック、5ステップ、クオンタイザーなし
ブックラのMusicEaselに備えてるシーケンサーと(ほぼ)同じ構造の5ステップ・シーケンサー。
原則的にキット販売ですが日本では電氣美術研究會さんがST Modularの取り扱いを始めたそうなので、
相談する価値はあります。
自分の所有するモデルはGATEのオン/オフをボタンではなく
トグルスイッチに変えて貰いました。ロマン増し増しです。
モジュラーシンセのシーケンサーには奇数ステップのシーケンサー、よくあります。
{これは3.4.5と選べますが)
当然ほかの音と合わないんですけど、その合わなさが楽しい!ポリリズム的な発想で楽しいフレーズできます。
もちろん、単調になりがちなフレーズにならず長く楽しませる事ができます。
◯Mallekko VARIGATE4+
12HP、4トラック、8ステップ、クオンタイザーあり
これも一軍からは外れたものの手放せない機種。
スペパ(スペース/パフォーマンス)最強。
4CV/3CV2GATE/4GATEと切り替え可能でドラム用途に重宝します。
或いは4CVでモジュレーション専用にしても良いです。
GATEでのフェーダーは基本的に発音確率で、単調さを避ける事が出来ます。
◯4ms QCD + Noise Engineering BinSeq
10HP+ひとつ4HP、ゲートのみ
なんだかんだ言ってドラムシーケンスはこれが長いことレギュラーの座を占めています。
これ以上単純明快なシーケンサーありません。トグルスイッチにはロマンがあります。
BinSeqだけでは単調極まりないので、QCDをクロックソースにして変化をつけられるようにしてます。
キックの速さを突然半分にするのがアタシの必殺技です。
◯まとめ
いやホント、ユーロラックのシーケンサーは個性が強すぎて病みつきに。
他フォーマットのモジュラーに移れない理由のひとつです。
みなさんも気になる機種があったら、動画を観るだけじゃなくて、
ライブレスパーティなどで実際に触りましょう。