モジュラーシンセ x PCDJ
最近DJも軽くやりたいなって思ってTRAKTOR PRO4買ったんすよ。
いちおDJ歴20年は超えてます。
もう歳だし物覚えも悪いから長年培ったスキルを有効利用してみたいと思うんですよ。
だけどバグが何かで手持ちのMIDIコンが使えなくてさ、
MIDIコンも買う羽目になったんすよ。
TRAKTOR KONTROL S5!!!
でか。
まぁでも世の中のDJブースは既にCDJで埋め尽くされていて
PCDJのMIDIコンって中古だと凄く安いんですよ。
26000円で出てました。ポイント云々使って22000円まで下がりました。
元々10万くらいする奴なのに。
さてさてそんな話をしていたら、
「モジュラーとDJ一緒にやれや。ガイジンにはいるけど日本じゃ珍しいぞ」なんて無茶な提案を頂き、
始めは否定的に考えていたけど疑いながらも乗せられてみる事になりました。
モジュラーと他楽器の組み合わせと言えば、
一番よく観るのはドラムマシン。コスパもサイズも理にかなってますよね。
モジュラーでドラム組むと青天井です。
次いで多いのがDAWとの組み合わせ。
モジュラーに比べれば出来ない事はないんじゃなかろうか、って思います。
これは昔から肯定派否定派どちらも議論が繰り返されていて、
海外ではマシンライブと言わず「DAWLESS」と呼んでいるそうですが、
アタシこの言葉が嫌いです。DAWだろうと何だろうと使いたいモン使えばいいじゃん!
長い事ブログでマシンライブ〜モジュラーシンセの記事を書いてますが、
別にDAW否定派じゃありませんよ。自分が上手く使えてないだけ。
他にはモジュラーと尺八、とかモジュラーとフルートなんて超絶スペシャリストも居ますが、
そこは参考にならないので置いといてw
◯じゃあ電子楽器xDJってどうなの?
DJとグルボの混在プレイは結構見かけます。
SP-404、KORGのカオシレーターあたりが好まれているようですね。
ただ大変失礼ながら音楽的にバランスが良くない。
音数多い曲に更にシンセやサンプラーの音を加えちゃってるからやかましいってのが
正直な感想で余計な事すんなよ!と思ってしまうのが正直な気持ちでした。
DJは引き算の美学と教わってきた世代なので
既に完成されている曲に対して何かを加える事自体に抵抗があったんすよ。
それが自分の「DJ+シンセ」を敬遠していた最大の理由。
だがですね、
最近のTRAKTORは思いっきり引けるようになったんですよ。
ドラム完全に無くす、歌物から歌だけ黙らせる、割と思いのまま。
自分の過去の持ちネタよりもずっとミニマルな曲を選べば案外イケるんじゃないか?という発想です。
加えてモジュラーシンセならば非音楽的な効果音じみた音が得意。
ランダマイザーで摩訶不思議なメロディ未満を流せば案外相性良いのでは?と思うようになりました。
他人の曲をライブに使う事自体には罪悪感はありません。
あたしミュージシャンじゃないしぃ。
モジュラーシンセやグルボでミュージシャンになりたかったんだけど、
その願望から捨てないとダメなようです。
◯TRAKTOR=馬鹿に優しいライブ用サンプラー
この分野ではAbleton Liveの独壇場、又はモジュラーと相性の良いBITWIGでしょうかね。
TRAKTORはそれらよりは難しくないです。基本DJソフトだもん。
しかしDJソフトの中では多機能でもあります。
ただ曲を代わりばんこに流すだけでなく、
昔から4デッキ対応や指定小節ループなどクリエイティブな発想を盛り込んでいました。
・DAWに対するTRAKTORの利点
単純に自分が長年使っていたってのが一番なんですが、
ライブ用途DAWに比べて操作が簡単、直感的なのが嬉しいですね。
あとDAWに比べて事故が少ない。
Mac版を10年間使っていてクラッシュした、なんて記憶はありません。
DAWで言うところのタイムストレッチが優秀。そりゃそうですよDJソフトの要ですし。
・MIDI CLOCK OUT
なんとTRAKTORはMIDIクロックマスターとして使えるんですよ。昔から。
他のPCDJソフトには無いんじゃないでしょうか?
よく調べる気ないから知らんけど。
フラッグシップのMIDIコンにはDIN-MIDI端子付いてます。
・REMIX DECK / STEM DECK
STEMとはマルチトラックのオーディオファイルで、
例えばドラム、ベース、ボーカル、上モノとステレオ4トラックに分かれているものです。
TRAKTORではこれを自在に操れるので、既に「簡単なAbleton」として扱えます。
ついでにPRO4からは既存曲のSTEM化も出来るようになったんです。
ただし4つのパートの割り振りはソフト任せで、ドラム、ベース、ヴォーカル、上モノと決まっている模様。
例えばドラムの広域と低域を分ける(キック抜きしたい)とかは出来ないようです。
REMIX DECKはもっと単純にワンショット/ループサンプラー。
一つのデッキに4つまで「スロット」が備わっています。
・Ozone様常駐
実は全然知らなかったんすけど、NIがiZotepeと経営統合したみたいですね。
スクウェア・エニックスみたいな驚きですよ。
PRO4からはマスターにOzone譲りのマキシマイザーが付いてます。
これをチト強めにかければハードとソフトの音質の違和感も気にならなくなります。
昔はNIはどうしてDAW作らないのか疑問だったけど、
いまにして思えばこの路線で正解なのかもしれません。
Maschineも大好きですよ。
PRO2を長く使っていてPRO4になった訳ですが、
これといって目立った新機能!はSTEM生成くらいで地味なモデルチェンジに思えます。
でも、DJの文化って機能や機材に対してはスゲー保守的なので、これで正しいと思います。
◯S5の利点
・デカいだけあって操作性抜群
そりゃそうです。インテリジェルの7U104HPケースくらいの大きさ。
フェーダー間の余白が贅沢でもう!
ちなみにコレよりデカいフラッグシップモデルS8ってのもありますが、
リアルなミキサーも積んでるので重さ3倍あります。
どちらもディスコンですがね。
・二つあるディスプレイが素敵
曲の選択をするブラウザまで備えてるので、
プレイ中にパソコン見なくて良いのです。
もういっその事ストレージも入れてくれよ!256GBくらい。
・パソコン閉じて使える
MIDIコン自体にディスプレイがありますから、曲のリストから波形状態まで一目瞭然。
Macならクラムシェルモードと強制的にスリープさせないアプリを使い、
チョイと足の高さを上げてS5の下に忍ばせれば、
あたかもスタンドアロンのDJデッキのように使えます。
PCDJやってて一番の悩みが
「あいつら画面見っ放しで何やってるか分からん」だったので、これは革新的!です!
・MIDI端子はないよ
ここは残念ポイントですが、MIDI端子付けて欲しかったなぁ。
別途インターフェイスを用意しなけりゃなりません。
Macなら複数のMIDI/オーディオI/Fを設定出来ます。
Windowsは知らん。
・リアルミキサーにもならんよ。
外部入力はあるけど、S8のようにリアルなミキサーにはなれません。
あの機能も凄いんだけど、それでクッソ重たくなっちゃうから要らんわ。
・STEMのオン/オフはボタンだけ
上位機種のS8では各デッキ4つずつフェーダーを備えていますが、
S5はボタンでオン/オフ出来るだけです。
ここにもフェーダー欲しい!と思ってMIDIコン追加しました。
そうそう。
TRAKTORはポートが許す限り幾らでもMIDIコン増やせます。
◯パソコンとモジュラーとMIDIクロック同期
いや実はここ結構悩まされたんですよ。
MIDItoCVモジュールは色々あるけど、USB-MIDI to クロックってナカナカない。
色んなインターフェイス試しました。大きなスタンドアロンのオーディオI/Fが一番良いけど、
できるだけ荷物を減らしてスマートにしたいのでユーロラック内蔵のものを選びました。
Expert Sleepers FH-2
(両方中古ですがS5の1.5倍しましたw)
USB-MIDI to CVコンバーターとしては断トツの機能で、
WEBブラウザで設定変更できるのも気に入りました。
MIDI to CV、Clock、LFO、シフトレジスタなど割り当てられます。
NovationなどのMIDIコンを使えばCVとして操作も出来るみたいです。しないけど。
あとエキパンでDIN-MIDIも追加できるみたいっす。CV出力もおかわりできるってさ。
しかし設定の操作方法が面倒で、保存の仕方を覚えるのに丸2日かかりました。
結構面倒です。マニュアル読むのが。
◯電源
電源に関しては
・Mac:そのままUSB-C
・モジュラー:USB-Cトリガーケーブル15V
・S5:これもUSB-Cトリガーケーブル15V
で供給できるので、バッテリー運用も出来ると思います。
そのうち試すわ。
その他のUSBケーブルは、
S5とMacにC-CケーブルとMacと追加MIDIコンにA-Cケーブルが必要でした。
◯モジュラーとDJの音の棲み分け
ここ悩みましたねぇ。今でも自信は持てません。
とにかくモジュラーの音とDJの音を喧嘩させない事に専念。
お互いに「ちょっと物足りないな」と思える暗いが丁度よい感じです。
まんまテクノの音を使うと全然面白くない。
かといって生楽器のメロディは相性悪い。
付かず離れず、少し違和感を感じさせるような距離感が丁度良いんですが、
そういう曲を探すのに苦労しました。
基本的にはミニマルな上モノ、パーカッション多めな物を選びました。
まぁSTEM使えば歌でも上モノでも何でも抜けるんだけどね。
◯モジュラーは半分に
104×4段を2段に減らし、音源もガッツリ減らしました。
VerbosのコンプレックスオシレーターをmeloDICERで鳴らし、
あとはONEIROIのドローンだけです。
フィルターにQPAS、エフェクトにMimeophonを持ってきてツマミグリグリします。
◯エンベロープ・フォロワー
実は今の今まで知らなかった機能。
音量をCVに変える機能で、専用のモジュールもあるし
大抵のエンベロープジェネレーターにも備わっています。
これによりDJデッキから出る音をゲートとしてモジュラーの発音に使う事ができます。
割と楽しいんだけど、
S5ではメインOUTからの音しかエンベロープフォロワーに送れない、
すると「リズム消してシンセだけ音出す」なんて事が出来ないなど、
機材特有の懸念点があり今回は見送ってますが、知識としては有用です。
この動画たのしそう。
◯懸念点〜ライブとは何ぞや
モジュラーシンセ(専門)のイベントに足を運ぶようになってから、
自分が生楽器経験の無い事に劣等感を持って悩んでいました。
グルボ(マシンライブ)のときは全然気にしてなかったけどねぇ。
そうして人に貰った提案がこれ「DJ+モジュラー」です。
ここまで揃えといて自分自身まだ半信半疑です。
でも正直言って楽しいんですよ。これが。
人の曲をそのまんま流して「俺のライブだぜ!」と言い張るのはどうなん?と言われそうですね。
DJプレイは演奏ではなく演出としてやってましたが、コレはハッキリした答えは出せません。
少なくとも「モジュラーシンセのライブイベント」には呼んでもらえないでしょうね。
ただ「やってみたら案外面白いね」って気持ちでやっているので、
お客目線で見てそれ楽しそう!と思って貰えれば幸いです。
お客目線での印象を想像してみると、
単調な電子音の羅列とバリエーションに富んだリズミカルなトラックの組み合わせは
飽きずに聴いていられるのではないでしょうか。
DJ側の選曲センスで大きく変わりますが、
イケる!と思えれば展開のある曲や歌モノにも挑戦してみたいと思います。
問題としているポイントは、
・もう少し制作の自由度は欲しい=やっぱ自分で作った方が良いかな?
・やはりパソコンあると安全性に不安。腹の底では信用していない。
そんなところでしょうか。
問題点を上手く解決できれば良いですけどね。
◯まとめ
オノレの音楽的構成力の無さをカバーしたい
→アート性よりもエンタテイメント性を重視すべきじゃない?
そこに行き着くべきなのがこのモジュラーxPCDJの発想。
ここに収まる気は無いけど、試行錯誤してみようかと思います。