MakeNoise RENE2レビュー

モジュラーシンセには個性的なシーケンサーが様々ありますが、
やはり流行や定番品などの流れも無くはないです。
今回紹介するのはもうブーム(?)が去って数年経っているMakeNoise RENE2。
一時期は色んな人が使っているようでしたが、最近ではどうでしょう?あまりみかけなくなりましたね。

そういう自分自身もちょっとした理由でずっと敬遠していましたが、
ヒョンな事から譲り受ける事になりまして「なんだよ!もっと早く知っておけば良かった!」と、
要らん後悔をしています。それほど素晴らしいシーケンサーなのですよ。これ。

※お断り
発売してからかなりの年月が経っていますが自分が入手して一ヶ月ほど。
上澄みの使い方しか把握出来ていません。深堀りする気もあんまり無いです。
逆立ちしたって分からんものは分からんので浅い機能紹介となりますが了承願います。
ただ、その上澄みの機能だけで十分に満足しています。

◯ずっと敬遠していた理由

たまたまお店や人の所有する物を触る機会がなかった、のもあるんですけど、
RENE2の参考になるだろうと思っていた初代RENEの日本語マニュアルがですね、強烈に難解なんですよ。
なんか哲学書を読んでるような気分がして読んでいて目眩がします。
そんなだから「RENEは超アタマのいいガチガチの理系脳な人しか扱えない難解なシーケンサー」と、
勝手に決めつけていたのです。ずーっと。

どんだけ難解かを説明するのにRENE日本語マニュアルから抜粋するとですね、


序文からしてプライドの高さが鼻につきます。


意訳:高卒と文系は触るな。



「ツマミ」と「キー(ボタン)」って表現するのはMakeNoise様の沽券に関わるようです。


固有名詞ってほどでもないのに如何にも特別で革新的な機能だと言い張るように
大文字と小文字を変則的に使うのはどうかと思う。

ちなみに「モード」または「ページ」の事です。


なにかの呪文でしょうか?
或いは文字化けしているんでしょうか?

・・・とまぁ終始こんな調子なので読む気は失せます。
実際にその製品を買う前にマニュアルを読んで機能を把握したい人は沢山いるでしょうけど、
これじゃあ買う気も失せますね!


またこれは後になって気がついたんですけどRENE2の英語マニュアルPDF、
翻訳しようと本文をコピペすると文字化けしやがります。

ちなみに初代RENEマニュアルの日本語版の制作者(訳者)が知り合いでした。
もちろんもっと馬鹿に優しく書け!と文句言ってやりました。
今後は操作で分からない事があったら直接出向いてしつこく訊いてやろうと思ってます。

◯だけどやる事はSQ-1とそっくり

ところがどっこい実際触ってみると基本機能だけなら全然難しさを感じる事もなく、
凄くシックリ馴染む印象がありました。

手頃に買える直感型シーケンサーの名機・KORG SQ-1を思い出したのですよ。
ボクも大好きで一時期3,4台持っていましたが、
実際に実戦投入となると意外と地味な所で困る部分があるので押入れに放置してました。

MakeNoise RENEはSQ-1が2台ないし3台重なったようなシーケンサーです。
そりゃMIDIは無いけどSQ-1のMIDIノートだってあんまり使えませんよ。

そう考えると非常に手に馴染む機材だと気づきました。
口説いてみると案外チョロい高学歴女子みたいなものですね。

◯インプロヴァイス・シーケンサーの金字塔

RENE2は2トラック+1トラックのCV/GSTEシーケンサー。
3トラックと言いたい所だけど、
3つ目のトラックがやや特殊で他二つと同じようには扱えないので2+1とします。
シーケンサーには直感操作の得意なもの、トコトン作り込める打ち込み型のものと分かれますが、
RENEは直感型をベースにしつつ、若干の仕込み要素を盛り込んだシーケンサーです。

◯RENEを使うにあたって必要なモジュール

普通音源とシーケンサーがあれば動くだろ、と思うでしょうが、
このRENEを含めユーロラックのシーケンサーは外部クロックが無いと動かない物が多いのです。
最近では内部にクロックを備えているシーケンサーが増えてきましたが、
まだまだクロックは別売よ!なシーケンサーの方が一般的です。

そしてRENE2には2種類以上のクロックを吐けるモジュールを推奨します。
現在一般的に入手が容易なのは以下の3つ。

・MakeNoise TEMPI
・Pamela’s NewWorkout
・4ms QCD

いずれにせよマスタークロックはモジュラーシンセには重要(ほとんど必須レベル)アイテムなので、
ひとつ買っておきましょう。
中でも一番人気なのはパメラ。BPM数値表示が出来てクロックだけでなくLFOなどCV出力も可能。
自分が使っているのはQCDの方。ツマミでリアルタイムにクロック変更出来るのが楽しいです。

◯かんたんなRENE2の使い方

・クロック入力

電源を入れX-CLKとY-CLKにクロックを入力します。
同じクロックでも良いですけど、慣れてきたらそれぞれ可変式か別のクロックを入れた方が楽しいですよ。
XにはBPM120、Yには60とか40とかの120の分数がいいかもしれない。

・トラック

電源投入時にはXトラックが指定されます。
XトラックとYトラックは同じ操作方法で良いんですが、
3つ目のCトラック(Zじゃないんです。MakeNoise独特のフォントのせいでZに見えるけどCです)は、
ちょっと特殊でして、クロックはXとYに入れたクロックに関連し、シーケンスの進む方向も滅茶苦茶です。
前述した日本語マニュアル製作者に言わせると「Cトラックは飾り」とのたまっていたので、
今回はそこに習って無視する事にします。

・ゲートモードとアクセスモード

とりあえず頻繁に使うのは一番左のアクセスモードと次のゲートモードでしょう。
この二つだけで簡単なフレーズは作成可能です。

表記的には逆ですが、まずゲートモードから。
トリガーのオン/オフを決める、一般的なステップシーケンサーと同じです。
オフは休符となります。

そしてアクセスモード。オン/オフでシーケンスが走る箇所を指定します。
オフは無視して走るので、8ステップでも4ステップにでも出来ます。
XとYでステップ数を変えたり奇数ステップにしたりでポリリズムを作る事も可能です。

このゲートのオフとアクセスのオフ。
この区別が付くようになったらRENE検定3級合格です。

例えば(ゲート位置を覚えやすく)上8つをゲートオフ下8つをゲートオンにして、
アクセスモードを全オフ状態からリアルタイムでポチポチやれば既に即興演奏!
それだけで時間が溶けますしライブ本番でも映えるでしょう。
ツマミの位置?んなモン考えなくて良いんです。

ついでにグライドモード。
TB303でお馴染みスライドと同じですね。
繋げる音源によっては本家でも出来ない即興アシッドが可能です。

・スネークモード

シーケンスの走る進行方向を決めるモードです。
デフォルトでは左下から右上に流れるようになってます。
これもフレーズに変化をつけたい時には有益。
通常のシーケンサーの「正、逆、ランダム」だけでなく色々な進行方向を設定できます。

・ファンモード(ファンクションモード?)


演奏設定にまつわるページですね。
X-MODやY-MOD入力をリセット入力にしたい場合とか、あと何か色々。

・クオンタイズモード


RENEは高級シーケンサーには大抵備わっているスケールクオンタイザーが内蔵されてます。
これが凄く分かりやすく有能です。

一番上の列でオクターブの範囲を決めます。

二列目から四列目までの12キーが、それぞれCからBまでの12音階を挿します。
オンにした音階しか鳴らないって事です。
実際の演奏でツマミに一番近い音階を鳴らします。

このページもリアルタイム演奏すると楽しいっすよ。

・パターンセーブ

ちょっと自分で試しても方法が分からず悩みました。

まずモード移動キーを左右両方同時押しします。
そんでCトラックを選択します。
一番右下のSTOREと書いてあるキーを押します。
するとシーケンスがしばらく止まってしまいますが、再度鳴りだしたらセーブ完了です。

・パターン呼び出し

モード移動キーを左右両方同時押しします。
そんで緑が登録済みパターンなのかな?
オレンジが現在のパターンです。
って事は最大16パターン登録できますね。
ノート情報だけでなくクオンタイズ設定など他の設定もパターンとしてセーブされるようです。
違ってたらごめん。
即興プレイな人はノート全オフの真っ更なパターンを登録しておくと良いでしょう。

◯RENE2わからないこと

・Xトラック選択時に再度Xキーを押すと(Yトラックも同じ)、
なんか特殊なモードになる。たまに元に戻せなくなる。

・Cトラックの挙動の法則はぜんぜん分からん。

・各キーに左側に書いてある白文字の機能、だいたい分からん。

・各トラックのCV入力はナニ?MOD入力もリセット以外は分からん。

まぁそのうち調べますかね。

◯キーの反応が悪い時はハンドクリーム

初代RENE1では色んな人が文句言ってましたが、
ある程度の歳食ったおじさんおばさんは指先が乾燥してしまっているので、
RENEのトリガーが反応しないそうです。
RENE2でかなり改善されたようですが、それでもたまーにトリガーミスはあります。

乾燥してなけりゃよいので昭和のおじさんみたいに指先をペロっと舐めれば良いんですが、
RENEがツバ臭くなります。
中古店に売りに出したら「異臭アリ」と値引き対象になるでしょう。

そうならない為にはハンドクリーム。
あらかじめツルツルお肌おじさんになっておく事でトリガーミスを防ぐ事が出来ます。

◯まとめ

「コレや!ワイがほしかったSQ-1はコレなんや!」

MIDIにしろモジュラーにしろ、理想的なシーケンサーを探して延々と散財してきましたが、
このRENE2はかなり理想に近いシーケンサーだと思っています。
これ使う為にモジュラーシンセ初めてもいいよ!って位おすすめ。
SQ-1の残念な部分をフォローしたような、そんなフェイバリットアイテムです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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