【iPad】ビデオ・シンセサイザー

ビデオ・シンセサイザー或いはビジュアル・シンセサイザーなるものに以前から興味を持っていまして、
でも予算的に手が届かないしどうかな〜、なんて思っていました。
LZX industriesのユーロラック・ビデオシンセモジュールなんてソソられますよね。
そこでソフトウェアで似たようなモノはないもんかと探していたら、ありました!
しかもiPadアプリで。

Imaginando Lda/VS(Visual Synthesizer)

https://apps.apple.com/us/app/vs-visual-synthesizer/id1560330289

¥2800


◯VJとどう違うの?

成果物としてはVJと変わりないように見えますが、「シンセサイザー」と
謳っているからにはリアルタイムでの操作性加工性に優れているのが大きなアドバンテージ。
VJソフトは複数の映像素材をクロスフェーダーでミックスしていくのが基本ですけど、
ビデオシンセは素材そのものを作っていく事が出来ます。
またMIDIメッセージや音声を入力して、エフェクトのトリガーとする事ができるのも大きな特徴。
工夫と設定次第ではライブ中iPadに一切触れずに動きと展開のある演出が可能です。

要はDJ(VJ)とマシンライブ(ビデオシンセ)の違い、程度の認識で良いと思います。
どちらもパソコンを使うのでその差は音楽より曖昧なのかもしれません。
このVS、正確にはオーディオビジュアライザーという分類らしいのですが、
細かい事は全然分からんのでこのままいきましょう。

◯VSの概要

自分ではなんとなく映像版ウェーブテーブル・シンセのようなものと認識しておりまして、
元となるマテリアル(素材)を加工、最大8つのレイヤーで重ねる事で独自の作品を作っていきます。
maginando Ldaは元々ソフトシンセのメーカー。
つまりこのVSもシンセサイザーを使っている方なら飲み込みやすいUIとなっています。
オシレーターというよりサンプラー、DigitaktやOCTATRACKとも似ている気がするかな。
そして大きな特徴はMIDI又はオーディオによってモジュレーションのトリガーとする事が出来る事。
キックの音に合わせてドン!とオブジェクトを大きくしたり、
鍵盤を弾くとノートに見合ったモジュレーションを設定する事も可能で、
音楽との親和性では只のVJよりも遥かに高い事が伺えます。

iOS版の他にWin/Mac版もリリースしていて、プラグインとしても使えるので(もちAUv3も!)、
DTMで楽曲制作している方も動画としてUPしたい時にコレで映像を作るのは如何でしょうかね。

◯用意するもの

・USB-C搭載のiPad(iPhoneでも出来るけどね)

OSがiPad OS/iOS 12.1以上で動くらしく、最近の製品では余裕で大丈夫かと思います。
ただしアプリの性質上なるべく性能の良いものが良いのは言うまでもありません。
ちなみに自分のはiPad mini 第6世代です。
Lightning世代でも使えるけど、これから用意するならUSB-C端子を基準に選ぶといいですよ。

以下は無くても良いけどあると便利なものリストです。
自宅で作るだけでなくプロジェクターのある現場でシンセやグルボと共に活躍出来ますよ。

・HDMI端子のついたハブ

USB-C to HDMIというケーブルも売っていますが、
電池消費が激しく充電しながら使いたい、また音声取り込みの為のオーディオI/Fも繋ぎたいので、
やはりちゃんとしたApple純正のハブを購入した方が良いです。

ちなみにAnker大好きなんですがAnkerのハブは映像出力出来ないって致命的な不具合があります。
二つ買って両方ダメでした。気をつけて。

・HDMI付きのテレビ/モニター/プロジェクター

最近はライブハウスやバーなどにも映像を受け入れられる店が多いのですが、
出力したものを自宅で確認しながら作業が出来るように何かしらのモニターがあると良いです。

・オーディオI/F

2以上の入力、かつiOS対応であれば何でも良いです。
自分はMOTUのM4を使っています。
音質にこだわる必要はないのでもっとリーズナブルな物でもOKです。

・別売りマテリアルセット(¥1600)
基本的にはアプリに元々入っている素材を元に加工していきますが、
やはりアレコレ欲しくなります。

◯VSの初歩的使い方

VSでは元となる素材を「MATERIAL(マテリアル)」
マテリアルを重ねたり加工して作った成果物を「PATCH(パッチ)」と呼んでいます。

アプリが立ち上がったらまずは画面右上のパッチ切り替えボタンで色々眺めてみましょう。
画面中央に現在のパッチ名が載るので、そこをタップしても選べます。

自分でマテリアルを選びたい時は下の方の1~8ボタンを押すと選択画面に入れます。
気に入った物が見つかったらそれをクリック、左下のENABLEボタンをONにすると写す事が出来て、
SOLOボタンをONにするとそのマテリアルだけを表示する事が出来ます。
そうして各レイヤーのパラメーターを調整してパッチを作っていきます。

1-8ボタンの右側に「B」というボタンがありますが、
これはカメラロールから写真や動画を取り込む事が出来ます。

◯音声やMIDIとの同期

MIDI出力のある機材でなら、左上のクロックソースからソースを選びBPMを同期します。
鍵盤のノートなどもトリガーとして使えますよ。
音声は2chなら普通に入力できます。
モジュラーやパラ出しできる機材なら特定のパートだけを入力ソースにしても良いんじゃないでしょうか。
例えばキックだけとか、ハットだけとか。

◯ライブ利用を想定した使い方

30分くらいの連続したプレイを一人で演奏も含めて行うと考えると、結構難しいかもね。
できるだけ似通ったパッチをたくさん作っておく事をお勧めします。
なぜならパッチ変更の際にカットインみたいにスパっと変わってしまうから、
そういうのに似合うパッチと似合う音楽(バリバリのテクノとか)ならまだしも、
アンビエントやドローンではギャップが大きいです。
ちょうどグルボのパターンチェンジみたいになっちゃうので工夫が必要です。

iPad二台用意するか?とも思ったけど二つのオーディオI/Fやビデオミキサーまで
用意しなけりゃならないので現実的ではないなぁ。

一つのパッチをベースに展開させたパッチを多く作っておくのが現実的ではないでしょうか。

◯残念なポイント

・AUv3対応なんだけどプラグインとして使うと外部映像出力が使えないです。
・自作パッチリストでのセーブが「Local」フォルダしかできない。
 プレイリストのように自由に並べられたら良いのにね。
・デフォルト/別売りオプション含めてマテリアルの種類が少ない。
 作るとなると大変。
・パッチ変更時にクロスフェードが出来ると良いな。
 パッと変わるのでゆっくり動くパッチは変更そのものが向いてない。

◯おすすめ出来る人

グルボでテクノ的というか、アッパーなダンスミュージックをする人には最適。
iPadひとつとケーブル類を追加するだけでVJライクな映像表現が可能です。
自分はモジュラーで尚且つドローン主体のプレイなので使いみちにチト悩みます。

またライブ用途でなくとも制作した楽曲に映像を加えて動画としてネットに上げる、
なんて人には絶好のツールかもしれません。もちろん映像編集のソフトは必要ですけどね。
ちゃんとリズムに連動した動きのある映像が簡単に作れるんで、
ただVJライクな映像を重ねるよりも面白いです。

◯まとめ

使い方そのものは普段からシンセ触ってる方なら簡単だと思います。
でも運用方法で悩むかも。ソフトの仕様に歯痒い思いをしたり、
それなりの設備投資が必要になるかもしれません。

それでも電子音楽と連動した映像表現の入り口としては最適なソフトでしょう。
もうしばらく研究してみようと思います。

 

 

 

 

 

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