マシンライブのミキサー考察

ドラムマシンやらシンセやら機材が増えるにつれ悩みが大きくなるのがミキサー。
各機材の最終的な音質を決定する重要なセクションですから安物で妥協する訳にもいきません。

◯ミキサーの必要性と重要性

生楽器のノリなのか何なのか、
稀に沢山の機材を持ち込んでお店のPAミキサーを占領しちゃう人がいますが、
マシンライブでは最終的な出力をステレオ1chにまとめるのが原則です。
ライブの際はお店やオーガナイザーに確認して適切なケーブルを用意しましょう。

DJミキサーならRCA、PAミキサーならPhoneプラグ(TS)。
変換アダプターでも良いんですが、よくあるRCA→TSアダプタは
使ってるうちにガバガバになっちゃうので要注意。

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出来れば反対のTS→RCAアダプタの方が良いです。

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シンセにお金をかける余りミキサーまで予算を回せない、という声もありますが、
ここは妥協しないようにしましょう。激安ブランドに手ぇ出しちゃダメだよ。
例えばDJイベントの中でライブをやる場合、
DJのプレイする曲よりも遥かにリアルで生々しい音がするのは当然です。
これがショボいミキサーだとせっかくのシンセの音を出しきれない事が多々あります。
マシンライブのみのイベントなんかじゃ尚更。
テクニックやセンスと共に周りと競い合うポイントが音質でしょう。

◯ミキサーの選択肢

シンセサイザー専用ミキサーなんて物は市場にありませんから、
他の用途の物を流用するしかありません。
スペックの判断基準は可搬性、操作性、音質の3つ。
どのミキサーも音質と値段は比例します。

・【可搬性】PAミキサー
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本来は生楽器やマイクを繋ぐ為のミキサー。
チャンネル数に対して可搬性が良くほとんどの人がこのタイプを選ぶかと思います。
音質はメーカーや機種によってバラバラな上、
ネット上のレビューは生楽器基準なのでアテになりません。

・【操作性】DJミキサー
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パフォーマンス重視のミキシングならDJミキサーに勝る物はありません。
人気なのはALLEN&HEATH。アナログのXONE92などピュアオーディオの人も欲しがる音質です。
デジタルミキサーのDB2やDB4も軽くて超高性能。
デカいのとステレオ4chなのが問題だけど、音質的にもPAミキサーよりシンセに向いてます。

ボクもDJ出身なので、
DJミキサーからフォノイコライザー外した軽量モデルとか出して欲しいくらいです。

・【音質】ミキサー機能付きオーディオインターフェイス
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プレイ中にミキサーをいじらない人で、
音質最重視な方ならこのあたりを選ぶんじゃないでしょうかね。
DAW中心の構成なら間違いなくこのジャンルですよね。
自分の所有するTASCAM US20x20でも他のDJ/PAミキサーより遥かに音いいです。
ただコイツの場合ミキサーモードにするのに一度パソコンに繋げる必要があるというクソ仕様。
ファームウェアの更新で何とかして欲しいものですが。
他のインターフェイスはどうでしょうか?
入力数と可搬性のバランスで考えると、
MOTUのUltraLiteやRME、RolandのOCTA CAPTUREとかでしょうか。

◯PAミキサーを選ぶ際に注意したい機能

なんだかんだ言っても一番のシェアはPAミキサー。
6〜10chでボリュームはロータリー、重さは2.5kgくらいのクラスが一番いいでしょう。
この辺のクラスを選ぶ際に気をつけたいポイントを紹介します。

・GAINツマミ
ボリュームやEQの前段階で入力音の大きさをきめるツマミ。
機種によって音量がバラバラなので、これがあると便利です。

・PFLスイッチ
フェーダーが下がっててもヘッドフォンから音を聴けるスイッチ。
要はDJミキサーで言うところのCUEスイッチです。
これがあればフェーダーを下げた状態にしながらプリセットを変えて、
なんて事が出来るので超ベンリ。
このクラスでは省かれているモデルも珍しくないので要注意。

・MUTEスイッチ
ボリュームとは別にワンタッチで音を消す機能。
抜き差しが基本テクのテクノでは有効な武器です。

・内蔵エフェクター
単体のエフェクターに比べればショッパい性能のエフェクターですが、
あると無いとじゃ大違い。選べるなら絶対に選びましょう。

・コンプレッサー
YAMAHAなどGAINと並んでコンプレッサーのツマミがある機種もあります。
パラアウト出力があるドラムマシンならキックだけにコンプをかける事も可能。
これがすっごく役に立ちます。

・SEND/RETURNジャック
外部エフェクターに繋ぐアウトプットとインプットのジャック、
その送る量を調整するツマミ。
このクラスでは「SENDはあるけどRETURNが無い」なんて物もあり、
その場合エフェクト音専用にチャンネルを一つ使わなくてはなりません。
やっぱり独立していてくれた方がいいですよね。

・電源方式
上位クラスではトランス内蔵でACケーブルを直に挿せるのが普通ですが、
このクラスでその方式を採っているモデルは稀です。
ほとんどがACアダプタ仕様。
一般的なスイッチング電源ではなく音質的に有利なトランス電源を採用している物もあります。
一回り大きくて重いんですがノイズが少ないので音質的に有利です。

話が逸れますが、
シンセサイザーそのものもスイッチング電源かトランス電源かで音変わります。
特にアナログシンセでスイッチング電源を使っている機種をお持ちの方は、
同じ電圧、電流、極性のトランス電源を探して試してみて下さい。
惚れ直しますぜ。

◯6~10chコンパクトサイズPAミキサー勝手に比較

※ご注意
あくまでも電子楽器を繋いだ時の感想です。
ギターとかベースとかの生楽器を繋いだらどうなるかは知りません。

・Mackie 802VLZ4
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軽さ★★
音質★★★
安さ★★★★
デザインや質感は一番高級感があると思ってますが、
中高域の分離が悪くモッサリ。
特にドラムマシンのハットやクラップが酷くて手放しました。
あと見た目より重い。

・Mackiie MIX8/MIX12
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軽さ★★★★★
音質★★★
安さ★★★★★
ワークショップにて使ってる人がいるので借りてみたんですが、
VLZ4よりはバランスのいい素直な音をしています。
メリットは軽さと値段。デメリットはツマミの安っぽさ。
けどシンセ用途ならVLZ4シリーズよりいいかも。
お金無い人はベリンガーよりコッチ選びましょう。

・ALLEN & HEATH ZED10FX
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軽さ★
音質★★★★★
安さ★★
本職のPA屋さんがプライベートでよく使っている、という声を聞きます。
そのぐらいコスパがいいのでしょう。
一ヶ月ほど借りて自宅で使っていましたが、
確かにどんな音でも卒なく出せていたと思います。
このクラスの中ではデカくて重たいのが難点。

・YAMAHA MG06X/MG10XU
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軽さ★★★
音質★★★★
安さ★★★

安心のJAPANブランド。
青い塗装が野暮ったい。
でも音いいって皆言ってる。
それで目をつけたのがYAMAHAの新世代ミキサーMGシリーズ。
持ち歩き用だしMG06X買っとくかな?っと楽器屋に行ったんですが、
そのワンランク上のMG10XUが激しく気になりソッチにしちゃいました。

◯YAMAHA MG10XUファーストレビュー

・音は結構いい
同時に比べた訳じゃないのであくまでも印象論ですが、
アレヒのZED10にも張れる音質なんじゃないでしょうか。
VLZ4で不満だった高域もずっとクリアです。

・コンプレッサー美味しい
ch1とch2にコンプレッサーが付いています。
そもそもコンプ内蔵のミキサーってナカナカありません。
パラアウトが出来るTanzbarのキックにコンプをかけると、
かなーり音量が稼げるのでモジュラーシンセのベースに殺されずに済みます。

・エフェクター、特にリバーブが美味しい
色々とありますが定評があるYAMAHAのデジタルリバーブ。
この手の内蔵エフェクターってオマケ程度のモノという認識ですが、
このリバーブに限って言えばかなーり使えます。
単体機の購入意欲が削がれる程(外ではね)。

・トランス電源なのよ
この手のコンパクトなミキサーだとスイッチング電源のACアダプタが当たり前ですが、
コイツはノイズの少ないトランス方式のACアダプタを使っています。
ちょっとゴツくて重いけど、低価格に関わらず音には妥協しませんって姿勢が頼もしい。

・それでいて安い
サウンドハウスで税込送料込¥23000。普通の楽器屋さんでも¥28000くらいです。

・ダメなところ
PFLが無い、MUTEも無い。これ本当に惜しいです。
このサイズと音質でPFLとMUTE付いてたら5万円出すわ!

◯まとめ

最高!とは言いがたいけど当分はコレでやっていけそうな機種です。
しかしコレ以上に魅力的な機種があれば買い替えます。
自作しようと思って勉強がてら見積もりしたら部品代だけで5万超えましたが。

シンセの性能をちゃんと引き出せるミキサー、
探すのに結構苦労しますが、妥協はしちゃいけないっすよね。

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