【モジュラー構築例】シンセ・ラック

前回「ぼくのかんがえたさいきょうのドラムマシン(の予定)」を紹介しましたが、
そこそこ好評だったのでもう一つのラックも構築例として紹介します。

これは過去記事「俺のミュージック・イーゼル」で紹介したシステムの進化版というか迷走中のもので、
基本的には西海岸シンセサイズのセオリーに乗っ取り、
ミュージック・イーゼルからMakeNoise SharedSystemをお手本にシフトさせた物です。
何を持ってシェアードシステムなのかは我ながら謎ですけどお付き合い下さいまし。
(たぶんRENEついてりゃオッケーオッケーでしょ!程度の発想)

モジュラーシンセの楽しみ方の王道ともいうべき西海岸シンセサイズを学びながら組んでいこう、
ってコンセプトでアレコレ替えています。
フィルターありません。入れても良いかな?とも思ってるけど優先順位的に後の方なので
スペースが無い時は真っ先に外しちゃいます。

 

◯シェアードシステム


Twitterでの投稿でMakeNoiseのシェアードシステムを挙げて
「モジュラーやるならドーンとこれ買った方が早い」的な事を言っていたのを見ました。
確かに。本当に仰る通りだとも思った反面、

「でもシェアードシステムに60万70万出す価値が分かるまでモジュラー何年かかるの?」
「いきなりソレ買える奴なんてド金持ち&電子音楽の天才しかいねぇよ」

と心の中でツッコんでしまいました。

自分自身「ああ、やっぱりコレって凄く考え尽くしたシステムなんだなぁ」と気づいたのはごく最近。
血眼になって写真を眺める日々を過ごしました。買えないけど。

なんでシステム構築に悩んだら、
シェアードシステムでないにしろメーカーの考え尽くしたフルセットを参考にするのは良いと思います。

本家シェアードシステムを見てみると純粋な音源はDPO(コンプレックスオシレーター)だけ。
それをMATHS(ファンクションジェネレーター)とOptomix(ローパスゲート)で
音の形を作っていくのが基本でしょうね。

エフェクトは3つ、リバーブとディレイと、モーファジン。あれなんなん?知らんわ興味ないし。

クロックソースはTENPI、ランダムCVはWogglebugとMATHS、あとなんかあるね。

DPOもOptomixもRENEも2トラックあるし二つくらいの音は同時に出せるのかね?
もうそんな次元で考えてないだろうけど。

これをお手本にしろって言っても自分の箱はワンサイズ小さい84×2段だし、
予算が十分にあったとしても機能とモジュールの取捨選択をしなければなりません。

 

 

 

 

◯一つのシステムで一つの音

じぶんモジュラーでも「トラック(音数)は沢山あった方が偉い」という考えに縛られています
ライブ構成を練る時も抜き挿し中心のプレイを基本としています。

元をたどればアナログDJから入りPCDJの4デッキプレイを経て
グルボ→モジュラーと流れてきたものですから、
複数のトラックを扱うのが根本の考えになっているかもしれません。

しかし自分が大きく影響を受けているモジュラー界の重鎮がいまして、
その人はピアニスト出身の「演奏家」。
ライブを聴いても基本的に一つの音(たまに二つあるかな?)しか使っていません。
もちろんそれで30分なり40分なりのライブをこなしています。
本当に電子楽器を一つの楽器として捉えているのでしょう。

 

そういう経緯からDJ/プロデューサー的な思考のライブプレイを基本としながらも、
演奏家目線でのライブプレイの影響も受けてみたい、と思ってきました。
なのでこのシンセラック、とりあえず4トラックから3トラックに減らしましたw
ゆくゆくは、前記事で紹介したコンプレックスオシレーターを使った
「1システム1トラック」を組んでいくのかもしれません。

「トラックは沢山あった方が良い」としつつも「音数は少ない方が格好良い」と思ってますから、
どのラインで折り合いをつけるかが今後の課題でしょうね。

 

◯マスター&セカンダリークロック

Centrevilleage CLKM
4ms QCD

ドラムラックの方でも紹介したQCD+CLKM。
ええとつまりQCDを3台所有してます。
クロック最強コンビ。

◯シーケンサー

ST Mdular SHIKENSA
MakeNoise RENE 2


SHIKENSAはMusicEasel内蔵の物によく似た5ステップのシーケンサー。
トグルスイッチで3,4,5ステップと切り替え可能でゲートのON/OFFが出来るシンプルな物です。
モジュラー初心者の方には特に奇数ステップの変な気持ち良さを是非とも味わって頂きたい。
自分は5ステップより3ステップの方が好みですね。
基本4で走らせてクセのあるフレーズにしたい時に3に変える感じ。

RENE2は過去記事でも紹介したユーロラックシーケンサーの名作です。
KORG SQ-1が2トラックと訳わからん1トラックを備えたもの。
仕込みも即興もイケます。
今でも他のシーケンサーに無い機能が、2トラック別々のクロックを入れられる事。
ここもQCDを愛用する理由の一つですね。

次候補:Intellijel Metropolis

こちらもRENEと同じ幅なので気分によって変えていこうと思ってます。
ユーロラックでアシッドベースをやるには最高のシーケンサーだと思ってます。
ちゃんと打ち込むTB-303ライクなシーケンサーもあるにはあるんですけど、
こちらの方は即興でフレーズを変えられたり楽チンなのですよ。

 

◯エンベロープ

Hikari Instruments Triple AD

LFOも兼ねられるので一応ファンクションジェネレーターの仲間だと思ってるけど、
このシステムでは純粋な3系統のエンベロープとしています。
コレをお勧めしたい理由はCVの具合によって
スライダーに内蔵されたLEDが光るので超わかり易いんスよ。
プロダクトデザインとして秀逸ですよ。安いしね。

 

◯オシレーター

Buchla-Tiptop 258t
Sputnik Modular Variable Waveform Generator
(Hikari Instruments Atten/Mixer)

ブックラ258tを2台から一つだけスプートニクモジュラーのオシレーターに変更しました。

258のメリットはオシレーター2つ備わっていて、
アウトプットが二つずつあるので互いに変調させながら同時に音も出せる事。
コスパ良いです。パの方も抜かりありません。

スプートニクのオシレーターは258を更に上回る音質の良さ。
4本のスライダーでシームレスに波形を変えていくのが気持ち良いのなんのって!
独立した出力が5つあるのでミキサーでまとめられるようにしました。

そこに使ってるのがヒカリのアッテ/ミキサー。
16500円と格安な事もあって使っている方は多いですよね。
7系統あるので5つをSputnikのミキサーとして、2つをLFOのアッテネーターなんかに使ってます。

 

◯ローパスゲート

Buchla-Tiptop 292t

これを手に入れる為に2年待ちましたよ。
まぁ「これぞブックラだ!」みたいな特別な音はしないけどね。

ローパスゲートとエンベロープの関係について、
MakeNoiseのMATHSとOptomix、又はBuchla281tと292tみたいに
「同じメーカーの方が相性がよく音の開き具合もいいよ」と教わりまして、
281tも所有しているので聴き比べTripleADと聴き比べをしたところ、

 

ぜんぜんわからりません。
ほんとわからりません。

 

大雑把な性格のアタシの耳なんてそんなもんです。
キチンとした所で聴けば分かるかもしれませんが面倒です。
それに281tアイツでか過ぎなんでTripleADでいいです。

だけどまぁ、今ローパスゲート自体が世界的に品薄で、
16HPに4系統のVCAを兼ねたLPGというだけでこの価値はあるんじゃないでしょうかね。

 

◯スケールクオンタイズ

AFTER LATER AUDIO uO_C

変調セクションに定番アイテムオーナメント&クライムを導入しました。
ご存知の通りクオンタイザーやシーケンサーや何やら沢山CV変調ツールがテンコ盛りのモジュールです。

さてさてコイツの使い途なんですが
シーケンサーRENE2には致命的弱点がありまして、
一音一音のエンベロープを長めに設定すると次のCV(音程)を拾ってしまうのですよ。
「ファ〜〜〜〜」のつもりが「ファ〜↑〜↓〜↑〜」になっちゃう。文字で説明しても分からんよねw
それにuO_CのアプリMeta-Qを使うとこの問題をクリア出来ます。

RENEのトリガーをTRIG1に入力、CVをCV1に入力。
uO_CのOUT AをオシレーターのCV入力へ、OUTCをエンベロープのゲート入力に入れます。
この時にMeta-Qの「–> pw」でパルスワイズ幅を大きくしてやる必要があります。

Meta-QはデュアルクオンタイザーなのでRENE2の二つ目のトラックを同じように設定できますよね。

◯エフェクト

このシステムでは個別にエフェクトを変えるのではなく、
ミキサーで全てのトラックをまとめてからエフェクトをかける、という方式を採っています。
picoDSPでなら各トラックに別々のエフェクトかけられるけど、
将来的に1トラックまで減らすのならイイ奴一発ドカンと入れた方がいいもんね。

MakeNoise Mimeophon

メイクノイズのリバーブ付きディレイ。
ペダル含めて数々のディレイを触ってきた中でこれ最高の一品です。

左まん中のZONEというツマミで大きな分類、RATEツマミで小さい分類として
ディレイ・タイムを調整するんだけど、
テープエコーからデジタルディレイ果てはフランジャーに至るまで(そうは謳ってないけど)、
音が途切れずシームレスに変わるんですよ。

高級ペダルエフェクターでも。プリセット変える時は一瞬音止まっちゃうからね。
演奏中にソコを変えるって想定をしていないから仕ないのか。

ZONEで白(クリーム色?)に合わせ、COLORツマミでディレイ音にフィルターをかけ、
その上でリバーブ全開にした時のテープエコー的な音が大好きなんですよね。
本物のテープより好きかもしれない。もちろんテープエコーとは一言も言ってない。

ツマミの配置もセンスが良く、これはもうエフェクトというより楽器です。

ただコレはいずれドラムラックの方に移す予定です。
WMDミキサーと合わせてダブミキシング的な事したいじゃないですかい。

 

次候補・Zlosynth Instruments Kaseta

そんでミメオフォンの代わりに購入した(けどまだ届いてない)のが、
「オープンリール・テープエコー・シュミレーター」ともいうべきKaseta。
たまたまTwitterのタイムラインに流れてきて心臓をワシ掴みにされました。

サチュレーター、ワウフラッターを備えた4ヘッドディレイで、
各ヘッドごとにフィードバックやパンを設定できるそうです。

これたぶん、StrymonのVOLANTEとDECOを足したようなエフェクターだと思うんですよ。

DIYキットを送料込み4万円で購入できました。
謳っている機能が本物なら易い買い物です。

◯まとめ

(左:いまこう、右:来月こう)

そんなこんなでモジュラー沼に溺れる過程を紹介しました。
これを参考にしてくれ、なんておこがましい事は言わないけど、
「あー、馬鹿も馬鹿なりに考えてんだな」くらいに思ってくれれば幸いです。

次はやはりコンプレックスオシレーターなんですかね?
MakeNoiseのいっちゃん新しい奴が魅力的だけど。

 

 

 

 

 

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