パーティオーガナイズの醍醐味と啓発

苦労は多いけど尊敬もされ人間的社会的成長もできるパーティオーガナイザー。
向き不向き問わずDJ(やあらゆるパフォーマー)なら一度は体験すべき仕事だとは思うけど、
ネット上では誰も教えてくれないようなので
自分のパーティを例にしてオーガナイズノウハウを紹介します。

ボクのオーガナイズ歴は11年。
キッカケは「改めてDJ始めてみたけど誰も誘ってくれない」という残念な理由から、
仕方ない自分でやってしまえ!という発想に至りました。
ノルマ嫌いのひねくれ者なので、今でも10人集まれば万々歳!な弱小オーガナイズではありますが、
オーガナイズの醍醐味を味わうという意味ではイベントの大小は関係ありません。

現在進行中のパーティの一つ「TumbleFish @ 西麻布bullet’s」を例にしながら
オーガナイズのコツを紹介していきますね。
ボクのオーガナイズの大前提は「パーティを創る=コミュニティを育てる」こと。
大人数集めるとかは二の次でいいと思ってます。

1,ハコを決める

コミュニティの器を定めます。
色んなハコを転々とするパーティもありますが、強力なコンセプトでもない限りは、
とりあえずは器をバシっと決めてしまった方がコンセプトも考えやすいし伝えやすい。

ボク店舗デザインが本職なんですが
この西麻布bullet’sのインテリアに惚れ込んでいまして(上の写真ね)、
4,5年前から友人のパーティでDJをさせてもらってました。
3年前にそのパーティの枠を引き継ぐ形でスタートさせたのがTumbleFishです。

 

2,コンセプトを考えてパーティネームを決める

単にDJ集めるだけじゃ面白くないし、
bullet’sのインテリアを活かしたプロモーションをしたいじゃないですか。
そこで当時凝り始めた写真をテーマにしてはどうだろう?と思いついたんですよ。
写真のパーティやれば自分より腕のいいカメラマン呼んだりして色々教われるし、
DJもアー写作れるし、女の子呼んでポートレート撮らせて貰えたら楽しくね?って。

熱帯魚の「RumbleFish」と、転がるという意味の「Tumble」、
また中毒性の高いコアな画像系SNS「Tumblr」の名前を混ぜてタンブルフィッシュ。
パーティネームに深い意味は持たせずに音感で決めちゃった所があります。

現在はお店側の厚意で平日の開催から日曜夕方の開催にさせて貰い、
リニューアルの際に以前からやりたかった(笑)「女の子DJパーティを自分がプロデュースする」事に。
このお店はオーナーも女性だしオレみたいなオッサンよりも女の子の方が映えるんですよ。

3,コミュニティの核になるレギュラー陣を揃える

ここからが面白くなってきます。
人間て自分と似たタイプの人と仲良くしがちだけど、
オーディエンスから観て面白いのは個性が際立つバラバラのキャラですよね。
マンガのキャラとかRPGのパーティなんかもそうじゃないですか。

元々レギュラーを務めてくれていた女の子が一人、
彼女は初心者ですとか言いながら強烈にDOPE&DEEPなテクノばっかりかける曲者でして、
ベテラン勢の背筋を凍らせる末恐ろしい才能の持ち主。

そこに新しく加える仲間として、まずは「対になるキャラのコ」を探しました。
そこで口説いた逸材が、’80ポップスからダンクラ果てはアニソンまでイケる女子大生。
我が強く屈託のない性格もあってかオーガナイザーに向いてそうなのも好条件でした。
一点集中型のDJと万能型のDJ。そういう2人が同じ空間を創るのが面白そうじゃないですかね。

しかしボクとこの2人はDJバー「神田Extrawelt」を拠点として活動しているので、
マンネリにならないように別のコミュニティから紹介して貰う事に。
一人はバイタリティに溢れ将来売れっ子になりそな要素を備えたUKハウス系の女子大生。
もう一人は他3人に比べお姉さんタイプ、ダンサー出身のNYハウスDJ。
図らずも絶妙な面子が揃いました。

4,レギュラー陣の刺激になるゲストを探す

いくら個性的なキャラを集めても慣れるとグダグダになってしまいますよね。
なので「レギュラー陣にとって刺激になる人をゲストとして探す」のが一番。
ここのレギュラー陣はほぼ20代前半、DJのキャリアも浅く2人は学生チャン。
DJカルチャーを通して彼女達の人生に刺激を与えられるような手助けをしてやりたいと思ってます。

40のクスぶったオッサンがギャーギャー喚いても
「やだこのオッサンうざい」で終わりそうなんで、
彼女達にとって良いお手本になりそうな「カッコイイお姉さん」を
ゲストDJとして誘致するのはどうだろう?と考えています。
幸い付き合いの長いのオネエサマDJは周りに多いので色々呼んでみたいですね。

5,宣伝の為のSNS活用はマニュアル化する

パーティを仕切るならSNSにマメになるのは必須です。
現在はイベントの告知、レギュラー陣の連絡など全てFacebookを利用してます。
昔に比べればすごく楽で便利にはなったものの、慣れちゃうと面倒臭いものですよね。

とはいえどどうしても避けられない作業なので、
開催日を基準に投稿や招待のタイミングを決めてしまいます。

1ヶ月前:オーガナイザーがFacebookのイベントページ立ち上げ
3週間前:全員がイベントページに友達を招待
2週間前:オーガナイザー以外のスタッフがイベントページにてゲストDJや催し事の紹介
1週間前:各自自分のタイムラインで紹介
前日or当日:各自お店の場所と時間を改めて告知

オーガナイザー自身が告知をするのは当然の義務だけど、
レギュラー陣やゲストDJにとって面倒臭さを軽減し告知に協力して貰えるように促すのが、
知恵の絞りどころじゃないでしょうか。まだまだ模索中なんですけど、
SNS時代のイベント誘致は如何に告知の面倒臭さを軽減するかがカギだと思ってます。

6,タイムテーブルはDJを選曲するつもりで

各DJのプレイを吟味した上で、得意な時間帯に割り振るのが基本です。
切り込み要員、アゲ要員、捻り要員、締め要員、
どんなDJでも得意なシチュエーションを持っている筈なので、
見極めて配置してあげましょう。
もちろん得意な事だけやらせても成長しないし退屈しちゃうので、
当人に余裕のありそうな時は敢えて苦手そうな所に振るのもアリ。

7.開催中は客観視を忘れずに

オーガナイザーの才能として求められる点の一つに「客観視が出来るかどうか」ってのがあります。
自分とレギュラー陣、お店、お客さん、各々の掛け合いを神様の視点で受け止めて、
相性の良し悪しや組み合せによる雰囲気の変化をしっかり見定めます。
開催中の振る舞いは黒子に徹するもよし、率先してバカ騒ぎをするのもよし、
他者が求めるキャラを演じ切ってやりましょう。

8.ホスト精神も忘れずに

来てくれた人を友達として扱うかお客さんとして扱うか、匙加減も考えどころ。
口では友達として、振る舞いではお客として扱うのがベターではないでしょうか。
タメ口聞きながら上座に座らせるとか、暴言吐きつつ帰り際は出口まで見送るとか、
ココでアタマを使うとリピーターが増えますよ。

9,開催後はパーティレポートをしっかり

「ありがとうございました!」的な投稿でも良いけど、
写真をアルバムにしてあげるのもいいでしょう。動画なら尚更効果的。
ボク自身写真が好きなので積極的に撮る方だけど、
TumbleFishではパーティスナップ専門要員を確保してます。
後でそれを観た人に「このパーティ行きたいかも」と思わせられればコッチの勝ちです。

10,続ける為には「頑張る」ではなく「飽きない」ように専念すること。

ボク自身飽きっぽい性分なのでモチベーションの乱高下が激しいのですが、
このTumbleFishはどうにか毎月開催で3年近く続いています。
1年ごとにコンセプトやレギュラー陣を変えてしまうとか、
オーガナイズ業務をスタッフで分担するとか、
自分の苦手な作業は他の人に任せるとか、
できるだけチカラを抜いた状態で継続出来る仕組みを作ってしまうのが良いでしょう。

◯まとめ

前述した通り、パーティを創る=コミュニティを育てる、という前提の元に活動をしています。
もちろん人によっては違う動機でやってる人も多いでしょうが、
クラブカルチャーの中でローリスク運営を続けるなら、この考え方が一番だと思います。
大箱を仕切ったとか大物DJを呼んだとか、人様に誇れる実績は何もないけれど、
このノウハウを本業に応用して30歳で未経験の業界に飛び込み独立開業、
ここ6年はフリーランスとして食い続けるノウハウを身につけました。

友達が少ないとか、将来が不安だとか、
そういうコンプレックスの強い人にこそ薦めたいパーティオーガナイズ。
沢山の人に体験してもらってシーンを活性化させていきたいですね。

◯余談

オーガナイザーってモテる?
とよく訊かれますが答えはYES!と言っておきます。
人脈には事欠かなくなるし、
洞察力、行動力などなどモテる為に必要なスキルを鍛える事が出来ますよ。

※但しボクが40になってまで未だ独身で彼女も居ない事には突っ込まないで下さい。

TumbleFishはちょうど今週日曜日にもやってます。
https://www.facebook.com/events/414377008765908/
17-23時、¥1000/1D。
興味がおありでしたら気軽に遊びにいらして下さい。

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