ストリーミングサービスに負けないDJスキル

オーディエンスとしてDJプレイを味わう醍醐味の一つにキュレーション性があります。
リアルタイム・キュレーションとでも言えばいいんでしょうか。
自分達の気分を読み取ってアガりたい気分を上手く誘導してくれる腕の良いDJは沢山いますよね。
PCDJの普及によりDJ自身にとっての理想的な選曲がより容易になった事も含めて、
アナログ時代以上に選曲のセンスが求められているように思えます。

しかしIT革命以降は音楽業界の激変もあってか音楽の楽しみ方も大きく変貌し、
ボクらアングラなクラブ文化の住人も知らんぷりできなくなってきてます。
そんな矢先に選曲自慢のDJ達に大きなライバル登場です。

AppleMUSIC。

音楽ストリーミングサービスの真打ち登場って所でしょうか。
ボクも「たまにゃ売れ線狙いのポップな曲も聴かなきゃね」などと興味本位で登録してみたんですが、
そのキュレーションがスゲぇのなんのって。
「はじめてのラリー・ハード」「90年代UKハウス」などなど、
初日から重箱の隅を突くようなサジェストをしてくれちゃいます。
サービスを使えば使うほどユーザーの好みを絞り込んでくれるようで、
DJのネタ探し用途にも強力なツールになりそうな気がします。

こうなるとクラブミュージック配信の最大手beatportも黙っちゃいないでしょう。
ココがキュレーションを兼ねたストリーミングサービスに力を入れ出したら凄い事になりそでしょ。
これらのストリーミングサービスが更に向上するのは誰でも予測できますし、
日本のクラブ業界も風営法改正によってこれから盛り上がっていく事でしょう。

となるとですね、
ボク等アマチュアDJの競争が激化するような気がします。
今まで以上にオーディエンスの耳が肥えてDJに厳しくなり、
「下手なDJよりオレのiPhoneの方がマシな選曲するじゃん!」
などとのたまう輩が増えるのは確実。

そんなふうに、
ストリーミングサービスが与えるDJへの影響って計り知れないものがあると思うんです。
もちろんクラブとiPhoneじゃサウンドシステムとして別次元なんだけど、
純粋な選曲センスで競うなら、何処ぞの馬の骨DJよりも、
オーディエンス自身が育てたAPPLEやbeatportのキュレーションが
勝っちゃう事も大いに有り得ますよね。

最初に淘汰されそうなのが、ボクが4.5年やってきたMIDIコンのPCDJ。
どんなにアグレッシブなプレイと斬新な選曲をしても、
お客から見りゃブースの中でMacと睨めっこしてるだけでツマンない。
こないだまで「次世代のDJプレイがそこにある!」とか豪語してたけれど、
真っ先に廃れそうな気がしてなりませぬ。
こりゃ何とかしないと、現場と機材屋の間で右往左往しております。

対策1:アナログ/CD回帰

やはりDJはオーディエンスとの非言語コミュニケーション。
大げさなくらいアクションを強調した方がみんな踊ってくれます。
レコードバッグやCDウォレットをめくる仕草も決して無駄じゃなかったんですよね。
という訳で個人的には慣れないCDJを勉強中、いっその事アナログ回帰してやろかとも考えてます。

対策2:オリジナリティの追求

よりディープな選曲を求めて、
APPLE様の知らない曲を掘り下げればいいんです。
自作曲の比率を上げるのもアリでしょう。

対策3:ライブ性の向上

ハードシンセやドラムマシンを使ったライブだかDJだかよくわからんプレイ。
既存曲と混ぜこぜにして新しいグルーブを生み出す。

これって決して新しい試みなどではなく、むしろ先祖返りなんですよね。
フランキー・ナックルズもフランソワ・ケヴォーキアンも、
ハウス/テクノ黎明期の偉人達がやってたスキルを
今の時代になって僕ら素人でも真似できるようになったってだけの話です。

いま思いつくのはこんなところですかね。
どれも勉強中なのでナカナカ苦労してますが、
15年やってきて改めて「DJとはなんぞや?」「これからのDJプレイって?」
と自問自答を繰り返しています。

どうしても他の音楽より軽くみられがちだけど、そんだけ深く広い文化なんですよ。

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