モジュラーシンセの育て方

海外ほどではないにせよユーロラック・モジュラーシンセの認知度も高まってきてますね。
買わないまでも選択肢の一つに考えている方は多いかと思います。
導入するとなると高級ブランド物やビンテージシンセ並みの予算が必要になってしまいますが、
それらに比べた時のモジュラーシンセのアドバンテージとはズバリ「共に育つ事」。

自分の成長に合わせて少しずつアップデートをする事が出来るのが最大のメリット。
始めた当初はアナログシンセの操作をロクに知らなかったくらいなんですよ。
VCO/VCF/VCAやEG各々の信号のやりとりを、
結線しながら身体で覚えました。

初めての海外通販もモジュラーシンセから。
初めてのDIYキットもモジュラーシンセから。
シンセ界広しと言えどもこれほどサディスティックな教材はないでしょう。
お陰様でだいぶ鍛えられていますよ。

今回の記事ではモジュールを選ぶ際の理由や動機を紹介していきます。
が、その前に。

◯モジュラーシンセの厄介なポイント

・買う前にリサーチがしづらい
「このモジュール欲しいな」と思って動画を検索してみても、
他のモジュールとの組み合わせでその動画の音が成り立っているんですから、
あんまり参考になりません。
デモ動画で好印象だったけど2.3日で売り飛ばしたモジュールもあります。
ここは割りきってスペックとデザインだけで決めてしまうしかありません。

・音出してるよりバラしてる時間の方が長いかも
組み上げるまでにアレコレ迷うのが楽しいのですが、
演奏や音作りという本来の目的から外れて明後日の方向に邁進してしまう方が多いです。
自作に走るとか光るとか煙出すとか。。

・ケーブルがウザい
最大の特徴でもあるパッチケーブル、ツマミやスイッチを操作するには邪魔でしょうがない。
背の低いプラグやL字プラグなども試してみましたが決定打には出会えていません。

・壊れたら自己責任が基本
欲が出ると色々と詰め込みたくなって無茶をするんですが、
隣のモジュールやケース内部の金属部分と基板が干渉してショートしてしまう事が多々有ります。
ケースから外せば正常に機能するケースがほとんどですが、稀にお亡くなりになる事も。

またメーカー問わず初期不良品はけっこう多いですね。
もちろんお店で買ったものなら交換してくれますが、
流通しているものの大半がガレージメーカーの手作り品なので、
ここは大目にみてあげましょう。

◯コンセプト

自分が持ち歩ける限界の大きさ重さで、
ベース用途と上モノ用途のモノシンセ二つを90HPのハコに収める、
ってモジュラーシンセとしては割と単純な用途だと思ってます。
ぶっちゃけ10万出してMINITAURとMONOTRIBEあたりを買えば
それで済んでしまいそうなんですがソコは言わない約束でお願いします。

デザイン的には黒いモジュールを基本にして、
アクセントとして銅板フェイスプレートに変えた物を使っています。
ツマミは視認性と回し易さと値段を考えて白や明るい色の物を使ってます。
パッチケーブルは黄色をメインに。
だけど完全に統一しちゃうとカオス感が無くなって面白くないので、
たまに色合いを崩したりハズした色を入れてます。

ちなみに要らなくなったモジュールはほとんどヤフオクに流しちゃってますが、
オークション上ではかなり需要が高く買値の2/3くらいで確実に落札されます。
自分もよくチェックしてますしね。

◯第一期~第三期までの工事概要

・第一期

「ヤバい音の出るアナログモノシンセが欲しい」という要望が
エスカレートしてモジュラー組んでみよう!って事になりました。
ほぼ見た目だけで決めたBlueLanternのモジュール中心に揃えています。
組んだはいいけど音の出し方が全く分からずにショップに泣きついたのはいい思い出。

・第二期

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2系統のCV/GATEが出せるPittsburgh MIDI2、
無駄にデカいVCOを辞めてオシレーターを二つに、
VCA兼フィルターもピーキーな物と素直な物とに二つ用意し、
「一つの筐体で二つのモノシンセ」というコンセプトはここから始まりました。

・第三期

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この時期から自作やら改造やらの如何わしい方向に進んでしまいます。
DIYキットに手を出したりフェイスプレートを特注で制作したり、
オペアンプやコンデンサを交換してみたり。
デザインもまとまってきましたが、ちょっとまとまり過ぎかなぁ?

◯第四期改装工事概要

だんだん「分かってきた」ので現場での使い勝手を重視し、
コンセプトに則った上で更に多機能&高音質かつ使い易くなるようにモジュールを入れ替え。
・アナログオシレーター「even/BEFACO」を二つ使ってましたが、
ベースにはいいけど上モノはもっと色んな音を出したいって事で、
デジタルオシレーターに手を出してみます。

・ローパスゲートを体験したくて「Apature/RYO」を導入しましたが、
あんまり好みじゃなかった上に
デジタルオシレーターの多彩な音を活かせないっぽいので、
オーソドックスなフィルターに戻します。
するとVCAも必要になってきますね。

・壊しちゃったアウトプットとリバーブの代替品を物色します。

◯今回導入したモジュール

購入先は神田の宮地楽器や原宿のFiveG、
海外のショップはPerfectCircuitやMUSIC STOREをチェックします。
送料込みでも海外から買ったほうが安い場合もありますね。

・Ciao! / Bastl Instruments

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2chのミキサー兼アウトプットモジュール。
木製パネルで工芸品のような作り込みの凝った素敵モジュールです。
壊しちゃったPittsburghのOUTの代わりに買ってみましたが、
こちらの方が圧倒的に音質が良いです。これにはビックリしました。

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それもその筈これだけの機能に8コものオペアンプを使っています。
そのうち4つはOPA2134と中の上ランクの物。
ホント低域から高域まで出力できる範囲が拡がりました。

強いて難点を挙げるなら5HPと幅が中途半端、
奇数HPは他との組み合わせが面倒だったりしますよね。

・Modstar QUADNIC / Studio Electronics

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64種類の波形、4つのオシレーターを備えたDCO。
PerfectCircuitのアウトレット品を200ユーロで購入。結構お得でした。
出せる音の幅はグンと拡がりますが、操作は複雑で厄介です。
出音もゴッツく多彩な音作りが可能ですが、当分使いこなせそうにありません。

・Verbtronic / Pittsburgh Modular

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デジタル・リバーブ。
モジュラーシンセのリバーブってラインナップが少ないのですが、
その中でもコレはシンプルかつ高品質なリバーブです。
Feedbackツマミでディレイのように発振させる事も可能。
残響音にデジタル的な粗さがあり機材の味として受け入れられるかどうか。。

・A-124 Wasp Filter / Doepfer

Processed with Snapseed.

これはEDP WaspというMINIBRUTEのご先祖様みたいなシンセのフィルターを再現したモデル。
荒っぽい音がするという事ですが、BIG TWEEPに比べればずっと素直。
Levelツマミは音量的にはチト足りず常にMAXの状態になりそうです。
Feqの開閉はクセの無い素直なカーブで好感触。
レゾナンスを上げてもあまり発振しない所が気に入ってます。

そしてこのフィルターの面白い所が一番下のMIXツマミ。
ローパスとハイパスをこのツマミでクロスフェード出来るんです。

あとDoepferのモジュールはツマミのトルクが重くて回し心地が最高です。

・pico VCA / EricaSynth
何かと話題のエリカシンセpicoシリーズ。
パネルの質感も良く手始めにVCAを導入しました。
こんなサイズでどうなのよ?と思われがちですが、
BIG TWEEPに内蔵のVCAと比べても遜色なく使えます。

・BlankPanel 1HP / MakeNoise
黒い1HPのブランクパネルってナカナカ無いんですが、
MakeNoizeのロゴ入りが600円くらいでFiveGにありました。

◯まとめ

Processed with Snapseed.
いつ完成するんでしょうか?そもそも完成ってなんですかね?w
QUADNICが多彩過ぎて困ってますが、全体として表現力が上がったと思います。
picoシリーズのシーケンサーとクロックディバイダー欲しいな。
特にクロックの方はSQ-1と組み合わせて更に面白い演奏が出来そう。

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