ネーミングセンスの磨き方

名前を考えるのって地味に悩みますよね。
ガキの頃ドラクエの主人公の名前を決められずに
3日くらいゲームに手を付けられなかった挙句に、
無理矢理つけた名前に感情移入できずにゲーム自体に飽きてしまった、
なんて苦い思い出があります。

僕ら音楽活動をしている人種も、
コピーライターほどではないにせよ色々と名前を考えなくちゃいけない事多いですよね。
名前を決めあぐねているうちに企画が流れてしまったり
曲のインスピレーションが消えてしまったりと、
残念な思いをする方は珍しくないかと思います。

◯名前を考えるコツ

 

・定番の言葉の意味を抑えておく
その分野での定番となっている言葉のセンスってありますよね。
例えばクラブの店名は[YELLOW]とか[ROOM]とか無機質な単語が多かったり、
80年代シカゴハウスの曲名は何かと[JACK]が多かったり、
90年代NYハウスでは猫も杓子もラブラブ言っていたと思います。

特にスラングや内輪でしか通じないような業界用語に着目すると、
言葉の選び方からその分野の背景がチラホラと見えたりします。

例えばヒップホップの亜流として生まれたジャンル「TRAP」。
この言葉は元々は麻薬の密売所を指すスラングだったようです。
本来は「罠」って意味でしょうけど、
どういう解釈で密売所がTRAPと呼ばれ、
尚且つその周辺で生まれた音楽ジャンルになんでTRAPと名付けられたんか?
敢えて「正解」を調べずにいろいろ想像をするのも結構楽しいもんですよ。

 

その分野での王道ド直球なネーミングもいいのですが、
その名付ける作品に余程の自信がないとかえってカッコ悪いです。
あとは印象に残りにくいのも難点ですね。
なので大抵の場合は幾らかの捻りを加えた方が良いと思います。
で、その捻り方なんですが、
敢えて別分野のスラングを持ってくるのも一つの策です。

例えば東京の下町発テクノ/ハウスレーベルである「RUDELOOPS」。
RUDEとはレゲエ用語で言うチンピラの意味です。
テクノ系だと無機質なネーミングが定番のセンスなので、
向こうを張る意図で対照的なイメージのレゲエから拝借してきました。

もちろん音楽縛りでなくても構わないです。
エキゾチックな響きを持たせたいなら宗教系とか、
クールな印象を与えたいなら理工系の専門用語を使うのも良いかと。
工学と言えばクルマ、飛行機、船など乗り物系のネーミングとか、
女性的なイメージなら化粧品のネーミングセンスはパクり甲斐ありそう。

 

・文字の形、フォント、ロゴを想像しながら名付ける
これは主に視覚効果から連想する方法です。
ビジュアルアートやグラフィックデザインの好きな方にお勧めの方法。
実際に作らないまでも「こんなフォントやロゴマーク使いたい」と
シンボルありきで名前を考えてしまうんですよ。

自分のパーティ[TumbleFish(タンブルフィッシュ)]は
ランブルフィッシュ(闘魚)をモジッたネーミングなんですが、
最初に「西洋の甲冑と槍を身につけた人魚」というシンボルありきでネーミングしました。
結局はロゴ制作してませんが。

 

・発音した時の音感で決める
特に音楽系ネーミングでは言葉の意味よりも大事なのが発音した時の耳触り。
カタカナ50音を声に出して読んでみると、
それぞれの音が優しそうだったり強そうだったり、
様々な印象を受ける事が出来ると思います。

濁音が入ると男性的な、半濁音なら子供っぽい響き、
サ行はシャープでシュっとした響き、
ラ行ナ行には女性的な、、、とか、自分勝手に解釈して構いません。

 

また「ルーどルーぷす」と韻を踏むのはラッパーの定番テク。
このテクニックはかなりインパクト強いですよ。

 

◯自分の名前

アーティスト名やDJネームなどを考えるとほぼ3通りのパターンがあります。

・本名そのまんま
自分もryotakojima名義でDJから何からやってますが、
面倒事が無い上にイメージのギャップが最も小さいのが利点です。
「DJ ◯◯◯」と下の名前をつけるのも一般的ですよね。
自分の場合はDJの師匠にちなんで本名フルネーム全小文字でやってます。

デメリットは会社の人や家族など関係無い人にWEB上で活動を隠せない事でしょうか。
大きな会社のサラリーマンや堅い職業の方は面倒事が増えるかもしれないです。

・本名をモジったアダ名
子供の頃につけられたアダ名や、苗字をさらに短縮した呼び方など、
覚え易さと呼ばれ易さのバランスが良い名づけ方です。
苗字短縮型はクラブ系の普遍的な価値観である「無機質」「ミニマル」な
イメージを連想させやすいので尚良いかと思います。
どうしても同じ名前の人がウヨウヨ居るのが難点。

 

・本名とは関係ないイメージ優先の名前
ハッキリとした世界観をもった人に多い傾向があります。
作品や活動の印象をイメージさせやすいので、
ジャンルに囚われない、マイナーな音楽を好む人に多いようです。
ただあまりにもイメージと本人のギャップが大きいと「残念な人」認定されてしまいますし、
そういう人は十中八九ナルシストなんでイジられる覚悟をしておきましょう。

 

◯コミュニティの名前

イベント、パーティ、レーベル、ユニットなどの人の集まりを指す場合、
その名がブランドとして独り歩きしてくれるようになるのが理想ですよね。

やはりコンセプトやテーマから連想する言葉が一番いいでしょうけど、
人に覚えてもらうのが大事ですから、
意味より字の形よりも音に重点を置きましょう。

以前やっていたパーティでは、
「クラブ黎明期のキーパーソンは皆”o”で終わる名前」にちなみ、
volcano、inferno、maraschinoなんて名前を付けてました。

 

◯曲の名前

人の集まりを指す名前と違って完全な作品名ですから、
作品が先でも名前が先でも良いし、ほんと自由過ぎて困っちゃいますよね。

ここでお勧めな方法が、ある程度のネーミングの法則を決めてしまう事です。
例えばひたすら番号を振るだけってアーティストも居ます。

自分の場合はRUDELOOPSのレーベルコンセプトありきで、
「ガイジン視点のデフォルメされた日本語」をテーマに、
カタカナ4文字+曲を表す英語という決め方をしていました。
「サツバツ・ファンク」「トラウマ・トラックス」「イナリ・ウィスプ」
などなど、自身のハウス観を馬鹿っぽい単語で強調する狙いもあります。

 

◯まとめ

こういう所でセンスが光る人は音楽以外の教養が身に付いている人に多いですね。
ソムリエのように感じた事を言葉で表すって、それなりの訓練が必要みたいです。
沢山の言葉を吸収するには活字を読むのが一番だけど、
日本文化のアドバンテージとも言えるアニメやマンガを大量に貪るのも良いんじゃないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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