【人柱速報】twisted electrons CRAZY8レビュー

ユーロラックやモノシンセが世界中から発売されているにも関わらず、
パフォーマンス・シーケンサーって選択の余地が少ない上に何を選んでも一長一短なもんで
悩みの種ですよねー。ですよねー。オレだけ?そんな事ないでしょ。
前回「シーケンサーの選び方2017」の時点で注文していたCRAZY8が到着したのでレビューしますわ。

◯基本スペック

https://twisted-electrons.com/crazy8/

・w210mm x d97mm x h 24mm
・16ステップx8パターンx8トラック
・トリガー指定形
・4トラックは和音対応
・4トラックはCV/GATE対応
・MIDIクロックスレーブ可
・SYNC IN/OUT端子

おねだん:255ユーロ(ドイツMUSIC STOREにて船賃込で約4万円)

◯デザイン


箱から出したときの第一印象は「あーら可愛い!」
同社のデジタル・アシッドシンセACID8と共通のデザイン。
黒アルマイト&ヘアライン加工の天板は非常に質感が良く触り心地のいいものです。
サイズはかなりコンパクトですが金属筺体のお陰で心地よい重量感があります。
このスペックで出来るだけシンプルな操作性を狙ったのか、キーの数も必要最低限。
海外製のタクトスイッチの為なのかキーの押し心地がやや堅いのがちょっとヤだな。

◯付属品と注意点

・ACアダプタ
付属の物は海外向けなので、変換コネクタが必要です。
或いは【12V420mA/センタープラス内径2.1mm】のアダプタを別途購入する必要があります。
アンペア数は420以上あれば、大きい分には問題ありませんよ。
例えばこんなんとか。

http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-03682/

でもマニュアルには「9-15V」とあるのでわりとユルそうですね。
実際9Vセンタープラスの電源を試したら普通に動きました。

・MIDIケーブル
片側がDINコネクタ、もう一方が3.5mmステレオミニのタイプです。
IN/OUT用に2本付いてます。
最近よくあるこのDIN-3.5mmのMIDIケーブルですが、
メーカーごとに信号の振り分け方がバラバラなのが困り物。
コレは有難い事にKORGと同じ方式なので、
SQ-1に付属のDIN-3.5mmアダプタも使えます。

・MIDIチャンネルは8トラックというより4+4トラック
ここ重要なポイントです。
MIDIアウト端子が2つあって、Ch1~4とCh5~8に分かれています。
なので音源1台につき4Chまで、という制限つき。
MIDI信号をまとめる機材でも持っていないかぎり、
マルチティンバー音源を繋げても4種類までの音しか出せないって事ですね。

逆に複数台の運用には端子が2つある方が有利。
Trk1から4までをマルチティンバー音源に、
Trk5から8をモノシンセやドラム音源に使う、ってのも、
MIDIスプリッターを介さずに可能ですよね。

◯普通の使い方

基本的な打ち込み方はRoland TB-3と同じような方式が8トラックになったものです。
パターンモードでパターンとトラックを選び、ステップモードに切り替えた上で
右側のツマミで該当ステップを選んで鍵盤キーで音階を決める方式です。
MIDI INとSYNC INがあるので同期のスレーブにも使えます。

◯イカす使い方

CRAZY8特有の機能で気に入ったモノを紹介します。

・プレイモード
SHIFT+RUNで該当トラックのシーケンスを走らせる方向を変えられます。
前進→後退→往復→ランダム

・スキップ
打ち込みの際にREST(休符)とは別にSKIPキーってのがあるのにおや?って思ったんですが、
これで該当ステップを飛ばす事が出来るので、トラックごとに違う周期で演奏させる事ができます

・レート
通常は4小節を16ステップに割った分解能ですが、
この機能を使ってトラック毎に1/4から8倍まで変更出来ます。

・クレイジー
ナニがクレイジーなのか英文マニュアルを読んでも分からないんですが、
この値を変える事によってトリガーと音階を微妙にランダマイズできるっぽい機能です。
理屈はワカランけどかなり便利な機能です。

・コード
パターンモードにて該当ステップの白鍵を押しながらエンコーダーを回すと
あらかじめ設定された和音を選べます。
デフォルトで15種類の和音が登録されていて、これもエディットが可能です。

◯困ったポイント

・キーが少ないので慣れないと操作がややこしい。
トラック選択やパターン登録、コード周りなんかを理解するのに戸惑いましたね。

・ステップ数は16で固定
ツマミでステップ数を減らしたり出来たら面白いのにね。

・ベロシティ固定
マニュアルのどこにも記載されてません。
ステップごとでなくても構わないからベロシティ可変にしてほしかったな。

・ステップごとのパラメータ変更は不可
ELEKTRONのパラメータロックやKORGのモーションシーケンスに該当する機能はありません。

・ノートレングスはトラックごとに固定
DUTY機能でトラック毎にノートレングスを16段階で変更できるんですが、
全てのステップが同じ長さになってしまいます。

・スライドもアクセントも無いよ
ウニョン不可だしベロシティも固定な雰囲気です。
なんでアシッド向きではないかもね。

などなど、現代のステップシーケンサーとしてはかなり割り切った設計ですね。
シンプルな操作性を再優先して色々諸々切り捨てたように思えます。

けどさ、ちょっと切り捨て過ぎじゃね?w

このあたりはファームウェアのアップデートに期待するしかありません。

◯おすすめ構成例

・iPadやハーフラックPCM音源

取っ掛かりにはお手軽マルチティンバー音源が
沢山あるiPadのシンセアプリや、
ひと昔まえのコンパクトなPCM音源が良いんじゃないでしょうか。

・SQ-1とかKORGのSYNC端子搭載機

SYNC端子があるからSQ-1と併用するのもアリでしょう。
基本的なフレーズをCRAZY8で走らせて、その上でSQ-1の即興演奏とかね。
ただしKORGマシンとCrazy8ではステップ分解能に差があるため、
スイートスポットは狭いかと思います。

・DSI TETRA
モノシンセx4のTETRAは相性バツグンじゃね?

・モジュラーシンセ
Trk5-8をフレーズに使って、
CV/GATEのあるTrk1からTrk4であらゆるパラメータをイジり倒すと面白い筈です。
最近ではBEATSTEP PROがモジュラーシンセの定番シーケンサーになっているようですが、
コンパクトさとCV出力の多さではコッチの方が有利。

◯まとめ

買う前はELEKTRONシーケンサーの簡易版かな?と思ってたけど、
触ってみたらTB-3の8トラック版といった感じがします。
機能面と操作性で物足りないところはあるけれど、
なんせこのサイズと多出力なところが非常に気に入ってます。

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