フィールド・シンセサイズのススメ【1】

何かしらの音楽を通した表現活動をしている僕たちにとって、
アフターコロナ時代との付き合い方を模索していくのは地味に重たい課題だとは思います。
プロならプロなりに、ハコはハコとして生き残りを賭けて戦っていますが、
僕らアマチュアもこの先どうやって音楽と向き合っていけば良いのか悩んでしまいますよね。

動画や配信に取り組む人たちもいますし、
現場至上主義を貫くのも大いに応援したいと思いますが、ふと思ったんですよ。
「オレらアマチュアなんだし別に『表現』じゃなくても良くね?表現二の次でも良くね?」って。
いやぁ話の腰を折ってしまうようでごめんなさいw

他人ではなく自分の為の音楽。ライブや録音、録画で発信するのは「ついで」の話。
電子楽器界隈では、こういうふうに音楽を楽しんでいる人達は珍しくありません。
内向きではあるけど決して後ろ向きではありません。
マイペースで表現手段とは真逆の発想でも音楽を楽しめる人達に
ある種の憧れを持っていました。

○フィールド・シンセサイズ

自然の音や街の喧騒などを録音して楽しむフィールドレコーディングのように、
シンセサイズも自宅やライブハウスから外に出ても面白いんじゃない?
自宅だとどうしても「練習」とか「制作」とか「作業」とか、なんか義務感に囚われてしまいますよね。
そういうのを抜きにして機材いじりを楽しむには、
景色を変えるのが一番手っ取り早いって所から始まりました。

○まぁ実態はそんな意識高い話じゃないんだけどさ、

アタクシのキッカケとしてはTwitterで知り合った方が
何処ぞの川の土手でシンセ使って遊んでいる動画を観て、
「あ!いい!マネしたい!」と閃いた訳です。

筋金入りのヘビースモーカーなんですが諸事情で自宅で煙草を吸う事が出来ず、
シンセかタバコかどちらか選択しなくてはいけない悶々とした休日を過ごしていたのですが、
ちょうど自宅から数秒でロケーションの良い川もあるし、
ゴミちゃんと持ち帰ればタバコ吸い放題だしw
コンビニでお茶とおにぎり、灰皿を買って始めてみました。

それがまぁ気持ち良いのなんのってもう。
ちょうどドローンミュージックにハマりつつあった時期でもあり、
ちょうどコロナで外出もしづらい時期でもあり、
タイミング的にバッチリだったんですよね。

○場所の制限から開放される

他の楽器と違って電子楽器は一人で楽曲を構成するのが一般的だし
ヘッドフォンを使えば騒音も気にする必要もありません。
更に近頃はモバイルバッテリーの進化のおかげでグルボでもモジュラーでも
動かせる電池がお小遣いで買えるようになったのも大きなポイントですよね。

カフェでDAWを開いてトラックメイクをするのも、
キャンプ場にモジュラーシンセを持ち込むのも、
近所の川の土手っぺりにブルーシート敷いてガジェットシンセを並べるのも、
とても自由で新鮮じゃないでしょうか。


○インプットの為の演奏

あらゆる表現活動においてアウトプットに対するインプットの量を稼ぐ事は大事ですよね。
例えばDJなら「100曲から選んだ10曲」と「1000曲から選んだ10曲」とでは
同じ10曲のプレイでも大きく差が出ます。
トラックメイカーもミュージシャンも自分達の曲を作る為に何千何万もの音楽を聴いているかと思います。
だけど飽きずに吸収していられるうちは良いのですが、
どうしても感覚が麻痺して全部同じに感じてしまう事が多々あると思います。

そんな時こそ自分自身の演奏を自分で聴く、という意識で機材をいじってみるのは如何でしょう?
練習なんて思わない方が気楽に出来ますよね。
気持ちの問題ではあるけど、あくまでも自分に聴かせる音楽。です。

○なにはともあれ電源問題

こうなると電池駆動の機材は強力ですよね。
中には電池駆動を絶対条件として機材を揃えている人だっています。

以前の記事でモバイルバッテリーでモジュラーシンセを鳴らす実験レポートをしましたが、

http://rudeloops.jp/wp/archives/2624

今はもう少し性能の良いバッテリーがあるかもしれません。
100V出力がついてると難しい事を考えなくても良いですね。
ちなみに前記事では64HPx2段で10000mAhのバッテリー2時間持ちましたが、
84HPにした途端に半分の1時間くらいしか持たなくなりました。

○ヘッドフォンはイイ奴にしようぜ

「自分に聴かせる為の音楽」ですから、スピーカーである必要はありません。
ヘッドフォン一つあれば良いと思いますよ。

シンセやる人はほぼモニターヘッドフォンを使いますが、
もしかするとモニターではなくリスニング用のヘッドフォンの方が良いかもしれません。
まぁ自分はリスニング用ヘッドフォンは詳しくはないんで結局モニター使ってますが、
ヤマハMT8からソニーM1STに変えてみました。

MT8は低音が足りないのと音が正確過ぎる(?)ので聴いていてツマランのです。
あと重たい。それに比べてM1STはMT8より低音は効くし、
軽いし平べったく折り畳めるのでカバンの中でも嵩張りません。

それでもスピーカー派の人ならバッテリー内蔵のモバイルスピーカーでしょうか。
試した事はないけど良さげなのが安価で売ってますね。

○撮影して動画に仕上げるのもいいよね

ここもこれから調べるのでナニがお勧めかも紹介できないんだけど、
スマホ+オーディオI/F(Roland GO MIXERみたいな)か、
ライン入力出来るアクションカメラが良いんでしょうかね?

○せっかくだからキャンプも?

ここ1,2年くらいアニメや漫画の影響もあって空前のソロキャンプブームですが、
(オレも密かにやりたいと思ってるけど機材に散財してナカナカ。。w)
ソロキャンって意外とやること無いじゃないですか。
そこでキャンプのお供にシンセ持ち込んで演奏するなんて
インドア+アウトドアの融合でオツな楽しみ方だと思いますよ。

○キャンプとまでいかなくとも。。

去年の秋ごろのはなし、
普段お世話になっている(入り浸っている?)カフェの屋上でBBQライブを試験的にやってみました。
こんな風に都内の住宅街だって公園だってどこでも良いじゃないですか。

○どんなシンセが良い?

ダンス系よりもアンビエント方面の音楽が良いと思うので、
ここはクソデカいけどモジュラーシンセを一番推したいと思います。
フィジカル操作に振ったモジュラーセットは本当に気持ち良いですよ〜。
とはいえご自身のお気に入りの機材なら何でも良いと思います。
他にも電池駆動と言えばvolcaシリーズはもちろん、
NovationのCIRCUIT TRACKSなんて超薄い上にモバイルバッテリー内蔵なのでベターな選択だと思います。

○まとめ

今回は機材レビューというよりは新しい(珍しい)価値観の遊び方を開拓しよう、という趣旨ですが、
基本的に現場至上主義、曲は作る気失せたしライブ配信はやる気出ない、そんな自分が偶然たどり着いた楽しみ方です。
それにコロナ問題が明けたとしても、それ以前のようにクラブやライブハウスに
人が戻るにはまだまだ時間がかかりそうです。
それまでの間にモチベーションを保つ為にも有益だろうし、
もしかしてもしかすると新しい演奏のアイデアや価値観の変化が現れるかもしれませんよ?

当ブログでは電子楽器との新鮮な付き合い方を模索しています。
ひとつが「マシンライブ」、
そしてこの「フィールドシンセサイズ」を二つ目の柱として
皆さんに提案していきたいと思っています。
とはいえ(あんまり)営利目的ではありません。そういうのダルいし。
単純にアホで変態じみたお友達をたくさん増やしたい、
自分たちの遊び場を増やしたい、
そこが主目的なので今後ともお付き合い頂けたら幸いです。

 

 

 

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