ライブアクトのドヤリング
暗いブースやステージで細かい操作をこなさなくてはいけないマシンライブでは、
どうしても視線を機材に奪われがちですよね。
これホントに仕方のない事なんだけど、
大抵は低いテーブルしか用意できないケースがほとんどで、
視線の範囲も狭くなって猫背になっちゃうんですよ。
自分が言うのもナンだけど、あんまカッコよくないですよね。
そこでこれからマシンライブに臨もうという人達、
あるいは自分のプレイに自信が持てない人達に、
とっておきの秘策を伝授しましょう!
・・・それは姿勢です。まじでまじで。
「何言ってんだ!音さえ良ければ見た目なんかどうでもいい!」
という方はどうぞご退場下さい。アナタの代わりにボク達がモテますから。
他の音楽系パフォーマーはどうでしょう?
生楽器やっている人達はそんな事を意識しなくても自然にカッコいいので、
彼等はそういう研究をする機会が無いと思います。
しかしアタクシが20年近く歩んできたDのJの道(タオ)では、
如何にしてカッコつけるか血道を上げて研究と実験を重ねてきたのです。
◯ドヤリング基本理念
パフォーマンスでオーディエンスを酔わせる為には、
当然演者が自分に酔わないと話は始まりません。つまりドヤるんです。
スタバでMac開くのは誰でも出来ますが、
ステージやブースに立つのはそれだけで誉れ高い事でしょう。
だからドヤ顔のあなたを笑う奴はひとりもいません。
自分の容姿に自信の無い方なら尚更。
普段と違う自分を見せつけてやりましょう。
◯ドヤリング初歩で覚えるべき最強の呪文
自分の出番が近づくにつれジリジリと緊張と恐怖に襲われ、
づロアにいるオーディエンスがみんな自分の事を嘲笑ってるような錯覚に陥ります。
前のDJやライブが好みの音じゃないと更にイライラが募りますよね。
何年やってもそんなもんですよ。慣れれば無くなるなんて嘘。
慣れると誤魔化しが出来るようになるだけです。みんな怖いんですよ。
そこでいざ自分の出番になった瞬間、
ひとつ呪文を唱えるんです。本当に魔法がかかります。
「お前ら全員ブっ殺す」
はい。
よく「人という字を掌に描いて飲み込む」とか、そんなおまじないもありますが、
ことDJプレイに限って言えば「ぶっ殺す」が最強の呪文です。
みんなで仲良く殺し合いましょう♪「死ね死ね」と励まし合うのも良いかと思いますよ!
どうしても殺生が苦手な方は加藤鷹ばりに「金色に光る自分の指」を思い描いて下さい。
するとどうでしょう、フロアから自分を見る女性の目が潤んできてるのに気がつく筈です。
そんなん暗くて見えないという方は信心が足りてないのでバーテンへのお布施とテキーラが必要です。
「なんでいつもオマエはソッチの発想しか出来ねぇんだ?」と呆れるアナタ、
黙らっしゃい。 そ れ が ハ ウ ス で す 。
◯マシンライブにおけるドヤリング実践
実はボク20年近いDJ稼業で「ある日突然モテなくなった」経験があります。
普段以上のプレイが出来ているのに誰もコッチを見てくれないし踊ってくれないんです。
それは何故かというと、アナログ・レコードからPCDJに転向したからなんです。
他のDJを観てすぐに気がついたんだけど、MIDIコン使うPCDJって動きが全く無いんですよ。
それに比べてアナログは忙しいです。
最大1,5m幅に並んだターンテーブルを指で撫でて、バッグに収まったレコードを漁り、
細心の注意を払ってイコライザーやフェーダーを操ります。
PCDJに比べて全然スマートじゃない所作の諸々がプレイの色気に直結するんですよ。
生楽器だってそうです。売ってる曲を家で聴くのとライブを観るのと全然違うでしょ。
演者と観客の非言語コミュニケーションが成り立っているからあの熱狂が生まれるんです。
そこから反省してPCDJでも意識して動くようになり幾らかはマシになりましたが、
マシンライブのパフォーマーの姿勢ってPCDJによく似てるんで、
どうにか応用できないか考えてみます。
基本1:踊ろう
当たり前ですがダンスミュージックなんだからダンスしましょう。
踊らせたいのなら自分から踊るべきです。
加えて踊る事によって緊張がほぐれる利点があります。
実はコッチのメリットの方が重要だったりします。
基本2:フロアを見よう
PCDJでよく指摘されるポイントに「画面を見っ放し」があります。
各機材の操作は目で追わないといけないので仕方のない事ですが、
一瞬でもいいから要所要所で視線をフロア全体に向けましょう。
オーディエンスと向き合うポーズを示してやるだけで反応が格段に違います。
基本3:猫背を防ごう
低いテーブルでチマチマした作業をしなくちゃならないんで、
かがむ事自体は避けようがありません。
ただ少しでもその姿勢を防ぐ為にアイデアを練って下さい。
・大股になって腰の位置を下げる
・首だけで下を向かずに腰から曲げる
・肩を反らせる
・機材やテーブルに対して斜めに構える
体格によって色んな見せ方がある筈ですよ。
基本4:両肩の角度を常に意識する
左の肩と右の肩に一本のまっすぐな棒が通っているイメージをして下さい。
その棒をグルグル回したり揺らしたりします。左右の肩は常に一直線で。
これ女性ダンサーから聞いた上半身の動かし方の基本だそうです。
応用1:ツマミの回し方はふた通り
まず「肘と肩を使って大きく回す方法」と「指先で細かく回す方法」とふた通りある事を意識しましょう。
大回しで有効なのはフィルターのカットオフやEGディケイ、エフェクターなどの派手な効果、
小回しはオシレーターのピッチやEGアタックなど地味な調整に有効なんじゃないでしょうか。
小回しの場合は両手の指を使って馬鹿丁寧に回してるように見せるのもアリかと。
回し方にコントラストをつけるだけで、パントマイムのような印象を与える事が出来ます。
応用2:キック抜きの時は拍の数を口ずさむ
キックをミュートして低音をスっと抜いた時に、
「1,2,3,4,,,」ってな感じでボソボソつぶやくんです。
これDJがロングミックスをする時にやる人がいるんですが、
一見カッコ悪いように思えるけどオーディエンスに緊張を共感させる事が出来るんですよ。
応用3:指揮者気分で各機材を指差す
応用2のカウントと似てますがプレイ中に機材を擬人化して自分に暗示をかけるんですよ。
本人の口から聞いた訳ではないんだけど、
某「幽霊ラジオ」の人のプレイを観てると「あーこの人にとって機材って道具以上の存在なんだね」
って思わされる事が多々あります。正にシーケンス・マエストロです。
◯レジェンド・ドヤリストに学ぶドヤリング分類
・塩ファサーおじさん【匠型】
マシンライブでもDJ寄りなプレイを好む人にお勧めなのが、
こないだ動画で大ブレイクした「塩ファサーおじさん」です。
とにかく一つ一つの所作がクドクドしいでしょう。
要所要所でまな板を包丁で叩く「コン!」という音。
女性でなくともビクっと感じてしまう筈です。
このおじさんのようにサングラス等で目を見せないとか、
無駄にしかめっ面するのも効果的。
動画なら笑ってられますが目の前でコレやられたら滝のようにヨダレ出ますよ。
・インドのお巡りさん【ヒーロー型】
(コレだけ動画です。観た事無い方は是非ご覧ください)
対してミュージシャン寄りな方向性であれば、
緊張感漂うオーディエンスの窮地に大向うから登場するこのお巡りさんがベスト。
必殺技を繰り出す姿に観客は唖然としますが、
登場直後にニヤっと振り返る仕草に着目して下さい。
そこなんです。一撃必殺破壊力バツグンのドヤビーム!
Perfumeの歌う「レーザービーム」ってこの事なんですよ。
正にヒーロー中のヒーロー、イケメンの中のイケメンではないでしょうか。
・シド・ヴィシャス【クズ型】
パンクのアイコンとして名高いシド・ヴィシャス、
このオトコこう見えてベース弾けないんですよ。
ロクに弾けないベース抱えてココまでバシっとキメられるのは
類まれなるドヤリングスキルの賜物。
・シュトロハイム少佐【人外型】
人外よいうか外道というか、
オーディエンスに考える隙を与えずに型破りな策でブチのめす技術系ドヤリング。
「え?え?は?」と相手の思考を奪うギミックを繰り出す様は立派なパフォーマンスです。
この路線のパフォーマンスで大事なのは「音楽以外の方法でシレっと驚かせる」事。
音楽以外で相応の経験を積みつつもそれを無駄遣いする覚悟が必要です。
・大川総裁【イタコ型】
日本随一の「無敵のイタコ芸人」。これで結構モテるんだからムカつきますよね。
イタコ型というか憑依型と言った方がシックリくるかな。
トランス系DJに多いタイプでことある事に神様とかキツネとか召喚させてしまいます。
自己暗示の得意な人なら結構スンナリ会得できるスキルです。
◯まとめ
如何でしょうか。パフォーマーはカッコつけてナンボです。
ミュージシャンなら意識せずとも自然と身につけられるし、
DJなら必須科目として師匠や先輩から教わる立派なテクニック。
経験や歳を重ねるごとにどうしても動きが鈍くなってしまうものですから、
初心者のうちに身体で覚えておくのが得策ですよ。上達も早くなりますしね。