OCTATRACK Tips14「OCTATRACKでのミキシング」
一度手放したOCTAを1年ぶりに買い直した一番の理由がここで紹介するミキサー用途です。
OCTAには4つの入力端子と8つのトラックがありますが、
これを駆使すると超絶有能モバイルミキサーになります。
5段6段のゲイン/レベル調整、ノイズゲート、設定次第でバスとマスターにEQやコンプも入れられるから、
考えようによってはDAWでのミックスダウンに近い事が出来ます。
マシンライブ用途のミキサーとしては至れり尽くせりの機能満載マシンだったりするんです。
◯インプット
・ステレオx2でもモノラルx4でもイケるよ
THRUマシンのPLAYBACKページでAB/CDそれぞれのルーティングを設定できます。
トラックを4つ使ってABCD全部バラバラでも良いし、
ステレオとモノx2でもOK。
MIXERページに[DIR]と書かれている所がありますが、
ここでダイレクトにマスターに出力する音量を設定できます。
THRUマシンを使わなくても良いので、
外部音源で音量や音質を調整する必要がなければここから出してしまうのもアリ。
PROJECT→INPUTと選ぶとAB/CDそれぞれのノイズゲートを設定できます。
安いアナログシンセや古いマシンを使う時には助かりますよね。
あんまり強くかけると音に訛りがでちゃうので、
DAWに繋いだスペアナと自分の耳で適切な数値を決めましょう。
◯ゲイン/レベル調整ポイント
OCTAのゲイン/レベル調整ポイントは最大で7箇所まで設定できます。
普段あまり意識しない所だけどここからゲイン調整してやります。
一番分かり易いポイントだけど、
ここはプレイ中でも微調整し易いようにデフォルトを100くらいに留めておいた方がよいです。
・THRUマシンのボリューム
MIXERページのゲインで稼げない場合に使っています。
外部/内部音源に関わらず使える上に間違って触る事も少ないのでここも結構使えます。
それでも音量が足りない場合が稀にあるんですが、
その時はFX1かFX2にコンプを割り当ててゲインで稼ぎます。
OCTAをミキサーで使う場合はトラック8のマスター化をすると良いでしょう。
その場合はここで最終段の調整ができます。
◯ミキサー用途に有効なエフェクト
イコライザーは通常の物とDJイコライザーとがありますが、
DJEQは主にブーストよりもカットを目的としたEQです。
こっちは性質的にシーンに割り当ててクロスフェーダーで操作する目的でしょう。
音質の調整という意味では普通のEQを使った方が良いですね。
DAWのグラフィカルなコンプと違って耳で判断しなくちゃいけないので厄介ですが、
ほぼ全てのトラックに挿しています。
キックを前にだしてハットを後ろに引っ込める、なんてテクニックも可能。
自分も正直なところ苦手なエフェクトですが頑張ってマスターしましょう。
DAWで言うところのステレオイメージャーやエンハンサーの効果があります。
モノラルをステレオっぽく拡げる事が出来るので金物ドラムや声ネタの調整で威力を発揮します。
◯出音を測定してみよう
よほど耳の肥えた人でない限りOCTA本体だけで音質の微調整をするのは難しいと思います。
自宅のスピーカーではアテにならない場合も多いですしね。
そこでOCTAのアウトプットからインターフェイスを介してDAWに入力し、
それを測定系プラグインで測ってみましょう。
・DAW
プラグインの使えるDAWなら何でも良いんですが、
StudioOneやCUBASEだと測定系プラグインが標準で豊富なようです。
これもDAW標準のEQなどについているケースが多いですが、
単体のアナライザーなどもリリースされています。
ハードウェア(?)として売っているのが一般的ですが、
ガチのミキシングではないのでプラグインで十分かと。
ちなみにこのメーターはフリーでWin/Mac対応。
凄く見やすいからお勧めです!
http://www.tb-software.com/TBProAudio/mvmeter2.html
こちらは音量というか音圧ですね。
お手本にしたい既存曲の音圧をあらかじめ覚えておき、それを基準に調整します。
ステレオ音源の音の拡がり具合を測定するものです。
スパチュライザーの効果を確認するのに必要。
もちろんパンで左右どちらかに振ったトラックの確認もコレで出来ます。
◯実例1:各機材のノイズチェック
先日のライブでは前のDJがかけている既存曲に対してロングミックスをしたんですが、
その時こちらのセットの音の悪さが露呈してテンション下がっちゃいました。
それで帰宅後にライブセットと全く同じ繋ぎ方でオーディオI/Fに接続し、
DAWのスペアナを立ち上げて測ってみる事にしました。
・マスターフィルター
最終段にVERMONAのDJ用フィルターをつないでいましたが、
薄々気付いていたけどコイツがかなりのノイズ源である事が発覚。
全体の音に悪影響を及ぼしてしまうので辞める事にしました。
・x0xb0x
自作のアナログ機材だからある程度は仕方ないとして、
時間が経つと共にノイズが大きくなる謎の現象がありました。
色々といじってみたところ内蔵のディレイが悪さをしてる事がわかり、
OFFにしてみたら問題ない
・analogRTYM
メインアウトは大した事ないんですが、パラアウトからのノイズが大きい。
しかしキックの分離が悪くなるのでパラ出しは譲れない。
って事でここはOCTA側のノイズゲートで対応する事にしました。
こんな風にOCTAの接続やミュートを利用すれば、どの機材がノイズ源になっているか簡単にわかります。
◯実例2:analogRYTMでのセッティング
RYTMからOCTAへの入力は二つとして
「BD/BTアウト」と「Main Left」からOCTAのINPUT A/Bに入れています。
・RYTMのセッティング
BTトラックにはベースタムの代わりにスネアがでるようにしてます。
RYTMのメインアウトは音の分離があんまり良くない(Mark1)ので、
単純にL/Rで出すのではなく「キックとスネア」と「その他」に分けるようにしてます。
自分の場合「その他」にあたる楽器はハットやクラップなど低域の要らない物がほとんどなんで、
RYTM側のハイパスフィルターでバッサリカットしちゃってます。
・OCTAのセッティング
キックとスネアをトラック1に、その他ドラムをトラック2にアサインします。
どちらもFX1にはコンプレッサーを割り当てて音量/音質の微調整をし、
トラック1にはリバーブ、トラック2にはスパチュライザーを入れています。
こうする事でキックとスネアが中心から前に出るようになり他のドラムは左右に広がるようになります。
DAWでのミックスダウンに比べれば出来る事は限られますが、
何もしないよりは遥かに良い音質になる筈です。
両方お持ちの方は是非試して下さい。
◯音圧上げはサンプル段階から
RYTMやOCTAでサンプルを使う場合はインストール前に音圧を確認しましょう。
というのも、流通しているサンプル音源はDAWでのミキシングを前提としているので
あらかじめ音圧を低く抑えているものも珍しくありません。
自分のケースでは「素のサンプルの音圧」より「RYTM/OCTAを通してPCに取り込んだ音圧」が
だいぶ下がっている事が確認出来ました。
なのでRYTMに取り込む前にリミッターやらマキシマイザーで音圧をガン上げしちゃいます。
このRMS値はご自身の耳で丁度いい所になるようにトライ&エラーを繰り返す必要があります。
◯まとめ
DAWでのミックスダウンを経験している人なら、こんな機能を備えているOCTAの凄さが実感できる筈です。
現場でもこのお陰でかなーり荷物を減らすことができますよ。