DJプレイにおけるデジタル化の功罪

クラブでもネットでもDJのデジ/アナ論争は白熱すると面白いものでして、
みんなそれぞれのスタイルを真剣に磨いている事が伺えますね。

ボクは12.3年アナログのみでレゲエやハウスをプレイをしていて、
CDJが普及しだした頃は「あんなんDJじゃねーYO!」とかボロクソに言ってた癖に、
3年ほど前からとつぜん気が変わりシレッとPCDJ導入。
叩いてた相手から「てめぇソレでDJ名乗るなチェケラッチョ!」と返り討ちに遭いながらも
「ハードディスク回してるんだからディスクジョッキーだこの野郎!」とか、
挙げ句の果てにはリズムマシンやベースシンセを買って
「アナログアナログ言ってんならアナログシンセ使えよバーカバーカ!」などと
小学生でも呆れるような罵り合いを続ける39歳独身ですお母さんゴメンナサイ。

それはさておき現在の仕様機材はMacbookAir(2012年モデル)に
TRAKTOR SCRATCH PRO(でもヴァイナルコントロールは面倒で辞めた)、
MIDIコントローラーにはTRAKTOR KONTROL F1をマッピング変更して4デッキ操作しています。

そんなPCでのDJスタイルも3年続けてメリットもデメリットも重々わかってきました。

◯メリット
・一曲あたりの単価が安いから曲をたくさん持ち歩ける。
持ち歩くのはだいたい1000曲くらいですね、
それ以上増やしても選びきれないので物置的な外部HDDに放っぽっといてます。
アナログ時代は多くても50枚/7~80曲くらい。
DJってのは沢山の持ちネタの中から「この時この場で流すべき一曲」を選び続けるんですから、
自分自身の検索能力からオーバーしない限り、分母は大きければ大きい程良いんです。

「10曲の中から選ぶ1曲と1000曲の中から選ぶ1曲では思い入れの深さが違う」

なんてようなニュアンスの話が著名なジャズDJである沖野修也氏の本でもありました。

・テンポ合わせの労力が無くなった分、他のトリッキーなプレイに挑戦できる
アナログレコードのロングミックスは覚えるのに苦労した記憶があります。
四つ打ち系アナログDJなら集中力の大半をテンポ合わせに費やしてるんじゃないでしょうかね。
この苦労から解放されるって所がPCDJが軽く見られる一番のポイントでもありますが、
それならばとPCDJでしか出来ないプレイに挑戦してみるのは如何でしょ?

自分の場合は4デッキプレイを練習するようになり、
2,3曲は同時にフェーダーが上がっている状態でプレイする事に慣れてきました。
曲調も以前はエモーショナルなハウスが多かったのに対し、
ミニマルやアシッドなど音数の少ない曲を好んで買うようにもなりました。
はたまた四つ打ちから離れてTRAPやDUBSTEPなどのベース・ミュージックをプレイする時も
イントロやアウトロをループさせてハウスのようにロングミックスで繋いでいます。
これがどうも四つ打ち派からもヒプホプ派からも新鮮に聴こえるらしく、
DJ15年目にして新境地が見えてきちゃったりしてますね。

◯デメリット
・機材のセッティングが面倒でトラブルが多い
ヴァイナルコントロールのPCDJがイベント中に配線組み換えだして、
ウッカリ音を止めちゃって大顰蹙、なんて事故も珍しくないです。
自分もそれが怖くてヴァイナルコントロール辞めちゃいました。
MIDIコンならインターフェイスからRCAケーブル2本繋ぐだけで済みますが、
それでも他のDJがプレイしてる間にケーブルを抜き差しするのは神経使います。
可能であればケーブルの抜き差し作業はイベント始まる前と終わった後にした方が良いです。
前後のDJに失礼ですしね。

・お客目線で観るとつまんない。格好わるい。
MIDIコンを使うPCDJの最大の弱点がコレ。
どんなにトリッキーでアグレッシブなプレイをしても、
「モニタ見てボタンぽちぽち押してるだけじゃん」と言われてしまうのが残念無念。
激しく盛り上がるのはDJ自身の脳内だけでフロア興醒めなんて光景もよく見ます。
この点だけは逆立ちしたってアナログDJには敵いません。やっぱカッコいいもん。
それを何とかカッコよく魅せようと試行錯誤をした結果、

・パソコンを自分の正面に置かず脇に設置する。
・正面のスタンドにはコントローラーを置いてお客さんに操作を見せる。
・パソコンとコントローラーは出来るだけ離して設置する。

こうする事によってプレイ中の身体の動きが大きくなり仕草が伝わりやすくなります。

ダンスフロアでもラウンジでもバーでも、
DJプレイってプレイヤーとオーディエンスの間で非言語コミュニケーションを重ねて
盛り上がっていくものです。
この点で一番不利なPCDJはルー大柴ばりのオーバーアクションを心がけてプレイしましょう。
「EQのカット/ブーストは指ではなく肩で回す」とか、
「縦フェーダーの扱いは爆弾処理をするくらい神経質っぽく見せる」とか、
ちょっと恥ずかしいくらいが調度良いものですよ。

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