DFAM強化計画(ユーロラック編)
Twitterのハードシンセクラスタの間では特定の機種が妙に流行って盛り上がる事が
チョクチョクありまして、そんな中で近頃DFAMにもスポットライトが当たり
タイムラインでも奇っ怪なドラムが流れてくるようになってきました。
他のグルボや一般的なシンセが注目されるよりもずっと嬉しく思うのは、
コイツが使った人の音楽性すら変えてしまう魔力を持っているからです。
アタシ個人の体験をお話しますとDFAM以前と以降では、
・ベロシティが容易に変わるシーケンサーで四つ打ち一辺倒だった趣味が変わった。
・自分の中で「ドラム」と「ベースなどの音階モノ」の区別がより曖昧になった。
・普段聴く音楽さえもハウス/テクノからロックや和太鼓など生ドラムを好むようになった。
・従来のドラムマシンでは当たり前の「パターンを仕込む」概念から解放された。
・ドローンシンセと同じく「頭を使わない演奏」の気持ち良さに気付いた。
こんな変化がありました。
現在はこのDFAMのコンセプトを拡大解釈したモジュラーシンセを組んでいる途中なんですが、
そっちのモジュールが揃う前にチョットDFAMを暫定的に入れてみようと思いついて、
コンパクトに済ませた自作の箱から取り出して少し大きな84×2段のフレームに入れてます。
それで遊んでいるうちに「スーパーDFAM」みたいな夢想が止まらなくなってきたので書き留めてみます。
○クロック同期
DFAMを買った人が初めにぶつかる壁が既存のMIDI機材とどう同期させるか。って所。
アナログクロックを吐く機材をお持ちでない場合、手っ取り早いのがvolcaを噛ませる方法。
下手な専用の機械よりも信頼性の高いMIDI to Clockになります。
またDAWと同期させたい方ならSQ-1。USB MIDIからクロックに変換してくれます。
しかし更に面白いマシンに変身させるにはやはりユーロラック化。
もう一歩(泥沼に)踏み込めるモジュールを幾つか改めて紹介します。
・erica synths MIDI to Clock
MIDI信号からクロックに変換するだけの単純な機能だけでなく、
簡単なクロックモジュレーションも出来ます。
またPPQ(1小節あたりの信号の数)の切り替えも出来るんで地味に有能。
・Doepfer A-190-8
ハードウェアだけでなくDAWとの同期もしたい方ならこちら。
クロックディバイダーにもなります。
・HEXINVERTER MUTANT BRAIN
今でも利用してます。
4CV/12GATEの出力が出来る偉い奴。
MIDIノートだけでなくMIDI CCも使えるのでMIDIコン繋げてもOK。
12個あるゲート出力はクロックディバイダーとしても設定できるます。
http://mutantbrainsurgery.hexinverter.net/
こちらがその設定用WEBアプリ。
ここで設定したものをSysexファイルとしてDLして、
MIDIインターフェイス経由でモジュールに流し込みます。
・Noise Engineering Univer Inter
こちらはまだ未発売もモジュールではありますが、
USB MIDIもDIN MIDIのIN/OUTも備えた最高のモジュールに思えます。
MUTANT BRAINと同じWEBアプリ経由で設定をするタイプだと思いますが、
おそらくは8つのアウトプットをCVでもGATEでも自由に設定できそうな雰囲気。
○クロックモジュレーション
・erica synths PICO Switch
これは只のスイッチングモジュールでしかありませんが、
上記のMUTANT BRAINやPamela’s WorkOutなど
複数のクロックを吐けるモジュールと組み合わせる事によって、
「スイッチ一発で分解能を変えてくれる必殺武器」に変貌します。
例えば基本のBPMを120とするとして、真ん中の穴にそのクロックを入力します。
そんで下の穴には2倍とか4倍のクロックを、上の穴には1/2や8/1のクロックを入れておいてやると、
スイッチの切り替えでDFAMのシーケンスが速くなったり遅くなったりする訳ですよ。
ドラムロールもブレイクも自在ですよ!
ちなみにこのスイッチ系モジュールって色んな用途に使えまして、
クロックの切り替えだけでなくモジュレーション信号のオン/オフや、
純粋なミュートスイッチにも使えるし凄く重宝します。
※ごめん!嘘ついてた!
追記と訂正。
Mutantbrainはクロック分割は出来ても倍増は出来ないっぽいです。
この絵が間違ってるけど直すの面倒だからこのまんまにしときます!
・4ms QCD
単一のクロックしか無い場合は、ちゃんとしたクロックモジュレーターを用意した方が良いです。
色んなメーカーから様々なモジュールがリリースされていますが、
直感で操作できる事からイチ推しはやはりこのQCDに限ります!
だってこれ、分かりやすいでしょう。ツマミを左にひねると遅くなって右だと速くなります。
4系統もあるから持て余しちゃうけど、同じコンセプトの単一モデルってありそうで無いんですよぉ。
○スケールクオンタイズ
DFAMのシーケンサー上段のツマミはピッチに準じたCVを吐いてくれますが、
残念ながらSQ-1のように音階に沿った電圧を吐いてくれるわけではありません。
「スケールに縛られないリニアな音階変化」と言ってしまえばそれで終わりですけどw、
音楽らしい(?)フレーズを出してみたい方もいると思います。
そこで登場するのがスケールクオンタイザーですが、
実はこのモジュールのほとんどが「0~10Vのプラスの電圧」にしか対応しないようなんです。
DFAMのピッチツマミは-5Vから+5V。ツマミの右半分からしかクオンタイズされないんですよ。
そこで「マイナスの電圧にも対応できるクオンタイザー」となると、
インテリジェルのコイツが代表的なようです。
・Intellijel Scales
https://www.modulargrid.net/e/intellijel-scales
○LFO/シンセモジュレーション
Mother32にあってDFAMに無いのがLFO。やっぱり欲しいっすよね!
ところでLFOはBPMに連動するタイプとしないタイプとがありますが、
特に明記されない場合は連動しないタイプが多いんです。
erica synthsからリリースされているpicoシリーズの中でもLFOはありますが、
それよりオススメなのがpico RND(ランダム)。
ランダムって言うからにはゲートかCVを適当に吐くだけなんじゃない?
と勝手な思い込みをしていてノーマークだったんだけど、
実はコイツこそがクロック連動型LFOでもあったんですよ。
CLK INにクロックを挿すと、
ツマミ12時でクロックと同じ周期で左にひねると分割、右だと周期が倍増します。
(4msQCDと同じ要領ですね)
後は5つの信号を好きなポイントに入れてやりましょう。
サイン波をフィルターCUT OFFに入れてツマミを上手く回すと
ワブルベースみたいなあの「ワワワワァ〜ォ!」も出来ます。
○二次シーケンス
モジュラーシンセに慣れた人でないとピンとこない話ですが、
シーケンサーとは演奏の為だけの物ではないんですよ。
モジュラー/セミモジュラーはCVさえ入れば「なんでもシーケンス」できるんです。
フィルターだろうとディケイだろうと何でもアリです。
そういう用途にオススメなのが、
Malekko VARIGATE4+
https://www.modulargrid.net/e/malekko-heavy-industry-varigate-4–
上位版の8+を所有してましたが、スペースと操作感で4+に買い替えます。
このモジュールの利点はスイッチの切り替えによって、
「4Gate/2CV+2Gate/4CV」とトラックを選択出来る事です。
わずか12HPのサイズで4系統の出力を持つ物は他にありません。
DFAMのシンセサイズ用途にするなら4CVにして
4トラックを好きな穴に挿すと面白くなりますよ。
もちろんVARIGATEで音を出すようにして、
本体のツマミを別のシーケンスに割り当てる事も可能です。
○エフェクト
個人的にはリバーブをかけるのが大好きですが、
アタックの強い音なのでディレイも似合いますし、
歪み系でガリっとした音にしたい方も多いでしょう。
そんで丁度よいのがpico DSP。
https://www.modulargrid.net/e/erica-synths-pico-dsp
わずか3HPのマルチエフェクターです。
とりあえず1つ持っておいて損が無い人気モジュールです。
・MutableInstruments Clouds
これもエフェクトという扱いで良いんでしょうかね、大定番モジュールです。
Mutableのモジュールを仕様をオープンソースにしている為に、
安価なコピー品や小型に改良したもの、独自の機能を付け加えた物など様々なものが流通しています。
そこで自分は一部のパラメーターがツマミではなくスライダーになっている、
MICHIGAN SYNTHWORKSのMONSOONにしました。
https://michigansynthworks.com/
購入予定ではあるけどどんなポテンシャルを持っているかはまだわからないんですがね。
○まとめ
こんな風にDFAMをユーロラックシステムのコアとして捉える事で、
理解もしやすくモジュラーシンセの取っ掛かりとしても最適だし、
将来的にDFAMの代わりにシンセモジュールを入れ替えても良いし、
比較的安全wなモジュラー沼ダイビングだと思いますよ〜。