【誰でも】小型モジュラーケース自作【作れる】
モジュラーシンセの箱って高いですよね〜。
モジュラー始めたい!と思っても箱の値段で躊躇してしまう方も少なくないと思いますし、
セカンドケースに手頃なのを探してる方も沢山います。
自分自身いままで金属加工業に従事していた頃には色々なケースを作ってみましたが、
そのどれもが金属加工の工場でしか作れない物でした。
そんなんじゃなくて何かこう、安く簡単に作る方法はないかな?
小箱だしデザイン的にも可愛いのが良いよねぇ〜と思い探ってみた所、
丁度よいアイデアが見つかったので実践してみます。
ここに紹介する方法はちょっとした工具があれば誰でも出来る作り方ですよ。
ぜひぜひ挑戦してみて下さい。
応用を効かせればもっと大きな箱を作る事も可能です。
◯仕様(予定)
横幅:70HPくらい
深さ:45mmくらい
◯注意点
全ての材料が注文してから揃うまで2周間〜3週間ほどかかります。
上下のパネル間と両サイドに隙間が4mmほど出来ます。
モジュールの上下左右にも隙間が出来ます。
作業中はけっこうゴミ(アルミくずや木くず)が出るのでマメに掃除しましょう。
アルミくずは踏むとメチャ痛いです。
◯ご予算
無印工具箱 2890
レール 1615
ナット(50個) 2008
以下は道具
タップ 1360
ポンチ 1045
治具制作 2000くらい
だいたいの材料と金額で10000円チョイかかります。
その他モジュールを止めるネジ、細かい道具類や部品などを買う必要がありますが、
1万5千円で目処が立つと思って頂いてOKです。
また、仮組みの際に必要になるのがブランクパネル。
1U版と3U版それぞれ4HPくらいのを2枚ずつ必要ですが、
別にプランクでなくても普通のモジュールでも良いんですが、
組み立て時に傷つけてしまう恐れもあるのでブランクパネルを用意しておいた方が無難ですね。
1U版のブランクパネルはクロックフェイスで販売してます。HP選べます。
https://clockfacemodular.com/collections/1uintellijel/products/10209
3U銀色のブランクパネルはコチラFiveGにあります。
https://fiveg.net/?pid=172687358
◯ベースとなる箱と仕様
無印良品の「スチール工具箱3」というものを使います。
薄い鉄板で出来たシンプルで、かつセンスの良い商品。
これなら女性にも好感が持たれるんじゃないでしょうかね。蓋を開けなければ。
ちなみに2890円と安いです。
これにレールを組んで70HP、3Uと1U(インテリジェルサイズ)を収めます。
深さは約45mm。一枚基板の物はもちろん二枚基板の物を気をつければ入ります。
パッチケーブルを選べばパッチングしたまま蓋を閉じる事ができます。
電源はもちろん別売りです。フライングバスケーブル仕様の物を用意して下さい。
オススメはTiptopのuZeus。安いしバスケーブルも付いてるし丁度よいです。
◯必要な道具
どれもホームセンターや100円ショップで手に入る物ですが、
一応Amazonリンク貼っておきます。
・電動ドリル
薄い鉄板(0.8mmかな?)に穴を開けるので安物で構いません。
ドリル刃は最低限2mmと3.5mmあと5mmが必要です。
あたしマキタ党なのでリンク先にマキタ製を選んでますが、ぶっちゃけ3000円くらいので多分大丈夫です。
Tips:形は似てるけど「インパクトドライバー」を買わないようにしてください。
あれは木工用です(オレ元大工だから普通に使ってるけど慣れてない人には無理)。
・ポンチ
ドリルの穴を正確に開ける為に必要です。
トンカチで叩くタイプよりと手で強く押し付けて自動で打てるタイプがあり、
値段もそんなに変わりません。
・タップ
雌ネジを切る工具です。タップそのものとタップハンドルなる物が必要です。
M4があれば良いのですが、セット物は刃の質が悪いケースが多いので辞めときましょう。
(自分が安いセット物を使ってボロボロにしたんでw)
・ヤスリ
金工用の目の細かいもの。平べったい物と丸い棒状のものがあれば尚良し。
穴開け後やタップ後に穴開け後のバリを削るだけなので100均ので充分。
・治具
こちらは「ホームセンター」の欄で説明します。
ホムセンでベニヤの木っ端を切って貰うんですけど、
2000円でお釣りが来ると思います。
◯必要な材料調達
上記の無印工具箱に加えて以下の物が必要になります。
・レール
こちらはモノタロウで購入。
注文してから長さをカットしてくれるので助かります。
364mmで4本、1615円でした。
届くまで約1週間かかります。
https://www.monotaro.com/g/02362387/#op_365=364&op_364=AFS-1020-4
※追記
このレール屋さんでタップ加工もしてくれるらしいです。
下の方にタップ加工のチェックボックスがあります!
後から指摘されました。
ありがとうプラグマン!
・スライドナット
定番である「タカチのバーナット」はこのレールには使えません。
そんで丁度よいサイズのナットを見つけたんですが、
当然JIS規格ではない為に(たぶん)中国から直送です。
Amazonで注文出来ますが、こちら届くまで2.3週間くらいかかります。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0CPDXC714/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o02_s00?ie=UTF8&psc=1
サイズの欄から「M3x8x5x2 50pcs」を選んでいるか確認して下さい。
もしリンク先の物が売り切れている場合「M3x8x5x2 角ナット」で検索してみて下さい。
たまに「M3x8x5.5×2」なんてのもあるから間違えないようにね。
以上二つは注文から届くまで期間がかかるので早めに調達しましょう。
またM4のネジを8本。アタマの形はお好みで。
長さは10mmあれば十分です。
◯ホームセンターでの治具制作とネジ調達
治具とは(ここでは)なるべく正確に穴開け位置を決めるもの。
どこのホムセンにもある2.3mm、5,5mm、12mm厚のベニヤ板、300mm四方の物を1枚ずつ買います。
300mmも要らないんだけどそれが一番小さな物な筈です。
50mm x 142mm(12mm-4枚、5.5mm-1枚、2.3mm-1枚)
50mm x 53mm(5.5mm-2枚、2.3mm-2枚)
ホムセンの加工場で切ってもらいます。
上の写真を印刷して持っていけば通じる筈です。
ちなみに50mmとは50mm以下の加工を受け付けて貰えなかったから。
もっと小さいのが良いなら30mmくらいでもかまいません。53と142、板厚が重要なので。
余った端材は工作台代わりに使えるので貰っておきましょう。
◯穴位置の寸法出し(ケガキ)
お察しの良い方ならお分かりの通り、工具箱の両サイドに開ける穴さえ決まれば9割完成ですわ。
しかしこの箱は四隅がR加工されているので定規などでは正確に穴位置を出す事が出来ません。
じゃあどうすれば良いのか、と言うと厚みを揃えた木っ端を使います。
12mm厚の木っ端を3枚重ねて36mmとし、高さを決める水平線を書きます。
この時、箱内側の突起や四方の丸くなってる部分を上手く避けて下さい。
次に箱の上と下に、12mm、5.5mm、2.3mmの三枚を重ねて19.8mmとし、
上下左右に垂直線を引いていきます。
最後に53mmと142mmの線を引くんですが、
写真のように二枚立てて鳥居形にし、その内側で線を引きます。
これで線引きは完了です。
いざ!開けるぞ!の前にちゃんと引いた線が正しいか確認をするのでタップ加工に移ります。
◯最難関!タップ(ねじ切り)
レールの両端に開いてる穴にタップ加工(雌ネジ切り)を行います。
既に開いてる穴は直径3.3mmと本来JIS的には妥当ではありますが
手でタップ加工をするにはかなりキツいので、3.5mm径のドリルで穴を広げてしまいます。
タップハンドルを扱う時は必ずレールを立てて真上からやりましょう。
面倒だからと寝かせてタップを回すと大抵曲がってナナメになってしまいます。
Tips:この時守って貰いたいのが目線。正面からと、真横からと、必ず二方向から観て確認してください。
一方向から観るだけだと必ず曲がります。
これでしばらく右に回していき、固くなったら左回しで戻します。
アルミくずが詰まると回らなくなるのでそれをコンコン叩いて落とし、また入れていきます。
この工程を繰り返して約15mmくらいの深さまでタップを回していきます。
8箇所あるから結構根気の要る、一応は最難関の作業です。休み休み落ち着いてやりましょう。
※Tips:万が一失敗したら
対処法1:更に太いネジを入れられるようにする。
M5のネジ、M5のタップ、4.3mmのドリルを用意して穴開けからやり直す。
対処法2:M3の寸切ボルト(頭の無い超長いボルト)を375mmにどっかでカットし、両端からM3ナットで留める。
それでも失敗したらレールを買い直し、
近所の鉄工所(板金加工工場がベター)に缶コーヒーを持っていって
「おっちゃんM4のタップしてくんねぇ?」と頼みましょう。
※追記
レールを注文する際にタップ加工もしてくれるようです。
記事を書いた後で気づきました。
業者さんにかかればお茶の子サイサイです。
遠慮なくお願いしましょう。
◯フレーム仮組み〜ケガキ寸法の確認
ねじ切りが出来たらブランクパネルとスライドナットで仮組みをします。
この時に注意つーか留意したいのは「意外と上下に動いちゃう」ことです。
これを忘れて組み立てて「穴の位置がチョーずれてる!」と慌てたのは他でもないアタクシです。
フレームが出来たらケガキした所の交差する点に来るか、なんとなく確認しましょう。
◯今度こそ穴開け
ケガキの交差点に対してポンチを打ちます。
さっき使った木っ端を下に敷かないと、箱が曲がってしまうので気をつけて。
オートポンチは力をこめてギューっと押すとバチン!って音がして鉄板に点の凹みをつけてくれるものです。
しつこくTips:この時守って貰いたいのが目線。正面からと、真横からと、必ず二方向から観て確認してください。
一方向から観るだけだと必ずズレます。
ポンチ打ちが終わったら穴開け。
いきなり5mmのドリルを使っちゃいけませんよ。
まずは2mmのドリルで小さい穴を開けていきます。
2mm穴が開いたら次に5mmドリルで開けていきます。
Tips:金属板に穴を開ける際はポンチ→小さい穴→大きい穴と徐々に大きくしながら開けていくのが鉄則です!
これなら力の弱い電動ドリルでも大丈夫。
2→5でキツいかな?と思ったら2→4→5で開けていくとかね。面倒だけど。
◯完成!箱とフレームの組み立て
いよいよ最終段階。でも慌てちゃいけません。
レールとブランクパネルを留めるネジ、箱とレールを留めるネジ、
最後まで締めずに全てのネジをユルユルな状態に留めておき、全て組み上がった時点で本締めします。
箱の穴を5mmとしたのも、寸法ズレに対応させる為の保険でした。
まぁ、だいたいズレてますw
全ての部品にネジが収まったら、そこで始めて本締めしていきます。
◯仕様確認
上下のモジュールの間に3~4mmの隙間が出来てしまいます。
勘弁してください。
自分が使っているケーブルならパッチしたまま蓋を閉められます。
スライドナットの難点は大型モジュールを付ける際ナットの位置を出しづらい事ですね。
爪楊枝で地道にやりましょう。
ちなみに、71HPのモジュールが入り片側に2.3mmの隙間が出来ます。
両サイドのネジを緩めれば無理やり72HP入らない事もないです。
◯まとめ
自分なりに考えた、最も簡単な金属製モジュラーケースの作り方でした。
これを読んで「よし!オレも作るぞ!」という方が出てきてくれれば幸いです。
もっと寸法精度の良い方法はあるけど(木っ端を使わずにね)、
色々面倒だし金かかるので手段がある方はそっちを選んで下さい。
また「これ読んでもイマイチわかんねぇよ!バカ!」という方はTwitterアカウント@rudeloopsまでDM下さい。
「うるせぇタコが!」と丁寧に返答いたします。
もちろん材料を購入した後での責任は負いません。テメェで何とかしろ!
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