DIYモジュラーシンセのはじめかた【実践編】

道具も部品も揃った所でいよいよ組み立て実践に入ります。
今回例に挙げるモジュールは、
渋谷CIRCUSで開催中のモジュラーイベント「Patching For Life」を母体とする
ショップ[P4L Store]で販売されているアイソレーターのキット。

現時点ではフルキット販売はされていませんが、
MOUSERリンクとBOM、何より日本語のビルドガイドがあるのが助かりますね。
インテリジェル1U版と通常のユーロラック3U版とがありますが、
ゆくゆくはスタンドアロン化の改造をしたいところなので1U版の方を選びました。

ビルドガイドはこちら。
https://note.com/re_303/n/n92a342233750


○制作実践

P4Lアイソレーター1U版の基板とパネル、電源ボードとI/Oボード。
左上はオマケに貰ったブランクパネル兼HP定規です。

MOUSERからの部品は種類ごとに袋分けされています。これが地味に助かる。
FULL KITの場合はまとめて袋詰めにされてる事がほとんどなんで、
抵抗やコンデンサの定数を確認して仕分けする作業が必要なんですよ。
あれがもうダルくてダルくってねぇ。

部品を間違えないようにラベルをよく確認しましょう。
よくある失敗は「定数のケタを読み間違える」ですね。
「20kΩ」と「20Ω」を間違えるとか。

IC類はメーカー品番の所に名称が記載されています。

・抵抗

ビルドガイドの言うことを素直に聞いて抵抗から始めます。
とりあえずは20kΩからですね。
20kΩの抵抗だけ全部袋から出して、まとめてハンダ付けしちゃいます。

写真ではiPadにBOMを、iPhoneにビルドガイドを表示させて確認しながらやってますが、
BOMは紙に印刷して付け終わった部品番号をマーカーでチェックする方法をお勧めします。

だいぶ前から持っていたけど使うのは初めてなリードベンダー。
綺麗に曲がってくれるのですごく便利かも!
しかし、こんな見た目の抵抗は初めて見ました。
きっとピュアオーディオ用途とかに使われるような奴じゃね?知らんけど。

ここでリードをクイっと曲げて仮固定する派と、
後で綺麗にリードを切りたいから曲げないよ派との派閥闘争があります。
普段は気にしないけど今回は綺麗に仕上げてみたいので曲げずにやります。

ハンダ付けのコツを箇条書きにすると、
1.ランドとリードを温める。こて先を立ててリードを優先して温めると早い。
2.十分に温まってきたら(勘)リードの根元とランド両方にこて先が当たるように構える。
3.ハンダを差し込むのはランドとこて先の中間を狙ってチュっとやる。
4.十分な量のハンダが溶けたらハンダだけ離す。こて先はワンテンポ遅らせて離す。

以上ってところでしょうか。こて先の形状や温度にもよるけどこの間3~4秒です。
「1.2.3.4.5.」と口に出して数えて、
1.2でリードとランドを温める、3でハンダをチュっと差し込む、4でハンダを離して5でこてを離す。
というテンポでやっています。
文章で説明するのも伝わりにくいのでYoutubeでハンダ付け動画でも探してみてください。

ハンダ付けが終わった後のリードを切る際は、切ったリードが飛ばないように気をつけましょう。
出来れば指で抑えてパチンとやると良いです。
こうしないと勢いよく飛んでいってしまい、後々床に落ちたリードを足で踏む羽目になります。
地味に痛いです。

・ICソケット(向きに注意)

ICソケットには向きが指定されています。
丸い切り欠きがある方を基板の絵に合わせて付けます。

ICソケットの実装は少しだけコツが要ります。
ちゃんと仮止めをしないと基板をひっくり返した時に動いちゃうんですよ。

なのでマスキングテープを使って仮固定します。

そして対角線の両端2点だけをハンダ付けします。

ここまで出来た時点でマスキングテープを剥がし、
まっすぐ基板に付いているか確認します。
浮いていたり曲がっていたりする場合は、
ハンダごてでもう一度温め直しながら指でギュっと押して位置を直してやります。
ここまで出来たら本固定。全ての箇所をハンダ付けしていきます。

基板の端の方に付けるICソケットであればクリップで仮固定できますが、
偏った力がかかる為に仮ハンダの時は気をつけましょう。

・フィルムコンデンサ

このキットは赤くて四角いフィルムコンデンサを大量に使います。
ピュアオーディオ系のDIYキットでよく見る奴なので、
きっと音にこだわった選択なのでしょうね!知らんけど。

コイツはリードが細いので脚を曲げてつけるか、
まとめてマスキングテープで仮止めします。

・IC(向きに注意)

ビルドガイドにもありますが、
新品のICは脚が広がっているので真っ直ぐに直してからソケットに差し込みます。
この時ラジオペンチでやると面倒臭い上に失敗する恐れがあるので、

「ピンそろった」というICの脚曲げ専用の文明の利器を使います。
これがあると無いとじゃ大違い。必ず入手しましょう!

ICを差し込む時は、丸い窪みをソケットの切り欠きに合わせます。
窪みの無いICは丸い印が付いている方です。

・電解コンデンサ(向きに注意)

脚の長い方がプラス、本体に黒いラインが描かれている方がマイナスです。
その他は他のはんだ付けと同じです。
また写真のように紙にテープで固定されている部品は、
無理やり引っ張ると壊す可能性があります。
リードに沿ってカッターの刃を入れてやりましょう。

・基板洗浄

ある程度目処がたったら、
フラックスクリーナーと歯ブラシでフラックスを落としてやります。

○ひとまず完了

普通にモジュール化をする場合はアルプスの2連ボリュームをつけて、
別途I/Oボードを制作して完成です。
自分のこのキットはスタンドアロン化する予定なのでここで一旦終了します。

このアイソレーターキット、難易度はさほど高くないし、
ビルドガイドが丁寧なので電子工作初心者の方にはピッタリです。
ぜひぜひ挑戦してみてください。
気が向いたらスタンドアロン化の制作レポートも記事にしますね!

気が向いたら!

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