セミモジュラー天国へのいざない【5】

「はじめてのモジュラーシンセにはセミモジュラーを」

というのが当ブログお勧めの楽しみ方ですが、他に同じ事を言う人って全然いないんですよね。
モジュラーシンセにまつわる面倒事をスっ飛ばして楽しめる良い方法だと思うんですけどねぇ。
「セミモジュラーは素人童貞」とかヌカす輩もいますが、
そういう所が素人童貞と言われる所以なんでしょう。
ムカつくんだけど巧い例えだと思います。つまりこのブログはAVを観てセックスを語るようなものですね。
まぁ気にする事はありません。
どうせ「お前と違ってちゃんとセックスしている側」と言い張る連中だって、
「ブモー!」とか「ブキャキャキャキャ!」とか言わして喜んでいるだけですから。

もっとも今ではVCV RACKなどのソフトウェアモジュラーシンセもありますから、
それで感覚を掴んでから実機を購入するというのも賢い手ではあります。
何故紹介出来ないかというと自分の使っている2012MBAでは満足に動かないからってだけで、
パソコン嫌いだとかソフトシンセ嫌いだとかそういう理由じゃありませぬ。
使えるモンはガンガン使いましょう。


○Subharmonicon実践編

DFAM編に続きサブハモのレビューを兼ねていこうかと思います。
単体モジュールとして捉えてみてもサブハモは代わりをモジュールで構築するのが大変。
DFAM/M32は他モジュールで代用して近い機能を持たせる事は可能ですが、
サブハモの場合は考えただけで目眩がするほど巨大システムになってしまいます。
シーケンサーふたつにクロックディバイダーでしょ、クオンタイザーにVCO6個でしょ、
フィルターはオーソドックスなLPFだけどEGもふたつでしょ、
そう考えると10万円って安いよ激安だよ!60HP超コンパクトじゃん!と考えてしまうのです。
そういうわけで「セミモジュラー=モジュラーシンセの代替」というよりは、
「ぼくのかんがえたフルアーマーSubharmonicon」を仕上げて行くのが良いと判断しました。

○サブハモの拡張性

Subharmoniconをスタンドアロンのシンセとして捉えてみたとして、
この辺のセミモジュラーシンセは拡張性は担保していても単体での機能はかなりシンプルです。
フィルター以降のセクションはオーソドックスなモノシンセと変わらない構成でいて、
その前の段階が複雑に絡み合って個性的なプレイが出来るのがサブハモの特徴。
ジャックもそれを考慮した構成になっているのでここにモジュールを追加していくのが良いでしょう。

・クロック化の術を更に拡げる

マスターテンポと4つのディバイダーで自由に分割出来ますが、
(マスターに対して1/2から1/16までボタンとツマミで変えられる)
これを更に自由に演奏するなら、やはりマスタークロックを可変にしてしまうのが良いでしょう。
おすすめマスタークロックは以下の3つ。
それなりに信頼出来るパイセンがたはみんなこのうちのどれかを使っています。

左から
Pamala’s NEW Workout
4ms QCD
MakeNoise TEMPI

自分はQCDを使っています。
整数倍~整数分割まで出来るのは良いけれど、
可変幅が広すぎるのと好みでない分割になったりするので
Pico SWITCHを使って3種類に絞って利用しています。
本来この方法では8つの出力を出せるPamelaの方が有利なんですけどね。
パメラ壊しちゃったけどいずれまた買うと思う。めちゃイイよ。
MakeNoiseTEMPIは使ってる人が多いけど自分自身は触った事がありません。
タップテンポが面白いとは聞くけれどね。

クロック系は地味なようでモジュラーシンセの大きな醍醐味です。
通常のフル(?)モジュラーシンセを始める方も出来るだけ早い段階で揃えておく事をお勧めします。
グルボの最高峰ELEKTRONでもトラック毎にテンポの分割を変える事は可能ですが、
リアルタイムでチャチャっと変えるのは無理でしょう。
もうひとつ紹介出来る方法はRHYTHM1~4のジャックにCVモジュレーションを突っ込んで
ディバイドの値に波を作ってしまう事。
クロック連動型LFOのパルス波を使うのが分かりやすいと思います。

・オシレーターの出力を分ける

各オシレーターには別途出力できるジャックがあるんですけど、
サブの出力として外に出し別の音を作ろう、という事が出来ます。
OSC1と2のメインとサブの出力を一旦ミキサーでまとめて、
フィルターやアンプを通した上で最後にまたミキサーでまとめるって方法です。
必然的に3つ以上のミキサーが必要になります。
こういう用途に最適なのがpicoシリーズや2hpといった細めのミキサーですが、
よりスペースを稼ぎたいなら2HPでジャック穴だけあるユニティミキサーという物です。
要はマルチプルの反対です。何かと便利なので一つ持っていて安心。

今回購入したのはインテリジェルの物。
各オシレーターの出力の電圧が高いのでミキサーをフルに開くと歪んでしまいますが、
基盤内スイッチの切り替えでゲインを下げられるのでマシになります。
とはいえ耳で聞く分には気にならないレベル(むしろイイ味?)なのでヨシとします。

更にその音量を調整する為に購入したのがアッテネーター。


AcidRainTechnology Navigator

コイツはアッテネーター(入力した電圧をフェーダーで下げるもの)や
オフセット(単純にフェーダーの高さに応じて電圧を吐くもの)としても使えるので便利。
DFAMのVCAジャックに挿して「フェーダー上げるとだんだんドローンサウンドになる」
というのが気に入って一つ持っていまして、今回更にもう一つ購入。
やっぱり縦フェーダーってアガるんですよね!

・クオンタイズ機能を強化する

サブハモにはシンプルなクオンタイザーが内蔵されていますが、
正直なところ「無いよりマシ」な程度です。
そこでユーロラックでは豊富なクオンタイザーを導入するのですが、注意点が1つ。
サブハモ含めたM32系のシーケンスCVは「-5V~+5V」。
対してユーロラックのクオンタイザーはほとんどの機種が「0V~+10V」。
5V分ずれているんですよ。意外と大きな落とし穴なので注意して下さい。

それで解決策としては、

Erica synthsのpico Mscaleを使う
これはM32系の為に作られたモジュールで「5V足して出力/5V引いて入力」と
要はM32系でクオンタイザーを使う為の電圧変換モジュールです。
M32やDFAMでならこちらの方が安上がりではありますね。

そしてもう一つが「(たぶん)唯一マイナスCVにも対応するクオンタイザー」である、
Intelijel Scalesを使う事です。前々から薦めていたのにようやく買いました!

割高ではありますが、2つのシーケンスを持つサブハモには
picoMscaleを2つ使うより値段も大きさも節約できます。
パッチングはサブハモのSEQ1→Scales→VCO1、SEQ2→Scales→VCO2と繋ぎます。
これが面白いのは通常のクオンタイザーのようにスケールを選択するだけでなく、
鍵盤に見立てたボタンを押して「音階の有効/無効を選べる」ことですね。
拍に合わせてボタンのON/OFFをするだけでそれっぽいフレーズになるのが不思議な感覚です。

※余談

ELEKTRONを始めとしたグルボもスケールを意識した作りになりつつありますが、
やはりここまで親切ではありません。これからのグルボはここを強化して、
ツマミを回せば勝手にスケール通りの音階になってくれると嬉しいんですけどね。
楽器経験が無くドレミを理解してない自分には、
ここもモジュラーシンセから戻れない理由の1つでもあります。

・ローパスゲート

サブの出力は本来のサブハモとは違う音が欲しいという事で、
西海岸系シンセサイズでお馴染みローパスゲートを導入。
VCFとVCAを兼ねていてボンゴのような短い音を得意とするセクションです。
「ポ~」って音入れると「ポォン」って音が出てくるのです。
これ以上説明するのは面倒臭ぇのでおググり下さい。よく分かってないし。

不定期開催の自分のイベント「がらくた機材市」にて
最初は津田沼でMakeNoiseのLxDを、
次の高円寺の開催で同じMakeNoiseのOptomixとを
安く譲ってもらえる事になり両方試しました。

どちらもデュアルChなのでサブハモにはピッタリではありますが、

・LxDは4HP、Optomixは8HP。
・どちらも「Strike」という入力があってゲートを入れるとバツン!って強いアタックになるよ。
・LxDは上と下とで音が違う(12dbと6db)。混ぜるなら別にミキサーが必要。
・Optomixには1chと2chをまとめて出力出来る上に外部入力がついている

という明確な違いがあるので購入の際はじっくり検討してください。
またこの二つの場合入力電圧の上限が8Vとなっていて、
MOOG系セミモジュラーの最大5Vではチト足りていない事になります。
自分自身は鳴らして気にならなかったから別に良いけど
気になる人は別メーカーの方が良いかもしれません。
それで結局はOptomixの方にして、LxDはDFAMと使う事にしました。
サブハモの方で良い印象が無かったLxDの12db側が、
DFAMの方につなげたら太鼓感マシマシで良い響きになるんですよ。

・エフェクトは最小限、又はペダルエフェクター

メイン出力とサブ出力を最終的にまとめるミキサーの前にエフェクターが欲しいですよね。
そこでericaのpicoDSPを二つ入れました。

これはごく個人的な偏見ではありますが、
ユーロラックのエフェクターってコスパが超悪いと思っています。
なのでお手頃価格のpicoで十分。という説(荒れそうなんで誰が言ったかは黙ってますw)を支持しています。
このpicoDSPの前にTipTopのZBERB/ECHOZを購入しましたが、
(特にリバーブの)音はすごく綺麗だしシマーリバーブもあったりして良いんですけど、
あくまでもモジュールエフェクターの中では、という条件付きです。
CVでモジュレーションしたりする気が無いのであれば、
ペダルエフェクターの方がずっと個性が強くて質も良いです。
モジュラーレベルの音をエフェクター(ライン)レベルにまで減衰させ、
外部エフェクトを繋いだ上でモジュラーレベルにまで戻すモジュールもあります。

入手のし易さではStrymonのAA.1。
MalekkoのSND/RTNはツマミが付いていて便利そう。
珍しいところではKnob.farmというトコから出ているFerryというもの。
これは入出力のジャックだけステレオになっていて、
二つのエフェクターをつなぐ事が出来るっぽいです。
値段も手頃なので近々購入してみます。

また最終段のミキサーをマトリックスミキサーにすると、
2系統のエフェクトをセンド量や重ねがけなど自由にルーティング出来たりもします。
直感操作がしずらいので二軍入りしちゃいましたが便利なので手放せません。

・EGも良いけど、、、

最終的にOptomixにしたんですけどそれをコントロールするエンベロープジェネレーターも欲しいですよね。
普通のADSRでも良いしMakeNoiseのMATHSなんかも良いなぁと思いつつ、
結局は手元にあるVARIGATE4で賄っています。シーケンサーをEGとして使うのもオツなものです。
自分まだまだモジュラー慣れしていない所があって、
「EGはEG。LFOはLFO。シーケンサーはシーケンサー」という固定観念に囚われちゃってました。
別に何でもいいんですよCVが動けば。

○その他のセクション

最終ミックスと電源、アウトプットは
日本法人が出来たタイミングでセール中だった事と、
以前から好感を持っていたBEFACOのモジュールで固めています。
ラインナップの全てがキットとしても売っていて作れる人はより安く入手できますよ。
そうでなくても「電源はUSB5Vやエフェクターペダル用9Vがついてる」とか、
「アウトプットはヘッドフォンアウトも付いてCUE/MAIN切り替えできる」とか、
地味ではあるけど便利で有り難い機能があります。
あとはピコだらけですねw
picoRNDは「ランダム」という名前で連想しずらいんだけどクロック連動型LFOです
あと外部ライン入力の出来るpicoINPUT、
クロックの切り替えに重宝するSWITCHなど持っています。

○まとめ&おまけ

DFAMでも同じ事を考えていましたが、
現時点でのモジュラーシンセとの付き合い方は
自分専用のグルーブボックスを作る、というテーマで臨んでいます。
これは旧来の(or本来の)モジュラーシンセユーザーとは考え方を異とするものらしく、
先輩がたとは話が噛み合わない事も多々ありますが、
ユーロラックの自由なコンセプトを具現化するって意味では決して遠回りではないと思っています。
もちろん全てのセクションを一つの筐体にまとめるのが一番良いのですが、
資金面で苦しかったりコスパが悪すぎて見送った方が良いセクションがあったりで
理想にはチト遠いけれど、それでも出来合いの物よりは遥かに自分のやりたい事に近づいています。

「究極のグルボ」「理想のグルボ」とはその人によって大きく変わってきますが、
自分の場合はKORG monotribeが基準になっています。ELEKTRONではないんですよw
シンプルな操作性、適当に触っても破綻しないフレーズ、インプロヴァイスプレイ前提、
生楽器経験の無い人でも触って楽しいのがmonotribe。
それでも出てくる不満なポイントをカバーするにはDFAMやサブハモをベースに
モジュールで強化するのが一番の近道だと考えるようになりました。

・全ての操作子が表に出ている
・プリセット/パターンという概念を意識しなくても良い
・ファイル/プロジェクトといった階層が無い
・ステップ数を極力減らした直感操作シーケンス
・自由なクロックルーティング

こんな理想を具現化するにはユーロラックしか無いんですよね。
サブハモの次はやはりドラムマシンの制作ですね!

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