【人柱速報】モジュラーシンセ+モバイルバッテリー

モジュラーシンセユーザーは、
他の電子楽器に比べて自分に聴かせる為の音楽を楽しんでいる方が多いのが特徴。
となると屋外でヘッドフォンを使って自分のセットを鳴らして楽しみたいと思うのも
ごく自然な発想だと思います。既に実践している人も少なくはないのですが、
いかんせん何をどう揃えれば良いのかが分からないですよね。

ネットに具体的な情報が少ないのは仕方ないんですけど、
書き手が想定し得ないトラブルが置きた場合に責任なんぞとり切れないからしゃーないですよね。
下手な事書いて人の機材ブっ壊すのも後味悪いですし。コッチのせいにされちゃタマんないですわ。
だからみんな危ない橋は渡りたくないし、
ちゃんと分かってる人が書くと超絶ムズい理論から説明しなけりゃならんのだと思います。
とはいえ当ブログは発言の無責任さには一定の評価を得ていますので平気で書いてしまいます。

※ご注意
当然ですがこの記事も「ヒント程度」に留めて下さい。
こちらも確固たる確証と理論をもって実践している訳ではなく、
「なんとなくコレならイケるだろ?」で行動しています。
当然自己責任ね。オレは知らんよ!

○モジュラーシンセの電源とACアダプタ

電源付きケースを使っている人も、電源モジュールを使っている人も、
電圧や消費電流などは把握していると思います。
だいたいの電源が15V、84や104HPの2段ケースなら3A以上のACアダプタではないでしょうか。
この入力電圧も案外あいまいで、12Vで動いちゃうものもあれば20Vくらいまで許容出来るものもあります。

自分が使っているのはBEFACOのPOWER SKIFF。
これは15V~20Vまでの電圧に対応していて、モジュールから供給できる最大電流は1.5Aとなっています。
またUSB-A端子やエフェクター用9V出力なども備えているので非常に気に入ってます。

ACアダプタは秋葉原のジャンク屋で購入した富士通製ノートパソコン用のACアダプタ。
DC端子は「外径5,5mm/内径2.5mm」。
コンパクトなのに19V3.16Aと大容量です。ちなみに450円でしたw

余談ですが、ACアダプタを使う電子楽器のDC端子は
「外径5,5mm/内径2.5mmセンタープラス」「外径5,5mm/内径2.1mmセンタープラス」がほとんど。
電圧が12Vを境目に大きい場合は2,5、小さいのは2,1mmな模様。
ちなみにエフェクターは「9V外径5,5mm/内径2.1mmセンターマイナス」が一般的。
極性が反対なのでくれぐれも間違えないようにしてください。
安全装置が無い機材は一瞬でお陀仏ですよ!
またモジュラーシンセをやるのであれば、自作をする/しないに関わらずテスターを持っていた方が良いです。
バスケーブルから供給される電気のプラス/マイナスを確認してから繋いだ方が安全なのですよ。
アタクシこれを怠ったせいでVARIGATE4+とPamela’s NEW WorkOutを一瞬で潰しました。

○モジュラーシンセに使えそうなバッテリー

Amazonなどでモバイルバッテリーを検索すると出てくる種類が多すぎて混乱しますよね。
その中から電子楽器に転用できそうな条件は以下の通りです。

・DC出力付き

比較的大型のバッテリーではUSB-A端子だけでなく単純なDC出力を備えているものがあります。
モジュラーに見合った電圧を出力できるものを見つけられればオッケーでしょうね。

・昇圧コンバーター付きUSB-DCケーブル

通常のUSB端子から出てくる電圧は5V。
これを専用の回路を使って9Vなり12Vなりに変換するケーブルが販売されています。

https://www.amazon.co.jp/stores/MyVolts/page/B0B34832-5B11-46A5-A2C1-4CB20351F4EE?ref_=ast_bln

12Vでも使えるモジュラーシンセであれば使えそうな雰囲気ですね。
どんぐらいの時間使えるのかは知らん。自分で調べな。

・polyend anywhere

http://fukusan.com/products/polyend/anywhere/

一般的なUSBから供給される5Vを使う電源モジュールです。
モバイルバッテリーやスマホ用の充電器を利用するタイプですね。
ただ最大消費電流が1Aとちょっと少なめ。
84HPx1段くらいの小規模システムがちょうど良いかと思います。
一時期所有してましたが、ModularGrid上で1.2Aと計算されたシステムは
残念ながら正常に動作しなかったですね。

・USB-PD

USBにはAだのCだのマイクロだミニだと規格が乱立し過ぎて嫌になっちゃいますよね。
そこでまーた新しいのが出てきたよ今度はUSB-PDだってよ。
これは形状はUSB-マイクロCと同じ形の端子ですが、PDとはパワーデリバリーの略らしく、
電気の供給量がケタ違いで主にノートパソコンなどの充電用途に使われています。
今回はこのPD規格の方法を採用しました。

出力できる電圧は9V、12V、15V、20Vの4種類。
本来ならパソコンなど受ける側の機器で電圧を選ぶ仕様で、
通常のUSB端子と違って直接電気を取り出すのは建前上は不可能なのですが、
蛇の道は蛇と言うべきか電子部品ショップに「USB-PD to DCケーブル」というのが存在するのです。
今回は関西の電子部品ショップ「共立エレショップ」で販売している、
【USB-PDトリガーケーブル15V】を購入してみました。

https://eleshop.jp/shop/g/gK4O123/

ただし、

商品の説明にこう書いてあります。

USB C PDに準拠した製品ではありません。

USB C PDに準拠した製品ではありません。

USB C PDに準拠した製品ではありません。

この分野ではよくある事ですね。
「とりあえず作ってみたけど保証はしないよ!」という奴です。
とにかくこれを使え(れ)ばモジュラーにPD対応モバイルバッテリーから電気を供給できそうです。

○バッテリーの仕様をよくチェックしよう

さていよいよバッテリーの選定ですが、
このUSB-PDという規格は供給できる電圧が統一されていないようで
「PD対応だけど9Vと12Vしか送れないよ!」なんてモノもあるんです。
なので必ずスペック表で15Vor20Vと自分の欲しい電圧を出せるかチェックして下さい。
となると必然的にそのメーカーの上位機種に限られてきます。

そして容量。
大抵15/20VのPD出力対応となると必然的に10000mAh~20000mAhの大容量クラスになります。
「はて?その1万やら2万やらでどのくらいの時間演奏できるのかしらん?」と疑問が湧いてきますよね。
電気に強いガチ理系の方ならともかく素人の僕らにはキツい計算ですね。

そこで参考にしたいサイトがココ。

https://keisan.casio.jp/exec/user/1539220359

消費電力、電圧、放電容量を入力すると時間を割り出してくれるサイトです。
まず下の二つ、電圧はそのまま(今回の場合は)15V。
放電容量は想定しているバッテリーの容量。今回は10000mAhで。
そして消費電力は「電圧x電流」なので電源モジュールのスペックから消費電流を調べます。
BEFACO POWER SKIFFは1.5Aなので15×1,5=22.5Wとなります。
すると「6,7時間」という結果が出ました。
当然これは理論値であり実際には各ケーブルの電気抵抗やら外気温やらの影響で少なくなります。
実際には2/3くらいなのでしょうか?まぁそれでも4.5時間は持つのなら上々でしょう。

○バッテリーのブランドとスペックの読み方

激安な並行輸入品やら出どころの怪しいバッタ物やら色々とありますが、
電源関連は痛い目に遭うケースが多いので詳しくない方は大手メーカーを選びましょう。
ざっくり調べたところモバイルバッテリーは割とよく聞く名前の「Anker」と、
Amazonでやたらと推してくる「RAVPower」の二つを比べる事にしました。

比較機種は以下の二つ。どちらも4000円弱で購入できます。

Anker PowerCore Slim 10000 PD

RAVPower モバイルバッテリー 10000mAh

スペックは同じように思えるけれど電力(W)に差があります。
電圧が同じなら違うのは電流だろうと調べると、
AnkerのPD出力は18W(15V1.2A)、RAVPowerは29W(14.5V2A)とあります。
0.5Vの電圧差には目をつぶるとして1.5倍以上の性能差がある訳です。

放電容量に関してですが、
20000のモデル1台よりも10000のモデルを(ゆくゆくは)2台持った方が
交互に充電しながら運用できるメリットもあります。
まぁ、そんなハードな使い方をする気はありませんがね。
もう一つの理由は万が一アテが外れて使えなかったとしても
スマホ用の普段使いができるなら小さい方がいいだろう、という判断です。

○こんなバッテリーです。

そんなこんなで今回はRAVPowerの方を選択しました。
別売りの充電器(充電器の癖に4500円もしやがる)も一緒に購入。

しっかし小さいです。

本体は現行ELEKTRONのACアダプタと同じくらい。
充電器はiPadの充電器よりひと回り大きいくらい。
もしかするとこの充電器とトリガーケーブルを使えばACアダプタとしても使えるかもしれませんね。
ここまで約1万円の投資。
1万円で自分のモジュラーがバッテリー駆動するなら儲けモンでしょ。

○実際ためしてみた

リファレンスに使ったモジュラーセットは以下のとおり。

+12Vが996mA、-12Vが190mA、5Vが41mAとなっており、
比較的消費電流の少ないシステムだと思います。

充電を終えたバッテリーに例のケーブルを繋いで念の為にテスターで電圧を確認します。

やはり15Vにはチト足りない。
どんな電気製品でも多少電圧に誤差があっても問題なく動くはずではあります。
ちなみに電圧がチョット低いよりはチョット高い方が安心です。
そしてモジュラーにブスっと!
大丈夫だと自分に言い聞かせても過去のトラウマから緊張してしまうものです。

動く。動くぞ。

あとは何時間くらい電池が持つのか測ってみます。
測定器なんぞ持ってませんから、
実際の稼働時間をチェックするだけです。

せっかくのバッテリー駆動ですから屋外気分を味わう為にベランダで試奏。

いや。ベランダではありません。
普段から世話になってるギャラリーカフェのテラス席です。
テラス席です。いいね?

だんだん飽きてきたので鳴らしっぱにして放置。
ほんとね、この手の検証作業ってのは苦手なんですよ飽きっぽいし。
昔のレビュー記事で「波形を見ないと音の違いがわからん!」なんてクレームを喰らいましたが、
「知るかよ。自分でやれタコ。」と切り捨てました。

そして2時間経過。まだ動いてる。

また放置。

2時間半経過。落ちてる!

2時間?

ちょっと短いなぁ。

予想よりだいぶ足りないよねぇ。

○結果:10000mAhで2時間

自宅に帰って充電し直し再度挑戦したところ、やはり2時間が限界な模様。
計算が間違っていたのか何なのか、想定よりだいぶ足りないです。
ここはやはり最上位機種の20000mAhのモデルを買うべきだったかもしれません。
そしたら4時間持つのかな?

○まとめ

想定するシチュエーションやシステムの大きさによって違うけど、
10000で2時間というある程度の基準が出来ました。
これを長いととるか短いととるは人によりけりですね。
個人的にはちょっと足らねぇなぁ、と思っています。
そのうち20000のモデルを買う事にします。

くれぐれも同じ事をやろうと思っている人は気をつけてください。
せめてテスターくらい用意してくれよなー。
「機材壊れた!あのクソブログのせいだ!」と騒いだところでアタシは痛くも痒くもありません。
それでもこの翼を得る感動はバクチを打つ価値アリ。
カフェでも山ん中でも電車の中でもレッツ!モジュリング!しましょう。



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