マシンライブの動画制作【考察編】

電子楽器に限らず近年のアマチュア音楽家がネット上でアピールするには、
今の時代は動画制作が一番強いのは言うまでもありません。
キチンとした作品販売への呼び水として、ライブオファーを受ける際のプロモーションとして、
スマホ+オーディオI/Fで手軽に撮影したものからガチプロの作品までがSNSやYouTubeに溢れています。

溢れている、という事は個性をアピールしなくては目立てない。仕方ないですけどね。
そこで当ブログでは近年のアマチュア音楽家のネット動画アピールの仕方や、
その中でマシンライブ/電子音楽というジャンルがどのようにアピールしていけば良いのかを考察していきます。

○デジランドビーツ

つい最近の話ですがTwitter上で島村楽器の企画としてマシンライブの動画コンテストがありました。
90秒の動画で各々のプレイを競い合う、というものです。
身近な友人からレジェンド級プレイヤーからメーカーの中の人に至るまで、
予想よりも遥かに多い参加者(=電子楽器ユーザー)がいる事に驚き、
素晴らしいテクニックの持ち主や独特の世界観を演出する方、敢えて笑いを取るベクトルに振った方など、
参加者の皆さんが自由に音楽を楽しんでいる姿を受けてタイムライン上でも大いに盛り上がりました。

そしてこれ以前とこれ以降でネット/リアル共にプレイヤーの意識が変わってきた
ターニングポイントになっている節もありますね。
主催したのは北海道方面の支店のスタッフさんらしいですが、
自分含めてとても勇気づけられました。この場をもって感謝いたします。
別にオレ何様でもないけれど。

気になる方は調べてみてくださいね。
Twitter上で#digilandbeatsのタグを検索すると色々と出てきます。

○ネットでのプロモーションで終わらせるか映像作品として捉えるか

個人的には「現場至上主義」、
つまりクラブやライブハウスでお客と対峙してプレイするのが至高だと思っています。
なのでプレイ動画もライブに来てもらう為の宣材程度にしか考えていませんでした。

ですがデジランドビーツの動画を観ていると、
プロモーションを越えた映像作品として捉えている方も少なくありません。
中には本業が映像制作のプロ、なんて人もいるのかもしれませんが、
観ていて飽きない、90秒じゃ物足りないと思ってしまう動画もあります。

映像も音楽並に、或いはそれ以上に作品性芸術性を表現できるもので、
しかも今の時代、素人が小遣いで買える機材で始められるのですよ。

○編集者の個性

演奏、撮影、編集と大きく三つに分けた制作工程の中では
最後の動画編集作業がキモキモのキモだと見ています。
映像編集ソフトのワークフローはDAWでの楽曲制作と似ている点が多く、
体験上、ダンスミュージックのリミックス作業によく似ているからです。
ソフト内の機能や専門用語を把握するのに四苦八苦しますが、
全体の流れはDAWに慣れた人であれば割と簡単に呑み込めると思います。

また様式美に縛られた音楽よりも映像の方が自由度が高いのも楽しい一面です。
メインの素材は演奏風景だとしても、
そこにオカズ的なフリー素材を重ねたりエフェクトを濃いめにかけたり、
如何様にでもなりそうな所がクリエイティブ気質を刺激してくれます。

○動画制作にあたっての目的設定

それなりの金額と学習コストと労力を払うものですから、
何のための動画を作るかを絞らないと続ける事が難しいと思います。

・マネタイズを考慮するか否かで制作の方向性が変わる

再生数とチャンネル登録者を増やし収益化を念頭に入れているならば、
機材のレビューに近いプレイ動画やレクチャーが最適かと思います。
もちろん相応の知名度や音楽経験がある事が前提です。
既にDTM関連のチャンネルは沢山あるけど、
ハードシンセに特化した日本語ものはかなり少ないですよね。

やっぱりここはセクシー路線で「おっぱいモジュラー」でしょうかね!
誰か顔隠してやってくんねぇかなぁ〜。

・作品性をアピールしたいなら数字は無視した方が伸び伸び出来る

音楽そのものをアピールしたいだけ、或いは映像作品として作り上げたいのであれば、
再生数やチャンネル登録者数など無視した方がよいでしょう。
その作品が視聴者のツボにハマるものであればいずれ他のSNSで広まっていきますよ。
当ブログもこちらに重点を置いた制作を行っていくつもりです。

・何を見せたいのかハッキリさせるのが正解?

動画に限らず音楽そのものも自分の得意分野とオーディエンスを想定して、
そこに特化した作品を作るのが正解!とは限りませんが、
初めは「取っ掛かり」としてのコンセプトがあった方が良いと思います。

例えば機材捌きのテクニックと純粋なプレイに自信のある方でしたら、
手元だけを撮った動画でも十分に楽しむ事が出来ますしね。

または、
「この風景と自分の音楽を重ねたらきっと気持ち良いだろう」という
確信をもって作られた動画は、その思いが視聴者にも伝わります。

音楽に画を寄せるか、画に音楽を寄せるか、
動画の様々な要素の中で一番自信のあるものを選び、そこを軸に作品を作っていきましょう。

 

○過去の実例と反省点

以前、渋谷のクラブを借りて(お店のプロモも兼ねるつもりで)マシンライブ動画を撮影し、
YouTubeに上げていました。
この時点では動画撮影は全くの未経験でしたが、それなりにノウハウは得られました。

https://www.youtube.com/channel/UC58dKofAv-xNRyujAhpzybw

しかし気力財力もろもろの限界で10本の動画を作って辞めてしまいました。
電子音楽と同じで「やればやるほど機材が欲しくなる」のですw
この時の設備は借り物の古いビデオカメラ、動画も撮れるコンデジ、iPhone8→11pro。
編集はプレミアプロをヤフオクで購入した5万円のゲーミングPCで行ってます。
15分の動画をエンコードするのに一晩かかってましたねw
もうこの作業が辛くて辛くてww

・反省点

まずはカメラが一つ(視点がひとつ)では動画として面白みがなく、
最後まで観てもらえません。自分もイヤです。3分が限界。
たとえ音楽が素晴らしいものであっても、です。
そこで複数のカメラを使い、メインは広角で正面から、手元の映像を望遠で撮影しました。

クラブですから暗所撮影、全てのカメラを三脚に固定した状態なんですけど、
レンズのしっかりしたビデオカメラよりもセンサーの新しいiPhoneの方が綺麗に撮れましたね。

複数のカメラを使う際の問題点は「画質が均一でないと目が疲れる」のもあります。
この時にした対策は編集時に濃いめのエフェクトをかけて誤魔化す手法でした。

あとはソフト。プレミア重すぎです。
この時はイラレ等と一緒にAdobeCCに加入してましたが、
次の年になったら値上げしてきやがったので辞めました。
プロならともかくアマチュアがAdobe製品を使うのは割に合わないですよね。

 

○撮影スポットの選択

ではでは次は具体的に撮影するにあたって最初に決める「どこで撮るか」を考えましょう。
作りたい作品が音楽寄りか、映像寄りかで以下の選択肢があります。

・自宅

機材の運搬が必要無いのでラクですし、思い立ったその場で撮れるのはメリットが大きいです。
ただ映像としては無個性になりがちで、個性を出そうと思うならインテリアに凝らなくてはなりませんね。
そしてこのブログを読んでいて下さる方ならすぐにお察し出来るかと思いますが、
電子楽器趣味の男性は得てして部屋が汚い(笑)。
部屋を掃除する労力よりも機材を運搬する労力の方が
マシだと信じている人がほとんどではないでしょうかw

みんなサンレコのプライベート・スタジオ特集には憧れますが、
電子音楽をやっていながらあのレベルの清潔感を保てるのは、ある種天才です。

SONYのHDR-MV1という音楽向けビデオカメラを使っていた時期がありましたが、
広角過ぎて部屋の汚い所まで映ってしまい、
そこをクリアするには思いっきり機材にカメラを近づけなくてはならず、
使いにくいなぁ〜、と辟易とした思い出もあります。

・店舗/スタジオ

音楽スタジオや撮影スタジオを借りる、公民館の部屋を借りる、
或いはクラブやDJバーのオープンブースを頼る、
コネがあるならクラブ等の営業時間外を使わせて貰う、
有料から無料まで探せば色々と出てきます。

今では通常の撮影用途に加えて
コスプレイヤーの人達が撮影を使うのに様々な場所をアーカイブしており、
ちょっと調べれば多彩な撮影スポットを検索できます。

・屋外

音楽機材を全て電池駆動とする縛りはありますが、
最も自由度が高いのがコレです。
山の中でも海っぺりでも街なかでも。
撮影禁止場所でない限りは幾らでも選べます。
公立公園などは許可や申請が必要な場合もありますが、
非営利で騒音を出す訳ではないので意外とユルいです。

特にアンビエント系の音楽を山など自然の中で撮影する人は多いですね。
こうなると撮影場所に出向く事自体が立派なエンタテイメントになり得ます。
キャンプに行く→ついでにシンセで動画を撮る、的な。
僕らアマチュアですから、どっちが主でもどっちが副でも構わないですよね。

別に自然の中でなくとも、例えば街なかの雑踏をバックに撮るのも格好良いと思いますし、
撮影可能な所であれば廃墟とかも良いんじゃないでしょうか。
自身の音楽に似合いそうな背景を想像してみてください。

○演奏者の露出

顔を出すか否か、ですね。
当人の性格次第なので各々の好きにすれば良いと思いますが、
影響の大きな要素なのでどちらの撮影手法も覚えておいた方が良いです。
プロモーション的な意味合いが強いのなら顔を出した方が良いし、
そこにこだわらないのであれば手元だけ、とか完全に顔を見せないのも良いです。

また、全身を見せつつも顔はボヤけさせたいのであれば、
サングラスやパーカーのフードなどで半分隠す、というのも使える手ですね。
仮装用のマスクを被ったり、撮影時専用の衣装を用意するのもアリだと思います。

 

○機材の露出

作品、という意味ではちょっと不本意ではありますが、
機材の数が少ない方が観てもらう確率が上がります。
僕らだってそうでしょう。気になる機材の名前で検索するでしょ。
その機材単体でどこまでの音が出せるか、が重要であって、
その演奏者がどんな演奏をするのかは二の次です。
残念ですがねw

手持ちの機材を全部使って素晴らしい演奏をしたいんだ!
機材の紹介動画なんて撮りたくないわい!という方は、
乗り越えるべき最初のハードルがココです。かなり高いですw

 

○撮影機材

次の記事で詳しく書く予定ですが、
カメラはiPhone/スマホで十分だと思います。
ただ標準のカメラアプリではなく高機能のアプリを使うと良いでしょう。

それに三脚。ここはケチってはいけません。
音声はオーディオi/Fを通してスマホに入力するか、
できればPCMレコーダーがあれば良いと思います。

最低限これぐらいあれば始められます。
アプリと三脚とPCMレコーダーで2〜3万円くらいでしょうかね。

○編集機材

やはりそれなりのスペックのあるパソコンが一番ですが、
iOSでも編集アプリはありますし、
エフェクトに関してはパソコンよりもずっと面白い効果のアプリが沢山あります。

○仲間を募ろう

最終的には一人で何処へでも行って撮影出来るようになると最高に面白いのですが、
初めは2.3人の仲間を募って作業や機材購入を分担する方がよいでしょう。
スマホのカメラは人数分用意出来ますし、
演奏者と撮影者が別なだけでも撮れるネタの幅が広がります。

 

○まとめ

電子楽器で遊ぶ人達が、
もっと気軽に楽しい動画を投稿するようになってくれるのが、
このシーンが広まる突破口だとも思います。
楽曲を制作するよりもずっと気軽に楽しめるし、
創作の範囲もすっと自由です。

このあとは「機材/設備編」「実践編」と書いていく予定なので楽しみにしていて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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