マシンライブの動画撮影【スマホ機材編】
だんだん電子楽器とは離れてきて心配ですが(笑)、
前の機材編から実際に購入した機材や買い直した物などの紹介を兼ねて
ライブ動画撮影にiPhone/スマホを使おうという方の為にゲスな沼へのいざないでございます。
前記事ではライブ動画を只の記録映像から世界観を表現する作品へ昇華させよう!
という大口を叩いてみたけれど、そういう言い方をするよりも、
「合体変形ギミックが豊富な素敵ガジェットたのしいよー!」と言った方が効くらしいですw
ホントはもうちょっと格好つけたいんだけどねぇ。。
※ここでスマホとは謳ってますが、
自分iOSしか扱った事が無いので原則的にiOSベースで話を進めます。
アンドロイドは全然分からんのでご了承ください。
○スマホベースの動画撮影セットのメリット
・安くて軽くてお手軽
なんと言ってもお金がかからないのが一番のメリット。
数千円のアプリで機能拡張して、レンズは高級品でも1~2万円です。
前記事で複数台運用をオススメしていますが、そうなると更に差が開きますね。
ちゃんとしたカメラでやろうとするとモジュラー箱が二つ三つ埋まりますよ!
そして荷物が小さくて済みます。
荷物が小さい=やる気が出やすい=数をこなせるので上達も早い、という論理です!
・用途を限れば一般カメラとの差は小さい
当然ながら一眼レフやミラーレスカメラ、ビデオカメラのほうが圧倒的な表現力があります。
しかし基本的に定点撮影、被写体の動きも小さい電子楽器ライブの撮影であれば、
表現力の差がかなり縮まります。
スマホカメラが一般的なカメラに比べて弱い部分は、
・センサーサイズが小さい為に暗所撮影が苦手(照明を使うしかない)
・掴みにくい形状なので手ブレを起こしやすい(三脚やジンバルで対応)
・操作が電子的でフィジカルに操る事ができない(諦めろ)
・マクロが弱い(レンズ買え)
こんなところです。
まぁ他はともかくセンサーサイズはどうしようもないですねぇ。
ちょうどグルーブボックスとモジュラーシンセの違いに近いものがあります。
ほぼダンスミュージックに特化したグルボと、
全てのパラメーターをフィジカルに操れるモジュラーシンセ。
言い換えれば「安いグルボでモジュラーの音を出そうぜ!」と言っているようなものです。
弱点をしっかり把握して臨みましょう。
○機能拡張アプリ
標準のカメラアプリは誰でも簡単に撮れるようにほとんどの機能をオートメーションで設定していますが、
それをマニュアルで自分の好きなように設定出来るアプリがあります。
また動画編集ソフトで後加工がし易い「LOG撮影」も重要です。
静止画で言うRAW撮影みたいなもんでしょうね。知らんけど。
・FILMIC PRO(1840円+1700円、iOS/アンドロイド)
スマホでフルマニュアル動画撮影する為のド定番アプリ。
LOG撮影をするには1700円課金しなくてはいけません。
また別売りのFILMIC REMOTEを購入すれば別端末からリモート操作が出来ちゃったりします。
ただ静止画は撮れないので別アプリが必要です。
高機能なんだけど細々とカネのかかる銭ゲバアプリですね。
・PRO CAMERA by Moment(840円、iOSのみ)
後に紹介するレンズメーカー純正のアプリ。
こちらの方が安くて使いやすくてLOG撮影も出来ます。
残念ながら自分が購入したレンズに対応していない為に使えなくなっちゃいましたが、
Momentのレンズを使うならマスト、そうでなくてもこちらの方が良いかもしれません。
こちらは静止画もできるので尚有り難いです。
○外付けレンズの種類
・広角/望遠
現在のスマホではレンズが二つ三つ付いているのが普通で広い範囲をカバー出来ますが、
それを更に拡張するとなると広角/望遠レンズが必要になってきます。
・マクロ
花や虫の拡大写真などよく見ますね。あとはテクスチャの写真。
小さな物を近づいて撮るのに必要となります。
スマホのカメラは構造上このマクロ撮影が苦手。
広角/望遠よりもメリットが大きいです。
・アナモルフィック
このレンズを使った「シネマティック撮影」なるものがスマホ動画で流行しています。
映画と同じ画角(かなり横に広い)、やや黄ばんだレトロな色合い、
青く光るレンズフレアなど非常に特徴的なレンズです。
1.33倍と1.55倍とがあり画角が変わってきます。
このアナモルフィックレンズ、普通のカメラで揃えようとすると大変な金額になるようです。
それを5000円~15000円で入手出来るのですから、
ある意味ここもスマホのアドバンテージとも言えます。
ただし対応するアプリを使用しないと使いづらいです。
自分が購入したUlanziの1.55倍レンズだとFILMIC PROしか対応していません。
また、これで動画ではなく静止画を撮ろうとなるとFILMIC Firstlightという別アプリを購入しなくてはなりません。
○レンズマウントとケース
スマホに後付けレンズ、と言うとクリップ式のものが一般的に思われますが、
ズレやすいのであまりオススメできません。非常用/サブ用として捉えましょう。
そこでレンズメーカーから発売されている専用のケースが必要になってきます。
レンズマウント方式は主に2種類。
MOMENTというメーカーで採用している90度ひねるだけで装着出来る方法と、
他メーカーで採用している17mmネジ式です。
このあたりは一眼カメラと同じで互換性は(基本的には)無いです。
構造は単純だから変換アダプターとかあれば良いのですけどね~。
さてさて自分自身は17mmネジ式を選んだんですが、
意外と面倒でムカつきます。ケース側の雌ねじが薄いので
斜めにねじ込んでしまう場合があり、
何度も繰り返すとネジがバカになる恐れがありますね。
なのでレンズ装着の時はスマホを机やテーブルなど平べったい場所に伏せて行なうのが良いと思います。
屋外で立ったままレンズ交換はちょっと危ないかもしれない。
器用さに自信のない方や頻繁にレンズを変えたい方はMomentの方が良いかもしれません。
○フィルターマウント
カメラ用フィルターはシンセと違って地味なアイテムですが、
あると無いとじゃ大違い。
特に日中の屋外撮影でNDフィルターという物が必須となります。
これはセンサーに入る光の量を調節するサングラスのようなもので、
一般的なカメラ用品として色々なサイズが売られています。
もちろん他のフィルターもあるけど、とりあえずはNDフィルターです。
問題は「外付けレンズの上にフィルターを付けられるか」という点なんですけど、
各社専用のマウントを用意しています。
レンズを付けない場合のフィルターマウントもありますね。
メーカー選びの際に注意して選んでください。
また外付けレンズは使わないがフィルターだけ使いたい、という方にも専用のマウントが用意されています。
この場合はレンズほどシビアに付けなくても良いのでクリップタイプで十分かもしれません。
○おすすめレンズメーカー
これらのメーカーの商品はAmazonで購入出来ますが、
メーカーサイトから直に買った方がずっと安いしセールも頻繁にやっています。
・Moment
スマホレンズからアプリまでトータルで扱っているアメリカのブランド。
マウント付きスマホケースもお洒落で普段使いに抵抗なく使えるはず。
専用のレンズマウントも非常に使いやすく高品質で評判が高い印象です。
ただ若干割高かなぁ。でもある程度まとめて買えば送料タダ。
人気のあるブランドなのでメルカリやヤフオクなどで中古品も見かけます。
ここのアナモルフィックレンズはレンズフレアが青いものに加えて黄色いものが売っています。
https://www.shopmoment.com/products/anamorphic-lens-gold-flare
これはこれで自然なレンズフレアとなって綺麗ですね。
Momentに次ぐ人気ブランドです。
こちらはやや汎用性の高い17mmネジ。
Momentよりは安いけど送料が高い。
こちらでのオススメはマクロレンズ。
https://www.sandmarc.com/pages/shop-iphone-macro-lens
Momentのマクロよりもピントの合う範囲が広く使いやすいです。
自分自身もこのマクロレンズでMomentを辞めましたってくらいです。
(まだ買ってないけど)
この動画で差がわかります。
https://youtu.be/CzRsNNiJzeQ
またアナモルフィックレンズは1.33と1.55とで選ぶ事ができます。
・Ulanzi
LED照明や三脚関連を主に扱う中国のメーカーですが、
ここのアナモルフィックレンズが大ヒットしています。
https://www.ulanzi.com/collections/phone-lens/products/ulanzi-1-55xt-anamorphic-movie-lens
だって安いもん。
他メーカーの1/3の値段でクリップもフィルターマウント(普通別売)もついている。
はい。思わず二つセットで買っちゃいました。
17mmネジマウントだからSANDMARCのマクロも使えるしね。
ただ問題は1.33倍の方が生産中止してしまったのか、1.55倍のものしか選べません。
縦横比の違いで1.33の方が使いやすいだろうなぁ、とは思っていますが。
他のオススメはスマホホルダーST-03。
https://www.ulanzi.com/collections/phone-tripod-mount/products/st-03-phone-tripod-holder-ulanzi
バネではなくネジ式でガッチリ締めるタイプです。
が、アルカスイス対応!
三脚やジンバルなどをアルカスイスで統一すれば楽チンな運用ができます。
あと、Ulanziでまとめ買いするとオマケを色々とつけてくれます。
1万円の買い物したらクリップとLEDライトをオマケしてくれました。
中国らしい。
・BEASTGRIP
大艦巨砲主義というかフルアーマーガンダム的なのがお好きな方にはタマらないメーカーです。
DOFというスマホに一眼レフのレンズを付けるアダプターとか、
なんかヨロイみたいな金属製のケージとか、
ある種の厨ニ心をくすぐるアイテムがわんさか。
ここのイカすアイテムは「BEASTCAGE」というiPhone向けのケージ。
https://beastgrip.com/collections/beastcage
三脚穴やアクセサリーシューが色々と備わったものですが、
これMomentマウントにも17mmネジマウントにも対応するんです。
まぁ、普段使い出来るツワモノは少ないと思いますが。。
○ジンバル/スタビライザー
演奏者と撮影者が別の場合や、ライブ撮影をした後に細かいカットを挿入したい場合など、
定点撮影ではなく手持ちでカメラを動かしたい時は多々あると思います。
こういう時に役に立つのがジンバル/スタビライザーと呼ばれる機材です。
YouTuberが持ってるアレです。
値段もピンキリで、据え付けるカメラの重さ大きさによって金額が大きく変わってきます。
スマホ専用:15000〜20000円
スマホ〜ミラーレス:20000〜30000円
一眼レフ:30000円〜
またスマホの場合は撮影アプリに対応しているか否か、も選びどころですね。
非対応品でも使えない事はありませんが、やっぱり対応している方が便利です。
・DJI OM4(16000円くらい)
ジンバルやドローンでトップのシェアを持つメーカーDJIのスマホ専用ジンバル。
迷ったらココ。で間違いありません。
FILMIC PROにも対応しています。
これ実際に購入しました。
で、製品重量自体は軽い部類なんですがバランスが良くないのか、
スマホを付けるとグリップ部分が軽くスマホ部分が重たいので結構腕が疲れます。
アレでブイブイ言わせてるYouTuberの女の子とか、実はそれなりの腕力があるのかもw
またマグネット式で着脱が簡単!と謳っていますが、
三脚と併用したりしてるとあまりありがたみを感じません。
折りたたむとかなりコンパクトになり、
ポケットやカバンにそのまま突っ込んでも大丈夫そう。
値段も手頃なので最初の1台目にオススメです。
・ZHIYUN CRANE M2(25000〜30000円くらい)
OM4がどうもシックリこなかったのでワンランク上のモデルを買ってみました。
こちらはスマホ〜ミラーレス一眼まで対応するタイプ。
将来的にコンデジやミラーレスあたりのカメラ購入を検討している方ならコチラが良いでしょう。
アタシですか?メルカリで2万円だったのでついつい。。w
まず驚くのが各関節の動きが滑らか!OM4と約1万円の差でここまで変わるのか!と。
またOM4と比べてグリップがやや太いので手の大きな自分にはコッチの方が好みです。
関節部分が細かく調整出来るので対応するカメラも広いです。
GoProなどのアクションカメラもイケるみたい。
最初のセッティングが面倒ではありますが、幅広い機種に対応する為仕方ないですよね。
耐荷重は720g。ミラーレス一眼も大きなレンズを使わなければ大丈夫です。
FilMIC PROなどスマホアプリには対応していませんが、
シャッター(録画)ボタンなど基本的な操作はジンバルから操作できます。
◯PCMレコーダー
僕らにとって一番肝心なのは録画よりも録音。
オーディオインターフェイスでも良いのですが、
iOSの場合は認識しないトラブルが結構あるので信用していません。
ほんと録画途中で認識外れて、、って実際にやられましたからね。キレますわ。
やはり録音は専用機!
オーディオI/Fはサブ。
以前はTASCAMのDR100mk3を使っていました。
フラッグシップモデルだけあって素晴らしく多機能なんですけど、
多機能過ぎて持て余し気味でしたw
動画用途でのPCMレコーダー選びで最も重要なのは「スレートトーン」という機能です。
これはいわゆるカチンコと同じで、録音の最初にピー!と音を鳴らしてくれるんですよ。
動画編集時にこのピー音を頼りに複数の動画のタイミングを合わせるんです。
ちなみに渋谷で撮ってた時はこの機能を知らず、
演奏者さんにカチンコの代わりにキックやハットを鳴らして貰ってましたw
みんなマニュアルはちゃんと読もうな!
そんで今回買ったのが同じTASCAMのDR-70D
ハンディタイプよりずっとデカくて嵩張るんですけど、
動画撮影に特化したタイプで4ch入力と三脚穴が備わっています。
しかもスレートトーンがボタンで打てる。
他機種はオートなんですけどこのシリーズはマニュアルで打てるのが偉い!
更にはヘッドフォン出力とカメラ入出力があります。
マルチカム撮影の際にここからサブカメラに音声を送るんですよ。
サブカメラの(というかカメラに記録される)音質はどうでもよく、
このスレートトーンが記録される事が重要なんです。
・接続例
メインの音声はDR-70Dで録音するとして、
DR-70Dの二つの出力からオーディオインターフェイスを介したスマホに繋ぎます。
こうする事によってPCMレコーダーの音声ファイルと、各カメラに録音された動画ファイルに
同じタイミングでスレートトーンが記録されます。
これで動画編集時に各トラックの位置を合わせる事が出来るのです。
この時、各カメラの音声は音質は全然こだわらなくて良いです。
スレートトーンさえ聞こえれば良いので高いI/Fを用意する必要はありません。
チョイ撮り用のGoMierでも十分です。
※余談ですが
TASCAMのDR-40X、05Xといったオーディオインターフェイス機能が備わったモデル、
オーディオインターフェイスとレコーダーの同時利用は出来ないようです。
マニュアルの目立たない所にサラっと書いてやんの。
これが出来たらねぇ。。めちゃ荷物減らせられるのにねぇ。。惜しいなぁ。。
◯まとめ
こんな具合にスマホ縛りの撮影で役に立つアイテムの紹介をしましたが、
これで一般的なカメラを買いたくなる欲を抑え込めれば幸いです。
ま、書いている自分自信が我慢出来る自信ありませんがw