電子楽器の電池や電源アレコレ
マシンライブの現場にACアダプタを忘れてしまった!とか、
モバイルバッテリーでモジュラーシンセを鳴らしてみたい!とか、
電源にまつわる失敗や要望は色々聞いています。
当ブログでも過去に色々な実験を記事にしていますが、
ここらでまとめてみようと思います。
※注意
電気に関しては他所様の真っ当なブログと違って記事の内容を保証する訳じゃありません。
あくまでも場当たり的に実験して上手くいった事例を挙げているだけなので、
これらを試すのは自己責任でお願いしますね。
「お前のせいで機材壊しちゃったよ!」と言われてもザマァとしか言い様がありません。
○電子楽器におけるACアダプタの基礎知識
普通は機材を買うと一緒について来る純正のACアダプタを大事に使っているでしょうが、
数が増えてくると区別がつかなかったり現場に忘れてしまったり、なんてトラブルは皆さん経験済みだと思います。
○互換性が無い場合
・AC-DCとAC-AC
現在流通している電子楽器のほとんどが交流100Vから直流9~15Vに変換する「AC-DC」アダプタですけど、
海外のガレージメーカー製シンセなど稀に交流から交流のまま出す「AC-AC」アダプタを使う物があります。
自分が確認している機材だとyocto、NAVA、x0xb0x、DoepferのDark EnegeyとDark Timeあたりがそれです。
もちろん互換性はありませんので、これらの機材をお持ちの方はACアダプタ無くさないようにしましょう。
サウンドハウスに売ってるAC-ACアダプタ。こんな風に見た目じゃ区別つきません。
・センタープラスとセンターマイナス
端子の外側と穴の中で極性が違う物があります。
電子楽器はほとんどが外側がマイナス、穴の中がプラスの「センタープラス」なんですけど、
エフェクターペダルはほとんど「センターマイナス」を採用していますし、
ごく稀にシンセ関連でもセンターマイナスの機材はあります。
これももちろん流用できません。
・端子の種類
電子楽器に使われるのはだいたいこの3種類。
外径5.5mm/内径2.1mm(一番一般的)
外径5.5mm/内径2.5mm(ELEKTRON/モジュラーシンセ)
EIAJ規格(KORG volcaとか9Vモデル)
変換アダプタはありますが、ミスやトラブルを誘発するのであまりお勧めできません。
特にKORGのEIAJアダプタは純正を買うのが一番早いです。
○互換性がある場合
上記の条件をクリアした上で「電圧が同じ、電流はそれ以上」ならば大抵の物が流用できます。
特に多いのは「12V1Aセンタープラス5.5/2.1mm」を使うアダプタ。
MOOGのMother32シリーズやArtruiaのDrumBrute、MiniBluteなどなど沢山あります。
普通の家電と同じで「電源投入時に大電流を消費する」ので電流には余裕があればあるほど良いです。
・数珠繋ぎは注意
複数の機材を一つのアダプタで賄いたい!なんて願望がある方も居ますよね。
エフェクターペダル用に売っている分岐ケーブルも、
使えなくはないけど消費電流が大きすぎて使いづらいです。
(ペダル:100-300mA、シンセ1000-2000mA)
消費電流の合計がACアダプタの供給できる量を越えなければ理論的には可能ですけど、
あくまでも理論的には、ですのでご注意ください。
ちなみに自分の場合は、モジュラーシンセに元々付いてきたACアダプタが大きくて嵩張るので、
秋葉原のジャンク屋で450円で売っていた「富士通製ノートPC用ACアダプタ」を使ってます(上の方)。
端子が5.5mm/2.5mmと同じで19V3.16Aまであるのに凄く小さいんですよ。
(もちろん電源モジュールは20Vまで対応するものです)
○モバイルバッテリーで電子楽器を鳴らしたい
電池駆動でないモデルでも、モバイルバッテリーを駆使すれば電源のない屋外で鳴らす事は出来ます。
最近ではAC100V出力を備えた「ポータブル電源」なるものが流行っていて、
クルマをお持ちの方や体力のある方ならソレで良いし一番安全でもあります。
だけど「もう少し持ち歩き易いのがいい」と思われる方がほとんどでしょう。
そこでお勧めしたいのが「USB-PDトリガーケーブル」です。
これは「PD出力」対応のバッテリーから任意の電圧をDCジャックで取り出すケーブルでして、
5,9,12,15,20Vとそれぞれ専用のケーブルが用意されています。電子楽器なら12~15Vくらいでしょうかね。
またバッテリー側にも条件がありまして、
PD出力で出せる電圧が限られてる物があるので注意しましょう。
だいたいそのメーカーの大容量フラッグシップモデルであれば15でも20Vでも出力できますが、
例えば15V欲しいのにバッテリーが12V出力までしか対応してない、なんて泣くに泣けない失敗をしないように。
Ankerのバッテリーですと公式ページの製品覧に細かいスペックが載ってますんで、
そこのUSB-C出力を参考にすると良いです。
ちなみに自分のはコレ。
これで84HPx2段のモジュラーシンセを3,4時間は鳴らす事が出来ます。
充電器もACアダプタ代わりになるので重宝します。
もっと突っ込んだ情報が欲しい方が覚えてくべき電気の公式は「W=VxA」ですね。
バッテリーのスペックはW(電力)で表す事が多く、消費する側の電子楽器はV(電圧)とA(電流)で表す事がほとんどです。
例えばMOOG DFAMとMinibluteを鳴らしたいって時は、どちらも純正ACアダプタの定格が12V1Aなので、
12Vx2A=24W以上の出力があればOKだという事です。
○ACアダプタで音質は変わるか
結論から言って気にしない方が良いです。
ACアダプタにも「トランス式」と「スイッチング式」とがあって、
ピュアオーディオ的価値観ではトランス式の方がノイズが少なくて良い、となりますが、
一度同じ定格のトランスACアダプタをドラムマシンに使ってみたところ、
ノイズは減るがパンチが無くなって弱々しい音になってしまいました。
これはノイズを低減するフェライトコアを使っても同じ結果でした。
ミキサーあたりは(選択の余地があるなら)トランス式を試してみる価値はありますが、
思いつくのはYAMAHAのMG06Xくらいで、そこまで凝るほどのもんでもないでしょう。
○電池駆動とACアダプタ駆動なら
理論的には電池駆動の方がノイズは少ない筈です。
KORGのvolcaシリーズなどに選択の余地がありますが、音質にこだわった箱でなら差が出るのでは?という程度でした。
○パワーコンディショナー
マシンライブというよりは楽曲制作用途の機材なんですけど、
AC100Vの電気を綺麗にするパワーコンディショナーという機材があります。
10000円代で買えますしコスパ超良いんでお勧めです。
特に築年数が割と古めな建物ほど効果絶大!
○オーディオ用電源タップ
変わるっちゃ変わるけど、そこまで必要かぁ?というのが正直な所。
大舞台でライブする時は記念に購入するのが良いんじゃないでしょうか。
○まとめ
当ブログは楽曲制作よりもマシンライブに重点を置いている為、
電気の音質よりも利便性や可搬性を重視した内容になっています。
音質についてはほどほどに、それよか便利グッズを駆使して楽しんでいきましょう。