マスターエフェクト聴き比べ大会
マシンライブやモジュラーライブにおいて、
最終段に噛ませて全体の音質を整えたり音圧を向上させたりする機材を、
僕らの間ではマスターエフェクトと呼んでいます。
ミキサーやコンプ、EQ、サチュレーターなど候補に上がる機能は多岐に渡りますが、
他の機材と一緒に持ち歩く為に可搬性が非常に重要なんですよ。
個人が持てる機材量は物理的な限界がありますからね。
今回開催するイベントというか実験会では、
参加者が各々のライブに見合った機材を持ち寄って何が一番有益なのか競い合うものです。
○マスターエフェクトってどんなんあるの?
初心者の方やDAW経験の無い方にはピンと来ないものですが、
僕らが今まで試した機能を幾つか紹介します。
基本的にはDAWのマスタリングエフェクトと考え方が一緒で、
物理的制約から個々のトラックに割り当てることはできませんが、
マスターになら有効、なものです。
・ミキサー
マシンのマスターアウトではなくパラアウト(トラック個々の音を別々に出力する)を使い、
それをPAミキサーでまとめる手法。
・EQ
グライコ、パライコなどを使い帯域ごとの音量を調整し、
その箱やその音楽に見合ったセッティングをする事。
当然、突き詰めるには相応の経験が必要。
・コンプレッサー
不必要に大きい音を圧縮して音量差を整え、全体のボリュームを上げられるようにする事。
やりすぎるとダイナミクスが失われ平坦で五月蠅いだけの音になってしまう諸刃の剣。
・サチュレーター
テープや真空管、アナログレコードなどにあった特有のノイズを原音に付加させるもの。
電子的にシュミレーションしたものがほとんどだが稀に本物を使う人もいる。
これを拡大解釈してオーバードライブなどの歪み系エフェクトをマスターに乗せる事もある。
○マシンライブ特有の制約や条件
色々な環境でプレイするのが普通ですから、
自宅でのセッティングがどこでも通用するとは限りません。
できれば貸しスタジオなど音の良い環境で煮詰めていくとより理想に近づきます。
また、シンセなどの普段のセットに加える物ですから、
ラックマウントの機材などは重たい物は現実的ではないです。
このあたりはクルマをお持ちの方は有利ですけどね。
操作がシンプルな方が好ましいし、
パソコンを使う場合には突然のフリーズなど事故対策も重要すね。
ぶっちゃけてしまうと、
「最終段に噛ますだけで誰でも音が良くなる」
「可搬性に優れてコスパも良い」
そんな都合の良い機材なんて絶対に存在しない事はわかります。
でもそこをどうにか工夫していく試行錯誤、つまり経験こそが糧になります。
○具体的にはどんな機材を使ってるの?
・FMR AUDIO RNA1773/RNLA7239
定番機材とも言える小型コンプレッサーです。
ラックのコンプに比べれば比較的リーズナブルで操作も割と簡単。
1773はクリーン、7239はビンテージコンプを模した味付けになっています。
・1010Music Bluebox
こちらは小型デジタルミキサー。モノラル12またはステレオ6入力で、
各トラックにEQとコンプが備わっています。
つまりDAWと同じミックスダウンがこれ一つで出来てしまうのです。
めちゃくちゃ革命的な製品なんだけど、それほど普及してないのは何故なのかw
・MODEL 12+iPad
ミキサー兼オーディオI/FであるtASCAMのMODEL 12と
iPadアプリのバーチャルミキサーAUMを利用したシステムです。
音質もコスパも極上なんですけど、重いw重すぎるw
・DAW
DAWをシンセではなくミキシングに使ってしまう考え方。
相応のオーディオI/Fが必要になりますが、手っ取り早い多機能ミキシングシステムですよね。
難点なのは荷物が嵩張る事くらい。
・ユーロラックのダイナミクス系モジュール
少ないながらもモジュラーシンセでもコンプやEQあるんですよ。
マルチバンドコンプもあるし。
倒産してしまったWMDがこの辺に強いモジュール出していたんですよね。。
・サチュレーター
Strymon DECOやChase Bliss generation loss mk2を皆さんよく使っています。
特にジェネレーションロスのテープっぷりが凄い!
動画を見ている分には初めて本物のテープと変わらない音質です。
・OCTATRACK
他に代わりがない名機OCTATRACKも4trのデジタルミキサーになります。
当然エフェクトやLFOは外部入力した音にも有効なので、これをミキサーとして使う人も多いです。
ただし、音質に癖があって「デジタル骨太ローファイ」といった感じでしょうか。好み別れます。
・SP404mk2
ヒプホプ界では定番のサンプラーですが、
大正義!ヴァイナルシュミレーターが入っています。この為にコレを買う人も少なくありません。
最新のmk2ではエフェクトのルーティングが自在で他のエフェクトも使えそうなものが沢山ありますよ。
・MackieやBOSSの古いミキサー
VLZ3以前のMackieや昔出していたBOSSのミキサー。
これらも下手なエフェクターよりずっとサチュレーション効果があります。
ミキサーなのに歪むって、それってどうなの?というツッコミは言わない約束。
・TDC-You PASSIVE STEREO DI
ひと昔前にモジュラーライブ勢の一線級の人達の間で話題になってたパッシブDI。
LineがMicレベルまで下がります。周波数特性が変わって
本来ならミックスでカットするようなスーパーローが落ちて全体的にくっきりした感じの音になる。
・・・そうですw
○電子楽器勢全体に共通する音質のベクトル
ピュアオーディオのように低ノイズ!臨場感!原音主義!みたいな風潮は一切なく、
ACアダプタのスイッチングノイズでさえ音を作り出す重要な素材と見ている所もあります。
ただゆるやかなトレンドもあるにはあって、
DAWで言う「アナログ感」をアナログシンセなのに更に増強したり、
DAWでは論争が収まったとされる音圧至上主義もバッチリ残っています。
そこを踏まえた上で自身の世界観を演出できるような機材構築を模索してください。
○一般常識であるはずの電源やケーブルは軽視されがち
ライブ用途ですから電源にはあまりこだわれないのが現状ですね。
お店にはエアコンや冷蔵庫などノイズ源は沢山ありますし、
それを止めろって訳にはいきません。
割とみんなフツーの電源タップをフツーに使っています。
ケーブルに関しても、用意する数が膨大な事から、
ホントにお金持ちでないと凝ったケーブルなんぞ導入出来ないです。
機材変えちゃったらケーブルも変えなきゃならんしね。
○まとめ&告知
みんなの個々に体験している実験を共有しようという目的で、
池上C4Rにてモニタースピーカーを持ち込んで聴いてみましょう。
【マスターエフェクト聴き比べ大会】
Place:池上C4R(https://channelforrent.info/)
2/25(土)13:00-18:00
FEE:¥1000+drink
※機材持ち込みする人はTwitterアカウントまでDM下さい。
手ぶらで見学したい人は連絡無用ですが、
参加人数を把握出来ると助かるので一報頂けると有難いです。
あまり大きな店ではありませんので了承願います。
機材持ち込む人の持ち物リスト
・マスターエフェクト機材
・簡単なライブセット
・電源タップとケーブル
ミキサー/スピーカー:MIDAS DM12/YAMAHA HS7