NI Maschine plusレビュー
モジュラーシンセの相方にとTRAKTOR S5を使っていますが、
大容量かつパソコンが必要ない、制作の自由度がもう少し高い物を欲しいと思い、
思わぬ臨時収入もありスタンドアロンのMaschine+を導入しました。
Maschine自体は10年以上前にハードシンセを使う前からソフトとして使っていたんですよ。
コントローラー使わずにソフトとして、ですけどね。
ワークフローが秀逸で1.2小節のループ素材を作るのなら最速!な使いやすさでした。
(ソフトとしては、ね)
PCDJソフトより制作の自由度が高く、DAWほど複雑でなく、
パソコンいらずで大容量なリズム担当機材って事で決めました。
候補に挙げる条件を満たすOCTATRACK、Digitakt、MC-707はたまた1010 bitboxなど
タイムストレッチ可能なサンプラーと迷いましたが、
以前からサンプラーには苦手意識があり、出来るだけわかりやすそうな物を選びました。
◯そもそもMachineってなんなの?
「音楽制作システム」とか言ってるけどDAWではありません。
DAWではないのでコレひとつで曲を作るのは割と大変。
ざっくり言うとサンプラー+シーケンサー、プラグインも使えるよ。という奴です。
AKAI MPC と同じポジションでビートメイクに特化した(専用ではないけど)ソフト。
ライバルとされているMPC LIVEの後を追ってスタンドアロンVerを出してきた経緯があります。
シェア的にMPC LIVEの方が良いんじゃない?と言われそうですが、
一時期購入していたけどUIやワークフローが最悪で覚える気になれなくなって売却。
レビュー兼ねたブログ記事も削除してしまう程の黒歴史機材です。あれ。
過去記事を決して消さないアタシが買った事すら恥と思っちゃう程の機材なのですよ。
Maschine vs MPC、Youtube芸人の間ではMPC圧勝とされていますが騙されないように。
まぁスタンドアロン利用では「どちらがマシか」って勝負ですがね。
◯実は長寿ソフトなのよ
MaSCHINE2が発売されたのは2012年。実に12年以上も続いています。
細かいマイナーアップデートはされていますが、概ね変わらないので古いTipsもそのまま使えます。
噂ではメジャーアップデートの3が年内に出る話もありますが、完成度が高いので問題なく移行できるでしょう。
2010年頃のユーザーがMPC的なものを欲しがっていたニーズに応える形でリリースされ、
ムチャクチャ大人気だったのを覚えています。
自分もTRAKTOR使っていてNIには馴染みがあったのでDAW使う前に購入していました。
その後スタンドアロンのMPCLIVEがリリースされシェアが逆転しちゃったんですけどね。
やはりその筋の人達にとってMPCのブランドは強いです。別物だけど。
◯中古購入の際の注意点
メーカー公表の定価が18500円、実際の市場価格が140000円と高めではありますが、
MPCに比べて人気が無いので中古価格では10万円以下で購入できます。
アタシもハードオフで88000円で入手しました。
この時に注意しておきたいのが、ライセンス登録出来るかどうか確認しましょう。
登録できないと使えません。
NIでは「トランスファーID」と呼んでますが、一応譲渡は可能です。面倒だけど。
特にヤフオク、メリカリなど個人売買では気を付けて下さい。
◯注意点・スタンドアロンだと他社製VSTプラグイン使えないよ。
パソコンと繋いでコントローラーとして使うモードと、
単体で運用するスタンドアロンモードと両方イケますが、
単体運用の場合は他社のVST/AUプラグイン使えません。残念でした〜。
どうしても使いたい場合は、コントローラーモードでプラグインを使ってWAV化して、
それをサンプルとして取り込むっていう面倒臭い方法しかありません。
またPCと繋ぐモードではUSBケーブル一本で使えますが、
単体運用だと専用のACアダプタ必要です。2.5mmバレルで15V2.66Aです。
公式サイトにもバッテリーの選び方な記事がありますので参照してください。
https://blog.native-instruments.com/jp/accessorize-the-power-users-guide-to-a-portable-maschine-rig/
◯単体運用の際の内蔵音源
スタンドアロンモードでも幾つかのシンセとエフェクトを使えまして、
モジュラーシンセ基準なアタシには十分過ぎるものではあります。
MASSIVE、FM8、MONARKなどNI定番のシンセもバッチリ。
DAWで制作している人には物足りないでしょうが、モジュラーメインのライブには贅沢過ぎる装備です。
だけど。
だけど。
なんですよ。
たとえばMASSIVEをインストールしたとしてもDAWで扱うようにフルコントロールは難しいです。
ディスプレイ下の8つのツマミで数値をコントロールするだけ。
イマイチ物足りないとは思うけど、仕方ないですね。
お気に入りだったMONARKくらいはグラフィカルにコントロールしたかったけど。
CPUそんなに強くないのかな?
◯トラックとステップの数
敢えて普通のドラムマシンに例えると、ステップ数は実質無限。ですが1~2小節くらいが丁度良いでしょう。
トラックは16パッドx8グループ=128トラックって事になるんでしょうかね。
ミュートやソロはパッド単位でもグループ単位でも出来ます。
◯オレならこう使う!ワークフロー紹介
賢くない使い方ですけど、Abeltonの簡易版みたいな使い方してみます。
2.6.1から備わったClipという機能は全然分かりません。
まず左側のA〜Hグループをドラムマシンで言うところのトラックとします。
本来それぞれに16あるパッドを一つしか使いません。
勿体ない使い方ですが、自分の場合は8トラックあれば十分です。
うち一つを外部入力(モジュラーシンセ)、一つを市販ループサンプルに割り当てます。
後は内蔵シンセで賄います。
A-キック、B-ハット、C-タム、D-ベース、E-上モノ・・・みたいな具合にね。
Aのキックなら打ち込みバリエーションを15種類作ってパターン1〜15に割り振ります。
そう。15まで。16番目は空パターンとしてミュートの役割を持たせます。
単純に本来のミュートボタン「押しながら」トラック選択する二本の手を使う動作が嫌いなだけです。
そうやって全てのドラム、シンセを割り当てたらミュート含めて8×16通りのパターンバリエーションが作れます。
これで現場行ったらパターン選択とミュートで凌ぐしかありません。
ま、もしかしたら深く理解すれば有用な機能があるかもしれませんが。
◯実際スタンドアロン操作は使いづらい
まずプラス向けの日本語マニュアルがありません。
ただのMIDIコンであるMk3の情報を頼りに手探りでやるしかないです。
そういう動画でも「ここはソフトウェアで作業しましょう」とか言っちゃっていて
スタンドアロンに絞った操作方法を探すのは苦労します。
WiFi対応で本体だけで色々ダウンロード出来るよ!とは言えその方法を見つけるまで3日かかりました。
ピアノロール画面を出すのどうやるんだっけ?
音色パラメータをチョイと変えたいんだけど?
◯やはり制作用途のものであってライブ向きではない
色々な動画を参考に観たけど、やはりヒップホップなトラックメイクが基本となり、
ついでに四つ打ちもイケるよって程度の認識みたいですNIさんは。
ライブに使えない訳じゃないけれど、色々と工夫をしなけりゃなりませんね。
OCTATRACKの方が余程ライブユースでしたね。もう凝りたけど。
◯クリップ機能、PLUSではクソ。
新しく備わったClip機能、マウスで自由にクリップを選べるのは良いんですけど、
MaschinePLUSではエンコーダーで上下にしかカーソルを動かせません。クソオブクソ。
廃盤となったMaschineJAMのようにとは言わないから、せめて16PADで選択させて欲しいですよ。
◯結局はソフトありきの代物
ソフトは優秀なんですけどねぇ。ハードになると制約が多くて混乱します。
「絶対DAW使いたくない教団」の信者は辞めといた方が良いです。
MPCでも同じかも。ただアレはソフトもダメ。
運用方法としてはパソコン使ってコントローラーモードで音色選びや打ち込みをして、
ライブ本番ではパターン変更とミュート操作のみに徹するのが良い方法だと思いました。
膨大な音色をインストールしたとしても、
エンコーダーで目当ての音を探すのは苦行です。
またフォルダが無視されるのでファイルだけで1万とか並んじゃいます。
このあたりは素直にパソコン繋いじゃった方が楽でしょう。
◯普通のグルボと比べてどうなの?
膨大なトラック数と永遠とも言えるステップ数、内蔵シンセとエフェクター、視認性の良いディスプレイと、
ソフトを使わなかったとしてもスペックは桁違いですね。
大柄ではあるけど重くはないし、デッキセーバーやキャリングケースも豊富に揃ってます。
慣れてしまえばグルボに戻れないでしょう。
◯まとめ
いずれリリースされるであろうMaschine3に期待。
・TRAKTORのようにヘッドフォンで出してない音を確認できるようCUEスイッチが欲しい。
・グループごとにフェーダーが欲しい(これはMIDIコンで対応できるか)。
・ソフトウェアの設計も12年経つと色々古さを感じる。ピンチイン/ピンチアウト非対応とか。
・PERFORMANCE FXをマスターに当てられるようにしてくれ。
・やはりNI外のVSTプラグインにも対応して欲しい。
とまぁ。言いたい事は山積みですけど、既存のグルボ/ドラムマシンよりは遥かに多機能なので、
工夫しながら付き合っていきたいと思ってます。