TRAKTORにAUプラグインを挿して出音を変えてみる_2

前回はセッティングの紹介で終わりましたが、
http://rudeloops.jp/wp/archives/439
今度はいよいよお楽しみのプラグイン選び。
自宅引きこもり&現場検証を経て使えるプラグインを絞ってみました。

目標は「アナログレコードみたいな太くて暖かい音」ですが、
やってるうちにどんどん迷走して
「アナログともmp3とも違う妙チクリンな音」が出来ちゃったりしても、
それはそれでオリジナリティがあって面白いんじゃないでしょうか。

◯TRAKTORに適用するにあたって優先したい条件

・処理が軽くレイテンシーが小さい事
エフェクトを挿すのはマスターアウトのみで、モニターアウトはダイレクトに出力します。
なのでどうしてもスピーカーとヘッドフォンのリズムにズレが出てしまうんですが、
その差を極力小さくするのが最優先事項です。

最初iZtope OZONE5やWAVES L3を挿してみたら
音はサイコー!なんだけどキックの音が半拍もズレやがるw

・効果の判別が分かりやすい事
自分自身がDAW初心者で耳が肥えていない事もありますが、
DJとして曲を扱う時はトラックメイク時ほど音の成分に集中する事が出来ない点、
仮想ミキサーであるAU Labのバイパスボタンが小さくて使いづらい点など、
プラグインからON/OFFが出来たり、同じ種類のエフェクトでも味付けが濃い物を選んでいます。

・フリー又はコスパに優れた物
この記事の主軸は制作用途より再生用途に重点を置いてます。
DJ用にプラグイン数万円かけるなら新しいオーディオインターフェイス買った方が健全。
なのでWAVESやSlateDigitalなどの高級品は除外してます。
そりゃまぁいつかは欲しくなるだろうけど。

エフェクトのジャンルとしては
【原音をほのかに歪ませて倍音を増す物】が軽くて汎用性もありお勧めです。
(エンハンサー/コンソールシュミレーター/テープシュミレーター/サチュレーター)

という訳でTRAKTORのプラグイン選びはDAWで使う時よりも
音質や性能よりも実用性/安全性で条件が厳しくなります。
つまり本業のDAW用途でも使い勝手が良く音作りが捗るって事でもありますね。

◯フリープラグイン

brainworx bx_solo

http://www.brainworx-music.de/en/plugins/bx_solo
M/S処理に定評のプラグインを多数リリースしているbrainworxのフリープラグイン。
中高域を気持ちよく拡げるステレオエンハンサーとして使えます。
今まで製作時にはDAW付属品を使っていたけどコイツは遥かに有能。
右側のツマミで最大400%まで段階的に拡げる事ができますし、
MidとSideのソロボタンも付いてるので効果が分かりやすいです。
400%はヤリ過ぎだけど150〜200%くらいまでは自然に聴こえます。

iZotope vinyl
スクリーンショット 2014-12-15 11.58.47
https://www.izotope.com/en/products/effects-instruments/vinyl/

レコードの音に近づけたいなら「レコードノイズシュミレーター」使ってしまえ!
と乱暴な動機で使ってみたらアラ不思議!
DISCO系の曲にほんのりかけたら一気に30年くらい古くなっちゃいます。

AirWindows Channel3

http://www.airwindows.com/channel3/
「AirWindows」って名前だけどAUプラグイン専門に開発をしてるデベロッパー。
飾り気が全く無い(=超軽い)フリープラグインを色々出してますが、
コレはコンソールシュミレーターにあたるものですね。
NEVEやSSL、APIをシュミレート出来るそうで(本物知らん)、
かかり具合を0から100%まで変えられます。

◯ComputerMusicMagazineの付録

イギリスのDTM情報誌を500円で買うとプラグイン40種類貰えるんですが、
(詳しくはググって下さい。英語なんで苦労しました)
そこで入手したプラグインに使える物が色々ありました。

Audiffex STA Enhancer CM

http://www.musicradar.com/computermusic/sta-enhancer-cm-free-vst-au-exciter-606956/
入力した音に倍音を加えるエンハンサーという奴です。
かなり派手に仕上がるんですがプリセットの「Clean Up」が丁度いいかな。

DDMF IIEQ PRO CM

http://www.musicradar.com/computermusic/free-eq-plugins-with-computer-music-179-ddmf-cm-eq-pack-545675/
特に目新しい所はないけど使い勝手のいいEQ。
フリー版だとアナライズ機能ありませんが、そのぶん軽いし。

◯市販プラグイン

Sonimus Britson Channel/Buss

http://sonimus.com/products/britson/

定価39ドルと超お得なコンソールシュミレーター。
DAWでもとりあえず全トラックに挿したりと愛用してます。
上記のChannel3ほど露骨じゃないけど程よい味付け。

もう少し薄味になる[Sonimus Satson]は
上記のComputerMusicMagagineの付録にもあります。

NomadFactory Magnetic ii

http://nomadfactory.com/products/magnetic_II/index.html

今回の大本命テープシュミレーター定価129ドル(ただしセールで爆安の時もアリ)。
著名ブログで倍音生成の検証までやってくれていたのが購入のきっかけです。
こりゃもう「味付け」という意味合いではテープシュミレーターの範疇を越えて
アッサリ塩味からコッテリ豚骨味まで自在の万能プラグインです。
他のテープシュミレーターに比べて可変幅が広いのでナニがどう効いてるのかが
すごく分かりやすいんですよ。
制作用途ではどうなのかと試してみたところ、一言で言うとズルい
「もうコンプいらねぇんじゃね!?」と思ってしまうほど音が前に出てきます。

もちろんコレよりクオリティの高いテープシュミレーターもありますが、
色んな味付けを楽しめる点と、初心者でも扱える分かりやすさでイチ推しです。

 

以上が実際にTRAKTOR+AU Labで試して効果の実感できたプラグインです。
けどここで紹介した物を全部挿すとギドギド油ギッシュな音になってしまうのでご注意を。
さらに「ジャンル問わず挿しっぱなしで良いもの」に絞ると
Magnetic ii、Britson、bx_soloあたりが気に入っていますね。

 

追記としてTRAKTOR+AU LabでDJプレイする時の注意事項を挙げます。

・エフェクトの追加/削除は本番中にしない事。
プラグインとの相性問題でしょうが、エフェクトを外すとAU Labが落ちる事が多々あります。

・モニターアウトを本体のイヤホンジャックから出している場合は、
本番中にジャックを抜かない事。ブチっ!といって落ちます。

・万が一本番中に落ちた時にAU Labを再起動しやすいように、
プロジェクト設定ファイルをデスクトップに置いておく。

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