【ちゃんと】DJ向けプロフィールの書き方【書こうよ】

ネットを徘徊してたらこんな記事を見つけました。

【簡単】DJ向けプロフィールの書き方【便利】
http://www.magarisugi.net/dailyrap/post-1401/

ただのネタ記事ではありますがツボを抑えた良記事です。
最後の例文が結構上手く書けていて笑えました。

でね、
あっははー!あるあるー!おもしろーい!
で済めばいいんですが、これって実は
「DJ業界のボキャブラリーの貧相さ」がクラブ文化の外にバレバレって事ですよね。

自分は人のプロフを書く機会も読む機会も多いんですが、
「で、アンタどんな曲まわすの?」とツッコミたくなる文章が多過ぎます。
それ自己紹介じゃないからね。

あと無駄に長い奴。
告知する人とかフライヤーデザインする人がレイアウトに困るから少しは遠慮しようよ。
ナニ様だか知らねぇけど誰もそこまで読まねぇってのw
つーかポエムならブログでも書いてろよ。

どんなジャンルでもDJとは、
俳句のように限られた条件の中で互いのセンスを競い合う文化です。
曲選びも言葉選びも同じだと思って、
廃、いや俳人になったつもりで考えてみましょう。

◯ダメなプロフィールの例

有名な箱の名前やイベント名を羅列する、
ベタなクラブ用語や耳障りがいいだけのカタカナを連発する、
「幼少の頃より」云々はもう聞き飽きた。
こういう薄っぺらい表現が蔓延してるから外野からコケにされるんですよ。
ピエロに徹するならそれもアリですが、
馬鹿にされてる事に気がついてないのなら即やめましょう。

特に、

女性DJに多いんですが一度ラウンジ前座に出ただけの有名な大箱の名前を羅列するのは辞めましょう。
ハコのステイタスと自分のステイタスを混同させないでください。
女性DJ同士のマウンティングでなら有効打になり得るんでしょうが、
男は意外とそういう所に敏感な生き物で「だから何?」と思ってしまいます。
褒めてくれる男性は単に貴女とヤリたいだけです。

ちなみに上で紹介した記事の関連にこんなものもあるんですが、
【簡単】ヒーラー向けプロフィールの書き方【便利】
http://www.magarisugi.net/dailyrap/post-2197/
この両者の表現を混ぜると2000年代前半に
イナゴのごとく蔓延したディープハウスDJ(別名:乙女ハウス)になります。
本人たちは乙女ハウスと揶揄されるのを毛嫌いしてたけど、
人生観すら薄っぺらいのにディープとは此れ如何に?

◯そもそもプロフは自己紹介。誰に読ませるか決めよう。

プロフィールだなんてカタカナで言うから意味が曖昧になっちゃうんだけど、
「アタクシこんなDJです!」って伝わるのが大事。その伝える対象(読み手)が、
自分が初心者なら先輩DJやオーガナイザーに、
中堅なら一般のクラブ客に、
それなりに知名度のある人なら
クラブカルチャーの外に向けた自己紹介を書けば良いかと思います。

「幼少の頃から」云々もいいけれど、
過去より未来より今現在のスタンスを明確に表しましょう。
自分の経緯なんてショッパいのは仕方ないので大風呂敷を拡げていいとは思いますが、
あんまり現実と離れすぎても逆に恥ずかしいのでさじ加減に気をつけましょう。

◯ジャンルを通して個性を伝える。

対象となる読み手にプレイ内容を端的に伝える文章が理想ですよね。
核になるジャンルは記載した方が良いです。
ざっくりで良いのでハウスやテクノ、ヒップホップやアニソンDJなど、
初対面の人に伝わりやすい言葉を選びましょう。

あえてジャンルを言いたくない場合や、
ジャンルレスを主張したい人だって、
色んなジャンルから曲を選ぶ際の核になる気質があるはずです。
ドロっとした暗い音が得意なのか、
ガツガツ激しい音がいいのか、
多幸感に富んだ曲調が好きなのか、
ジャンルレスを謳う人ほど的確な表現力が必要です。

◯ジャンルごとの価値観を把握しておく。

クラブ音楽の各ジャンルは各々に違う生い立ちがあって、
ナニが格好良くてナニがダサいかが微妙にズレています。

例えば、
古くからディスコで回してきたDJは大ネタを一晩に何度もプレイしますが、
アングラ色の強いクラブでは同じ曲をかけるのはご法度です。

ハウスではゲイは尊重されるけどレゲエではDisられます。

EDM/トランス系ではナンパはする方もされる方もアガりますが、
HIPHOP小箱でナンパするとコワモテのお兄さんが寄ってきます。

この辺は自分の好きな音楽の成り立ちを調べてみればすぐわかりますよね。
ボクが感じてきた主なジャンルの価値観を記しておきます。いい加減だけど。

・ハウス/テクノ
音楽そのものには真摯な姿勢だけど基本的に快楽主義者。
露骨なナンパは嫌うがムッツリスケベなので、
色恋沙汰ではいつも面倒臭い展開になる。
ロックで言うところのパンクス精神が強く、
1990年代前半と2005年以降はアンダーグラウンド志向が最も強い。
個性や感性にいちばん煩く「変態」は褒め言葉

・EDM/トランス
ハウステクノから更に純粋な快楽と勢いを追求しているので、
より健全でお祭りと馬鹿騒ぎが大好き
派手好きでイケイケ、ドラッグにもフリーセックスにも寛容。
ヒッピーの価値観を継承しているっぽい。

・ヒップホップ/レゲエ
地元密着型の硬派なヤンキー気質。
上下関係にも煩く意外と日本人に馴染みやすい文化。
家では矢沢永吉や長渕剛を好んで聴いてるのかも。

・アニソン/ポップス
新興勢力ではあるが80年代の日本のディスコの気質がチラホラ。
変な気負いも無くクラブ初心者に最も優しい&易しい。
要約すると「みんなが好きな曲で楽しく盛り上がろう!」なので
曲重視であってDJの個性は他ほど重要視されないカラオケのり
またコレクター気質も強くレア曲を称賛する傾向が強い。

◯別に文章が上手くなくてもいい。

これはブログでも曲作りでも何でも同じですが、
下手には下手なりの味わいがあります。
(って言わないとボクとRUDELOOPSの存在価値がなくなっちゃうw)
下手だからと言って没個性になる方が間違いです。
あなたの選曲力以上の文章力は誰も求めてないので気にしちゃいけません。

◯文字数は慎重に。

短いのと長いのと2種類用意しましょう。
長い方は何文字でもいいけど、読み手が飽きない程度に。
短いのはTwtterに収まる140文字、WEBサイトやブログを持ってる人は
そこから短縮URLの分を引いた文字数がベストです。

短いVerには現在のスタンスだけを端的に、
長いVerには過去、現在、未来まで書くといいんじゃないでしょうか。
これからプロフ書くって人は、
長いVerで過去の経緯から書いていくとスラスラ書きやすい筈です。

◯過去と環境

どういう経緯でDJを始めるに至ったか書いてみましょう。
それはDJ以外又は以前の趣味仕事活動にヒントがあります。
楽器をやってた、バンドを組んでた的な音楽活動はもちろん、
映画や漫画、小説が好きとか、TVゲームにハマってたとか、
車やバイクが好きとか、
あらゆるエンタテイメントに関わった経験がDJプレイに影響します。
この場合は伝え手側でも受け手側でも構いません。

仕事もアリです。
クリエイティブワークはもちろん
居酒屋のバイトでも接客業経験はオーガナイザー的には好印象。
もっとも、
具体的に「和民のバイト経験をDJに活かします!」なんつっても
その格好良さは誰の共感も得られないので、
ここは抽象的な表現にしておくと無難です。

自分が育った環境からナニがツボにハマってDJを始めるに至ったか、
そのツボを表現してやればいいんです。

◯現在と未来

過去が書ければ現在未来も楽勝でしょ。
これらの仕事や趣味を通して得た自分なりのこだわりを、
DJとしてどう表現するか。
突き詰めると究極の選曲とは人間性の発露ですから、
そこを知ってもらう為の呼び水になればそれでいいんです。

◯例文

お手本になんぞならないけど自分の書いた例文載せます。

【ryotakojima】
DJ / フォトグラフ / インテリアデザイン、
インディーズレーベル【RUDELOOPS】主宰。
音、光、形と様々な観点からアンダーグラウンド・コミュニティを演出。
どの分野でもチープかつ荒削りで重厚感のあるテイストを得意とする。

【LOVE&暴力】
RINDA[ラブ担当]NAOとヨシミ[暴力係]ネモトによるロカビリーDJデュオ。
’50sカルチャーに対する愛情と造詣の深さを選曲とファッションで表現する、
地下アイドルならぬ地底アイドル。ちなみに愛読誌はティーンズロード。

【Amie】
DJ/フリーライター。
ハウスミュージック黄金時代でもある1991年に生を受け、
良質なエンタテイメント作品に恵まれた環境で育つ。

客観視に優れ周囲の求めに応じて様々な立ち振る舞いをこなせるが、
内面に秘めた志は熱くオーディエンスの心に火を付ける。
ルックスとは裏腹に職人気質で実直な選曲を得意とし、
EU産のアップリフトなトラックをNYスタイルでエモーショナルに構築。
高揚と官能を両立した「ハウスオブハウス」を現代のトラックで演出する。

【さきるチーズ】
自身が生まれる以前の80年代洋/邦楽を網羅するポップチューン・スピンナー。
当時を知る者には斬新な、知らない者には新鮮な解釈でフロアを魅了する。

また音楽のみならず古いサブカルチャーに造詣が深く、
現役世代も舌を巻く知識に裏付けされたアニメソングの選曲も一聴の価値がある。

【ryotakojima】と【LOVE&暴力】は根っからの地底人なのでアングラ志向、
【Amie】は大箱向け、【さきるチーズ】は中年男性をターゲットと想定した上で、
本人のキャラクタと「想定される顧客層」の価値観のバランスをを意識しています。

◯まとめ

「コミュニケーション能力」なんぞ知らんけど
「セルフ・プロデュース」は大事だと思っています。
みなさん是非とも一度自分のプロフィールを見なおしてみてください。

「書いてくれよ」と言われる事も多いので酒一杯で幾らでも書きますが、
ボクはプロのライターじゃないので仲良くなれないと言葉が浮かびませぬ。
どうぞアタクシの地底パーティにお越し下さいませ。

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