ドラムマシンの使い方

当ブログでの一番の人気記事は「ドラムマシンの選び方」なんですが、
情報としてはだいぶ古くなってしまっているにも関わらず未だトップの記事です。
これからドラムマシンを買おう、という方が増えているのかと思うと嬉しい限り。
そこで今回は初めてのマシンを買ったばかりな方や買う直前の方を対象に、
機種やメーカーに偏らないライブプレイ初級の扱い方を紹介していきます。

◯マニュアルを読まずにどこまで遊べるか

楽器屋さんで試奏する時に注意したいポイントでもありますが、
ドラムマシンは如何に直感で操作できるか、というUIの良し悪しが大事です。

なのでマニュアルを読まずに

・各パートの選択が瞬時に出来る
・再生しながら各パートの打ち込みが出来る
・ミュートが出来る

最低限ここまで出来る機種でないと買わない方が良いくらい。

◯とりあえずプリセットは消してしまえ!

プリセットをひと通り聴いて簡単に遊んだら、
バックアップの方法を確認した上でそのプリセットを全部消してしまいましょう!
どんな機材でもプリセットパターンはその機種の機能をフル活用しているので、
初心者には理解しづらかったり、音数が多すぎて使いづらい事がほとんどです。

ある程度使い込んで表現方法に限界を感じてきたら、
もう一度プリセットを呼び出して参考にすれば良いと思います。

◯お手本動画をひたすらパクろう

YouTubeで「DRUM PATTERN」と検索すると色々と参考になる動画が出てきます。
またDTM情報サイト「ATTACK MAGAZINE」では「BEAT DISSECTED」のページに
DAW向けのドラムパターン集が沢山ありますがココもパクり甲斐がありますよ。

https://www.attackmagazine.com/technique/beat-dissected/

◯小節や拍を耳で覚える

生楽器、特にドラムやベースの経験者には基本以前の話ですが、
そうでない人達にとっては意識して訓練する必要があります。

DJが二つ以上の曲をミックスする際に意識するのが「拍の頭」「小節の頭」です。
「1.2.3.4~2,2,3,4~3,2,3,4~4.2.3.4~」と口ずさみながらでも数えていきます。
普段の生活の中で耳に飛び込んできた音楽でも瞬時に拍を数えられるよう教わりましたね。
レコードからPCに変わった今でも、
画面から目を離したり目をつぶったりして口ずさんで数えたりしてます。

1-4拍を8回数える方法と、1-8拍を4回数える方法が一般的。
どちらも8小節になります。

マシンライブでも同じで、常に「今何拍目」か数えられるようにしましょう。
機材を見ればインジゲーターが走ってるので一目瞭然ですが、
目ではなく耳で把握出来るようになるといいですよ。

そしてその1拍目~4拍目のいずれかにアクセントをつけるようにします。

例えば自分がDJプレイでロングミックスをする場合は1拍目。
次の曲のリリースはもちろん、フェーダーやEQも1拍目で小刻みに操作します。
これはハウスのミックスが「いつ曲が変わったか客に気づかせない」事を狙ったもので、
テクノの人は逆に曲自体が素材でしかない、という考え方からアグレッシブな操作をします。
4拍目にEQブースト/カットしたりしてアクセントをつけるプレイが多いようです。

それらを踏まえるとやはり何かしらのアクションを起こす時は
1拍目か4拍目に行なうのが妥当だと思います。

◯音の抜き挿し

各パートのMUTE機能をオン/オフして音の抜き挿しをするって、
プレイ中では一番頻度が高いんじゃないでしょうか?
なのでこの機能が疎かだったり瞬時に出来ない機種はお勧めできません。

再生中に特定のドラムを消すのに幾つのアクションが必要か、
もちろん少ない方がいいです。

最っ高に扱い易いのはTR-8。
ボタンでミュート出来る上にど真ん中にフェーダーが鎮座してますからね。

それ以外の機種では「MUTEモード」にしてから各パートを選ぶとか、
「MUTEボタン」を押しながら各パートを選ぶとか、です。
二つのボタンを同時押しでMUTEモードに入り、
そこからトラックをミュートする(3工程必要)機種は扱いづらいです。

MUTEのタイミングは「足すのは1拍目、引くのは4拍目」と、
小節の頭やお尻で行なうと分かり易いです。

・四つ打ちキックの2/4小節目4拍目だけキックを抜く。
・ハイハットなど同時発音できないパートをわざと重ねて音に変化をつける。
・アゲる時は「一つ抜いて二つ挿す」サゲる時は「二つ抜いて一つ挿す」。

などなど、自分なりのテクニックを研究してみてください。

※トリガーミュートとオーディオミュート

トリガーミュートとはミュートしても直前の音が残るような仕様で、
オーディオミュートはミュートした瞬間に音がブツ切りになってしまう仕様です。
特にシンバルやオープンハイハットなど余韻が大事なパートで大きく印象が変わります。

(トリガー)「ジャーン・・・・・」
(オーディオ)「ジャっ。。。。」

ってな具合でオーディオミュートを採用している機種はミューターにとって地雷仕様なんスよ。
これは機種によって仕様が変わり、かつ触ってみないと分からないんですよ。
TR-08/09がそうらしいので要注意。
これらは上段のボリュームで抜く方法を覚えた方がいいです。

◯パターンチェンジ

ドラムマシンの「パターン」とはメーカーによって解釈が違ってまして、
自身の機材がどういうタイプの物か理解する必要があります。

・シーケンスのみを指すもの
・音色とシーケンスがセットになっているもの
・音色とシーケンスが別々になっているもの

だいたいこの3パターンに分かれますが、
ここで注意したいのは下二つ、パターンチェンジと同時に音色が変わる場合。
キック、スネア、ハットなどが鳴っている状態で急に音色が変わってしまうと
大抵の場合お客の耳がついていけずテンションがダダ下がりします。

これを回避しながら音色を変えたい時は、

・できるだけ音数を少なくしてパターンチェンジ。
・パターンチェンジの瞬間にMUTEで抜き挿しをする。
・全てのパターンに共通するパートを決める。
(例えばキックだけは全パターン同じ音にする)

などなど工夫を凝らす必要があります。

◯パフォーマンスエフェクト

エフェクトは機種によって大きく違いの出る所ですが、

・全体にかかるエフェクト
・パートごとに独立してかかるエフェクト

とがあります。
前者はドラムマシンの出力に外部エフェクトをかけるのでも同じ効果、
後者は比較的多機能な機種についている機能です。

TR-8のSCATTER、volca beatsのSTUTTERなど、
機種固有の全体エフェクトはここぞ!という時の飛び道具です。
使い過ぎるとダサいので程々にしておきましょう。

逆に積極的に使っていきたいのがパート別のエフェクト。
4小節目4拍目のスネアだけにディレイをかける、とか。

◯インプロ打ち込み

使い込んだマシンだからこそ出来るインプロバイス(即興)打ち込み。
プレイヤーの緊張と高揚がオーディエンスにダイレクトに伝わります。

練習方法としては、まっさらな状態から徐々にトリガーを増やしていき、
MUTEで消したりトリガー一つ一つ消したりしながら展開をつけていきます。
パートの抜き挿しとトリガーの抜き挿しを上手く使い分けられるようにしましょう。
(んな事いってもオレも上手く出来ないんだけどさ)

初めから全部のパートをやらないまでも、
例えばクラップだけ打ったり消したりするだけでもイイ雰囲気になります。
自分の周りではTR-8がインプロプレイに最も適していると評判です。

◯まとめ

トラックメイクとライブプレイは似ているようでかなり違いますが、
一番大きく差が出るのがこのドラムマシンのプレイです。
1万円のvolcaでも25万円のTEMPESTでもやる事ぁ一緒ですが、
耳にも手にも馴染むまで使い込んでこそ機材の価値が引き出せるってモンです。

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